10インチを収納している箱を漁っていたら、掲載写真のレコードが出てきた。
95年にゴーキーズ・ザイゴティック・マンキがリリースした4曲入り10インチで、タイトルは
「LLANFWROG」でいいのだろう。(笑)4曲入りと書いたが、正式にクレジットがあるのが
4曲で、B面にはノー・クレジットの曲が1曲収録されている。
90年代にデビューする新人バンドなんて、ほとんど気にとめるようなことはなかったのだが
彼らは何となく気になった。意味があるのか無いのかわからない覚えにくいバンド名を何故か
一発で覚えてしまった。若いのにサイケデリックを標榜したことが、彼らを気になった理由である。
インクレディブル・ストリング・バンドのように、適当に遊びの延長のようなダラダラと演奏している
風情が時代錯誤も甚だしく、彼らのようなバンドにとって90年代が過ごしやすかったかどうかは
私にはわからない。それでも私は彼らのスタンスを支持し、「なんでもかんでも『加速』すれば
良いってもんじゃないだろ。」と思ったものだ。
この10インチにはソフト・マシーンのカバー『WHY ARE WE SLEEPING?』が収録されている。
流石は『KEVIN AYERS』という楽曲がある人達である。(笑)ジャズを演奏するマシーンを
カバーするのは難しいだろうし、カバーしても評価する人はあまりいないだろう。実際、私が
好きなソフト・マシーンは最初の2枚なので、このカバーは私の琴線に触れたというわけだ。
彼らにはマッチング・モール・カバーもある。
ゴーキーズは06年に解散したが、中心人物のエイロス・チャールズはティーンエイジ・ファンクラブの
ノーマン・ブレイクと新バンド「ジョニー」を結成し、今年アルバムを出した。まだ見聴なのだが
近日入手しなければ。
そういえばティーンエイジ・ファンクラブには『NEIL JUNG』という曲があったな。
よし、なんだか楽しくなってきたぞ。(笑)
ニュー・ローズ・レーベルから出た「EVERYDAY IS A HOLLY DAY」の冒頭に収録され、私の度肝を
ブチ抜いたのがエリオット・マーフィーが歌う『EVERYDAY』。当時のニュー・ローズの看板アーティストだった
から、マーフィーとかクリス・スペディングが収録されるのは当然なのだが曲の配置というのは
大事だ。2枚組10インチの最初の1枚、つまりA面の1曲目がマーフィーでB面の1曲目のクリスさんと
いうのは出来過ぎ。同時にCDも出たためにアナログ盤は2枚組の尺だが、10インチにしたのも良かった。
マーフィーの歌う『EVERYDAY』は、原曲をよりわかりやすいロックのフォーマットに落とし込むようなアレンジで
溌剌としたロックを聞かせる。『EVERYDAY』はマーフィー自身のアルバムだと87年の「APRES LE
DELUGE」に収録されていて、掲載写真は91年に出た日本盤CD。収録曲のほとんどが70年代の未発表曲で
マーフィーの歴史を補完する意味では聴き逃すことのできない1枚。
「EVERYDAY IS A HOLLY DAY」でクリス・スペディングがカバーしたのは『IT'S SO EASY』。
この曲のカバーなら、以前もとりあげたがリンダ・ロンシュタットが「SIMPLE DREAMS(夢はひとつだけ)」で
とりあげたバージョンが大好きだ。リンダは前作でもバディーの『THAT'LL BE THE DAY』をとりあげ、
シングル・ヒットもさせているので、バディーの楽曲との相性は良かったのだろう。
リンダはこのあとチャック・ベリー・カバー『BACK IN THE U..S.A.』をシングル・ヒットさせる。
所謂ロックのオリジネーターと言われる人達の中では、チャック・ベリーとバディー・ホリーが私の
2大フェイバリット・ミュージシャンだが、はて私とリンダの相性は如何に。(笑)
というわけで、カバー・ソング100選にはバディー・ホリー・カバーを2曲選出することにした。
今週の月曜のことなのだが、唐突に職場で「案山子」は英語で何て言うのか、なんていう話が出た。
答えは勿論「スケアクロウ」なのだが、それがきっかけで今週はアル・パチーノの映画をDVDで3本見た。
1日1本が時間的にも体力的にも限界なので、「狼たちの午後」「セルピコ」「スケアクロウ」と見て
