2023年6月24日にロシア政府に対して反乱を起こした様に見えた傭兵部隊ワグネルの隊長エフゲニー・プリゴジンはベラルーシのルカシェンコ大統領と交渉して1日でモスクワへの行進の停止と占領したロストフ市の明け渡しを公表、ロシア政府もワグネルの幹部への訴追は取り下げるという結末になりました。
I. 何が目的だったか
この騒動は何を目的にしたものかは、時間が経てば明らかになると思いますが、「兵士脳・娑婆脳」のコメント欄で述べた様に、「西側の諜報を攪乱するのが目的」だろうという推測通りだったと私は思っています。プリゴジン氏は反乱を起こす4日前にプーチン大統領と会っていた、という情報もあり、「会っていたのにプーチンは反乱を見抜けなかった?」よりは「綿密に打ち合わせしていた」が正解だろうと考えます。
反乱軍?のワグネルを歓迎するロストフ市民
元々ワグネル・グループはロシアの情報機関GRUによってロシア政府の予算で設立された民間軍事会社(PMC)であり、2014年のマイダン・クーデター後にロシア軍が表立ってドンバス軍に加われないための支援目的であったと言われます。ロシア軍のアレクセーエフ中将が後ろ盾で、ミハイル・ミジンチェフ上級大将が現副司令官として軍事を担当していたから軍務経験のないプリゴジンがconducting actor(司令官役)として表に出ていたに過ぎません。
6月25日ハリコフ方面から新たな攻撃に入ったとするロシア軍、ウ軍は北方へ移動か
新しい情報では、ロシア軍はハリコフからザポリジアにかけて新たな攻勢に出ているという事であり、プーチン体制の崩壊を期待して油断したウクライナ軍が慌てて対処しているという状況もあるようです。イギリス情報部は、ワグネルがベラルーシに移動したことで、再度キエフが攻略の目標となったと危惧する論説もあり、先週和平調停に従ってキエフから兵を引いたというプーチンの暴露があり、「次は容赦しない」という新たな作戦の一環と見る事も可能です。
ワグネルが再度キエフを攻略しやすいベラルーシに移動したことを危惧するsky newsの記事
西側のメディアは、ウクライナ軍が反転攻勢で優勢であり、プーチン体制はずっと軍事、経済で行き詰まっているという報道をしてきたので、今回のワグネルの反乱を「これでプーチン体制も終わりか?」とはしゃいで報道してしまいました。反乱があっさり終結して次の軍事作戦につながったとなると、派手に報道してしまった手前、どのように帳尻を合わせて次の報道をするかという困難に見舞われるでしょう。情報戦においては、西側メディアが「一方的にロシアを悪役、しかもウクライナ軍有利」「ウクライナ戦争は自由主義と独裁主義の戦い」と決めつけねばならない報道の制約がある分、ロシア諜報部の手のひらで踊らされる図が昨年の開戦時から続いている様に見えました。東西冷戦時には、東側のメディアが「社会主義経済が順調」「西側は庶民が困窮」という報道しかできずに苦労したことの裏返し(意趣返し)の様にも見えます。「自由な報道がなければ、戦争にも勝てない」という事でしょう。
II. やはりザポリジャ原子力発電所の破壊抑止が目的か
何故この時期に西側メディアが色めき立つ様な事件を起こしたかについては、参考にしているSimpliciusブログが「ザポリジャ原発の偽旗攻撃の危険性迫る」という記事をあげていて、ダム破壊に続いて原発の破壊によるNATOを巻き込む紛争拡大の目論みが危惧されています。
ロシアが原発を破壊するテロを行うとSNSで予告するゼレンスキー大統領
最近ゼレンスキー大統領は2つのビデオを作成して、ロシアがカホフカダム破壊と同様にZNPプラントでの大規模テロ攻撃を準備していると世界に予告しています。戦争に勝っている側が、後々の処理が困難になるのに、自国が管理しているインフラを破壊することはあり得ないのは中学生でも分かる理屈ですが、どんなデタラメも通ると勘違いしている西側メディアはゼレンスキーの予告通り(原子力プラントが爆破されて核汚染が広がる)になれば、揃ってロシアを批難し、「世界の敵ロシアに対して西側は宣戦布告をせよ」と言い出す準備をしています。現在ZNPプラントは「冷温停止状態」であり、福島やチェルノブイリのような臨界に伴う大惨事はミサイル攻撃でも起きません。勿論プラントが破壊されれば核汚染は起きるので、周辺に長期に渡る核被害が広がる事は避けられません。英国は既に穀倉地帯のウクライナに劣化ウラン弾を供給し、ロシア軍による攻撃で弾薬基地が破壊されたことで基地周辺の放射線量が増加した経緯があり、「英米にとってウクライナが核汚染されても構わない」という認識であることは確認されています。
戦術核の使用に備えてNATOは参戦準備をと宣うグラハム上院議員
ウクライナが原子力プラントを破壊するのを「素早いキエフ占領」によって阻止するか、ハリコフへの攻撃開始で南部に終結しているウクライナ軍を北部に分散させ、ザポリジャからヘルソン、オデーサに至る地域を制圧することで紛争を終結させる事をロシア側は狙っているのかも知れません。
大型トレーラーに戦車を乗せて高速道路を走っていたからとの馬鹿馬鹿しいオチ。日本全国にNHKがこの画像を報道したが、もちろん不都合なのでテレビ出演者全員が黙っている。
アメリカがウクライナを「殺さぬように。生かさぬよう」に軍事支援しているのは明らかだが、たぶん目的がアメリカ国内の選挙宣伝だから。ウクライナが無ければハイパーインフレの責任問題で惨敗します
しかし、ほぼ同じようにロシアのプーチンもドンバスを「勝たさぬように。負けないように。」軍事支援するので今の様にダラダラとした持久戦になった。共産党嫌いのプーチンとしてはドンバスのロシア系武装勢力の完全勝利を望んでいないのも一因だが、それ以上の大きな利益が見込めるから
