HARRY’S ROCK AND ROLL VILLAGE

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I LOVE ROCK AND ROLL~カバー・ソング100選への道・その10

2011-05-18 22:24:40 | THIS SONG

ジョーン・ジェット&ザ・ブラック・ハーツの『I LOVE ROCK AND ROLL』がラジオから流れてきた
時のことは今でも覚えている。深夜のAMラジオだったのだが、まんまのタイトルといい、判り易いギター・リフといい
一聴して好きな曲になった。その後何度もFMでも聴き、テレビでプロモ・ビデオも見た。その際、
曲の前後で「ジョーン・ジェットは元ランナウェイズで・・・」という紹介は何度も聞いた。この曲がカバーで
あるという説明もあったかもしれないが、オリジナルはアロウズで、作者がアラン・メリルなんていう
話には一度も出くわさなかったのは何でだろう?。

私は譜面が読めない。小節や音符のこともわからないのだが、この曲が単純なようで歪んだ構造を持つ
ことには、すぐ気付いた。ロック初心者の頃から何故か聴いていたT.レックスっぽい感じもしたし、
とにもかくにも、巷に溢れる所謂洋楽ヒット曲の構造と微妙に違う処に惹かれたのだ。

今思えば、ランナウェイズの中でジョーン・ジェットは比較的地味なポジションだったのではないだろうか。
下着姿でステージをやったなんて言っても、そのイメージはボーカルのシェリー・カーリーのものだし、
ギタリストとしても、派手なリードを担当したリタ・フォードの方が印象が強かっただろう。シェリー以外にも
他のメンバーがそれなりに肌を露出したりセクシーな衣装をつけてライブをしたり写真に収まっても、
ジョーン・ジェットは革の上下とかを着て割と硬派?な感じだったのが、逆に浮いているようにも見える。

プロダクションやマネージメント・サイドの意向が、どれくらいあったかは知らないが、10代の女の子が
大人の入れ知恵で翻弄される中、自分の中で譲れない部分を貫き通したということが、今の時代も
ジョーンが生き残っている最大の要因なのは間違いないだろう。

 で、私がアロウズに到達するのはそれから約10年後くらい(笑)
であった。その前にウォッカ・コリンズを好きになり、そこでアラン・メリルの存在を知り、アランこそが
『I LOVE ROCK AND ROLL』の作者で在ることを知る。オリジナルはアランが在籍したアロウズの曲という
ことも程なく判ったのだが、アロウズのアルバム「FIRST HIT」には収録されていなかった。
アロウズに到達したものの、この曲のアロウズ・バージョンを初めて聴いたのは00年で、「FIRST HIT」が
CD化された際にボーナス・トラックとして収録されたおかげであった。

アロウズというバンドもプロダクションや契約のしがらみに翻弄されたバンドで、シングルのA面はメンバー
以外の第三者が書いた曲をレコーディングさせられ、B面に自身のオリジナルを録音するという
なんともフラストレーションの溜まるレコーディングを余儀なくされていた。『I LOVE ROCK AND ROLL』も
元々はシングルのB面曲だったのだから。

オリジナルのバージョンはテンポが遅く、曲の最後はフェイドアウトする。曲の大筋はオリジナルに
忠実であるものの、テンポ・アップしエンディングもフェイドアウトせずビシっと終わるジョーン達のアレンジは
曲に新たな生命を吹き込んだようなもので、事実、ジョーン・ジェットのバージョンがヒットして以降、
アランがライブで演奏したり再吹き込みしたバージョンは、テンポ・アップした演奏を聞かせる。

アロウズはビル・ワイマンとの関係が深く、後年リリースされたレア・トラック集にはビルがプロデュースした
数曲が収録されていた。ストーンズ者は探して聴く価値あり。

 ウォッカ・コリンズが演奏する『I LOVE ROCK AND ROLL』は
ベスト盤「BOYS IN THE BAND」で、ライブ録音されたバージョンで聴くことができる。
まあ、これが格好良いの何のって(笑)こういうのは、聴いた者勝ちなのだ。

そして、俺は”ジューク・ボックスにコインを入れ”、もう1曲楽しむ。
アランが意図したかどうかは知らぬが、このフレーズをダブル・ミーニングで楽しむ俺。
コインはスムースに入り、ジューク・ボックスはよく鳴るのさ。
もう1曲お願いと言われれば、意のままに。

I LOVE ROCK AND ROLL.

コメント (2)
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