ぴか の観劇(芸術鑑賞)日記

宝塚から始まった観劇人生。ミュージカル、ストレートプレイ、歌舞伎、映画やTVドラマ等も書きます。

09/03/15 気楽に楽しめる「獨道中五十三驛」

2009-03-16 00:25:17 | 観劇

「東海道五十三驛もの」は2007年1月の「通し狂言 梅初春五十三驛」を観ている。菊五郎の化け猫と子役ちゃん達のパラパラが楽しかったが、今月は猿之助十八番の中でも一番の当り狂言だということでさてさてどんな感じかと興味津々。

【猿之助十八番の内 獨道中五十三驛(ひとりたびごじゅうさんつぎ)】
市川右近十五役早替りならびに宙乗り相勤め申し候
あらすじのエッセンスを下記に公式サイトより引用。
「由留木家に伝わる二つの家宝をめぐって、敵味方が追いつ追われつ、東海道五十三次の宿々を舞台に日本各地を駆けめぐります。『東海道中膝栗毛』でおなじみの弥次さん喜多さんの女房おやえ、おきちもコミカルに登場。」

主な配役は以下の通り。
市川右近=お三実は猫の怪/江戸兵衛/丁稚長吉/信濃屋お半/芸者雪野/帯屋長右衛門/弁天小僧/土手の道哲/女房お絹/鳶頭右之吉/雷/船頭澤七/鬼門の喜兵衛/土手のお六/由留木調之助
市川段治郎=丹波与八郎
市川笑也=重の井姫/荵の方
市川笑三郎=弥次郎兵衛女房おやえ
市川春猿=喜多八女房おきち  
市川門之助=由井民部之助/十文字屋おもん
市川弘太郎=石井半次郎
市川寿猿=赤羽屋次郎作/赤星十三郎
市川猿弥=赤堀水右衛門/雲助逸平  

四世鶴屋南北の作品を1981年に猿之助が復活上演。初演時に十八役を替ったところ、市川段治郎が由留木家の忠臣丹波与八郎を右近が十五役を替わる(初演時とは内容が変わっているため)。
「五十三驛もの」というのは物語はなんとなく通っているだけで、いろいろな歌舞伎狂言の書替え趣向てんこもりと役者の魅力を楽しむものだということがよくわかる。中でもお約束的な岡崎の化け猫の場面はやはり菊五郎の時と比べてしまう。猿之助の復活の方が先だから、菊五郎はそれと違った趣向にしたのだということも思い当たる。今回の化け猫に操られる猫たちは吊り人形だった。食い殺されるおくらを追い詰める場面は右近の化け猫も天井裏に上がってバーを使って降りてくる。このへんも役者の肉体的条件による演出の違いを思った。十二単の化け猫姿の右近の宙乗りも三階席で間近に観ることができてラッキー!

笑也の重の井姫に道中双六を見せる自然薯の三吉が丹波与八郎でというあたりで、「恋女房染分手綱」「桜姫東文章」の趣向とわかって嬉しくなる。段治郎と玉三郎の「桜姫~」と重なるからだ。さらに「忠臣蔵」六段目の趣向になって勘平的役割の与八郎が敵方の江戸兵衛の鉄砲で撃たれてその傷が元で足腰たたずの照手姫が引く車に乗る小栗判官状態へ。世話をしてくれる逸平が一文字屋ならぬ十文字屋の女将から五十両を盗んだ騒動から重の井姫が身売り。おかる的に別れの場面になっての六段目の趣向は手が込んでいる!!

海中での海星や海老、蛸とのなどとの立ち廻りは「ヤマトタケル」の熊襲の兄弟の衣裳も連想して楽しかった。
二幕最後の重の井姫が悪者に斬られて身を沈める滝壺の本水の装置も見事。姫の百度の水垢離の効あって与八郎の病全快での立ち回りも見応え十分。まさに水もしたたるいい男!袖や裾の水を絞るのは斧定九郎のパロディだろうし、さらに犬の身震いのように全身の水を飛ばすのはこれは客席へのサービスか(笑)
三幕は主に右近の十二役早替りを楽しめばいい。「お染の七役」「お半長右衛門」「二人椀久」「弁天小僧」「願人坊主」などの趣向がわかっているとただただ早替りに喚声を上げる以上に楽しめるだろう。それにしても右近は顔もすっきりして女方の役々も可愛いこと!!

