煮凝りである。散髪屋に出かける前に朝食用のフライシュケーゼとブロッツェンを取りに行く。その序に旨そうなニコゴリを見つける。二種類あって、片方はリースリングと豚肉で旨そうであるが、先ずは小振りの甘酸っぱくしてある足肉のズルツェを選ぶ。
散髪屋に行かねばならないので、束の間、ガレージに置いておこうかとも思ったが、培養シャーレの中身のようなニコゴリであり、安全を考えて冷蔵庫へとしまう。
床屋では、商店の開店時間について話していると、こちらの「夜中に買物は異常」だから「ドイツを、ロンドンやパリのようにしてはいけない」とする保守的で定言的な意見に対して、床屋の親仁の方が「社会のバランスが難しい」と遥かに中庸な見解を示すので面白い。
さて、ニコゴリを焼きたてのブラートカルトッフェルに塗して食するのであるが、甘酸っぱいのが絶妙で、比較的豊満な辛口リースリングを合わせると、甘い方と酸っぱい方の両翼へと味が分かれ、その中間に押し入るようにワインの香りと味覚が広がる。
これは、妙なる体験で、その中間層にじわりとニコゴリ本来の味が浮かび上がり、コンビーフのような足の肉の味が下支えしているのは、ワイン体験でもあり食事の味体験でもあるのだ。微妙なバランスと言うほかない。このような時間経過と構築感のある味覚を、グルメ趣味は珍味とか呼ぶのだろう。
さて、焼きジャガイモの方は、蒸し器で硬めに蒸して、冷やしてから炒めたつもりであるが、若干柔らか過ぎて自然冷却も充分ではなかった。それでも、敢えて焦げ目をつけなかったにしろ、フライパンにこびり付くことも無く、また脂でギトギトすることも無かった。
ニコゴリの繊細さもあり、マジョーラムと塩コショウとバターのみで、ニンニクなどを入れなかったゆえに、ジャガイモの熱さで融けるゼラチンと肉の味の妙が、ワインによって取り持たれて、皮肉にもこの「おばあちゃんの味」に、その食感と相俟って高質な味覚が口の中で展開した。
参照:
肉屋の小母さんの躊躇
[ 料理 ] / 2006-02-18
厚切り咬筋と薄切り肝臓
[ 料理 ] / 2005-12-01
散髪屋に行かねばならないので、束の間、ガレージに置いておこうかとも思ったが、培養シャーレの中身のようなニコゴリであり、安全を考えて冷蔵庫へとしまう。
床屋では、商店の開店時間について話していると、こちらの「夜中に買物は異常」だから「ドイツを、ロンドンやパリのようにしてはいけない」とする保守的で定言的な意見に対して、床屋の親仁の方が「社会のバランスが難しい」と遥かに中庸な見解を示すので面白い。
さて、ニコゴリを焼きたてのブラートカルトッフェルに塗して食するのであるが、甘酸っぱいのが絶妙で、比較的豊満な辛口リースリングを合わせると、甘い方と酸っぱい方の両翼へと味が分かれ、その中間に押し入るようにワインの香りと味覚が広がる。
これは、妙なる体験で、その中間層にじわりとニコゴリ本来の味が浮かび上がり、コンビーフのような足の肉の味が下支えしているのは、ワイン体験でもあり食事の味体験でもあるのだ。微妙なバランスと言うほかない。このような時間経過と構築感のある味覚を、グルメ趣味は珍味とか呼ぶのだろう。
さて、焼きジャガイモの方は、蒸し器で硬めに蒸して、冷やしてから炒めたつもりであるが、若干柔らか過ぎて自然冷却も充分ではなかった。それでも、敢えて焦げ目をつけなかったにしろ、フライパンにこびり付くことも無く、また脂でギトギトすることも無かった。
ニコゴリの繊細さもあり、マジョーラムと塩コショウとバターのみで、ニンニクなどを入れなかったゆえに、ジャガイモの熱さで融けるゼラチンと肉の味の妙が、ワインによって取り持たれて、皮肉にもこの「おばあちゃんの味」に、その食感と相俟って高質な味覚が口の中で展開した。
参照:
肉屋の小母さんの躊躇
[ 料理 ] / 2006-02-18
厚切り咬筋と薄切り肝臓
[ 料理 ] / 2005-12-01
美味しいですね。
昨日はラムの首の辺りの肉を煮込み料理してみましたが、これも実にこってりと美味しく出来ました。
ラムのネッケンですか。うなじですね。すこし思い当たります。
煮凝り、いいですね~っ!うっとり。
美味しくないのは、すっごく不味くって(というか口にあわなくて)ゴメンでありますが。
美味しいのは、ラブであります。
鰻屋さんに食べに行って、何が嬉しいかって。
美味しい煮凝りが食べられる、というのも大きなポイントのような気がします。
そういえば、ふぐも、ね!忘れちゃいけません。
それにしても。
白ワインと、ほんとピッタシ合いそうですね~!いい食事してますねっ!
上の物でも薄く切って白パンに乗せたりしても旨くないと思います。その味を発揮させるためには、時差攻撃がたいせつです。
味は、口の舌の上で時差があることは良く知られていますが、それを知った上でどこでどのぐらいかけて、発散させるかがポイントでしょう。
ワインの味覚などもその通りなので、喉越しという言葉もありますが、反応時間が長ければ長いほど微妙な味になるのは明白です。
早く噛み付かないと、良い食事無くなってしまいますよ。
しかし、こう言うのは出来合いのお惣菜のようなもので、売っていても食べ方が判らないと言うのも多いですね。上の物でも、その食習慣がないドイツ人家庭でも知らない訳です。
次ぎはリースリングのニコゴリを食べてみます。