大雑把な計算だが、今年になってジャズのアルバムを延べ300枚ほど聴いた。
「門外漢が聴くジャズ100選」を目論んでの所作だが、「延べ」と書いたのは同じアルバムを二度三度
聴き返したからだ。マイルスとかコルトレーンは選出盤が初めから決まっているので、今年になってまだ
一度も聴いていないのだが、デクスター・ゴードンやリー・モーガンは4枚ほど候補作を絞ったものの
そのどれもが甲乙付け難く、何度も聴きなおすというわけである。
門外漢の前に立ちふさがったのが、事もあろうか大物であるセロニアス・モンクとチャールズ・ミンガスで
あった。手元にある数枚のアルバムを繰り返して聴くのだが、そのどれもがピンとこなくて困っている。
モンクに関しては、ある日突然「MONK'S MUSIC」で一点突破に成功したのだが、ミンガスはどうなることやら。
そんな中、ロック者が選出するのに相応しいであろうアルバムが思い浮かんだ。
92年にハル・ウィルナーが制作した、ミンガス・トリビュート盤「WEIRD NIGHTMARE」がそれである。
音楽プロデューサーであるハル・ウィルナーが関わったトリビュート盤は他に2枚所持していて、
1枚はクルト・ワイル・トリビュートの「LOST IN THE STARS」、もう1枚は「STAY AWAKE」。
前者はともかく、ディズニーなんざ全く興味の無い私が後者を所持しているのは、参加メンバーの豪華さ故にである。
で、ここでモンクのトリビュート盤を所持していないことが露見するわけだが(笑)、音だけは所持しているので
気長に探したい。(実は既に高額物件)
「WEIRD NIGHTMARE」を購入した当初の動機は、笑っていただきたいのだがキース・リチャーズさんが
ギターと歌で1曲参加しているからである。その曲『OH LORD, DON'T LET THEM DROP THAT
ATOMIC BOMB ON ME」にはチャーリー・ワッツさんやボビー・キーズさんも参加しているので
ストーンズ者としては見逃せなかったのである。チャーリーがドラムを叩く曲はもう1曲ある。
他にはエルヴィス・コステロやドクター・ジョンが1曲ボーカルをとるし、曲中でミンガスの自伝「FROM BENEATH
THE UNDERDOG(負け犬の下で)」を朗読する役割をロビー・ロバートスン、ヘンリー・ロリンズらが担当し、
レナード・コーエンやレイ・デイヴィスも歌唱ではないものの「声」で参加している。
レイ・デイヴィスがディレクターを務めた映像「WEIRD NIGHTMARE」は、かつて商品化されていたが
DVDにはなっていないように記憶する。私も未所持なので、是非ともDVD化を希望する。
映像中、チャーリー・ワッツがミンガスについて語るシーンがあり、横にいたキースさんが「深いな」と言うと
チャーリーさんはすかさず「お前が浅いんだよ」と返すのだが、キースさんに「お前は浅い」と言えるのは
チャーリーさんくらいのものだろう。(笑)演奏シーンもあるのだが、ここでのキースさんのフレーズは
あれで本当にいいのか?。(笑)
件のトリビュート盤の演奏はジャズそのもの。今になって後付け上等で書けば、ビル・フリーゼルや
ドン・バイロンといったミュージシャンの演奏を聴くことが出来るという意味でも「門外漢が聴くジャズ100選」に
相応しいのではと思うのだ。ロバート・クワインのギターを聴くことができるのもポイント高し。
アルバム・ジャケットは映画「フェリーニのアマルコルド」のワン・シーン。フェリーニはどうも苦手である。
今後の課題は、まずはミンガスのアルバムを聴きこむこと。そしてフェリーニの映画をみること、か。(笑)