rakitarouのきままな日常

人間様の虐待で小猫の時に隻眼になったrakitarouの名を借りて政治・医療・歴史その他人間界のもやもやを語ります。

権力への忖度か、暗黙の発言理論か

2023-01-07 13:37:34 | 社会

新型コロナワクチンの有害性についてのまとめを前のブログで行いましたが、日本でも流石にメディア、その他の論調に今までワクチンについて喧伝された内容が矛盾だらけであることが取り上げられ、根拠もなくワクチンを推奨していた人達、特にメディアを含む権力者や専門家と称する人達への批判が高まりつつあります。それはウクライナ戦争についてのデタラメな報道も同じで、西側が無条件に支援するウクライナ側の惨状が露見しつつあります。

 

何故理性を持って科学的、客観的に判断すれば「おかしい」と解るはずの事態を正しく判断せずに「体制順応」して意見表明してしまうのか、という「言い訳」(excuse)が、今後批判を受ける人達に必要となってくるでしょう。「権力への忖度」と言ってしまえばそれまでなのですが、今少し科学的論理性を持たせた説明を紹介します。前回も引用した組織・社会行動学の権威、ハーバード大学Amy C.Edmondson教授が2011年に発表した「暗黙の発言理論」(Implicit Voice Theory)というのがあります。要は「正しいと思う事を組織構成者が言えないために組織が誤った方向に向かう原因は何か」を解明した理論で、4つの社会実験の結果から導かれています。以下に簡単に紹介します。

4つの研究からなる5つの要素を説明した論文

 

1)  暗黙の発言理論

 

◯ 身に付いた暗黙理論(Nature of Implicit Theories)

幼少期からの家族、社会における経験から、人は無頓着(naïve)、依存、常識的とされる行動様式を身につけて、新たな社会変化、刺激に対応する事を意識する、しないに関わらず行う様になる。これが暗黙理論の基本になる。

 

◯ 自己防衛本能による暗黙の発言理論

無数の小さな毎日の行動決定の積み重ねによって、「上司(権力機構)に対して意見するか否か」という決断に自己防衛本能が働くようになり、「自分の立場にリスクを伴う諌言」を躊躇するようになる。リスクを評価は、authority ranking situations(社会における権威ランク)に従って行われ、これは立場のみならず専門家としてのランクも加味される。例えば病院において、熟練パラメディカルスタッフでも若手医師に医学的な意見を躊躇することにつながる。

 

◯ 暗黙の発言理論と被雇用者の沈黙

暗黙の発言理論は、結果的に組織(社会)において適切な発言機会を奪ってしまうことになり、個人の防衛本能がかえって組織改善のリスクを高めてしまう事に結びつく。

 

◯ 4つの社会実験概要

ステップ1として多数の聞き取りを元にした複数の「上司への意見の可能性」についての研究をまとめ、暗黙の発言理論が実際に存在することを証明した。NASAにおける「安全に意見を言える」環境においては「抵抗」が少ない事も実証された。ステップ2では具体的にどの様な状況で「暗黙の発言理論」が起き易いかが分析された。ステップ3では自由な発言への抵抗度を計る評価法が検討され、年齢、性別や被雇用の立場、専門性などが評価対象となった。これは個人の性格や個性とは独立した因子と考えられた。ステップ4ではこの理論に基づいて、「抵抗に貢献する度合い」を検討した。逆に言うとどうすれば「抵抗をなくしてより良い結果を導けるか」の実験を行った。例えば組織の中央集権化が及ぼす影響、職場の精神的安全性(psychological safety=何でも言える環境か)、職場への満足度、管理度などを点数化して評価したものです。

 

◯ そして代表的な5つの具体的「暗黙発言理論」が提唱されました。

「強い思い入れ(執着)を持っている仕事への発言は憚られる(思い入れ理論)」「解決策がないと発言しにくい(解決策示せ理論)」「上司を飛び越えるな(順番に上げろ理論)」「上司に恥をかかせるな理論」「出世に響くかも理論」

 

2)  日本は欧米以上に駄目社会なのか

 

欧米が既にワクチンやコロナを卒業しているのに、日本は未だにワクチン推奨、コロナで大騒ぎを続けて、ウクライナ戦争は「プーチンが悪魔」を言い続けている日本は暗黙発言理論を理想的に実証した絶望的な駄目社会なのかと暗澹たる気持ちになります。しかし種々検討してみると、日本は「空気を読む、忖度、同調圧力」は異様に強い社会ですが、暗黙発言理論で問題視される「絶対的権威主義」については欧米よりも緩い社会であると解ります。小さい企業では会社の社長が掃除のおばさんと一緒に食事したり、大学教授がパラメディカルと宴会芸といった風景も普通です。一時欧米から手本とされた「トヨタ式カイゼン活動」というのもボトムアップをうまく活かす「日本ならではの社会風土」から生まれたものです。むしろ近年欧米式の経営方式(株主主体とか社外理事とか高給のCEOとか)を強制されるようになって日本本来の柔軟な社会が失われつつある事が問題なのではないかと私は思います。ワクチンを「強制」としなかったのは「厚労官僚の良心」と受け取りたいですが、コロナ問題やウクライナ戦争における大手ジャーナリズムの硬直化といった問題は日本社会の経営欧米化の弊害が直に出た結果の様に思います。

