ザ・ピーナッツの活動が終わったのは1975年。私が10歳になる前にその活動は終わっているわけで
具体的に、どの番組で何を歌っていたとかは全く思い出せない。懐古番組で歌番組のさわりを見て断片的に
曲のメロディーを覚えているとか、これも後追いで見た映画「モスラ」に出ていたくらいの記憶しかない。
キャンディーズのことを覚えているのは、彼女たちの活動が78年までだったためで、それを考えると
10歳と12歳の差は、42歳と45歳の差より大きな意味をもつのであった。(笑)
ザ・ピーナッツのレコードを1枚も持っていない私が、唯一所持するCDが掲載写真左のもの。
オリジナルは72年に「ザ・ピーナッツ・オン・ステージ」として掲載写真右のジャケットで72年に出された。
02年にCD化された際は、間の抜けたことにジャケットは変更され、妙なものになってしまったが
内容はロック者が十分に楽しめることに変わりない。
歌謡曲の世界、いや芸能界にどっぷりのはずの二人がライブで歌うのがユーライア・ヒープ、C.C.R. 、
リンゴ・スターにキング・クリムズン(!)とくれば、ロック者も「何じゃ、こりゃぁ」となるわけで。
それほど歌謡曲の得意でない私が聴いても凄いと思うのは、それら洋楽カバーを取り上げたセンスも
さることながら、洋楽と歌謡曲を続けて演奏あるいは歌われても、どちらかを不快に思うのでなく、
統一感のあるステージとして進行させる、二人の歌の上手さとバック・バンドの手堅さである。
おお、流石に『恋のフーガ』は耳馴染みのある曲だ。(笑)
クリムズンの『EPITAPH』というのは、実はプログレと演歌を抒情的かつ効果的に繋ぐ好サンプルであって、
熱心なクリムズン信者には怒られそうだが、日本人がプログレに寛容な理由はこんなところに
あるのかもしれない。まあ、『THE GREAT DECEIVER』や『RED』じゃ、そうもいかないだろうが。
70年代のロックだけでなく、50~60年代のポップス・メドレーや映画ゴッゴファーザーのテーマを歌い
コンサートの最後を新曲とデビュー曲で締めくくるという構成も素晴らしい。
岸部シローの司会が笑いどころであるのは、昔も今も変わらないだろうけど。
カバー・ソング100選には選ばなかったけれど、ここでの『EPITAPH』は一聴の価値があるので
ロック者は気にとめておいていただきたい。