Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

大学リストラの行方

2007-01-11 09:21:00 | Weblog
4月から「助教」の採用が始まる。一部の大学では,そこにテニュアトラック制が導入される。つまり,一定年限内に所定の成果を収めないと,大学を去ることになる。人材の流動化を意図したものだろうけど,一部の大学しか導入しないとなると,採用に強気でいられる大学にしかメリットはないだろう。懸念されるのは,失職の可能性を恐れる若手教員が,いま以上に雑用を引き受けざるを得なくなることだ。そんなことになれば,若手の研究を刺激するという前提が崩壊する。

人件費を抑えるのが課題だとしたら,若手教員を絞ったところでたかが知れている。ターゲットは当然,シニアに向かう。その布石と思えるのが,職名(肩書き)と職務の級(給与)が連動しなくなるという改革だ。つまり,見かけ上昇進するが給料は据え置かれる(さらに,肩書きはそのままで給料が下げる?)ことが可能になる。民間企業ではよくある話だろう。その次に,早期退職勧奨制度がきても不思議ではない。

企業で起きたことが大学で起きると思えばよい。だとしたら,アウトソーシングはいっそう進行するだろう。学内のかなりのサービスが大学間で共有可能である。米国では,シラバスや教材のウェブサービスを大学を超えて行なう会社がある。その大学の差別的優位性にとって本質的でない業務は,専門会社に委託すればよい。潜在的なビジネス機会がたくさん眠っていそうである。

だが,企業がまさにそうであるように,人件費等のコスト削減だけから競争力が生まれるとは考えられない。東大や慶応のようなブランド力のある大学は,当面,いまより学費を上げても優秀な学生を集めることができるだろう(社会的批判を受けるにしろ)。だが,それが難しい大学は,差別化と集中を図るしかない。個々の教員の生き残りについても同じことがいえるだろう。ああ・・・

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