Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

やや遅めの新年の抱負

2010-01-10 08:36:59 | Weblog
毎年それを掲げては実現しないのでいいそびれてきたが,やはりそれを省みず,今年はやはり「論文を書き,投稿する」年にするという抱負を掲げることにしよう。年末に掲げた研究仕掛品の目録のうち,実際に締め切りが迫っているもの(もちろん投稿断念という形でスルーできるが),あるいは賞味期限を超えるかどうかぎりぎりなので,なるべく早く投稿するしかないもの(時代依存的で,時代を超えて成立するとはいえないもの)を優先して挙げると,以下のようになる。

 iPhone の普及と情報伝播を調べた研究
 クリエイティブな仕事の志向が消費行動に与える研究
 クルマのブランド戦略と技術開発に関する研究
 消費者の「予測能力」をフィールド実験で検証した研究

これだけ仕上げるだけでも大変だが,やるしかない。これに続くものは,以下の2つだろう。

 消費者間の情報伝播に関するシミュレーション
 インフルエンサーを実購買データから発見する研究

なお,以下はまだ研究(取材)継続段階にあるが,これまでの知見をワーキングペーパーにしてもよいかもしれない。

 インサイト獲得に関するクリエイターインタビュー

ここまでくると,他にも書き加えたい研究がどんどん思い浮かんでくるが,がまんすることにしよう。なお,共同研究者として関わっているものは,日程を自分勝手に決められるわけではないので省略する。過去~現在の研究のアウトプット(論文投稿)を重視するならば,将来に向けたインプット(データ収集)に回す時間は制約される。しかし,それはそれで行なっていないと,いつか立ち枯れしてしまう。ただし,それらはいずれも,研究費を獲得できるかどうか次第だ。

・・・というように,年初に思うのはまず研究のことだが,その成果が教育の内容を豊かにするので,やむを得ない。ただ今年で3年目になる「クリエイティブ・マーケティング」の講義はさらに進化させたいと思っている。具体的には,アイデア生成や創造的問題解決,観察に基づく消費者理解など,「質的」手法をもっと取り込んでいきたい。本当なら,クリエイティブな製品・サービスとは何かという「哲学」を打ち出せるといいが,そのためにはまずそれを研究する必要がある。

それと連動して,ゼミをどう運営するかにも進化を起こしたい。今年4月には2~4年生が揃う3学年体制になる。この2年間の経験を踏まえて,各学年の位置づけを明確にしていきたい。4年生は厳しい就活環境下ではあるが卒論を頑張ってもらう。3年生には新たなグループ・プロジェクトを通じて「創造」に関わってもらう。2年生はやはり「基礎固め」が重要なので,最もオーソドックスに教科書を輪読する。全体に,よりクリエイティブに,かつ実践を目指すようにしたい。

さきに研究が教育に先行するといったが,逆のループも期待できる。ゼミでアイデア生成や企画の実践に取り組むことで,研究上の刺激になるだけでなく,研究の素材が集まってくる。そうした研究に学生を巻き込むことができればゼミの活動水準が上がり,「研究室」と呼べる集団に近づくだろう。さらに,そこから生まれた研究成果を講義に反映させていく・・・なんて好循環が生まれたら素晴らしい。年初の抱負じゃなくて,淡い初夢にならなければいいが・・・。

今年は1年ぶりに社会人向け教育に関わる。1つは筑波大の「サービス・イノベーション」プロジェクトのお手伝い。現状はスポット的な関わりだが,本来ならイノベーション創造手法の研究・教育プロジェクトとして継続したいところだ。もう1つは,本務校のBスクールで「多変量解析」を教えること。学部での「統計学」の担当が終わり,民間でのセミナー企画も頓挫したので,データ解析関係はこれ1本だ。実務家向けデータ解析の講義でイノベーションがあり得るか。

プライベートには,ジム通いの復活が大きな課題だ。近所(といっても徒歩15分)のところに2軒あるので,どちらにするかが最初に選択すべき問題だ。そして,ジム通いができる生活のサイクルをいかに確立するか。これが一番難しそうだ。