Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

笑顔に想う社会の豊かさ

2008-07-03 | アウトドーア・環境
後期の中絶を更に減らすような規約が出来た。クルト・ベックなどの反対派と二年半の議論が持たれたようだが、なすすべのないSPD現代表等を放っておいて、可決されるようである。

ドイツ国内で年間約二百例がある妊娠23週以降の奪胎の選択を避けるためである。勿論、精神障害など大きな障害が予想されるときにのみ許可される処置であるが、その時点で医師は親権者に対して可能な社会保護と福祉についての十分な説明が義務付けられる。不十分な場合、高額な罰金が課せられる。つまり社会がそれらの障害者達の面倒を見る意志を示す事でもあるのだろう。

中絶の絶滅は、究極の人権擁護への願いでもあるかもしれない。ドイツ連邦共和国の場合は、ナチスによる優生保護法が多数の犠牲者を齎し、虐殺へと導かれた反省から特に厳しい合意が成り立っている。

子供の時分、精神障害者の同級生の特殊学校への転校前の恐らく最後の誕生日会に呼ばれた記憶がある。あのときに集まった何人かの学童は今でもきっと何処かであの日の事を覚えているように思う。本人も元気だろうと思うが、両親などは十分に高齢化していることだろう。あの友人の天真爛漫な笑顔や愚図る表情は今でも思い浮かべる事が出来る。

極端に考えれば、我々は抵抗が十分に小さく、十分に理解出来ない他者に対しては冷酷でどんなに冷血無残な処置にも躊躇しない。適当に自己の社会の尺度で測れば合理的で理性的な結論が得られるからである。

だからこそ我々の社会は、宗教感やイデオロギーを越えた人権の尊重に基盤を置かなければいけないのである。社会の豊かさは、こうした所に表れるべきで、一部の社会主義者が思うような個人の権利や社会の発展ではないだろう。

SPDや緑の党の一部の支持を受けて可決されて、立法当時のSPDのレナータ・シュミット元保健相が認証するという。



参照:
高校生に伝えたい生と性 (つきみそう)
BBCの成り立ち+毎日英文事件+報道の偏り (小林恭子の英国メディア・ウオッチ) 
誤りの自覚と認識 [ マスメディア批評 ] / 2008-06-29

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2 コメント

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「人権」と「進化」 (pfaelzerwein)
2008-07-03 11:22:10
必ずしも調べた事ではありませんが、連邦共和国の基礎となっている考え方の幾つかがあると思います。

宗教的な自然法とされる基本が伝統的にある一方、進化論を基礎に社会の効率や価値を考えて推し進められた優生保護が中絶を合法化しました。

その近代社会のあり方や破局を受けて、「人権」が社会科学や宗教などから独立して叫ばれる所以です。ドイツの死刑全廃や遺伝子工学慎重論もそこに根拠があるでしょう。

一部社会主義者やマルキストが「進化」に拘る理由が影絵のようにそこに見つかり、また積極的「安楽死」への取り組みがプロテスタンティズムにあるのも忘れてはなりません。

日本でも十年前になって初めて、戦後発効された優生保護法の改名などの処置がとられたようですが、実際にはその「人権」意識はまだ十分に芽生えていないと思われます。

上の政治上の分断に表れるように、近代を乗り越えていく事が我々の課題にほかなりません。
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中絶 (matsubara)
2008-07-03 07:46:21
思いがけず「つきみそう」を「参照」の項目に入れていただき大変名誉なことです。
中絶に関する規約は国によって全然異なりますが、それはおおむね宗教によるものと思っていました。しかし、ドイツの場合はナチスの影響があるのですね。
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