Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

「患者さま」

2006-10-03 16:47:23 | Weblog
最近の病院では「患者さま」と呼ぶのが一般的になっていると『物語 大学医学部』に書かれている。企業では「お客さま」という呼称が広く使われているが,医療でもそうなのか。確かに最近,日曜に空いている医院が増えているし,医者から患者への説明が丁寧になっている。

問題点が強調されがちな日本の医療について,それなりの進歩があったことを著者は本書の冒頭に記している。だが,この本の大部分は10年前に書かれたものの再録で,ではこの10年にどういう変化があり,今後どうなるのかについては,正直物足りない。ということで,読み始めたとき期待したほどの満足は得られなかった。

医療や福祉で利用者志向が叫ばれるとしたら,マーケティングに出番が来たということになる。ただし,サービス提供者と消費者との間での圧倒的な知識の違い,効用-不効用の差異の大きさ,公的規制・介入の大きさを考えると,通常の財(サービス)のマーケティングの素朴な転用ですむはずがない。先例として医療経済学の歩みが参考になるかもしれない。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。