全編を通す狂言回し役の笑三郎と春猿は女二人の漫才芸人のように面白すぎる。座頭の右近が化け猫まで一時間も登場しないために冒頭に口上の場面を新しく追加したらしいが、そこから二人の現在の言葉を持ち込んだお笑いが炸裂。途中も春猿が麻生(アサオ)大臣のように言葉を言い間違えるネタが大ウケ!「未曾有(ミゾユウ)のピンチ」とか、「定額給付金はさもしいからもらわない」「やっぱりもらう」とかねぇ。このコンビで数年前の歌舞伎鑑賞教室の前半の解説部分が盛り上がったというのも納得だった。

写真は公式サイトより今回公演のチラシ画像。

09/03/15 テレビ朝日のドラマ「落日燃ゆ」に落涙

2009-03-15 23:59:52 | テレビ

一昨日の夜からの嵐、昨日のぐずついた天気から一転、晴れ渡った空の下、新橋演舞場の弥生花形歌舞伎の昼の部に行ってきた。昨日は一日背中が痛くて寝ていた(腎臓結石が暴れたんだと思う)ので気分転換できてよかった。
終演後、銀座シネパトスで映画「Beauty うつくしいもの」もハシゴしようと思えばできたが、夜はスペシャルドラマがあるのでそちらに余力を残そうとプログラムだけ買って帰宅。

大河ドラマの後にテレビ朝日へ。北大路欣也主演の「落日燃ゆ」を観る。
公式サイトよりあらすじをちょっとだけ引用。
「極東国際軍事裁判(東京裁判)で絞首刑を宣告された7人のA級戦犯のうち、ただ一人の文官であった元総理・外相である廣田弘毅。廣田弘毅は戦争回避に努めながら、最終的には彼が対立し続けた軍人たちとともに処刑されるという運命に見舞われる。そして彼は東京裁判において一切の弁解をせず、自らの死をもって太平洋戦争開戦の責任をとったのだった。」

城山三郎が書いた原作の小説も読んでいないが、廣田弘毅は立派な人物だと思っていた。
裁判の前に近衛文麿など主要な人物が自殺してしまっていて、文官の一人は死ななくてはすませられないというような感じでスケープゴートにされてしまった。その運命を粛々と受け入れて死んでいった。
日本を駄目にしたのは「統帥権」だと語る場面。新しい憲法が軍隊を持たないことを明記したことを知って私たちはようやく勝ったと家族への手紙に書いていた場面。しっかりドラマで描いてもらって嬉しかった。
名門の家から妻を娶らず恋愛結婚で静子と結婚。夫婦と子どもたちの家庭は愛にあふれていた。その妻は夫の死刑を確信すると服毒自殺。それを知っても「最愛の妻静子様」と妻宛てで書いた手紙がスガモプリズンから届く。最後の手紙には「もうすぐ会えますね」と・・・・・・。
これが泣かずにおらりょうか(T-T)

廣田弘毅役の北大路欣也が外交官として信念を通して軍部と渡り合う姿が立派だったし、夫として父親としても実に魅力的。妻の静子は高橋惠子。北大路欣也との夫婦の情愛が本当に心にしみる。豪華な配役も揃っていたし、きちんとメッセージも伝わるいいドラマだった。
テレビ朝日を褒めてあげたい。

公式サイトはこちら

09/03/11 映画版「ラ・ボエーム」で「RENT」のよさを見直す

2009-03-13 23:57:00 | 映画(映画館、DVD、TVを含む)

2006年に公開された映画版でミュージカル「RENT」を観てはまり、2回観てDVDも買ってしまった。下敷きになっているオペラ「ラ・ボエーム」も一度観たいと思いつつ機会をうかがっていた。そうしたらMETライブビューイングの「ロメオとジュリエット」で主演していたアンナ・ネトレプコのミミで映画版「ラ・ボエーム」がプッチーニ生誕150周年記念公開で上映されているという情報をGET!
レディスデイに観ようと仕事帰りにテアトルタイムズスクエアにダッシュ!

【ラ・ボエーム(2008)】原題:La Boheme
監督:ロバート・ドーンヘルム 製作国:2008年ドイツ、オーストリア映画
ウィキペディアの「ラ・ボエーム」の項はこちら
あらすじは上記を参照。主な登場人物は以下の通り。< >内は「RENT」で相当する役柄。
ミミ(お針子)=アンナ・ネトレプコ(ソプラノ)<「RENT」でもミミ>
ロドルフォ(詩人)=ローランド・ビリャソン(テノール)<ロジャー>
マルチェッロ(画家)=ジョージ・フォン・ベルゲン(バリトン)<マーク>
コルリーネ(哲学者)=ヴィタリ・コワリョフ(バス)<コリンズ>
ムゼッタ(マルチェッロの元恋人)=ニコル・キャンベル(ソプラノ)<モーリーン> 
ショナール(音楽家)=アンドレ・エレード(バリトン)

原題のLa Bohemeのhを発音しないからラ・ボエームであり、パンフレットに「15世紀、フランスの人々はボヘミアがいわゆるジプシーたちの故郷なのだと考えた。そこから『ボヘミアン』が彼らのように定住しない者、社会の枠の外で暮らす者という意味をもつ言葉となった」という文章になんだかとっても納得した。
19世紀中頃の小説を元にプッチーニがオペラにしていて、当時の現代物として斬新な内容ではあったのだろうが、現代の私にはかなり違和感があった。

