Piano Music Japan

シューベルトピアノ曲がメインのブログ(のはず)。ピアニスト=佐伯周子 演奏会の紹介や、数々のシューベルト他の演奏会紹介等

シューベルト ピアノソナタ嬰ハ短調 D655 新補筆完成版 (No.1305)

2006-07-08 22:36:19 | 作曲家・シューベルト(1797-1828
 8月13日(日)19:00 タイトルの曲を含む演奏会を東京文化会館小ホールにて主催する。詳細については、近日中に掲載する。ピアニスト = 佐伯周子 は若いが、技巧の裏付けと共に魅力的なシューベルトを聴かせてくれる「シューベルト弾きピアニスト」であり、ピアノソナタハ長調D840新補筆完成版世界初演を 2004年8月22日に聴かせてくれた。この演奏会を聴いていない皆様には、今秋CD発売の予定である。
 さて、ピアノソナタ嬰ハ短調 D655 であるが、初出版は 1997年。旧シューベルト全集(ブライトコプフ&ヘルテル社刊)の補追にての出版だった。旧シューベルト全集は極めて意欲的な出版だったが、いろいろと問題があり、あまり普及しなかった。最大のネックは「価格が高かった」だろう。 シューベルトのピアノソナタは「誰が見ても完成している11曲」が 独Peters社 から刊行されており、この11曲だけが「シューベルトのピアノソナタ」として認知される状況が、旧シューベルト全集刊行後も 半世紀以上続いた。
 この状況を嘆き、新たな「シューベルトピアノソナタ原典版」が編纂されたのが、1953年で、ウィーンの名門出版社 = ウニヴェルザール社 = ユニヴァーサル社 が「全14曲2巻」で刊行した。 日本語訳版 は 音楽之友社版。 増えたソナタは

1.5楽章ソナタ ホ長調 = D459
2.3楽章ソナタ ヘ短調 = D625(当時の新補筆版)
3.4楽章ソナタ ハ長調 = D840(未完成の第3楽章&第4楽章は未完成のママ)

の3曲。
 この状態が23年継続し、1976年に 独ヘンレ版にて、「未完成ソナタ補筆完成版集」が B=スコダ 補筆にて、一気に 10曲刊行された。上記3曲と曲目自体は重複するので、新曲は 7曲。
 この中にも入っていなかったのが、嬰ハ短調 D655 である。現在のヘンレ版は 1997年の大改訂時に D655 も「補筆せず」の状態で付録に収録したが。
 『誰もが購入できる楽譜』として D655 が出版されたのは、1979年らしい。ロンドンの「王立音楽院」出版より ファーガスン編で刊行され、日本では 全音楽譜出版より日本語訳版 が 市田儀一郎訳で出版された。私が D655 を初めて読んだのはこの楽譜である。
 見た瞬間に「何がどうなっている?!」と思った記憶が鮮明。他の未完成ピアノソナタに比べても、「ワケがわからん」のだ! B=スコダ ほどの学識者 兼 ピアニスト が「補筆が無理」と思った曲なのである。 この続きは明日。
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