rakitarouのきままな日常

人間様の虐待で小猫の時に隻眼になったrakitarouの名を借りて政治・医療・歴史その他人間界のもやもやを語ります。

新型コロナパンデミックは第三次大戦の引き金となるか

2020-03-19 13:34:51 | 社会

2020年3月11日WHOによるパンデミック宣言以降も新型コロナウイルス感染症はますます世界的な広がりを見せており、3月19日現在全世界の感染者数は21.8万人、(中国以外で14万人)死者8800名(中国以外で5000名以上)に達しています。世界は感染拡大を恐れて地域を閉ざすのみでなく、国を閉ざす(国境閉鎖)方向に動き出しています。今回の題である「この新型コロナ感染症で世界が戦争になる」というのは突飛すぎてさすがに私もコロナウイルスについて種々の陰謀論があるとは言っても直接世界戦争が起きるとは思えません。しかし第一次大戦から100年が経過した現在の状況があまりにも第一次大戦前の情勢に類似している(スペイン風邪のパンデミックは大戦中なのできっかけではありませんが)事は言われているので一寸したことから世界戦争が始まる事も憂慮しないといけないように思います。

 

第一次大戦前も経済は「行過ぎたグローバリズム」だった

 

第一次大戦の原因は三国同盟(独墺伊)と三国協商(英仏露)、3B政策3C政策の対立などと帝国主義史観に沿った説明がなされますが、これは戦後レーニンの「帝国主義論」に沿って組み込まれたこじつけに近く、開戦原因とは関係ないと言われています。1870年代から第一次大戦勃発の1914年までは第一次グローバル化の時代と言われていて、原料を生産する被植民地諸国と工業製品を生産する欧州諸国の二極化が進み、人物金の移動がほぼ自由に行なわれた時代であったと言います。グローバル化が進むので誰も戦争などもう起きないと考えていた時代であった点も現在に似ています。しかし当時も現在と同様グローバル化に取り残された人達がかなりいて世界で物価や賃金が均一化されてゆく中で先進国内でも格差が問題になり、人々の間に不満の鬱積が高まっていたと言われます(世界史としての第一次世界大戦―宝島社新書2020年)。 この格差の拡大に対する対応には3つの選択肢が示されます。

 

(1) グローバル化のより進行するに任せて産業構造を変えてゆく(米国を工業でなく金融とサービス業で成り立つ国にするとか)。

(2) 社会主義によるセーフティネットの拡充、資本主義自体の否定(後のソ連)もしかするとサンダース大統領のアメリカ?

(3) 自由貿易に対して関税や国を閉ざす事による保護、ナショナリズムの台頭、今で言えばポピュリズムの台頭か

 

1914年6月ボスニアの首都サラエボでセルビアで訓練された青年がオーストリアの皇位継承者フェルディナント大公夫妻を殺害した事がきっかけでオーストリアがセルビアに開戦した事が戦争開始であることは間違いありません。これにドイツが全面協力するという白紙小切手をカイザーウイルヘルム二世が切っていた事からドイツが参戦、出てこないと思ったロシアがまた参戦してしまった事で英仏を巻き込む大戦争になってしまいます。当時は現在の様な相補的な義務を持つ軍事同盟というのはなく「利があれば参戦」が常識だったので、三国同盟のイタリアは中立のまま(後から連合側で参戦)でしたし、スペインのようにずっと中立の国もありました。各国国民もナショナリズムの台頭という背景があって、しかも総力戦として銃後の国民も駆り出されたり空襲を受けたりしたので否応にも戦争に参加してゆくのですが、戦争が長引くにつれて第二の選択肢である社会主義化(革命)の方向に向かってゆくことになり、ロシアを皮切りにドイツでも革命が起きて終戦となります。

 

パンデミック不況の後どこまで自由貿易が戻るか

 

BREXITの後、シェンゲン協定内のEU域内においても現在人の自由な往来は制限されました。イタリア、ギリシャの国債はほぼデフォルト、ドイツ銀行もほぼ倒産という状況で中国も国内生産や消費の回復にはかなり時間がかかる(鶏の鳥インフルや蝗害、アフリカ豚コレラの問題も)と思われます。各国が国を閉ざしている間に世界の紛争地域では大国の干渉を受けないうちに地盤を固めてしまおうと各勢力が闘争を強めてくる事が考えられます。特にリビアやソマリア、クルド対トルコの確執などの紛争が悪化しそうに思いますし、もともと大国の思惑が絡んでいた紛争なので、より大きな戦争に拡大する懸念もあります。新型コロナ感染症自体は1-2年で収束するでしょうが、「感染症から第三次大戦なんて起こるはずないじゃん」との思いが杞憂に終わることを願ってやみません。