それは当時のボヘミアンの暮らしということでも肺結核が死病という設定でもなく、ミミを愛したロドルフォがどうしようもない男すぎて感情移入できなかったというところだ。ロドルフォは嫉妬深い上に貧しくて愛する女の病気を治してやれないのが辛すぎると別れたいという。この自己中心的な男を見ているとイライラする。そんな男を許す女ミミをドーンヘルム監督はオペラにない場面を加えることで現代に通用する女に造形している。
階上の住人たちが楽しげに暮らしているのに心を寄せていたであろうミミがクリスマスイブにロドルフォが一人になったのをみすましてローソクの火を借りにいく。もらった火をわざと消すのは「RENT」同様。路上で一緒に出かけようと呼ぶ仲間を先に行かせた後、ミミは階下の自分の部屋にロドルフォを誘い込んで一気に恋人関係になるのだ。カフェの場面の二人のベタベタぶりは当然だ。

しかし、このことが自分から強く働きかけて恋人になってもらったという意識をミミは持つことになるわけで、相手が別れたいといえば強く出られずに我慢して別れを受け入れたということになり、説得力が増していると思う。
その後のミミはその美貌で子爵の囲われ者になっているが、死期を悟って愛するロドルフォの側で死にたいと家出をして行き倒れ、そこをムゼッタに見つけられて懐かしい屋根裏部屋に運び込まれるのだ。この無謀な行動に走るミミの心意気には強く共感できるのだが、問題は男である!

二人きりになったところで気持ちが通い合ったのはよかった。ミミの最後に仲間たちは自分たちができることをしようと一生懸命かけずり回ってくれている。しかしロドルフォは医者がきて治療をしてくれればきっと治ると根拠のない希望にすがっておろおろするばかり。仲間に指摘されてミミが息を引き取っていたのに気がつくというマヌケぶりを露呈。そこで悲しく「ミミ~」と叫んでも現代の私たちの心は打たない。馬鹿野郎!なんで腕の中で死なせてやらないんだぁ!!
死病で愛する女が死んでいくという物語は歌舞伎で観た「刺青奇偶」も同様だ(シネマ歌舞伎第8作に!)。半太郎はしっかりお仲を抱きしめて死なせてやるじゃないか。
    
この映画を観て「RENT」のよさがよくわかった。ジョナサン・ラーソンは「ラ・ボエーム」をよくここまで書き替えたと思った。
屋根裏部屋で金はなくても自分の才能を信じて努力している若い仲間たち。紙を燃やす場面やら大家を撃退する場面やらローソクの場面、カフェでの狂乱のクリスマスイブなど、本当に名場面をよく生かしている。
そういえばMETでの上演頻度の最も高いのが「ラ・ボエーム」だということだし、ニューヨーカーはこの物語をよく知っているのだろう。だからそれを現代的にアレンジしたミュージカルはヒットしたのだろう。
ライブビューイングと違って舞台を撮影するのではなく映画にしたのもそれはそれで面白かったと思う。モノクロの画面からカラーの画面への行ったり来たりするのは「オペラ座の怪人」でも「スウィーニー・トッド」でも観たが、物語の時代性を感覚的に表現するにはいい手法なのだろう。
オペラの歌い手は現代のドリーム・カップルらしい。アンナ・ネトレプコのソプラノは好きだし、ジュリエットの時よりもダイエットしたようで死病という役なんだから当然のグッジョブである。

ローランド・ビリャソンのテノールもいいのだがビジュアルがいかにもメキシコ出身という感じでフランス人には見えないのが難点。それとやはりこの役柄は現代人に共感してもらいにくいというのが大損だ。

レディスデイなのにこんなに客席がガラガラって寂しいなぁ状態だった。「ラ・ボエーム」は無理してまた観たいような物語ではなかった。しかし、1965年製作のカラヤン×ゼッフィレッリの映画版くらいなら一度観てみたいとも思う。
写真はこの映画のサントラ盤の画像。

09/02/11 舞台のよさが生きてとにかく楽しい映画「マンマ・ミーア!」

2009-03-12 23:40:18 | 映画(映画館、DVD、TVを含む)

映画の感想アップが続いているので、2/11のレディスデイに観た「マンマ・ミーア!」も書いておこう。観てきた直後の簡単な記事はこちら
映画を観て帰宅後すぐに劇団四季の「マンマ・ミーア!」のプログラムを引っ張り出していろいろ見比べた。四季劇場「海」の2004年7/11のチケットが挟まっていた。
ウィキペディアの「マンマ・ミーア!」の項はこちら
今回の映画版も舞台版を生み出した女性3人組であるジュディ・クレーマー(プロデューサー)、キャサリン・ジョンソン(脚本家)、フィリダ・ロイド(演出家)を中心スタッフとしてつくられている。あの楽しかった世界がギリシャの風景の中で展開されるのをまたまた楽しむことができた。

