Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

WCSS@京都大学 その2

2006-08-23 21:21:54 | Weblog
Emergence of Leader-Follower Structure ... の発表終了。コメント1はシミュレーションの初期条件への敏感さに関するもの。コメント2は,フロニゲン大学の Wander Jager から,みんながトレンドを追いかけるわけではなく,むしろトレンドに反することを選好する消費者もいるだろう,というもの。ABM をマーケティングに応用しようとする貴重な研究者だ。

論文を脱稿して半年近いから,けっこう細部を忘れていた。その状態で前日ぎりぎりにプレゼンの準備をするのは,物忘れと気力低下に悩まされる最近の自分には無理がある。問題は手を広げすぎていることよりも,一つひとつをとことん考え抜いていないことにある。あまり頭が良くない人間がいい研究をするには,集中と没頭(さらにはある種の狂気)しかないというのに。

関心と志向を共有できる研究者が少ないことは寂しくもあるが,チャンスでもある。ロングテール論がいうように,大儲けしようなどと思わない限りは,皆が振り向かないニッチに没頭して,少数だが熱烈な賞賛を受ける仕事をすればいい。そのためには,繰り返しになるが,このテーマだけは誰よりも深く考えている,といえなくてはならない。

[追記]Jagerさんのコメントの真意は,スノッブ効果もあるというよりは,本来的に多様なニッチへの欲求があるだろうという話だと思われる。