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3 コメント

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Unknown (クワガタ好き(ゲーム屋))
2020-03-22 00:55:37
感想から言いますと「なるほど」と。確かにEUや🇺🇸の分断を観ていると、ヒトラーやムッソリーニが台頭してくる戦間期の混乱に似てますね。コロナで人類死滅とは思いませんが、戦争の引き金になる可能性は0でないと。納得。
いや実は五輪強硬で進化したL型が流行して…みたいなシチュエーションの企画が出ていまして。たぶん潰れますが。
とても参考になります。やはり科学者(お医者さんは科学者ですよね?)は普遍を抽出する人はだと思いますので、理系の人から観ると、普遍性に照らしてそうなるのか?
そして前述の企画会議で無責任に私が発言したのが、
「日本は🇨🇳と🇺🇸のテック企業が支配する都市国家に分断さされるのでない?」でした。
GAFAやBATを観ていて思うのは、🇨🇳🇺🇸を問わず、無数のアクセスをアルゴリズムで解析して、パターンを読む有力なプラットフォームが日本に無いという事ですね。
なので致死率が高いパンデミックが起きた時に、加速する人口縮小に対して、AIなどによる無人化が(ブログ主様なら遠隔診断や遠隔ロボット手術など)必要になる。
プラットフォームを持たない日本は🇨🇳や🇺🇸のシステムを利用するしかない。結果として、米中のテック企業が支配する
都市国家群に分断されるという話でした。(あくまでゲーム企画な話ですから笑い話で)。
でも私はWW1と2の戦間期との違いはこれだと思うです。
先日、仏政府はアップルに対して1300億円の制裁金をDGSましたね。つまりGAFAやBATのテック企業は、集める富が
超国家レベルに達しているという事実だと思います。
そこを暗号化技術という分野から観ると、20世紀とは全く別な力が現時点にはあるのでないかと。
エニグマなどの大戦までの暗号技術は、要はコードとキーワードです。コードは単語のすり替え。つまりコードブックが流出したりすると無意味です。キーワードは例えばアルファベット列(ABC…Z)の文字列に「二文字づつズラす」という
条件をかけたとします。rakitarouがキーワードならば、
r…uまでの字列をズラした文字列を形成する。その文字列で原文を置換すると暗号文になる。これはポーの「黄金虫」の理論ですが、エニグマなど複雑化しても原理は同じです。
80年代以降は圧縮技術を暗号化していたと思います。
とこらが近年は仮想通貨とブログチェーンという革新的な改革が発展します。
要は数学です。素数を元とする公開鍵を作る。(公開者A)
この素数に対して、素数を掛けた数列が秘密鍵(送金者B)です。素数は1と自身の数でしか割りきれない。そして素数と素数を×と全ての数は偶数になる。だけれども2は素数ですね。そして素数と素数を×のは簡単ですが、÷で元の素数に×られた秘密鍵の素数を計算で割り出すには、スパコンで数ヶ月以上かかるのです。この時間差は現在の解析では致命的であり、それ故に現実的には解析が無理という条件になる。
量子コンピューターを実用化しない限り、解析は現実的にはには不可能です。
これを利用しているのがコインチェックなどの仮想通貨の利便性であります。それでフェイスブックが「リブラ」という
暗号通貨を提言しました。(米議会は反発)
フェイスブックなどはアクセス数をアルゴリズムによって解析する事で、無数の「オススメ」を可能にします。
つまり私のスマホと貴兄のスマホでは、ググった時に、一番に出てくる検索結果が違います。貴殿と私のスマホは同じではない。つまり情報でも物品でも消費させる為に、個々に向けてオススメしているという事です。ここから全世界で集める富は莫大で、すでに「国家」を越えています。つまり超国家という訳です。(長居ので一度切ります)
返信する
Unknown (クワガタ好き(ゲーム屋))
2020-03-22 01:43:42
このような無数のアクセス解析から産まれる商業は、世界初ならば無風の富を産みます。 その資金を背景に、フェイスブックは「リブラ」を提唱している。
それは価値変動の大きいビットコインより安定してます。
暗号化技術でマスターキー(公開鍵)と送金者(秘密キー)を分けたのは画期的で、暗号を「秘匿する」ではなく、
公開者と送金者の間でしか「証明」が出来ない。
公開キーで複合化(解読)が出来なければ、その送金は「フェイク」と一目瞭然だからです。これにより契約の安全性が保たれる。それを多額の資金で裏付けされた「リブラ」が通用すると、世界で11億7000人の難民または似たような境遇の人々、さらに開発途上国で銀行口座を持てない17億人の人々が、スマホ一つで送金が可能になります。 彼らが経済活動に参加する児とが可能になるわけです。そこから集まる富は莫大です。