主な配役は以下の通り。( )内は四季の「本日の出演者」より。
ドナ・シェリダン=メリル・ストリープ(保坂知寿)
ソフィ・シェリダン=アマンダ・セイフライド(吉沢梨絵)
ターニャ=クリスティーン・バランスキー(前田美波里)
ロージー=ジュリー・ウォルターズ(青山弥生)
サム・カーマイケル=ピアース・ブロスナン(渡辺正)
ハリー・ブライト=コリン・ファース(明戸信吾)
ビル・オースティン=ステラン・スカルスガルド(松浦勇治)
スカイ=ドミニク・クーパー(鈴木涼太)

以下、Yahoo!映画の記事のあらすじを引用。
「エーゲ海に浮かぶギリシャの小島で、シングルマザーの母ドナに育てられたソフィ。彼女のひそかな願いは、まだ見ぬ父親とバージンロードを歩くこと。結婚式を控え、父親探しをすることに決めたソフィは、内緒でドナの日記を読み、父親の可能性のある昔の恋人3人に招待状を出す」・・・・・・。

自分の父親が誰かわからない悩みを思春期に持ったソフィ。偶然見つけた日記で母親の恋愛に一波乱があった上でできたのが自分だとわかったことを友人二人に打ち明けるソフィの明るい場面「ハニー、ハニー」から一気に盛り上がる。
若い娘世代の親友3人組の登場に続いて母親の世代の親友3人組、母親の恋人3人揃っての登場。特にドナたち3人のバランスが私の観た四季のキャストのバランスに似ているので嬉しくなってしまった。
ABBAのポップな曲をうまく使ってこんなに面白い話のミュージカルがつくられたことを生みの親の女性3人組に感謝したいくらいだ。

上記のあらすじの書き出しとは違ってこの作品の主人公はやはりシングルマザーのドナだ。ドナとフィアンセのいたサムの恋がひょんな誤解から実を結ばなかったことを忘れようと続けざまにしたハリーとビルとの短い恋。これもありねって思えればこの作品は心底楽しめる。
ドナとサムにお互いを想う気持ちが残っていることを確認する「SOS」が一番せつなかった。

愛し合う人がいる暮らしができることは素晴らしい。それが正式な結婚の形をとろうととるまいとあまり関係はないと思っている。ターニャが結婚と離婚を繰り返し、若い男と束の間の恋を楽しむのも彼女なりの人生として充実していると思うし、ソフィとスカイが正式な結婚を先送りして恋人どうしのままで広い世界の見聞に二人してでかけるなんて日本ではなかなかない結末に感動する。ヨーロッパでは正式な結婚の形をとらないカップルが多いが、それは事実婚で生まれた子どもへの差別もなく正式に結婚しなくても不利益が少ない社会になっているからだ。

若い二人の結婚式をドナとサムの結婚式に切替えて島をあげての祝いの興奮が竜巻のようにスクリーンから客席へと伝わってくる。その中で独身を通してきたロージーもビルにモーションをかけてのをGETするだろう予感も花を添える。ハリーはドナを最後にゲイとしての伴侶を見つけているから問題ない。
中年の男女3人ずつ、「愛」の現役状態になったというのが実に愉快だ。この中高年を元気にし、若い世代にも年齢を重ねても人生は侘しくならないぞという明るい展望を指し示す、元気な女性が世に送り出した作品を堪能。

ミュージカル映画だが、歌の水準はあまり気にしないでいい。主演のメリル・ストリープが60歳近いなんて信じられないくらい、若々しく歌も踊りも頑張っていて好感度アップ。
結婚式前日に女性は女性どうし、男性は男性どうしのパーティがあって、ドナ&ザ・ダイナモスの頃の衣裳を身につけたオバサン3人組が昔とった杵柄パフォーマンスをするシーンも舞台の時から大好きだった。どうして昔の衣裳が着られるのよというあたりはツッコまないでおく(笑)物語が終って舞台のカテコにあたる部分も映画できっちり主要キャストがド派手衣裳で「恋のウォータールー」を歌って踊って盛り上がる。ジェームス・ボンド役者のピアース・ブロスナンまで胸が大きく開いたパンタロンスーツにハイヒールブーツだから、これは一見の価値あり!

この作品は幅広い世代に楽しんでもらえるようで、近くのシネコンでもけっこう上映がロングランで続いている(ちなみにMOVIXさいたまでは3/19までとのこと)。まだ観ていない皆さんにはおすすめしておきたい。

写真はこの映画のサントラCDの画像。主要キャストが楽しそうに写っている。

09/03/10 二十四万アクセスの御礼

2009-03-10 23:58:35 | つれづれなるままに

日中に24万アクセスを超したようです。皆様のご訪問に深く感謝申し上げます。マイペースでの観劇記事アップではありますが、これからもどうぞよろしくお願い申し上げますm(_ _)m

