
バディー・ホリーの誕生日が9月7日であることは、ザ・フーのファンには嫌でも刷り込まれて
いるだろう。というのも、キース・ムーンは78年9月7日にポール・マッカートニー達とバディー・ホリー
生誕記念日パーティーに出席し、帰宅後の薬物過剰摂取で亡くなったのだから。
掲載写真はバディー・ホリー生誕75周年ということで企画されたカバー・アルバム「RAVE ON
BUDDY HOLY」。ポール・マッカートニーがバディーの楽曲の版権を持っているため、『mpL』の
ロゴがリア・ジャケットに印刷されている。
全19曲、私のような爺には新しめの人の名前が判らないのが相変わらずなのだが、それでも
琴線を擽る人の名前がちらほら。ルックスは苦手(失礼)なのだが、フィオナ・アップルの歌う
『EVERYDAY』は楽曲自体が好きなこともあって、可愛らしい出来に満足。サー・ポールは
『IT'S SO EASY』というタイトルに反して、幾分力み気味。ストレートにカバーするのでなく
新解釈を加えようとしたのだろうが、サン・レコードのトリビュート盤で『THAT'S ALL RIGHT』を
カバーしたような感じでやってくれれば良かったのに。まあ、ここらは人それぞれでしょうが。
モデルの側面が強いカレン・エルスンの歌唱もなかなかのもの。
今年、新譜を出すニック・ロウの声を聴けたのも嬉しいが、それ以上に近年の2作がアンビエントものと
ノイズものだったルー・リードが『PEGGY SUE』のカバーで参加しているのが個人的には最大の
トピック。貫禄のある声と歌い方なのだが、とりあげたのが『PEGGY SUE』というのが
似つかわしくない可愛らしさがあって、何となくニヤけてしまう。
テンポを落としてじっくり歌うパティ・スミスや、大トリのグラハム・ナッシュの歌声が気になる人もいるだろう。
バディ・ホリーの曲をカバーしたアルバムというと、今回と同じくポール絡みだとデニー・レインの
「HOLLY DAYS」(掲載写真左)がある。これは何というか熱心なポールのファン向けのような盤で、
本当はポールが歌って制作したかったところなのだが、「ウイングスのデニー・レイン」を広くアピールするために
制作したと捉えるのは穿った見方か。
私が好きなのはフランスのレーベル、ニュー・ローズが89年に2枚組10インチでリリースした「EVERY DAY
IS A HOLLY DAY」(掲載写真右)。『30 YEARS AFTER BUDDY HOLY PLAYED HIS LAST CHORD.
THIS STATEMENT IS MORE ACCURATE THAN EVER』というクレジットが泣かせるのだが、
今回のカバー集「RAVE ON BUDDY HOLY」は、そのまま『52 YEARS LATER ・・・・・』と
読みかえることを許されるだろう。いや、やっぱり「生誕70周年」のほうが、区切りがいいか。(笑)
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