「勧進帳」があまりにもよくて満足感にひたりきって思わずコートもはおって帰ろうとしてハッと気がついた。あともう一つあったんだ!苦笑して幕間にまたおにぎり一個を食べ、エコノミー症候群にならないように3階から1階まで散策する(^^ゞ
【三人吉三巴白浪(さんにんきちさともえのしらなみ) 大川端庚申塚の場】
今回の主な配役は以下の通り。
お嬢吉三=玉三郎 お坊吉三=染五郎
和尚吉三=松緑 夜鷹おとせ=新悟
玉三郎初役のお嬢吉三で話題になった公演の時は歌舞伎をあまり観ていなかった。休日に歌舞伎座前の人波がすごくてそういえばと感心しながら通りすぎた。
さて、今回は大川端庚申塚の場のみ。
2007年11月歌舞伎座で観たこの演目の記事はこちら
新悟の夜鷹のおとせは長身だが玉三郎と並ぶと違和感もなく、また実に儚げでいい。
玉三郎のお嬢吉三はおとせの胸元の百両の入った財布を奪ってから本性を現した男声が存外によかった。低い声でぞんざいなしゃべり方で不良少年っぽさを出しているのだろう。所作も思いっきり育ちが悪そう(笑)従来の玉三郎のイメージから思いっきりはずれた面白さを感じてしまった。
大川の杭に足をかけて(女はこういう格好をしないということね!)「月は朧に白魚の~」からの七五調の名台詞も詠わない。現代調に近いこういうしゃべり方は歌舞伎らしくないのか?でもいいんじゃないの!玉三郎のニンではないのかもしれないし、玉三郎でお嬢吉三を観たいということをメインにすればこれもあり!だ。可愛い不良少年でキュート。
前回まだまだと思った染五郎のお坊吉三も今回はいい感じ。このコンビならば後になって男色関係になるというのも現代のボーイズラブっぽい感じで隠微さを感じない。そういえば愛之助と共演した「染模様恩愛御書」と同様のBL路線?
松緑の和尚吉三は、余裕のなさそうだった前回に比べて台詞・しぐさともは堂々としたもの。七五調もきかせてくれる。タッパはないが、この場面は喧嘩の留め男になってお嬢とお坊を下に従えて極まるので、松緑の立派な顔が実に映えて義兄弟の兄貴にしっかり見える。
たった26分の一幕だが面白いものを観ることができた。そして通し上演が観たくなった。歌舞伎座さよなら公演でやってくれるかどうかはわからないけれど。
写真は歌舞伎座前の絵看板のお嬢吉三を携帯でアップで撮影。今回の玉三郎の衣裳のデザインの松竹梅を反映している(衣裳の松は絵のように松葉ではなく枝部分を図案化したもの)。しかし毎回描きおろしというのはすごいと思う。絵師の鳥居さんの後継者がいないというのが気がかり。たまに浅草歌舞伎で描いている人が助っ人して1枚描いたりしているがずいぶんと画風が違う。歌舞伎座さよならで引退なんてそういうことはないか気がかりだ。
2/15歌舞伎座昼の部①「京鹿子娘二人道成寺」
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