このところ職場でテンションの上がる課題にとりくんでいて、月火と連日で胃が痛くなってしまった。胃痙攣じゃないかなと思っている。胃腸の痛み止めを持ち歩いていない時はひたすら白湯を飲んで中から温めるとラクになってくる。
だからといって、自分でこだわっている課題だと苦にはならない。まぁこのくらいのことで胃が痛くなるようになっちゃ、身体が弱ってるなぁと少々情けなくはある。
平常心を取り戻そう。

(追記)
3/10の歌舞伎会の4月歌舞伎座ゴールド会員先行予約をすっかり忘れるほどだった。玲小姐さんとご一緒する約束だったのに「どうだった~?」のお電話をもらうまでカケラすらなくなっていたという失念ぶり(^^ゞ特別会員先行予約になっていたがまだまだ余裕でとれたのがラッキーだった。4月の昼の部「伽羅先代萩」の通し上演もそれほどではないのがちょっと意外?!

09/03/06 「少年メリケンサック」は中年男たちの再生のドラマ?!

2009-03-07 00:55:00 | 映画(映画館、DVD、TVを含む)

宮藤官九郎の初監督作品「真夜中の弥次さん喜多さん」が面白かったので、今回の作品も観てやろうと意気込んでいたが3/1の映画の日は満席であきらめた。来週から一日一回上映になってしまうので金曜日のレイトショーでリベンジ決行!。職場からMOVIXさいたまへ直行して自転車を飛ばす飛ばす~(真っ暗な夜道なのに~)(^^ゞ

Yahoo!映画からの引用でひとことで内容を紹介すると「ひょんなことから、凶暴なオヤジ4人組のパンクバンドを引き連れて全国ツアーに出ることになったお気楽OLの奮闘を描く」となる。

宮崎あおい演じるかんなは、メイプルレコードの新人発掘部門で2年間の契約社員として働いたが成果が上がらず契約更新ならず。実家の回転寿司屋を手伝おうとしていた退社直前にネットの動画サイトで「少年メリケンサック」を見つけて飛びついてしまったという設定。実に現代社会の世相をキャッチアップしている。
動画にアップされていたのは25年前の映像で、実際に会ってみた4人はかつての輝きのかけらもない50歳前後のくたびれ果てたオヤジそのもの。この前半は私には苦痛だった。宮藤官九郎が属する大人計画の舞台は松尾スズキ脚本の「キレイ」しか観ていないが、そちらでも辟易した汚物をこれでもかと見せつける。まぁ確かに人間のそういう局面があるのは否定しないがちょっとしつこいのが苦手だ。

それとパンクロックもあまり好きではない。中学でカーペンターズ、高校でクイーンと綺麗めのポップからロック、だんだんハード化してレッド・ツェッペリン、ディープ・パープル、KISSくらいまでいった。だから贔屓の松山ケンイチ主演の「デトロイト・メタル・シティ」も観て楽しんできた。「少年メリケンサック」のメンバーたちが再結成したグループとして話をしていたそのピストルズが私には駄目だった。
ヘビメタとパンクの違いはやはりパンクがイギリスの階級社会の下層の若者たちから始まったというあたりだろうと思う。革製衣裳に鋲とかのメタルの衣裳はとんがっていてカッコイイと思うのだが、パンクの引き裂いたTシャツとかのどうにもだらしなくきったないコスチュームはダメ。今の若い男の子の腰パン履きを見るとだらしないとしか思えずにわざと裾をふんでやりたくなるくらい嫌いな私(それで見えちゃったらあ~らゴメンナサイくらいに言ってやりたい衝動をこらえている)。それになんでもガンつけて喧嘩や暴力に明け暮れるというあたりも生理的にダメ。前半は時々笑いながらも忍耐が必要。

しかしながら実家の回転寿司屋の宣伝画の入った小型ワゴン車に5人乗り込んでの全国ツアーから人間ドラマがようやく面白くなってくる。
ベースのアキオ(佐藤浩市)とギターのハルオ(木村祐一)の兄弟の確執とかそこを乗り越えるあたりとかがなかなかのもんである。
ドラムのヤング(三宅弘城)はグループ魂でもドラマーだけに本格的。グループの最年少メンバーで先輩3人の心を動かす台詞をきめてくれる。カッコよくないのに素直な情にあふれる感じがいい。「宝塚BOYS」でも泣かされたなぁ。

かんなの彼のマサルくんの勝地涼のふわふわとしたダメ男っぷりもまたいい。最初は馬鹿っぷるの二人だが、かんなが全国ツアーの苦労の中で成長して置いてきぼりをくって浮気しちゃうのね。最後にはお仕置きを兼ねた活躍もさせられるのが可愛い涼くんだった(^^ゞ
社長のユースケ・サンタマリアが元はパンクバンドだったという過去も楽しい。過去のスチール写真は笑える。バンド仲間だったTELYAだけは今でもトップスターというのだがあまりにもメイクが素晴らしくて最初は阿部サダヲかと思っていた。それにしては背が高いと思っていたら田辺誠一だったのでビックリ!!「ハッピーフライト」以上にはじけてますなぁ。
もう一人はじけていたのは中村敦夫。報道22のキャスター役でTELYAと並んで「少年メリケンサック」を紹介していた。缶コーヒーBOSSのCMで北大路欣也とともに登場していたが、劇団☆新感線に客演したりソフトバンクの白犬のお父さんの声をやったりの欣也さんと並んでいてもおかしくなかったのかとようやくガッテンした。

