Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

またまた iPhone 失速説

2008-10-24 23:46:41 | Weblog
読み忘れていた10/21付日経夕刊に「iPhone に失速説」「相次ぐ不具合が原因?」という記事が出ていた。だが,読み始めて数行目に「当初の過熱人気は冷めたものの,小売データでは底堅い販売数を維持している」と,失速は単なるイメージかもしれないと書かれてある。いきなり見出しが否定されてしまい,びっくりする。要はこれからが正念場だということらしい。

iPhone に発生しているトラブルの最大のものは,MobileMe だろう。プラグのトラブルは,ぼく個人としては実害はなかったし,迅速かつ誠実に対応されたと思う。いずれにしろ,現段階の初期トラブルはまだ許容範囲にあるのではないか。問題は今後,App store にどれだけのアプリケーションが提供され続けるか,あるいはそれを活用するノウハウがどれだけ普及するかだろう。

そのためには,供給側に腰のすわったサービス戦略が必要になる。一方,この記事によれば,ソフトバンクの孫正義氏は,ユーザー体験の広がりが二次関数的な成長を引き起こすと期待しているようだ。つまり,ユーザーからのクチコミが今後どう広がるか,である。 iPhone の普及がS字型曲線に従っているとしても,まだテイクオフの段階まで来ていないと思われる。

以下の本のタイトルは,次世代携帯電話の覇権を iPhone と Android が争っているかのような印象を与えるが,中身は少し違う。著者は iPhone のすごさを認めつつ,結局 PC 市場における Mac のようなポジションになると予測する。この本の大半は,グーグルの Android が日本の携帯電話産業に与えるインパクトについて論じている。

グーグルvsアップル ケータイ世界大戦 ~AndroidとiPhoneはどこまで常識を破壊するのか
石川 温
技術評論社

このアイテムの詳細を見る

いずれにしろ,「ケータイ世界大戦」に,このままでは日本企業は,主要なプレイヤーとして参戦しないという見通しが示されている。とはいえ,国内市場が戦場になることは間違いない。昨日聞いたクチコミ・マーケティングのベンチャー各社のプレゼンにも「世界初」ということばが登場した。本当にそうであれば,そんなに素晴らしいことはない。 
 

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。