Piano Music Japan

シューベルトピアノ曲がメインのブログ(のはず)。ピアニスト=佐伯周子 演奏会の紹介や、数々のシューベルト他の演奏会紹介等

【フランツ・シューベルト・ソサエティ】紹介 (No.1312)

2006-07-15 21:59:22 | 作曲家・シューベルト(1797-1828
 本日、表題の演奏会を聴きに行って来た。東京日比谷の「日生劇場」のピロティ(!)を使用して、毎年行われている。「深沢亮子ピアノトリオ」を中心としたコンサートだったが、シューベルト最後のミサ曲(変ホ長調 D950)終曲「アニュスデイ」も演奏されるなど、シューベルトファンを魅了するプログラム。今日は演奏会ではなく、この「フランツ・シューベルト・ソサエティ」を紹介したい。(夜に予定していた演奏会は、疲れから聴きに行くことができなかった。年かも知れない)
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「フランツ・シューベルト・ソサエティ」


は、日本を代表する「シューベルト研究家&愛好家」の団体の1つである。
 シューベルト(1797-1828) の音楽はレパートリーが広い上に、曲数が膨大でとても31才で死んだ人間の所業とは思えない量を有しており、心を捉えられる人間は後を絶たない。
 「フランツ・シューベルト・ソサエティ」は、1994年7月16日以来、ウィーンの「国際シューベルト研究所」と連携を取りながら、シューベルト普及に努め、成果を挙げて来た。本日も盛会であり、シューベルトの名曲中の名曲とされながら、ナマで聴く機会の少ないミサ曲第6番変ホ長調終曲も含めた「シューベルトファンに説得力の高い」演奏会をこれまでにも13年間続けて来た。今後もさらなる活動の発展を期待する。
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<演奏会批評>ショパン弾き中のショパン弾き = 河合優子 (No.1311)

2006-07-14 23:40:38 | 批評
「ショパンの音楽だけに浸っていたい」
「ショパンの音楽だけを弾いていたい」

 聴き手にせよ、ピアニストにせよ、ショパンと言う偉大な作曲家の作品に心弾かれる者は多い。その「夢」を実現させたピアニスト = 河合優子 である。世に「ショパン弾き」は多くいるが、「ショパンしか弾かない」に限りなく近いピアニスト = 河合優子 である。「夢」は実現するものだ!

●ポーランド国家事業の楽譜「ナショナル・エディション」使用
●「異稿」ある曲はできる限り「全異稿」を弾く

のコンセプトが<河合優子 Chopinissimo シリーズ>を貫く。
 木目のコンサートグランドピアノの右側は、大きなショパンの画像。有名なドラクロワの筆に拠る油絵。大きさは「顔」比較で 河合優子よりもショパンの方が遙かに大きい!
 河合の演奏は「ロマン派色の濃い」主観的な演奏に響くのだが、見事なまでにナショナル・エディションに忠実。短い「ossia」部分だと、必ずと言って良いほど、「耳新しく響く方」を選ぶ。
 究極の選択は

●ノクターン作品9第2番 → 2つの稿を続けて演奏

であり、これがこの演奏会の白眉! 作品9のノクターンは、第2番の異稿を連続して演奏したので、4曲分が続けて演奏されたのだが、この後の拍手とブラヴォーがこの日最大であったことをここに報告したい。
 小さな「生前出版されてなかった曲」までを全力で演奏してくれることが、河合のもう1つの魅力。アンコールの2曲ともが「生前出版されてなかった曲」であるが、全く手抜きの無い充実感!
 反面、ソナタ第3番や幻想曲などの大曲になると、もう少しだけ技巧の安定がほしい。ソナタ終楽章コーダは疲れからか、ミスがミスを呼ぶ演奏になってしまったことは、残念でならない。
 次回「第3回」は 同じく浜離宮朝日ホールで 来年2007年1月13日(土)14:00。練習曲作品10全曲中心のプログラム。
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岡本麻子ピアノリサイタル 2006年7月15日 (No.1310)