前半の忍耐、苦手なパンクロックを少々我慢したら、中年男たちの再生のドラマ、若いお気楽な女の子の成長のドラマをしっかり観ることができた。ま、これは好き好きだろうから観たい人だけ観ればいい感じだ。ロングランにならないのもさもありなんだ。

「篤姫」で好感をもっていた宮崎あおいだが、この作品でもふり幅の広さに唸った。若いのにさすがだ。ブリブリデレデレの場面も、私はそういう女の子が嫌いなので見ていられないくらいうまい(笑)オジサンたちに怒ったり、ダメな彼氏に怒っている顔が好きだなぁ。
その他の出演者は以下の通り。
田口トモロヲ、ピエール瀧、哀川翔、烏丸せつこ、峯田和伸、佐賀智仁、波岡一喜、石田法嗣、犬塚弘、遠藤ミチロウ、日影晃、仲野茂、ほか。
「少年メリケンサック」の公式サイトはこちら
そもそも「メリケンサック」ってなんだろうと調べたら、武器のナックルダスターの一種のようだ。なぁるほど!ウィキペディアのナックルダスターの項はこちら
写真はこの作品の宣伝DVDの画像。

09/03/04 今月の観劇などの予定、ほか(追記あり)

2009-03-04 23:58:21 | 観劇

3月に関東でも大雪のおそれという気象情報に、雪が積もっていたら自転車に乗れないから歩いて駅まで行かなくちゃとちょっと早起きした今朝だが、全然白い景色じゃなかった。やっぱり今年は記録的な暖冬だというし、積雪なしで冬が終りそう。日本が温帯から亜熱帯に変更になるのも近いかもしれない。

さて、今月の観劇などの予定は以下の通り。
1(日)MOVIXさいたま:「チェンジリング」→珍しく速攻でアップ済み(^O^)/
7(土)の夜、越谷!:娘の保育園時代の母たちの飲み会!!
また山本リンダやジュリーの歌のリクエストに応えねばなるまいて(笑)喘息で声がつぶれていませんように(祈)
15(日)新橋演舞場昼の部:「獨道中五十三驛(ひとりたびごじゅうさんつぎ)」
20(金)歌舞伎座昼の部
26(木)歌舞伎座千穐楽・夜の部
皆様、どうぞよろしくお願い申し上げますm(_ _)m

今月は観劇予定がとにかく少ない。
3月だけあって送別会などもあるし、なぜか娘の保育園時代の母たちの飲み会が忘年会や新年会のシーズンからずれて3月にあるし(笑)
それに4月の父の一周忌前の春休みシーズンに姉妹が参集して母親と一緒にお墓参りに行く日程調整もすすめている。どう転んでもいいように週末に多少の余裕をもたせているというわけ。

姪っ子二人は子どもの頃にバレエを習っていたのにミュージカルとかを全く見せていない妹1。一緒に宝塚の「ベルばら」で観劇デビューしたのに妹1だけは観劇にあまり価値を認めない。「観劇とかって受身の趣味でしょ」って一笑されている。
自分はいまはママさんバレーとママさんソフトの掛け持ちを10年以上続けているという主体的に身体を動かす方の趣味の人!娘2人を体育会系の部活に入れてそちらの推薦で高校大学と進学させたくらいだが、結局2人とも大学では普通に文系を専攻。特に姪っ子2はバレエ体型だっただけにもったいなかった。宝塚受験でもさせればよかったのに~と私はずっと言っていた。一度も見せてないくらいだから全く縁がなかったかな。

姪っ子2は日本文学専攻でもあり、一度歌舞伎に連れて行ってあげたいけれどなかなか機会がないなぁ。おばちゃんはショッピングにつきあうのはもうパスだけれど、観劇だったら喜んで連れて行ってあげるのにな。

今月は観ても感想をアップできていない舞台の感想をポツポツと思い出しながら書いていこうと思っている。

3/5追記!
長野県の村歌舞伎に生涯を捧げた半次と雪夫との八十年にわたる絆の物語の映画「Beauty うつくしいもの」(片岡孝太郎・愛之助が主演)が東京でも3/14から上映が始まる。是非どこかで都合をつけて観たいと思っている。銀座シネパトスあたりで観る予定。


09/03/01 「チェンジリング」でもアンジョリーナは闘っていた

2009-03-03 23:34:09 | 映画(映画館、DVD、TVを含む)