さて、今日は何を・・・と思ったのだが、なんとなく「ゴッドファーザー」を見る気分でもなかったので
今日はぼんやりしていよう。
ぼんやりついでに今回も過去に当ブログでとりあげたアルバムで、カバー・ソングに言及したものを
まとめて再掲載。題して「DON'T LOOK BACK」訳して「やっつけ仕事、再び」。(笑)
早くも夏バテなんです。
右 『JACKIE WILSON SAID(I'M IN HEAVEN WHEN YOU SMILE)』(VAN MORRISON)
/ DEXY'S MIDNIGHT RUNNERS
左 『TEENAGE LAMENT(ALICE COOPER) / BIG COUNTRY
右 『YOU'RE TIME IS GONNA COME』(LED ZEPPELIN) / SANDIE SHAW
左 『SEE EMILY PLAY』(PINK FLOYD) / MARTHA WAINWRIGHT
右 『FEVER』(LITTLE WILLIE JOHN) / TOM VERLANE
左 『BREATH ON ME』(RON WOOD) / ALLAN MERRILL
レッド・ツェッペリン・カバーにろくなものが見当たらないのだが、サンディーのバージョンは大好きだ。
ツェッペリンの、あのベタな曲を壮絶にカバーしたアレ(まわりくどいな)は当然選出済み。
『FEVER』はペギー・リーの歌唱の印象が強いせいか、意外と女性アーティストによるカバーが多い。
女性にこんな風に歌われる男性が羨ましいと思ったりもするが、トム・ヴァーラインの偏執狂的な
歌唱が最高だろう。
バディー・ホリーの誕生日が9月7日であることは、ザ・フーのファンには嫌でも刷り込まれて
いるだろう。というのも、キース・ムーンは78年9月7日にポール・マッカートニー達とバディー・ホリー
生誕記念日パーティーに出席し、帰宅後の薬物過剰摂取で亡くなったのだから。
掲載写真はバディー・ホリー生誕75周年ということで企画されたカバー・アルバム「RAVE ON
BUDDY HOLY」。ポール・マッカートニーがバディーの楽曲の版権を持っているため、『mpL』の
ロゴがリア・ジャケットに印刷されている。
全19曲、私のような爺には新しめの人の名前が判らないのが相変わらずなのだが、それでも
琴線を擽る人の名前がちらほら。ルックスは苦手(失礼)なのだが、フィオナ・アップルの歌う
『EVERYDAY』は楽曲自体が好きなこともあって、可愛らしい出来に満足。サー・ポールは
『IT'S SO EASY』というタイトルに反して、幾分力み気味。ストレートにカバーするのでなく
新解釈を加えようとしたのだろうが、サン・レコードのトリビュート盤で『THAT'S ALL RIGHT』を
カバーしたような感じでやってくれれば良かったのに。まあ、ここらは人それぞれでしょうが。
モデルの側面が強いカレン・エルスンの歌唱もなかなかのもの。
今年、新譜を出すニック・ロウの声を聴けたのも嬉しいが、それ以上に近年の2作がアンビエントものと
ノイズものだったルー・リードが『PEGGY SUE』のカバーで参加しているのが個人的には最大の
トピック。貫禄のある声と歌い方なのだが、とりあげたのが『PEGGY SUE』というのが
似つかわしくない可愛らしさがあって、何となくニヤけてしまう。
テンポを落としてじっくり歌うパティ・スミスや、大トリのグラハム・ナッシュの歌声が気になる人もいるだろう。
バディ・ホリーの曲をカバーしたアルバムというと、今回と同じくポール絡みだとデニー・レインの
「HOLLY DAYS」(掲載写真左)がある。これは何というか熱心なポールのファン向けのような盤で、
本当はポールが歌って制作したかったところなのだが、「ウイングスのデニー・レイン」を広くアピールするために
制作したと捉えるのは穿った見方か。
私が好きなのはフランスのレーベル、ニュー・ローズが89年に2枚組10インチでリリースした「EVERY DAY
IS A HOLLY DAY」(掲載写真右)。『30 YEARS AFTER BUDDY HOLY PLAYED HIS LAST CHORD.