2006-07-13 23:04:09 | 演奏会案内
 今日、宮田大チェロリサイタル を聴いて来た。後半の コダーイ「無伴奏チェロソナタ」が圧倒的な名演だった。ピアノの全く入らない曲なので、特に何も掲載しないが、チェロも好きな読者の方は是非是非聴いて頂きたい。「これまでナマで聴いたチェリスト中最高だった」としか言えない。(ロストロポーヴィチもマイスキーもビルスマも鈴木秀美も聴いております、ハイ)

 明日明後日は「演奏会批評」連続か、、、

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岡本麻子ピアノリサイタル

曲目等詳細は ここ または ここ

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岡本麻子の注目のピアノリサイタル。

●今年生誕250年のモーツァルトの最も技巧的に難しいとされている変奏曲
●モーツァルトの影響大のシューベルトの最も技巧的に難しいとされている「さすらい人幻想曲」
●ベロフに直接教えを受けたドビュッシー
●ベロフに直接教えを受けたメシアン

と「ピアノファン」ならば垂涎の曲の連続!
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河合優子 ピアノリサイタル<Chopinissimo シリーズ>7月14日(No.1309)

2006-07-12 21:49:34 | 演奏会案内
河合優子 ピアノ・リサイタル
<河合優子Chopinissimo シリーズ>
リサイタル in 浜離宮2006~2007
ナショナル・エディションによる全曲演奏会 第2回

2006/7/14(金) 19:00 浜離宮朝日ホール

曲目・チケット価格等は コンサート・イマジンHP 河合優子 にて確認を。

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 河合優子は、ポーランド在住のピアニストで、「ポーランドのショパン解釈」にとても通じているピアニスト。最新の「ナショナル・エディション」はポーランドの音楽界挙げての「国家事業」の編纂楽譜。
 その「ナショナル・エディション」の伝道者として、

・【「ナショナル・エディション」に拠るショパン全曲演奏会】を世界初チャレンジしているのが河合優子

である。「ショパンファン」は是非是非、世界最先端のショパン研究楽譜に拠る演奏を聴いてほしい。
 今回第2回は、初期の曲から後期の代表作 = ピアノソナタ第3番ロ短調作品58までの幅広い時代を網羅したプログラム。
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シューベルト ピアノソナタ嬰ハ短調 D655 バール補筆完成版世界初録音 (No.1308)

2006-07-11 21:33:55 | 作曲家・シューベルト(1797-1828
 嬰ハ短調ソナタD655 は、「演奏用楽譜」の出版が遅かったためか、CDの発売も信じられないほど遅かった。
 ・・・と言うか、LP時代までは(もちろんSP時代を含めて)録音が全く無かったのである!

Gregor WEICHERT (仏Accord 22062)1986年



が(断定はできないが)世界初録音だろう。この盤で ヴァイヒェルトは、

・第71小節の後に「嬰ト長調の2小節の簡単な終止」を作り「転調しているが終わった感じ」に小さく編曲

した。この形はそっくりそまま、1997年のヘンレ改訂版楽譜に全くコメント無しで掲載されている!!!(← 著作権解釈として許されている?)
 他には1997年に ウィーン原典版校訂者 = ティリモ が、何も補筆しないで録音しただけであり、20世紀が終わろうとしていた。

 2000年4月頃に 今世界で最も元気なCD会社 = オランダのブリリアント社(Brilliant) が『シューベルト:ピアノソナタ全集』を企画した。9名のピアニストによる分業で11枚組の大モノ。ティリモとB=スコダの『補筆完成版』はどちらも8枚組なので、超大モノである。

・ソナタだけ聴きたい人にはいろいろと余計な曲が付き(4手曲も1曲入っている! さらに重複曲まであり!)
・シューベルトピアノ全曲聴きたい人には「収録されていない曲&楽章だらけ」

である。う~ん、困った!! この大企画のトップに

Alwin BAR(p)


Sonata f sharp minor D570 + D571(新補筆完成版)
Sonata C major D613(新補筆完成版)
Sonata f minor D625(新補筆完成版)
Sonata c sharp minor D655(世界初補筆完成版!)

