ぴか の観劇(芸術鑑賞)日記

宝塚から始まった観劇人生。ミュージカル、ストレートプレイ、歌舞伎、映画やTVドラマ等も書きます。

09/03/06 「少年メリケンサック」は中年男たちの再生のドラマ?!

2009-03-07 00:55:00 | 映画(映画館、DVD、TVを含む)

宮藤官九郎の初監督作品「真夜中の弥次さん喜多さん」が面白かったので、今回の作品も観てやろうと意気込んでいたが3/1の映画の日は満席であきらめた。来週から一日一回上映になってしまうので金曜日のレイトショーでリベンジ決行!。職場からMOVIXさいたまへ直行して自転車を飛ばす飛ばす~(真っ暗な夜道なのに~)(^^ゞ

Yahoo!映画からの引用でひとことで内容を紹介すると「ひょんなことから、凶暴なオヤジ4人組のパンクバンドを引き連れて全国ツアーに出ることになったお気楽OLの奮闘を描く」となる。

宮崎あおい演じるかんなは、メイプルレコードの新人発掘部門で2年間の契約社員として働いたが成果が上がらず契約更新ならず。実家の回転寿司屋を手伝おうとしていた退社直前にネットの動画サイトで「少年メリケンサック」を見つけて飛びついてしまったという設定。実に現代社会の世相をキャッチアップしている。
動画にアップされていたのは25年前の映像で、実際に会ってみた4人はかつての輝きのかけらもない50歳前後のくたびれ果てたオヤジそのもの。この前半は私には苦痛だった。宮藤官九郎が属する大人計画の舞台は松尾スズキ脚本の「キレイ」しか観ていないが、そちらでも辟易した汚物をこれでもかと見せつける。まぁ確かに人間のそういう局面があるのは否定しないがちょっとしつこいのが苦手だ。

それとパンクロックもあまり好きではない。中学でカーペンターズ、高校でクイーンと綺麗めのポップからロック、だんだんハード化してレッド・ツェッペリン、ディープ・パープル、KISSくらいまでいった。だから贔屓の松山ケンイチ主演の「デトロイト・メタル・シティ」も観て楽しんできた。「少年メリケンサック」のメンバーたちが再結成したグループとして話をしていたそのピストルズが私には駄目だった。
ヘビメタとパンクの違いはやはりパンクがイギリスの階級社会の下層の若者たちから始まったというあたりだろうと思う。革製衣裳に鋲とかのメタルの衣裳はとんがっていてカッコイイと思うのだが、パンクの引き裂いたTシャツとかのどうにもだらしなくきったないコスチュームはダメ。今の若い男の子の腰パン履きを見るとだらしないとしか思えずにわざと裾をふんでやりたくなるくらい嫌いな私(それで見えちゃったらあ~らゴメンナサイくらいに言ってやりたい衝動をこらえている)。それになんでもガンつけて喧嘩や暴力に明け暮れるというあたりも生理的にダメ。前半は時々笑いながらも忍耐が必要。

しかしながら実家の回転寿司屋の宣伝画の入った小型ワゴン車に5人乗り込んでの全国ツアーから人間ドラマがようやく面白くなってくる。
ベースのアキオ(佐藤浩市)とギターのハルオ(木村祐一)の兄弟の確執とかそこを乗り越えるあたりとかがなかなかのもんである。
ドラムのヤング(三宅弘城)はグループ魂でもドラマーだけに本格的。グループの最年少メンバーで先輩3人の心を動かす台詞をきめてくれる。カッコよくないのに素直な情にあふれる感じがいい。「宝塚BOYS」でも泣かされたなぁ。

かんなの彼のマサルくんの勝地涼のふわふわとしたダメ男っぷりもまたいい。最初は馬鹿っぷるの二人だが、かんなが全国ツアーの苦労の中で成長して置いてきぼりをくって浮気しちゃうのね。最後にはお仕置きを兼ねた活躍もさせられるのが可愛い涼くんだった(^^ゞ
社長のユースケ・サンタマリアが元はパンクバンドだったという過去も楽しい。過去のスチール写真は笑える。バンド仲間だったTELYAだけは今でもトップスターというのだがあまりにもメイクが素晴らしくて最初は阿部サダヲかと思っていた。それにしては背が高いと思っていたら田辺誠一だったのでビックリ!!「ハッピーフライト」以上にはじけてますなぁ。
もう一人はじけていたのは中村敦夫。報道22のキャスター役でTELYAと並んで「少年メリケンサック」を紹介していた。缶コーヒーBOSSのCMで北大路欣也とともに登場していたが、劇団☆新感線に客演したりソフトバンクの白犬のお父さんの声をやったりの欣也さんと並んでいてもおかしくなかったのかとようやくガッテンした。

前半の忍耐、苦手なパンクロックを少々我慢したら、中年男たちの再生のドラマ、若いお気楽な女の子の成長のドラマをしっかり観ることができた。ま、これは好き好きだろうから観たい人だけ観ればいい感じだ。ロングランにならないのもさもありなんだ。

