Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

バズ・マーケティング

2006-08-30 17:31:10 | Weblog
マーク・ヒューズ『バズ・マーケティング』によると,バズは目的であって,手段ではないという。では何が手段かというと,クチコミであり,マスメディアである。本書にバズとは何かの定義は書かれていない。しかし,バズ・マーケティングとは,消費者がそのブランドを話題にするよう導くことだと明確に述べられている。わかりやすくいえば「話題性マーケティング」ということだ。

本書で紹介される成功事例の多くが,最終的にマスメディアをうまく動かし,パブリシティを獲得している。また,ありきたりのCMをいくら繰り返しても意味はないが,突出したクリエイティビティを持つCMが話題性を喚起させる上できわめて有効であるという。広告関係者でそのことに異論を唱える人はまずいないだろう。「話題性喚起」…これまでどれだけの企画書に,このことばが書かれてきたことか。

ではどうすれば,人々に話題にしてもらえるのだろう。本書に紹介されている興味深い事例を一般化すれば,誰でもバズを引き起こせるようになるだろうか…それができないから,最後はクリエイティビティが重要だという話になる。何が話題として受けるかは,相手によっても,状況によっても異なる。日常のささいな会話でさえ,話題をどう設定するかは非常に気を遣う。ここで何を話したら「受ける」かを教えてくれるロボットをつくることは,果たして可能だろうか?

「話題性」という手垢のついたことばに置き直すと,かえってその深さが感じられる。