が2000年4月に収録された。「ソナタ全集」全体の収録は2000年12月まで掛かり、発売は 2002年1月。
 このCDは「箱モノ」で、裏面に曲名明細が記載されているのだが、D655 は欠けている! 私高本もこのCDは「開けて聴く」まで D655の世界初補筆完成版 が聴けるとは思ってもいなかった。

・・・で、「CD8」の「Band 9」に収録されている D655 は、これまでの全てのシューベルト学者の「固い頭」を吹っ飛ばす「素晴らしい解釈 + 補筆」であった。

1.シューベルトの「繰り返し付き複縦線」を『冒頭に戻る記号』と解釈し、「再現部として冒頭に戻る」とした
2.呈示部第1主題 = 1~13小節(嬰ハ短調)
3.呈示部第2主題 = 14~46小節(ホ長調が中心と解釈)
4.展開部 = 47~73小節
5.再現部第1主題 = 1~13小節そのまま(嬰ハ短調 74~86小節)
6.再現部第2主題 = 14~17小節,30~44小節,43~44小節繰り返し(短調に変え「嬰ハ短調中心」 87~107小節)
7.コーダ = バール作曲部分19小節分(108~126小節)

 バール補筆の「世界初補筆版録音」は、『再現部が全部嬰ハ短調で統一』されるために、シューベルトが手本にした大作曲家の1人「モーツァルトのような再現部」が聴き取れる。(シューベルトは、長調の第2主題は再現部でも長調のママが通例)
 バールの補筆は、「展開部」の素材を圧縮や繰り返し使用するなど「シューベルト素材」で作曲されているので、素晴らしい出来である!
 この素晴らしい「D655 補筆完成版世界初録音」は、「CDを店頭で手に取った人でさえ、収録されていることが全く見えない状態で発売され、何1つ評判を呼ばなかった。なぜか?

録音した 2000年 = バール死去



 バールは、ピアニスト人生の最後の力を振り絞って、D655を含む4曲の未完成ピアノソナタを「バール補筆完成版作曲&録音」を成し遂げてくれた。この世に「もし」は無いが、バール が後1年長生きしたら「D840,D346」も『バール補筆完成版』で残されたのかもしれない。 今はただ、

・嬰ハ短調ソナタ D655
・嬰ヘ短調ソナタ D570+D571
・ハ長調ソナタ D613
・ヘ短調ソナタ D625

の4曲の「バール補筆完成版」を残してくれたことにただただ感謝したい。「11枚組CD」の価格の内、50%を占める素晴らしい偉業である。
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<演奏会批評>圧倒的に素晴らしかった野山真希「メンデルスゾーン」 (No.1307)

2006-07-10 22:42:30 | 批評
野山真希 ピアノリサイタル 2006年7月10日19:00 代々木ムジカーザ (曲目等の詳細は 野山真希ホームページインフォメーション をご覧頂きたい。)

1.ハイドン
2.リスト
3.シューベルト
4.チャイコフスキー
5.メンデルスゾーン
6.ショパン
7.ベートーヴェン(アンコール)

と18世紀~19世紀のピアノ作品を7人も弾いた若きピアニスト = 野山真希 の「東京でのリサイタルとしてのデビュー(本人談)」であったが、タイトル表記の通り、メンデルスゾーンが圧倒的に素晴らしい演奏であった。
 野山真希 は、「隣り合った変奏曲の細やかな違い」を手品師のように紡ぎ出すピアニスト。1変奏曲毎の性格付けが、極めて説得力の高く、私高本が過去に聴いた同曲の演奏中で、ブレンデルの「変奏曲演奏会(遙か昔の来日公演)」に次ぐ出来。1曲づつが短めの変奏曲が、野山のスタイルや感性と合致しているように聴こえる。
 野山は、1曲目ハイドンの後~アンコール直前 まで、懇切丁寧な「トーク」を入れて、聴く人を飽きさせない。トークは、感情に委ねるよりも、理性に委ねる趣であり、野山のメンデルスゾーン変奏曲演奏に通じるモノがあり、とても魅力的。
 メンデルスゾーンの出来で演奏会全体が貫けるようになれば、「鬼に金棒」であるが、ハイドンピアノソナタ第23番ヘ長調や、シューベルト「3つのピアノ曲D946」や、ショパン「スケルツォ第2番」のように構成の大きい曲になると、隣り合う楽章や主題間の対比が後退してしまうのが残念。また、時代や地域がまとまった感じの無いプログラムビルディングは「東京のピアノリサイタル」の水準からすると、さらに練り上げてほしかった感触がある。野山ほどの知性があれば、必ずできることであろう。さらに、各曲、各楽章の冒頭にミスタッチが多いことは、集中力をもう少しだけ増してほしい。
 「外に向けての開放感」が魅力のピアニストである。次回の東京リサイタルが楽しみである。 