 

21世紀に日本がしたたかに生き残って行くには、欧米の強制には面従腹背、日本ならではの社会風土の良さは死守してゆくことが大事だと思います。


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5 コメント

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忖度で科学を曲げる日本人! (ローレライ)
2023-01-08 11:41:16
フクシマ原発危機管理で忖度で科学を曲げる日本人には原発運転は無理との認識が広がりました。事実その後の安倍晋三内閣では官邸忖度体制が敷かれ各種統計も偽装されたもの扱いで当てにされなくなりました!
しかしジャーナリズムも安倍暗殺まで忖度自粛が普通になって,ウクライナ戦争や増税でもまだ忖度が抜けない現状ですが西側諸国全体的に忖度同盟体制になっている!
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超・進化論(3) 「すべては微生物から始まった〜見えないスーパーパワー〜」 (宗純)
2023-01-09 14:15:14
初回放送日: 2023年1月8日

最先端の科学で“新しい進化の物語”に迫るシリーズ「超・進化論」の最終回。主役は「微生物」。取るに足らない存在にも思える微生物だが、実はそのシンプルさゆえにどんどん分裂して世代を重ね、高速で進化するスーパー生物なのだ。そんな微生物は、腸内細菌をはじめ、他の生き物にも大きな影響を与えている。さらに、微生物のパワーは、地球環境をも支えていることが明らかになってきている。知られざる微生物の本当の姿に迫る。

と何回も番組宣伝を行った後に、満を持して日曜の夜9時15分に始まった一時間番組。しかも時期的に不可解な新コロ騒動の第8波で最大の死亡者数を出している日本にとってはピッタリのタイミング。
ところが、何故か理由は不明だが、出演者の全員が着ぐるみを着ているのですから???1時間番組の中身が小学生低学年対象と思われる内容なのには心底驚いた。
普通の大人用の夜9時放送のNHKスペシャルなら5~10分程度の濃さの内容を思いっきり水増しして1時間番組に作り替えたらしいのです。
決して「間違い」ではないが、???有り得ない幼稚な内容を見続けるには、最大限の忍耐力が必要だった

NHK編集部は誰かにトンデモナク忖度したらしいのですよ。あるいは何かをトンデモナク恐れたか???
3年目の新コロ騒動ですが何故か特定の人にとっては致命的だが、当たり外れが大きい。特にmRNAワクチン接種の当たり外れが大きすぎて危険極まりないが、マイクロバイオーム(微生物艘)がカギを握っているらしいのですから、今回のNHKスペッシャル最終回は最も重要だったが、お子様向けにして逃げた(忖度した)態度は不真面目の???
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超・進化論(3) (ルンバよりは賢い積り)
2023-01-09 23:06:08
宗純さんの取り上げておられる「超・進化論(3)」ですが、既知のことが多かったのと、(意図的かアホなのか不明ですが)大きな間違いがありました。

1.アーキアと古細菌を別扱い - (ここの主さんはご存じでしょうが)「古細菌」とは近年言わなくなっています。アーキアのうちの1系統が真核生物へと進化したのです。

2.「真核生物」と「原核生物」という言葉くらい出してもいいだろうに出しません。

3.微生物というオハナシにしたいため、菌類が真核生物の大きな一系統であるのに、少しも触れません。キノコ・カビ・酵母が一切出てこないヘンな番組でした。

4.ミトコンドリアの元(リケッチャに似た生物)を嫌気性のアーキアがとりこむことは紹介しているのに、葉緑体の元(シアノバクテリア)を「植物」の先祖が取り込んだことには触れない。

***一体なんなのでしょう。録画しておいて今日(1月9日)みたのですが‥‥

***愚民政策の一環なのでしょうか? 放送大学のBSでの放送との格差が拡がるばかりです。

***(別のことですが)1月9日の午後7時のNHKニュースでの台湾・中国関係では、徹頭徹尾「反中国」のプロパガンダをやっていましたね。
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NHK経営方針 (rakitarou)
2023-01-10 07:25:50
1月に会長が変わりますが、前会長が大胆なリストラや値下げなどやって混乱を招いた。次はどうなるか(前会長の思惑どおりにはゆかなかったらしい?)といったこともやる気のなさとかに現れているのでしょうか。
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ムチドンドン (ルンバよりは賢い積り)
2023-01-10 10:43:27
 前回のNHK朝ドラ「チムドンドン」。沖縄が舞台なのに ①米軍基地のことがほとんど出てこない。(出てきたのは、多分コザ暴動らしい出来事に対して、主人公の姉が「ゲバルトなんてナンセンス」と一言言っただけ) ②沖縄から本土へ食材を仕入れるのが防疫の関連で長い間不自由だったのも無視‥‥。 沖縄のこと以外にもあり得ない設定がもっともっといっぱいありました。
(同時期に放送されていた鎌倉殿の13人のことを「死ぬどんどん」と言っていましたが‥‥)
 今回の超・進化論(3)を見て「ちむどんどん」とえぇ勝負やな。これじゃぁ「むちどんどん」だ、と思った次第です。(視聴者を無知へといざなう無恥なNHK)
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