数年前であるが、私が最近の歌手や俳優にあまり惹かれないのは何故かということを
考えたことがある。私が歳をとってしまったために、自分より年下の歌手や俳優を「格好良い」と
素直に言えなくなったからか?。年下を「格好良い」というのは格好悪いからか?。
確かにそれもあろう。
しかし、最終的な結論は少々違う。
今も昔も、私は俳優にもバンド・マンにも、もちろんスポーツ選手にも「非日常」を求めている。
一般人が退屈な日常では実現できないことを、実現する人達に憧れるのは不思議ではない。
それが、いつしか「等身大」の「身近」な人達を支持するような流れになっているのが
理解できないのかもしれない。
90年代以降、マス・セールスを記録した若い女性歌手の多くが実はそれほど美人でも可愛くもなく、
一般人がちょっと真似すれば近づけたような気にさせる顔立ちの人ばかりなのも、それと同じような
感じなのだろう。
多くの映画を見たわけではないが、若かりし頃の原田芳雄には憧れた。
何とか、あの台詞まわしのイントネーションを、日常の会話として、私の口癖にできないかと
真剣に考えたことすらある。
掲載写真は73年の映画「赤い鳥逃げた?」のサウンド・トラック。この中で原田芳雄が歌う
『愛情砂漠』が実に渋くて好きだ。『ら行』の巻き舌が目立つのだが、全体の出来はなかなかのもので
多くの俳優に歌われた例のブルース(敢えてブルーズとは、書かない)より私は好きだ。
『タモリ倶楽部』で、その鉄道マニアぶりを見るのも好きだった。
享年71歳。安らかに・・・。