(昨日予告の シューベルト ピアノソナタ嬰ハ短調D655 の続きは明日掲載致します)
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シューベルト ピアノソナタ嬰ハ短調 D655 王立音楽院版楽譜 (No.1306)

2006-07-09 14:24:07 | 作曲家・シューベルト(1797-1828
 嬰ハ短調ソナタ D655 が、「研究用資料」としてではなく、「ピアニストが弾くための楽譜」として出版されたのは、ハワード・ファーガスン編著王立音楽院版楽譜(日本語版は全音楽譜) が最初であることは昨日述べた。第2巻に収録。
 この版は著作権表示「マルC」が、冒頭は 1980 表記、楽譜の最初は 1979 表記。(日本語版は 第3巻末尾に 市田儀一郎が「1984年 晩秋」と銘記されているので、少なくとも第3巻はこの後に刊行のスケジュールである。)
 D655 は、このファーガスン編著王立音楽院版楽譜に記載された「言葉」が、後々の楽譜(= ヘンレ改訂版1997年版 と ウィーン原典版1998)に継承され、ピアニストのレパートリーにならない遠縁を作ったと言って過言でない。その言葉とは

●第I楽章の第1-73小節。これは【提示部の終わり】であり、ページの中程で途切れている(シューベルト ピアノソナタ2 ファーガスン編P127)

 この【 】の言葉が、大問題である。断定である。ファーガスンとしては

1.繰り返し記号があるので、「提示部終了」地点と考えた
2.アインシュタイン著「シューベルト」(1948:日本語版は浅井真男訳1963 白水社) に 「この楽章は提示部の終りまでしかできていないで、主題も、主題そのものであるよりはむしろ主題の準備らしく見える」(P235)の記述があり信じた

の2点を根拠に、安心しての記述だったのだろうが、「作曲家偉人伝」としての記述を、原典版楽譜にそのまま転記して良いのかどうかは、もっと慎重になっても良かったと考えられる。ファーガスンが王立音楽院版に記述した【提示部の終わり】は、シューベルトに慣れ親しんだ人間には大きな違和感を感じさせる。

1.「第1主題」が2回出現するが、2度目は主調 = 嬰ハ短調でない。さらに(確保でなく)「完全に展開」されて出現する。
2.繰り返し複縦線の後は「嬰ハ音」にしか向かえないので、嬰ハ短調か嬰ハ長調にしかならない。シューベルトが展開部に入る時は主調(または同主調)はほとんど考えられない。
3.わずか2小節前の第71小節は 嬰ト長調 なので、嬰ハ音に向かうのは展開部へは向かっていると考えられない。そのまま、属調のママにしておけば展開部突入には最適なのだから。むしろ「再現部へ向かっている」と考える方が自然。

 ファーガスンのこの「重大なミス」により、1900年代の間は、この魅力的なピアノソナタは「未完成で全く補筆不可能な楽章」として、見捨てられてしまったのである。 新たな動きは 20世紀最後の年 = 2000年 まで待たなければならなかった。この続きは、明日。
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シューベルト ピアノソナタ嬰ハ短調 D655 新補筆完成版 (No.1305)

