rakitarouのきままな日常

人間様の虐待で小猫の時に隻眼になったrakitarouの名を借りて政治・医療・歴史その他人間界のもやもやを語ります。

新型コロナ世界の反応と少し解って来た事

2020-03-10 19:24:51 | 医療

新型コロナウイルス感染症の世界への広がりは、疾患以上に世界経済へのダメージの方が危惧される状況になってきました。病気に罹る人のダメージよりも病気とは無縁ながら経済的なダメージで命に関わる人の方が圧倒的に多いという結果が見えてきました。

一方で中国以外の国々における新型コロナウイルス感染の広がりも一様ではない様子が見て取れます。ほぼ毎日更新されるWikipediaの感染拡大についての項目の図(2020年3月10日付け)を見ても、イタリア、イラン、米国の一部の地域の感染者数の増加が著しく、また死亡者数もそれらの地域に多く見られます。検査数の各国比較から、軽症者の検査が行われていないにしても2%程度と言われる死亡率よりも多い印象があります。世界の症例数や死亡者数はグラフの様に対数目盛りで日々増加しているのですから、大して予防措置を取らず、検査も少なかった日本などイタリア北部並みに患者が増加して、今頃は各地の医療機関がごった返す状態であってもおかしくない様に思います。しかし私の病院は地域の基幹病院ですが、毎日気管支炎等で入院する患者はいますが肺炎の患者で病棟が一杯ということもなく、臨床的に新型コロナ疑いで検査に出す例も何件かありますが陽性例はないというのが実情です。

特定の国の感染者増加が目立っているのは何故か?   世界における日々の感染増加は対数的に続いているが日本はそうでもないように見える

死亡者の累積も感染者同様世界においては対数的に伸びているが日本ではそうでもない。  韓国は検査数は多いがイタリアやイランと比べると死亡者が圧倒的に少ないのはウイルス感染の型が違うからではないか?

 

新型コロナに2つのタイプ?

 

主に中国などから精力的に多くの論文が毎日発表されて、SARS CoV-2の実態についてまだ全容解明には至りませんが、徐々に明らかになってきました。特に強い感染力については、ヒトの細胞にどのように取り込まれるかといった解明が進んでいます。既にテレビでも報道されていますが、細胞のレセプターとされるアンギオテンシン変換酵素に取り憑くウイルス細胞膜のスパイクと呼ばれる部位に2種類あるということがWu AらとTang Xら2編の論文が北京の大学から発表されています。どうもスパイクの元になったセンザンコウを宿主とするウイルス(その元をたどるとコウモリ由来のSARS関連コロナウイルス(RaTG13))に近いのは毒性が弱いS型とされる結合部を持つウイルスでその変位L型の方が現在は70%の症例から検出されていて毒性も高いということが解って来た由です。検討例ではL型S型両方の感染が見られる例もあるということで、市中では両方の型が流行している(初めにS型が流行した?)事が示唆されるという事です。今イランやイタリア、米国の一部で広がりつつあるのは毒性が強くまた70%検出されるというL型の方ではないか、また日本で既に流行してしまったのは早期に出現したS型ではなかったかという気がします(これは希望的推測でしかありません)。だから日本では他国のようには感染者が増加していないのではないでしょうか(逆にL型が今後逆輸入されると悲惨な事になる可能性があります)。

 

乾燥に強く感染力が強いが高温には弱い可能性?

 

武漢のHe J(3)らの論文(大変な状況で研究を続ける様に頭が下がります)ではSARS-CoV2のヒトへの感染メカニズムを蛋白構造レベルで検討しています。彼らによると、2003年のSARSウイルスに比べて、今回のウイルスは同じアンギオテンシン変換酵素(ACE)をターゲットにしているものの、接着するSpikeの構造がよりACEに親和性が強く、容易に細胞内に流入する(感染力が高い)という事を見いだしました。またSpike部分は構造的により安定していて乾燥にも強く液体に溶解し易い(エアロゾルに入り易い)という事です。但しこの特徴は温度に弱い特性をも有していて、高温になるほど感染力が衰える特徴があると言う事です。これらはまだ正式な論文にはされておらずbioRxivというサイトで確認することができます。読んでいてこれは語彙が間違っていると解る所もあり、今後訂正されるでしょうが、遺伝子解析などの結論が大きく変わる事はないと思います。

 

参考

(1) Tang, X et al. On the origin and continuing evolution of SARS-CoV-2. (https://academic.oup.com/nsr/advance-article/doi/10.1093/nsr/nwaa036/5775463)

(2) Wu, A et al. Mutations, recombination and insertion in the evolution of 2019-nCoV. (https://www.biorxiv.org/content/10.1101/2020.02.29.971101v1)

(3) He, J et al. Molecular mechanism of evolution and human infection with the novel coronavirus (2019-nCoV). (https://www.biorxiv.org/content/10.1101/2020.02.17.952903v1)

コメント (3)
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