Piano Music Japan

シューベルトピアノ曲がメインのブログ(のはず)。ピアニスト=佐伯周子 演奏会の紹介や、数々のシューベルト他の演奏会紹介等

<演奏会批評>ショパン弾き中のショパン弾き = 河合優子 (No.1311)

2006-07-14 23:40:38 | 批評
「ショパンの音楽だけに浸っていたい」
「ショパンの音楽だけを弾いていたい」

 聴き手にせよ、ピアニストにせよ、ショパンと言う偉大な作曲家の作品に心弾かれる者は多い。その「夢」を実現させたピアニスト = 河合優子 である。世に「ショパン弾き」は多くいるが、「ショパンしか弾かない」に限りなく近いピアニスト = 河合優子 である。「夢」は実現するものだ!

●ポーランド国家事業の楽譜「ナショナル・エディション」使用
●「異稿」ある曲はできる限り「全異稿」を弾く

のコンセプトが<河合優子 Chopinissimo シリーズ>を貫く。
 木目のコンサートグランドピアノの右側は、大きなショパンの画像。有名なドラクロワの筆に拠る油絵。大きさは「顔」比較で 河合優子よりもショパンの方が遙かに大きい!
 河合の演奏は「ロマン派色の濃い」主観的な演奏に響くのだが、見事なまでにナショナル・エディションに忠実。短い「ossia」部分だと、必ずと言って良いほど、「耳新しく響く方」を選ぶ。
 究極の選択は

●ノクターン作品9第2番 → 2つの稿を続けて演奏

であり、これがこの演奏会の白眉! 作品9のノクターンは、第2番の異稿を連続して演奏したので、4曲分が続けて演奏されたのだが、この後の拍手とブラヴォーがこの日最大であったことをここに報告したい。
 小さな「生前出版されてなかった曲」までを全力で演奏してくれることが、河合のもう1つの魅力。アンコールの2曲ともが「生前出版されてなかった曲」であるが、全く手抜きの無い充実感!
 反面、ソナタ第3番や幻想曲などの大曲になると、もう少しだけ技巧の安定がほしい。ソナタ終楽章コーダは疲れからか、ミスがミスを呼ぶ演奏になってしまったことは、残念でならない。
 次回「第3回」は 同じく浜離宮朝日ホールで 来年2007年1月13日(土)14:00。練習曲作品10全曲中心のプログラム。
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