3/1は映画の日だが日曜日。玲小姐さんと昼からの「少年メリケンサック」を観ようと1時間半前に待ち合わせしたら甘かった。電光掲示板には×印。せっかくなので何か観ようと時間の近いものでなんとかなるものをということで「チェンジリング」にした。
クリント・イーストウッド監督の映画も実は初めて。「ミリオンダラー・ベイビー」はやはりボクシングを見たくないのでパスだし戦争二部作も戦争ものは敬遠だった。

「マンマ・ミーア」を観た時に予告編を見てサスペンス物という印象を持っていた。どっちでもいいかぁという感じ。日経新聞の映画評では5つ星だったという友人からの情報だけが背中を押した。

ストーリーの導入部をMOVIXのサイトより引用。
1928年、シングルマザーのクリスティン・コリンズ(アンジェリーナ・ジョリー)は、ロサンゼルス郊外で9歳の息子ウォルター(ガトリン・グリフィス)と暮らしていた。ある土曜日、彼女は同僚に泣きつかれて断り切れずに休日を返上して仕事へと向かう。暗くなって彼女が帰宅すると、家で一人で留守番をしているはずの息子の姿はどこにもなかった。・・・・・・
その他の主な出演者は以下の通り。
ジョン・マルコヴィッチ、ジェフリー・ドノヴァン、コルム・フィオーレ、エイミー・ライアン、マイケル・ケリー、マイケル・ケリー、ジェイソン・バトラー・ハーナー

タイトルのすぐ後に「トゥルー・ストーリー」という字幕が出て初めて認識した。これは期待できるかも?

息子を探してと頼んだロサンゼルス市警は24時間は捜査しないことになっているという。当時の警察の腐敗しきった姿が次々と描かれていく。批判の高まりの中で警察の威信を取り戻すべくクリスティンの息子が見つかると再会の場面をマスコミに大大的に宣伝させるが、息子ではなかった。
5ヶ月会わないだけで息子がわからなくなるはずがない。警察は彼女がシングルマザーであることで強圧的に黙らせようとあらゆる手段をとってくる。彼女は警察の連れてきた子がウォルターではないと担任教師や歯科医の証言も得たりしながら必死に探し始めるが、警察は彼女を精神病院に押し込めるという今では考えられないこともした。
そこで出会った娼婦(エイミー・ライアン)が彼女を励まし、警察に不都合なことを黙らせるための強制入院があることを教える。警察の腐敗を糾弾する長老派教会の牧師(ジョン・マルコヴィッチ)を先頭に支援者たちが彼女を救い出す。
一方でカナダからの不法滞在の子どもが逮捕されたことで子どもの大量殺人事件が発覚。担当刑事が上司に逆らって自分の良心にもとづいた仕事をしたことでクリスティンの息子も巻き込まれている可能性も見えてきた。

この二つの事件を暴いていく展開にぐいぐいと引き込まれた。ただのサスペンス劇ではなかった!
クリスティンは電信電話会社で中間管理職として働きながらひとりで子どもを育てているだけで1920年代としては稀有な女性なのに、息子への愛情と責任を貫くという母親としての全うさで警察に屈しなかった。アンジェリーナ・ジョリーは女戦闘士というイメージが強かったが、このストーリーの中でも毅然と闘っていた。なんとカッコいいことよ。

ジョン・マルコヴィッチは「クリムト」以来だが、権力と闘う牧師としての存在感が妙にあって好感度アップ!
ジェイソン・バトラー・ハーナーの殺人を繰り返してしまった犯人像にはまるで現代でもいるような病んだ精神を感じてしまう。アメリカでは死刑にも遺族などが立ち会えるということをショーン・ペンが死刑囚を演じた映画でも見たことがあるが、今回もいろいろ考えさせられる。

警察の人権侵害を告発する裁判でも勝って大きく社会を変える事にもつながったが、クリスティンは息子が生きていることを信じて生きていくというエンディング!!

これは本当に観てよかった映画だった。プログラムをしっかり読むと廃棄期限のきていた公判記録をチェックしていた情報提供者が脚本家に連絡をくれて掘り出された実話だという。歴史の闇に埋もれてしまわなくて本当によかった。
ただ劇的な話というだけでなく、クリスティンの不屈の生き方、犯人を憎んでしまう心の闇との闘いも含めて人の心の清濁含めた多面性をもドラマにしてしまっているところが素晴らしかった。

クリント・イーストウッドが出ていた映画はほとんど観ていないが、監督として本当にいい仕事をしていると思った。次回作が予告編で出ていたが、その作品にはご本人もアジア人の少年たちと関わる老人の役で出演している。そちらも観たいなぁと思ってしまっている。

09/02/25 歌舞伎座夜の部③初見の「蘭平物狂」

2009-03-02 23:52:05 | 観劇

「蘭平物狂」は初見。こういう時は『歌舞伎座掌本』にある解説が有難い。一階右側の売店の前のチラシ等を置く棚の上にある。千穐楽から一週間くらい前に舞台写真入りになる筋書を買うようにしているのでそれまではこの掌本でしのぐのだ。2月の水落潔の解説コーナー「狂言手習鑑」は「倭仮名在原系図」を事前に読んで観るとイヤホンガイドなしでも作品の概要をわかって観ることができた。歌舞伎座建替えの間は演舞場公演でもいただけるのだろうか。