「篤姫」で好感をもっていた宮崎あおいだが、この作品でもふり幅の広さに唸った。若いのにさすがだ。ブリブリデレデレの場面も、私はそういう女の子が嫌いなので見ていられないくらいうまい(笑)オジサンたちに怒ったり、ダメな彼氏に怒っている顔が好きだなぁ。
その他の出演者は以下の通り。
田口トモロヲ、ピエール瀧、哀川翔、烏丸せつこ、峯田和伸、佐賀智仁、波岡一喜、石田法嗣、犬塚弘、遠藤ミチロウ、日影晃、仲野茂、ほか。
「少年メリケンサック」の公式サイトはこちら
そもそも「メリケンサック」ってなんだろうと調べたら、武器のナックルダスターの一種のようだ。なぁるほど!ウィキペディアのナックルダスターの項はこちら
写真はこの作品の宣伝DVDの画像。


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5 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ふむふむ... (mayumi)
2009-03-08 19:28:13
そっかそっか。
私は、そもそも大人計画も好きで 『キレイ』は名作!
と思ってるんだけど、クドカン演出の
『ウーマンリブ』シリーズは あまり興味が持てなくて
『真夜中の弥次さん喜多さん』も もう少し何とか
なったのになぁ...と ちょっと残念に思ったのだけど、
やっぱり人それぞれ 感じ方って違うものなんですねぇ。

あ...私も パンクとかは 全然ダメっていうか そもそも
脳みその中にそういうカテゴリーが無い方なんですけど...も。
返信する
よく分かりました!! (かずりん)
2009-03-10 09:13:14
ほお~~~~~!!ヘビメタとパンクの違いは
そこなんですか!
それにしても、この映画見て『宝塚BOYS』思い出すぴかちゅうさま・・・・(笑)
凄いです!その感性!!
これ観ても、『宝塚BOYS』を思い出すことは
ありませんでした・・・私(笑)
そうそう!!勝地君がいい味だしてましたよね~!
舞台でも素敵ですが、映画でもかなりいける!
テレビドラマでもNHKの『キャットストリート』
かなり良かったですよ!
返信する
皆様、コメント有難うm(_ _)m (ぴかちゅう)
2009-03-11 00:06:54
★mayumiさま
前半の気持ち悪さと苦手なパンクロックを少々我慢したら、中年男たちの再生のドラマ、若いお気楽な女の子の成長のドラマをしっかり観ることができました。これは大丈夫な人とそうじゃない人がいるだろうと思います。
宮崎あおいは本当に表情が豊かですね。情けない顔からブチ切れた怒り顔までめちゃくちゃ可愛い~。
でかすぎるパンフは買いませんでしたが(^^ゞ
★かずりん様
私はメタルロックはいいけどパンクロックが駄目だったんです。1970年代と今のパンクはずいぶん違うようですが、当時思っていた違いを書いてます。
さらにそうそう「キレイ」でもしつこいなぁと思ったグ●ネタが駄目なのね。なんか少年漫画のギャグのノリなんだろうけれど、男の子ってどうしてああいうので笑うのが好きなんだろうってずっと理解できなかった。そして今も理解できず(笑)
三宅弘城がいい味出してたので『宝塚BOYS』を思い出しちゃったんです。あまり彼の出る舞台を他に観てないってことなんですけれどね。
勝地くんの役、すごく頼りない物足りない役でしっかり再生したおじさんを引き立ててくれてました(笑)
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Unknown (hitomi)
2010-04-12 13:11:23
コメント&TBありがとうございます。映画館でご覧になったのですか。最近の「ソラニン」も『キレイ』も『真夜中の弥次さん喜多さん』の時間も苦手です(苦笑)
「宝塚BOYS」は好きです。
「蜉蝣峠」でも活躍している勝地君はわかりましたが田辺さんは他のブログで彼とわかったぐらいです。見てしまえば結構いい場面もあったのですが最初はねえ。田口さんもよかったです。
新感線が最近出した本は詳しくてよかったです。私が好きな宣伝チラシの作製者もわかり満足です。
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★「猫と薔薇、演劇、旅ファン」のhitomiさま (ぴかちゅう)
2010-04-12 21:16:33
TB返しも有難うございましたm(_ _)m
近くのシネコンで観て、前半、私もかなりの忍耐を要しました。クドカンは人間の生々しさの象徴のように汚物を小道具として大事に使うようですね。パンクロックも苦手なのですが、前半を我慢したら、中年男たちの再生のドラマ、若いお気楽な女の子の成長のドラマをしっかり観ることができました。しかしリピートは不要というのがクドカン作品に共通したところです。例外は「舞妓haaaaaaaan!!」くらいでしょうか(^^ゞ
>新感線が最近出した本......そういえば出たんでしたっけね。次のゲキ×シネ鑑賞時にでも買えるかしら。
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