霜月も、あと数日。
山形では、雪への前触れのやうに、愚図ついた天気が続いてゐます。
そぼ降る雨で、
色を残した木々の葉も、容赦なく落とされ、
再び、土に帰らうとしてゐます。
すでに、雪囲ひを済ませた家も目に付くやうになりました。
我が家でも、今週末にでも、と思ってゐます。
久しぶりに、小野リサを聴きました。
自選集のアルバムです。
彼女のデビューの頃はよく聴いてゐました。
何の知識もなく、初めて彼女の声と歌を聴いたとき、
日本人で、これだけの”軽るみ”が出せる歌手とは!
と、驚いたものでした。
ブラジルで生まれてゐたと聞いて、納得しましたがー。
甘さと、軽やかさの境目のやうな彼女の声が、
とんがった時計の針先を丸くする。
一週間や十日のズレは意に解さず、
半年や一年、無駄に過ぎ去っても、まあ、仕方がないか、と。
そんな、人生二毛作、いや、三毛作をあと押しするやうな、
涼しげで、温かみのある声が、間もなくの師走を迎へてくれます。