【倭仮名在原系図(やまとがなありわらけいず) 蘭平物狂(らんぺいものぐるい)】
Yahoo!百科事典にあったあらすじをご紹介
今回の主な配役は以下の通り。
奴蘭平実は伴義雄=三津五郎 一子繁蔵=宜生
在原行平=翫雀 水無瀬御前=秀調
与茂作実は大江音人=橋之助
女房おりく実は妻明石=福助

在原行平と松風・村雨姉妹の恋物語というあたりは2007年9月の歌舞伎座公演で玉三郎・福助の舞踊「村松風二人汐汲」の世界だと思い当たる。伴義雄は応天門の変の伴善男で、時の権力者藤原氏に失脚させられた伴氏の家の再興という話になっているのが判官贔屓意識の強い観客をきちんと踏まえての作劇だろう。

須磨で別れた松風を恋焦がれて引き籠もっているという翫雀の在原行平はダイエットが進行しつつあるのか病鉢巻姿に無理がない。その北の方である水無瀬御前が奴の蘭平に松風を連れてこさせるというのだが、夫が元気になるように愛人に会わせるというのもすごい話ではあるがまぁ歌舞伎ということでつっこまないでおこう(^^ゞ
蘭平が松風と瓜二つのおりくとその夫の与茂作を兄として連れてきて行平に目通りさせて機嫌をとるうち、館に捕らえてあった曲者が逃げ出したという騒ぎがおきる。行平は蘭平ではなくその子繁蔵に追っ手を命ずる。蘭平と繁蔵の父子の繻子奴姿が派手で面白い。ちゃんと着物の胸や袖、背中に「蘭」、「繁」の字が入っているし、繁蔵は小さいのにちゃんと繻子奴姿なのだから子役にはまさに大役。橋之助の次男の宜生が張り切っていた。
蘭平を追っ手に出さないのは蘭平が刀の刃を見ると狂気に陥るためだといい、そこで「蘭平物狂」の場面となるわけだ。
松風と村雨に行平が預けた形見の烏帽子と狩衣を身にまとって踊り始めると「村松風二人汐汲」の舞台を思い出した。しかしながら踊りの最中に睡魔に襲われる。繁蔵が曲者の首を打って戻ってきて武士に取り立てられるたかと思うと、与茂作が行平を親の仇と言って詰め寄り、蘭平との勝負になるが・・・・・・蘭平が本性を現して・・・・・・と物語は展開していくのだがとにかくストーリーとしての面白みがない上に冗長この上ない。繁蔵の宜生の花道の引っ込みを父の橋之助と伯父の福助がずっと見ている表情に家の芸の伝承を感じたのが一番印象に残った前半だった。

網代塀を描いた幕が引かれて長い長い場面転換はただただうつらうつら寝るしかない。

さて、後半の血みどろになったザンバラ髪での蘭平が四天とともに登場するとパッと目が覚める。大立廻りの連続。大勢の四天が青竹の梯子で蘭平を絡めとろうとするが、この人とハシゴの数の多さで舞台がいっぱいになっているので整然とした立ち回りになっているのが見事!捕り手の三つ道具の刺股(さすまた)突棒(つくぼう)袖搦(そでがらみ)が揃って登場。三津五郎と数人の四天での長い突棒を使った立ち回りが何かで見た京劇のように本格的なので驚いた。

刺股は大梯子を支えるのにも使われ、花道で立てられて頂上に四天が逆さになって開脚して重石になったところに三津五郎の蘭平も登ってそのまま横に倒していくという立ち回りはまさに「蘭平物狂」の有名場面か!上の方しか見えなくてもなかなか興奮するものだ(^^ゞ
舞台中央の大きな石燈籠も釣瓶井戸の屋根から飛び降りるのに使われるし、屋根から四天がトンボを切るし、釣瓶まで立ち回りに活用されるし、とにかく立ち回りの見せ場の連続こそが「蘭平物狂」の真骨頂らしい。そこは堪能。

最後にまたまた話が転がって伴の家の再興が許されての大団円での幕切れ。「最後よければ全てよし」という演目なのか。まぁいいけれど1時間半もかかる演目で前半がこれだけタルイというのはなんとかならないものか?上演頻度が低いのもむべなるかなと思った。
戦後に二代目松緑が復活上演以降に菊五郎劇団ならではの演目になったらしいが、新しい歌舞伎座での上演の際はもう少し前半を簡潔にして欲しい。

写真は千穐楽の垂れ幕のかかる歌舞伎座正面。
2/15昼の部①「京鹿子娘二人道成寺」
2/25千穐楽夜の部①面白かった「三人吉三」
2/25千穐楽夜の部②いぶし銀のどっしりとした「勧進帳」