今年出版されたマーケティングの研究書として、次に、一橋大学の松井剛先生の『ことばとマーケティング』を取り上げたい。昨日紹介した清水先生と同様、松井先生は「癒し」という日本的な文化現象を俎上に上げている。
癒しということばが、新聞・雑誌などで取り上げられるようになったのは比較的最近のことである。それは世相を表すキーワードであるだけでなく、出版、音楽、観光,玩具といった領域でのコンセプトとしても浸透している。
もちろん、「癒し」ということばは昔からあるし、世界中に対応することばがあるはずだが、その用法や使われる文脈に固有の特徴があるということだ。松井さんはそこに、文化社会学的な視覚から切り込もうとしている。
マーケティング研究では、消費者自身の発言を分析することは多いが、松井さんのように、メディアの言説を分析することは珍しい。メディアの言説は、消費者の意識を反映しているとともに、それに影響を与えてもいる。
松井さんの研究は、社会学の難解な理論に裏打ちされた骨太なもので、誰にでも真似できるものではない。しかし、メディアの言説を分析する方法論自体は、初学者にとっても参考になる。意欲ある学生に奨めたい本だ。
癒しということばが、新聞・雑誌などで取り上げられるようになったのは比較的最近のことである。それは世相を表すキーワードであるだけでなく、出版、音楽、観光,玩具といった領域でのコンセプトとしても浸透している。
もちろん、「癒し」ということばは昔からあるし、世界中に対応することばがあるはずだが、その用法や使われる文脈に固有の特徴があるということだ。松井さんはそこに、文化社会学的な視覚から切り込もうとしている。
![]() | ことばとマーケティング ―「癒し」ブームの消費社会史 (碩学叢書) |
松井剛 | |
碩学舎 |
マーケティング研究では、消費者自身の発言を分析することは多いが、松井さんのように、メディアの言説を分析することは珍しい。メディアの言説は、消費者の意識を反映しているとともに、それに影響を与えてもいる。
松井さんの研究は、社会学の難解な理論に裏打ちされた骨太なもので、誰にでも真似できるものではない。しかし、メディアの言説を分析する方法論自体は、初学者にとっても参考になる。意欲ある学生に奨めたい本だ。