THIS STATEMENT IS MORE ACCURATE THAN EVER』というクレジットが泣かせるのだが、
今回のカバー集「RAVE ON BUDDY HOLY」は、そのまま『52 YEARS LATER ・・・・・』と
読みかえることを許されるだろう。いや、やっぱり「生誕70周年」のほうが、区切りがいいか。(笑)
私が「オールド・スクール」という言葉を音楽用語として使うことは、まずない。
そういうジャンルにほとんど興味がないからなのだが、掲載写真はアリス・クーパーの
「OLD SCHOOL」と題されたボックス。あのアルバム「SCHOOL'S OUT」を更に
大袈裟にしたような装丁で、場所塞ぎも甚だしい。(笑)
箱を開けると、こんな感じ。まずはCDが4枚。未発表デモやリハーサル等のレア・テイクを収めたCDが2枚、
インタビューCDが1枚、「KILLER IN ST.LOUIS」と題された71年のライブを収録したCDが1枚。
インタビューCDを聞くことはない(笑)だろうが、2枚のレアリティーズは興味深いテイクが多い。
『SCHOOL'S OUT』での子供たちの声のレコーディングの模様が手に取るようにわかるなんて、
それだけで楽しそうでしょ。(笑)
ライブCDは往年のTAKALを彷彿させるジャケットで、これをそのまま収録したLPも収納。
バンドがNAZZ(トッド・ラングレンとは無関係)を名乗っていた時期のシングル盤も復刻してある。
他には60ページの本と、これに沿ってバンドのメンバーが歴史を辿るDVDが1枚。
DVDはNTSCのリージョン・フリーで字幕は一切無い。2時間を超えるDVDは大半がメンバーの
語りだが、見た事の無い演奏シーンもそれなりに収録されていて基本的に曲は完奏する。
ストゥージズやマウンテンらと共に出演した70年のシンシナティ・ポップ・フェスティバルの映像も
収録されているが、ブートレグで見ることができるものとほぼ同画質な上に、この映像は途中で
メンバーの喋りが被ってしまうのが残念なところ。
今回、全世界に出荷された箱の中にはアリス・クーパーのコンサートで、アリスと会う事ができるチケットが
超限定で隠されているとのこと。私の箱には入ってなかったが、それはもっと熱心なファンの方が
手に入れた方が良いので、残念に思わないが、今回のボックスは明らかに北米のファンを優遇していて、
アリス・クーパーのHPでこれを購入した北米のファンのみがダウンロードできる曲がある。う~む。
箱の装丁は凝っていて楽しいのだが、はっきり言って高額物件である。
ドミノスの箱やポールのDXエディションの値段に文句を言った男(あっ、全部輸入盤で買いました)が、
これを買っていいのかというつっこみは無しね。(笑)
これを買う10代というのは、まずいないだろう。
『TEENAGE LAMENT』からは、もはやかなり遠くまで来てしまったが、今回の値段には
嘆きの一つもでてしまうのは仕方ない。それでも久しぶりにアリスで盛り上がったので、続けて
ダンボール箱に入った「MUSCLE OF LOVE(愛の筋肉)」でも聞くかな。
次はアリス・クーパーの過去盤の、丁寧なリマスターとDXエディションに期待したい。
日本盤CDが極端に安く値下げされることはそれほど無いが、日本盤DVDは時どき大幅に値下げ
されることがある。掲載写真のDVDもHMVで3枚3000円という値段で売られていたので
買ってしまった。常にこの値段で売られているわけでは無いので、機会を逃すなというわけだ。
何を今更の「A FILM ABOUT JIMI HENDRIX」である。ジミ没後73年に制作された映画で
関係者やミュージシャン達のインタビューを挟みながら、ジミの生涯を振り返るという内容。
収録されたライブ映像も、2011年の今となっては既に全て何らかのDVDで所持しているのだが
やはり基本アイティムということと、安価な値段に釣られて買った。いや、このジャケットに
惹かれ続けていたので、いつか手にしたいとは思っていたのだ。
ジミの映像を集める上で、私的には今のところ最新の、つまり最も遅く購入したことになるのだが
映画公開時や、初めて2000年にジャケット違い(これが興味を削ぐジャケットだった)でDVD化された時は
まだ「EXPERIENCE」は商品化されていなかったので、ここで見ることができる12弦アコースティック・
ギターでの『HERE MY TRAIN A COMIN'』は貴重だったろう。
ディック・キャベット・ショーでの演奏は無いものの、有名な「金持ちになればなるほど、ブルーズは
歌えるのさ」というジミの発言も収録されている。
映画の中でピート・タウンゼンドやクラプトン、ミック・ジャガーのコメントがあることは知っていたが、
ルー・リードがコメントしていることは知らなかった。何故ルー・リードにインタビューをすることになったのだろう。