少子高齢化社会は何も日本独自の現象ではなくて実はロシアや中国など教育水準が高い地域では世界全体。
日本のベビーブーム(団塊の世代)は敗戦後のたった3年間だったが、アメリカは1945年から15年ほど続いたし、韓国は朝鮮戦争休戦後の1955年から8年続く、どうも、人口増加は戦争終結の際どい平和状態と密接に関係しているらしいのですよ。
不思議なのがドイツとソ連(ロシア)で絶滅戦争後にベビーブームが起きなかった。戦後の高度経済成長で日本は団塊の世代が貢献したが、深刻な労働者不足が起きて、仕方なくドイツはトルコからのイスラム教移民労働者を受け入れ現在のような状態に
今回のウクライナ紛争で難民が大勢がEUに流入したが、一番人数が多いのは500万人のロシアで、宗教も言語も習慣も人種も同じなのですから当然の結果です。言語も習慣も人種もほぼ同じ「在日」が日本では大問題になっていたのですから、言語や宗教が違っていれば致命的な大騒動は避けられない。
日本の人口のピークは2010年だったが、ロシアの場合はソ連崩壊翌年の1992年。現在の特殊出生率は1・5なので人口減少は避けられない。それなら「生かさぬように。殺さぬように」の今のウクライナの状態はロシアにとってもNATO加盟のEUにとっても一定の利益が見込めるのです。
ラジオで国際情勢解説者と名乗る人が2日前にしていた解説では「プリゴジンはウクライナのロシア系住民への迫害がなかった事を暴露して反乱を起こしたから、プーチンは立場がなくなり、今後世界からも疎外されてゆくでしょう。」と軍事音痴を通り越して全てがデタラメな解説をして「これで大きく戦争の経過が動く可能性がありますね。」などというMCの相槌をもらってました。米英インテルでさえ2流なのですから、その周回遅れの日本のメディアの荒廃はすさまじい。それを聞いている日本人が国際情勢音痴になるのも当然です。
壊れてきているように見えるのは私の間違いでしょうか?
一方で、米国政権のネオコン(グローバリズム派)、EU首脳、そのパペットのゼレンスキーはロシア・プーチン体制を核戦争になっても良いから潰すつもりに見えます。なぜ「気の狂った人達が権力を握っている現実」を皆が批判しないのか全く不思議としか言いようがありません。ゼレ言動の現実離れはその反映でしょう。
IAEAのグロッシー事務局長、フランス24というTV局のニュース番組で
IAEAグロッシー事務局長:「ロシアがザポロジエ原発の攻撃準備しているというウクライナの発表は事実ではない」とゼレンスキー大統領の発言を否定しました。
元記事はTwitterで、@ShortShort_News で探してください。日本語字幕付きの動画があります。英語なので、英語に堪能な方なら聞き取れます。
ShortShort News
@ShortShort_News
IAEAグロッシー事務局長:ロシアがザポロジエ原発の攻撃準備しているというウクライナの発表は嘘
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これまで、ロシア・ウクライナどちらについても名指しの非難を避けてきたIAEA 。大きな転換点になるのでしょうか?
france24 のホームページに記事がありました。
DeepL 翻訳(無料版)してみました。(一部分Google翻訳)
インタビューの動画ではグロッシ事務局長、もっとしゃべってますよね。
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IAEAは、モスクワがザポリージャ原発への攻撃を計画している証拠はないと判断したが、「何が起こるかわからない」と述べた。
29/06/2023 - 22:24
By:マーク・ペレルマン
国際原子力機関(IAEA)のラファエル・グロッシ事務局長はウィーンからフランス24の取材に応じ、ウクライナ当局がモスクワがザポリシア原子力発電所を攻撃する準備をしていると主張しているにもかかわらず、同事務局チームはザポリシア原子力発電所内にロシア軍の配備を観測していないと述べた。
グロッシ氏は国際原子力機関(IAEA)本部からフランス24に、6月15日にザポリージャへ行ったと語った。同氏は、状況は「深刻」だが、6基の原子炉を冷却するためにダムの水が使用されていた近くのカホフカダムの破壊後、原子力発電所は安定化しつつあると述べた。
「必要な水量を確保するために、発電所の経営陣は初期の対策を講じたが、長期的には十分ではないだろう」とグロッシは警告した。
ウクライナの反攻で前線での軍事活動が活発化したことで、「工場が前線に位置しているため、極めて不安定な状況にさらなる懸念が加わっている」とグロッシは振り返る。
戦闘の状況下では、「プラントは信じられないほど壊れやすく、銃撃戦になった場合に損傷を受ける可能性がある」と彼は付け加えた。
6月22日、ヴォロディミル・ゼレンスキー大統領は、ウクライナの諜報機関によれば、ロシアは発電所への攻撃のためにあらゆる準備を整えており、核による大惨事を引き起こす可能性があると断言した。
グロッシ氏は、現地では「そのような展開は見られなかった」と断言する一方、「何が起こってもおかしくない、それが私の心配の種だ」とも述べた。
https://www.france24.com/en/tv-shows/the-interview/20230629-iaea-saw-no-evidence-moscow-planning-attack-on-zaporizhia-nuclear-plant-but-anything-can-happen