2006-07-08 22:36:19 | 作曲家・シューベルト(1797-1828
 8月13日(日)19:00 タイトルの曲を含む演奏会を東京文化会館小ホールにて主催する。詳細については、近日中に掲載する。ピアニスト = 佐伯周子 は若いが、技巧の裏付けと共に魅力的なシューベルトを聴かせてくれる「シューベルト弾きピアニスト」であり、ピアノソナタハ長調D840新補筆完成版世界初演を 2004年8月22日に聴かせてくれた。この演奏会を聴いていない皆様には、今秋CD発売の予定である。
 さて、ピアノソナタ嬰ハ短調 D655 であるが、初出版は 1997年。旧シューベルト全集(ブライトコプフ&ヘルテル社刊)の補追にての出版だった。旧シューベルト全集は極めて意欲的な出版だったが、いろいろと問題があり、あまり普及しなかった。最大のネックは「価格が高かった」だろう。 シューベルトのピアノソナタは「誰が見ても完成している11曲」が 独Peters社 から刊行されており、この11曲だけが「シューベルトのピアノソナタ」として認知される状況が、旧シューベルト全集刊行後も 半世紀以上続いた。
 この状況を嘆き、新たな「シューベルトピアノソナタ原典版」が編纂されたのが、1953年で、ウィーンの名門出版社 = ウニヴェルザール社 = ユニヴァーサル社 が「全14曲2巻」で刊行した。 日本語訳版 は 音楽之友社版。 増えたソナタは

1.5楽章ソナタ ホ長調 = D459
2.3楽章ソナタ ヘ短調 = D625(当時の新補筆版)
3.4楽章ソナタ ハ長調 = D840(未完成の第3楽章&第4楽章は未完成のママ)

の3曲。
 この状態が23年継続し、1976年に 独ヘンレ版にて、「未完成ソナタ補筆完成版集」が B=スコダ 補筆にて、一気に 10曲刊行された。上記3曲と曲目自体は重複するので、新曲は 7曲。
 この中にも入っていなかったのが、嬰ハ短調 D655 である。現在のヘンレ版は 1997年の大改訂時に D655 も「補筆せず」の状態で付録に収録したが。
 『誰もが購入できる楽譜』として D655 が出版されたのは、1979年らしい。ロンドンの「王立音楽院」出版より ファーガスン編で刊行され、日本では 全音楽譜出版より日本語訳版 が 市田儀一郎訳で出版された。私が D655 を初めて読んだのはこの楽譜である。
 見た瞬間に「何がどうなっている?!」と思った記憶が鮮明。他の未完成ピアノソナタに比べても、「ワケがわからん」のだ! B=スコダ ほどの学識者 兼 ピアニスト が「補筆が無理」と思った曲なのである。 この続きは明日。
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伊福部昭作曲「七夕(たなばた)」 (No.1304)

2006-07-07 17:42:31 | 作曲家・伊福部昭(1914-2006)
 今晩は「七夕」だ。ゆっくり「織姫と彦星」の夜空を見ながら、酒を呑む予定だったが、あいにく東京は曇または雨の様子。また1年2人は会えないのかと思うと、ちょっと寂しい。
 「七夕」に因んだ曲は多く、「笹の葉さらさら~」はほとんどの人は聴き、歌った曲なのでは?
 私高本は、この日が来ると、ここ4年ほどは、日本最高の作曲家 = 伊福部昭 の「日本組曲」第2曲「七夕」を思い浮かべる。
 ピアノに限らず、ヴァイオリンにも箏にも超絶技巧を要求した伊福部昭の作品中、信じられないほど技巧的な難易度が低く、ソナチネアルバム第1巻の第1番とか第8番とかを弾ける人であれば、技巧的には弾ける。
 伊福部昭が青少年時代を過ごした北海道十勝地方の「音更村(おとふけむら)」を流れる「音更川」河畔の「河柳(かわやなぎ)」を用いた「音更の七夕」を思い浮かべて、札幌にて19才の時に作曲した。
 伊福部昭の「デビュー作品」となるはずだったが、組曲の他の3曲があまりに難しかったため、献呈したピアニスト = ジョージ・コープランド(George COPELAND) が演奏しなかった(できなかった)と言う逸話は、伊福部昭らしい。

楽譜は、これ。全音楽譜出版 1575円。
CDは 川上敦子盤 がお薦め。もう少ししたらネット上で購入できるように致します。
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<演奏会批評>ミハイル・リツキー ピアノリサイタル 2006年7月6日 (No.1303)