スティーヴ・ウィンウッドとかなら、何となく理解できるのだが。
ピートやクラプトンに比べて適当な感じのミックが如何にもな感じなのが、面白い。
現行DVDは2枚組で、2枚目には映画で使われなかったインタビュー映像が1時間ほどと、
「DOLLY DAGGER」のスタジオ・ミックス・シーンが収録されている。追加のインタビューには
ルーとミックは収録されていない。映画では使われなかったもののピートの発言が如何にも
ピート・タウンゼンドで、私はまたまた自分自身がピートのファンであることに嬉しくなってしまった。
ジミはピートに酔った席であったがこういう内容のことを言った。
「俺達(ジミとクラプトンとピート)は、お互いの足りないところを補完し合っている関係だ。」と。
ピートはそれを嬉しく思いつつも、自分の役割が3人の中で一番低い位置にあるのではと思い、
ジミに挑んだ。結局ジミには勝てなかったが、ジミもザ・フーには勝てなかった。
そして、それこそがお互いの役割や目指すところの違いなのだ。
通常は3980円で販売されている、このDVD。興味のある方は今のうちにどうぞ。
ジェシ・ウィンチェスターといえば、一般的にはジェシ自身の名前を冠した1STを想起し、フェイバリット・
アルバムに挙げる人が多いだろう。私は72年にリリースされたセカンド・アルバムが一番好きだ。
大抵のガイド本には1STが大々的に取り上げられて、それで完結しているのだがジェシはこの
2枚目以降も素晴らしいアルバムを多く残している。
エイモス・ギャレットのギターに耳を奪われるのは当然として、まずはジェシ自身の暖かい声と素敵な
メロディーに心惹かれるはずだ。アルバムのプロデュースはジェシだが全13曲中3曲をトッド・ラングレンが
プロデュースしている。その中の1曲『MIDNIGHT BUS』こそ、私のフェイバリット・ナンバーである。
その『MIDNIGHT BUS』を74年にカバーしたのが、チリ・ウィリ&ザ・レッド・ホット・ペッパーズ。
パブ・ロックの範疇で語られることが多いこのバンドは、元マイティ・ベイビーのマーティン・ストーン、後に
レジデンス絡みで名前を見ることが多くなる、スネイクフィンガー・リスマンを中心にスタートしたバンドで
今作には後にアトラクションズのメンバーになる、ピート・トーマスの名前もある。
彼らの1STは幾分ブルーズ色が強かったが、今作はカントリーやジャイヴの要素が強く、ダン・ヒックスの
サウンドを英国の粋な趣味人達が英国風に再現したといえばわかりやすいか。何が豪華かというと、
「THE PEPPERETTES」と名付けられた女性コーラス隊には、ジョ・アン・ケリーやキャロル・グリムス、そして
ペンタングルのジャキー・マクシーが参加していることだ。英国ロック好き、パブ・ロック好きが避けて
通れないバンドであることが、お解りいただけよう。
そんな彼らの演奏する『MIDNIGHT BUS』は、ほぼオリジナルに忠実だが幾分テンポが早く演奏される。
ジェシのバージョンが大陸を横断するような長距離ドライヴを思い起こさせるのに対し、チリ・ウィリの
バージョンは幾分ドライヴ時間が短いように思わせるのは、頭の中で英国と北米の面積を比べてしまった
からかもしれない。ここでの演奏は男4人時代のフェアポートを想起させもする。
『MIDNIGHT BUS』が取り持つ縁かもしれないが、私はこの2枚のアルバムをこよなく愛している。
粋人と呼ばれるには、程遠いのだが。(笑)
元来カバー・ソング好きの私は、過去の記事で折につけカバー・ソングを取り上げてきた。
何度も同じ事を書くのもナンなので(笑)、今回は過去に当ブログでとりあげたカバー・ソングの
中で100選入りが決定しているものを、「整理」の意味も兼ねて再掲載。
題して「LOOK BACK IN ANGER」、訳して「やっつけ仕事」。(笑)
右 『B-A-B-Y』(CARLA THOMAS) / RACHEL SWEET
左 『OOH LA LA』(THE FACES) / IDHA
右 『MY WAY 』(FRANK SINATRA) / SEX PISTOLS
左 『DREAM BABY DREAM』(SUICIDE) / BRUCE SPRINGSTEEN
右 『PERFECT DAY』(LOU REED) / PATTI SMITH
左 『THE LOCO-MOTION』(LITTLE EVA) / GRAND FUNK
あまりにベタな『MY WAY』である。
元歌が何であれポール・アンカがどうであれ、フランク・シナトラが朗々と歌った
人生賛歌を、露悪的に且つ、それでも自分の人生に当てはまるように歌って死んでいった
シド・ヴィシャスは、良しに付け悪しきに付けパンクのわかりやすいパターンのサンプルだった。
笑う事も無視することも簡単だが、私はこのバージョンがラジオから流れてきたときの
驚きを未だに忘れてはいない。