ニューヨーク・ドールズが2011年3月17日に行ったライブを収録したCDとDVDがリリースされた。
私が入手したのはCDとDVDがセットになったもので、値段もそれぞれの単体発売の物と大して変わらない。
DVDはリージョン・フリーのNTSC仕様なので、普通に見ることができる。
2011年のアルバム「DANCING BACKWARD IN HIGH HEELS」は傑作であった。
ドールズのオリジナル・メンバーは、御承知の通りデヴィッド・ヨハンセンとシルヴェイン・シルヴェインの
二人だけである。70年代に残された2枚のアルバムと比べるのは酷かもしれないが、少なくとも私は
ドールズの全スタジオ録音盤の中でも1番とは言わないまでも、堂々と2番目に好きなアルバムであると
言うことが出来る。
今回のライブ盤に関しては、幾分ギターの音が抑えられたポップなアルバムであった「DANCING BACKWARD
IN HIGH HEELS」の収録曲をどんなふうにライブで演奏するのか、聴くのが楽しみであった。
収録されたライブは、「DANCING BACKWARD・・・」発売直後のライブということになる。
実際に聴いてみると、二本のギターがラウドに鳴る、何だか昔ながらのロック・バンドの音がして
「ああ、ドールズはこうでなくちゃ。」と思うと同時に、「DANCING・・・」収録曲のポップな側面を担っていた
キーボードの音をしっかり再現していて「ああ、このポップさがたまらない。」と思ったり。
DVDを見ると、キーボードはシルヴェインが担当しているのがわかる。それほど難しいフレーズを弾いている
わけではないが、重要な役割を担っている。ギターをぶらさげたままキーボードを弾いている姿が微笑ましい。
CDを聴くということは音に集中することなので、DVDを見るのとは全く別の楽しみ方をするわけなのだが
今回はDVDをスルーするわけにはいかない。音だけでも十分に格好良いのだが、この映像を含めて
現在のドールズのメンバーには、アール・スリックの名前があることが肝で、今回のDVDではアール・スリックの
雄姿を存分に見ることができるのだ。特別に派手なアクションをキメるわけではないが、ただステージに立って
ギターを弾くだけで絵になる人は、そうそういない。『アール・スリック入りのニューヨーク・ドールズ』の映像が
公式に残されたというだけで、価値があると思う。
これからチェックしようという方は、今回のブツは是非ともCDとDVDのセットの入手をご一考いただきたい。