2006-07-06 21:48:23 | 批評
 10年ぶりの来日公演であったが、「演奏家の勘」が冴えなかった1夜となってしまい、残念である。次回来日に期待したい。
 リツキーは、「音が濁らない」ことに最大の留意を払い、見事に実現していた。ショパン自身が「長いペダリング」を指示しているフレーズでも、音の濁らないことように、踏み換えて行く。遅めのテンポ設定と相まって、アーティキュレーションを変化させ、微妙なニュアンスの違いを浮き立たせる。しかし

1.テンポが定まらず、ソナタの再現部やロンドの主題回帰が変奏のように聞こえ
2.ダイナミクスが pp~mf の間なので、力感が感じられない

の2点が残念。「期待のアンコール」(← このファンも多い)も2曲のみで「リツキーらしさ」の片鱗が見えなかったのも残念。しかもシューベルトの編曲モノ(劇音楽「ロザムンデ」から第9曲バレエ/編曲者不明の短縮版、「白鳥の歌」から第12曲「浜辺にて」/リスト編)だけだったことも、「全ショパンプログラム」とは大いに違和感があった。リツキー自身が不調を感じていたのでは無いだろうか?
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作曲家論開始に当たって (No.1302)

2006-07-05 22:58:23 | ピアノ音楽全般
作曲家論を開始する。
 単純に「1回毎に読めば作曲家の全体を理解できる」を目標にしたいが、ちょっと待て! 「ピアノ音楽のブログ」からすると、「ピアノ音楽の評価」と「作曲家全体の評価」のバランスをどう取るか? が微妙なところ。

モーツァルトのように、「ピアノ音楽作曲家としても最高峰の1人 & 作曲家としても最高峰の1人 & 作曲ジャンルは広範囲で隙間無し」



は、実はごくわずか!

ショパン → 作曲家人生のほとんどをピアノ音楽に費やす


ヴェルディ → ピアノ作品がおそらくゼロ。 オペラが中心。レクイエムなどの名作あり。



などなど、「作曲家評価 ≠ ピアノ音楽作曲家評価」なのである。う~ん、困った。明日までに、この辺りを整理して読者の皆様に「誰にも簡単に判る評価基準」を呈示する予定。ソナタ形式の呈示部かも。
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ミハイル・リツキー ピアノリサイタル 2006年7月6日 (No.1301)

2006-07-04 13:46:56 | 演奏会案内
~オール・ショパン・プログラム~
2006年7月6日(木)19:00開演
麻生市民館(小田急線新百合ヶ丘駅北口下車徒歩2分)
3500 ペア券6000 学生&シルバー 2500 学生&シルバーペア券4500
チケット申込&問い合わせ 藤巻 042-375-5158

1.ロンドアラマズルカ
2.ノクターン op.15/3
3.ワルツ op.64/1
4.ワルツ op.69/1
5.ワルツ op.34/1
6.ワルツ op.70/2
7.ノクターン op.62/2
8.ピアノソナタ第3番 op.58

 リツキーは、ロシアのピアニストで「ロシアのピアニズム」をよく体現したピアニストの1人で10年ぶりの来日。大物ピアニストである。ノリがいいとアンコールを多く演奏してくれることは、ロシアのピアニストキーシンと近い気質を感じる。
 東京の白寿ホール公演は中止となってガッカリしている方も多いことだろうが、神奈川公演は開催される。「リツキーファン」は逃さず聴いてほしい。当日券あり。
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オープニングのご挨拶 (No.1300)

2006-07-03 15:36:50 | ピアノ音楽全般
 「ピアノ音楽」はオーケストラやオペラと並んで、クラシック音楽の華である。1人のピアニストが生涯掛かり切りになっても弾き切れない膨大なレパートリーがオーケストラやオペラ以上に存在する。
 そのピアノ音楽全般について広く網羅しているホームページやブログは、日本語のみで検索して見ると存在しない。「ショパン」のように作曲家や、「グールド」のようにピアニストのホームページは多いが、ピアノ音楽全般は意外に全く無い。無謀にも、「ピアノ音楽全般」を見渡せるブログを作ろうと思い立った。

・作曲家紹介
・演奏家紹介
・演奏会案内&批評
・CD紹介
・楽譜紹介

辺りを中心に、毎日少しづつ書き続けたい。
 全体像が何となく見えて来るのは1ヶ月後くらいかと思う。末永くご愛読下さい。

 
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