rakitarouのきままな日常

人間様の虐待で小猫の時に隻眼になったrakitarouの名を借りて政治・医療・歴史その他人間界のもやもやを語ります。

Petrodollarは終焉するか

2024-06-15 14:19:32 | 社会

グローバリズムは米ドル一極体制に裏打ちされています。そのドルを中心とした信用経済が実体経済の数十倍まで拡大してしまい、しかも一部の人材や会社が富を独占してしまった現在、有り余る富の有効な活用法が戦争経済以外見出せなくなってしまった(パンデミックもこれ以上世界は踊らなくなり、温暖化詐欺によるノーカーボン社会は挫折)ことにグローバリズム支配層は焦りを感じています。その様な中、数年前から囁かれていたのが、中東諸国が石油をドル以外でも取引する様になり、石油(取引)を担保にした米ドル基軸通貨体制の基盤が揺らぎ始めた事でした。

 

I.  オイルダラー協定は継続されなかった?

世界市場で原油取引に米ドルを使用する(原油価格をドルでのみ決める)というサウジアラビアと米国で1973年の石油危機以降結ばれた「オイルダラー協定」は、1974年ヘンリー・キッシンジャー国務長官とサウジアラビアのファンド・イブン・アブデルアジズ王子が50年を期限とした協定として締結したものです。この協定により、OPEC加盟国による原油販売は米ドル建てで行われることになり、その見返りとして、米国はサウジアラビアに軍事的保護と経済的インセンティブを提供してきました。この6月9日には、協定の期限が切れるために今後も続けるのであれば「継続」が発表されなければならないのですが、米国、サウジアラビア共に公式に継続する意思を示しておらず、種々のサイト(ここここ)で指摘されている様に継続されなかったと考えられます。サウジアラビアはBRICS加盟を表明しており、前回紹介した様に、実体経済を主体とするBRICSは独自の決済通貨としてゴールド40%、BRICS+各国の通貨を基盤とする{ユニット}なる決済インフラ構築を表明しています。

 

II.  今後の基軸通貨としての米ドルの見通しは?

サウジが中国元を原油決済通貨と認めたWSJ記事(2022)

WSジャーナルによると、既に20%の原油取引はドル以外の通貨で行われており、オイルダラー協定も強制力は既に失われていたと考えられます。今まではサウジアラビアのオイルマネーの多くは米国債購入に充てられていたため、それも米ドルの安定に寄与していたと思われ、米ドルとサウジリヤルが固定制であったこともあって直ぐに米ドルが原油取引や基軸通貨としての機能を失うとは思われませんが、大きな事件や食料危機などがあったり、また時間経過とともに、米ドルの価値は低下して行くと思われます。信用経済は穀物や鉱工業製品、エネルギーといった実物のやり取りをする実体経済と異なり、「共通幻想」に過ぎません。人々の「幻想」が崩れた瞬間にその価値は消失してしまうものです。原油という実物が必ず付いてくると言えなくなった米ドルがいつまで人々の「幻想」を維持できるか分かりません。

 

III.  mBridgeプロジェクトの今後

各国の中央銀行デジタル通貨(CBDC)システムを相互接続させるプロジェクトをmBridgeと言い、2024年には実用化段階に入ると言われます。サウジアラビアはこのプロジェクトにも参加しており、デジタル人民元を本格化させつつある中国は、まだ国内向けですが2023年の前半期にはデジタル人民元取引が37兆円に達したと言われます。

IMF資料でも世界の外貨準備における米ドルの割合は確実に年々減少している

 

IV.  日本も真剣に多極化に向き合うべきではないか

 

日本のメディアは未だに「ウクライナ善玉」「ロシア悪玉」、中国の経済見通しは暗い、カーボンニュートラルを目指すべきだ、「もしトラ」になったら大変だ、WHOの決定に日本は無条件に従う、というグローバリズム一本槍の見方しかありません。世界が大きく動いている現在、21世紀を生き残るためには多極化(multipolar world或いはmulti-nodal world{Chaz Freeman}とも言われる)の見方を進めるべきだと思います。

G7で国民に認められていて盤石なのはイタリア首相(ウクライナ派兵に絶対反対)位ではないか?


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5 コメント

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G7がロシア中銀凍結資産の利子分を勝手に流用 (宗純)
2024-06-16 15:10:10
ウクライナ和平案と言う名目で、アメリカNATO加盟各国の首脳などが話し合う国際会議が15日、スイスで始まったが、肝心のロシアが招かれていない。
もちろん即時停戦の呼びかけではなくて、「ウクライナ頑張れ」(死ぬまで戦え)との旧日本軍の二番煎じなのですから、無茶苦茶
中国を筆頭に南アやインド、日本で開けれたG7でゼレンスキー大統領にドタキャンされたブラジルなどグローバル・サウス主要国は全員が初めから参加していない。一方、外相が参加したサウジアラビアは、「和平の実現にはロシアを議論に参加させる必要がある」と明確に指摘して批判している
スイスの奇妙な西側同盟国のウクライナ戦争会議と並行する形でG7ではロシアの外貨準備の半分近い凍結資産(ただし運用分だけ)を勝手にウクライナ軍事援助に流用するとの「掟破り」を決定して、プーチンに逆に「違法行為には対抗手段をとるぞ」と脅かされるが、
今までドルやユーロなどが国際通貨として可能だったのは、敵対国家だからと言って資産凍結や、ましてや勝手な流用をしなかったから。
そもそもロシア中銀の資産凍結の意味は、ルーブルの下落でロシア経済にダメージを与えるのが目的だったが、少しだけ下落しただけで効果が無い。
仕方なく凍結資産の流用を考えたが、これでは世界中が「金」備蓄しか安心する方法が無くなる。(ドルが仮想通過だったとのオチ)