実はこれは各国の「通貨発行権」を越える可能性がある訳ですね。それはlivedoor株の細分化で、日本国の通貨発行権に挑戦したホリエモンの行動を、全世界に拡げるようなものです。さらに「リブラ」が流通した時に、25億人を軽く越える人々から、アクセス情報を握るテック企業が、「金融」を牛耳る事を意味します。これは貴殿の推察する「国家群」を簡単に経済的に越えます。
国家の優勢は「武力=軍事力」になりますが。それすら経済の前に危ういと思うのですね。
🇺🇸すらイラク戦争の継続においてPMC抜きには継戦でき得ませんでした。傭兵に過ぎないPMCに🇺🇸すら頼らないとイラク戦争もできませんでした。
さらに未来戦です。その始まりは湾岸戦争ですが、あれは無人機や燃料気化爆弾が勝利したのではなく、イラクの防空網のレーダー網を、ハッカーが無力化したのが勝因です。GPSがないと精密爆撃も出来ません。
つまり戦争は解決手段であるとしても、もう、とっくにサイバー戦のように、情報と経済戦争に移行しています。
レールガン(電磁誘導砲)やレーザー砲を開発しようと、情報処理がなけるば扇風機です。当たらない。
情報処理が最重要ならば、情報の結接点を握るテック企業が有利なのは当然では?
彼らの強みは「国家でない事」です。。国家でないから🇺🇸🇨🇳に追撃する第三世勢力の「まとめ役」になれます。
具体的ならインドネシアです。ASEANの劣等生です。
しかし3億人の人口と三毛作ができる豊かな国で、貧しいのに中国も一目おく発言権。最大人口のイスラムの国でいます。圏とも仲良しです。さらに意外に電子化などに本気で取り組もうとしています。首都水没とかの危機感があるから。
そして日本は見下すけれど、日本で30年前から理工系大学が参加してきたロボットコンテストで、常に優勝候補に入っていたのがスラバヤ工科大学なのはご存知ですか?
もう四半世紀前から「叩き台」を用意してます。
或いは北朝鮮。彼らはスーパーKなど偽造紙幣や、覚醒剤やミサイル技術などしか売り物がない。だからこそ、実は核よりも、ブロックチェーン技術などは先端なのご存じ?
このような後発国は政情など不安定です。 しかし、その中の幾つかは21世紀に浮上するでしょう。その時に超国家レベルに達したテック技術群が、「まとめ役」になったら?
米中を国際覇権から退場させる力を持つのでは?
こういう事を言うと、知識人には笑われるのですが、
そのようなエリート様たちは、冷戦崩壊後に誰も中国がここまで強大化する事を予測しませんでした!!
貴殿の言われるお話は確かに現実味があるのです。しかし、
WW1(現代史の始まり)には存在しなかった勢力があり、
国家の「価値」がどんどん下落している事を無視していると思います。大変に失礼な言い方をすれば、冷戦時代で頭が止まっている。歴史は繰り返しますが、常に同じ轍から離れて
再現します。テクノロジーは進歩するので。
貴殿のお話を読むと一瞬は納得するのですが、結局は19世紀の覇権に戻り、大国が資源を再分割する話に聞こえるのですね。私には。それは失礼ながら現実を見ない、バブル世代の国際秩序感覚に思えるのですが。
いかがでしゃうか?
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データ階層社会 (rakitarou)
2020-03-22 20:09:16
クワガタ好きさん、丁寧なコメントをありがとうございます。2018年12月にユバル・ノア・ハラリ氏の著作に基づくデータ階層社会への変貌について検討してみた内容とかぶるかもしれません。帝国主義の時代に比較した国家の役割や重みが変わってきていると言うのは否定できない事実と思います。ただこのまま国家が消失してデータを扱う企業に支配される世界になるかというと日常生活においてはある程度そうかもしれないのですが、一朝非常事態になった時はどうか、という疑問が残ります。今回のコロナもGAFAでは何の対応もできない(データ収集はできてもGAFA自体が何か解決するかというと?)。大惨事で通信センターが消滅した時、地域で売り買いをできるのは実態通貨であって電気がない状態では電子通貨は使えません。帳面があれば売り上げも仕入れも続けられます。医療現場でもたまに電子カルテが飛びますが、そんな時は昔ながらの紙カルテがないと薬一つ出せません。だから所詮データ社会は強いようで弱点だらけでとても国家の代わり等できないように思います。
日本では考えにくいですが、諸外国では国家のために命をかける人はまだ多数います。しかしGAFAに命をかける人は皆無でしょう。明日アマゾンがなくなっても楽天が代わりをしてくれれば良いのですから。でも明日日本がなくなって中国が全て代わりをしてくれますといっても受け入れられません。
 グーグルでしたか、中国の規制どおりの検索にしろ、と命じられてあっさり従ったのを見て所詮金を人質にされれば大人しく従うのだなと良く理解できました。人間の作る構造体は科学は進歩しても人間の寿命がせいぜい100年で全て一から学び直すからこの2千年進化などしていないと私は思っています。
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