建前として経済は軍事や政治とは別々だったからドルが世界通貨になり得たが、今回のようにドルを武器に使う世界帝国アメリカの信用が丸つぶれでドル離れが加速する自殺行為。失敗して当然な愚行中の愚行
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自滅する信用経済 (rakitarou)
2024-06-17 08:48:54
宗純さんが指摘される様に、「勝手に流用」(非合法)した金には「信用がない」ので使えないのは明確。既に2022年にロシア経済制裁が始まった時からそれらへの対抗措置は始まっていて、ロシアが被る被害は余りないというのが経済界の見立ての様です(https://www.ft.com/content/7e7bcb76-2d4b-41b1-8cea-73bebf74724b)。
要はロシアの資金もユーロやドルの信託などと複雑に絡み合っているから一部の政治家が勝手に中身の信用を変更すれば全体の信用がガタ落ちになるという当たり前の法則。医者でもわかる当たり前の経済原則をニュースなどではスルーしているのは本当に「日本人はどうせバカだから関心はないだろう」と愚弄しているとしか思えません。
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米国の債務問題もすごく深刻 (ルンバよりは賢い積り)
2024-06-19 00:46:22
 以前から、いろいろな方が「米国のダウなどの好景気?は、大統領選へ向けた、バイデンよいしょのための巨大バブル」と指摘しておられます。私はいつバブルがはじけるのか、恐怖感を持って見ています。でも、ペトロダラー終了との関連は、私は、よく分かっていませんでした。

 ペトロダラー終了も重大ですが、米国の国債も(日本の国債と同病で)極めて良くない状況になっているとのことです。

 『グローバルマクロ・リサーチ・インスティテュート-世界の金融市場における分析と実践-』というHPはご存知だろうと思います。

「グリフィン氏: 米国債暴落でブラックマンデー再来の可能性 2024年6月17日」と言う記事では、米国の債務問題の深刻さを警告しています。(この記事ではペトロダラーについては触れられていませんが)
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/50057#more-50057

(以下は蛇足?)
この『グローバルマクロ・リサーチ・インスティテュート』は、以前にはアゾフ隊のネオナチズムについての、すごく詳しいレポートを掲載していたこともありました。今でも見ることができます。
「アゾフ連隊: ウクライナ国家親衛隊に実際に存在するネオナチの暴力集団 2022年3月8日」
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/21097
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Unknown (セコイアの娘)
2024-06-20 16:05:42
私は、正直なところ、新米でも親露でも親中でもありません。
ただ、日本のような小国が、安心して平和を享受出来る世界秩序をのぞみます。
今、世界は新たなる世界秩序に向けての動乱期であるように思えます。新しい秩序に移行する過程で、何が起こるか見通せず、大変不安です。
そして、私の抱える不安は、私だけのものではなく、みんなどこかで薄々感じているように思えます。
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ポーランド金券がありました (Hirek Jszyzaki ポーランド一時帰国者)
2024-06-25 17:25:22
私は戒厳令布告の一年前にソ連からポーランドへ移住し、社会主義政権下でのこの国の暮らしを体験しました。当時は正規通貨のズヲティとともにボンと呼ばれる金券が流通しており、一ボンを何ズヲティで買えるかという、毎日の交換レートが新聞のある欄にさりげなく、表示されておりました。二重通貨体制ですね。ボン札で外貨ショップで西側製品を格安で購入することができました。政府は全国民に外国旅行の自由を保障してもいました。ボンで切符を買い、不自由なく外国へ「脱出」できるわけです。ソ連兵士は、ポーランド駐屯を喜び、ソ連内で歯をすべて金歯にします。ポーランド国内のワルシャワ機構軍駐屯地の裏には、その金歯を買い入れる歯医者(殆どがユダヤ人男性歯科医)が開業していました。兵士は歯とボンを交換し、ペヴェックスという外貨ショップで故郷への土産物を買うわけです。外国人旅行者はどこにでも滞在できました。但し、滞在日数は一日あたり15米ドルをズヲティに正規の交換レートで換金しなければなりません。外国人学生の場合は一日あたり5ドルでした。一月150ドル相当のズヲティでは、風呂付のアパート(日本の上級アパート並み)を借りても十分余裕があります。私はカリーニングラードとの国境に近い、オレツコという東プロイセンの街で、家内と両親(個人農家だったので広大な邸宅だった)の夏家に住みましたが、交換義務もなく、日本の両親からの送金、二万円ほどで落ち着いた生活を送っていました。戒厳令が実施されても、普段通りの生活が続き、日本から心配のあまり父親がやってきたのですが、札幌の近郊で言うと、当別にあるスウェーデン村のような環境に驚いておりましたね。今の僕の日本の生活のなんと惨めなことか。悔やんでもしかたのないことです。戦争は核戦争で終わることでしょう。
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