Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

一世紀前のカルチャー

2014-04-08 | 文化一般
CDを注文した。今季は以前からウィッシュリストに入れていたものばかりで目新しいものはない。それでもいざ発注となって、触りを聞いて録音記録などを調べると俄然興味が湧くものも少なくなかった。

一つはヒンデミートの室内管弦楽曲集である。恐らくテレマンのそれに匹敵するものと思うが、個人的には1920年代のあの響きに興味が尽きないので、楽しみにしたい。百年前の文化であるが、その作曲家に引きつられてヴィーナーフィルハーモニカーは日本で始めて演奏したその中に公認会計士のおじさんがヴィオラ奏者でいたなどと、百年の歴史などとはそういうものだと感じるのでもある。また作曲家の専門とした楽器ヴィオラ奏者のタベア・ツィンマーマンの夫婦共演のバイエルンでの録音も入っているが、それは二枚組みで一曲だけで、あとはベルリンでアバドが振ったものばかりである。

前音楽監督が亡くなってから、その残された録音を幾つか聞くととても質の高いものがあって、恐らく就任当初は金をかけた制作録音などがまだあったとみえて、思いがけず質の高い録音が残されているようである。当時は壁が無くなってからのベルリン再訪をまだ果たせずにオーストリアやスイスにばかり毎週のように通っていた時期であるから、そのような事情は計り知れなかった。更に、中継を楽しみにしていたデジタル放送も中止になってしまってからは、殆どベルリンからの録音などは車中でしか耳にしなくなっていたのである。

ブラームスのピアノ協奏曲もブレンデルとの録音があって、それも91年の録音なので全く知らなかった。当時はネットどころか、個人的に情報が十分に掴み切れていない時期だったような気がする。定期刊行物は新聞だけはあったが、それからも十分な収集が出来ていなかったのである。個人的に引越し期間も含めると空白の時期であったかもしれない。余白に入っているバラーデなども殆どブレンデルのレパートリーとして知らなかった。後年はあまり弾いていなかったこともあるのかもしれない。

落穂拾い的に出会ったのは、ヴィーンでのベルクの管弦楽集で、アバドはロンドンで同じプログラムで録音していたのは知っていたのだが、触りで聞くと決して悪くはないのである。得意にしていたレパートリーであるが、可也精緻な演奏をしているようで、CDを受け取ってからの楽しみである。組曲は色々な名録音があるが、歌曲集とデア・ヴァインはこれといった録音を知らない。

最後の一枚は、ブュノワのミサ曲「ロルメ・アルメ」である。とても有名な旋律であり、多くのミサが作曲されているが、その中でも古く重要な創作の一つとされているものである。なぜか手元に音盤が無く、安売りのうちに入手しておきたかったものである。

一枚だけウィッシュリストに見落としていたパーセルのザフェアリークゥィーンなどの組曲を追加注文した。シェークスピアの「真夏の夢」などに付けた舞台音楽集である。スペインのサヴァールが演奏したものである。五年ほど前に実演で聞いたものでもある。その時はとても印象深く、この名曲の価値を見直したのだが、触りはそれほど良くなかった。調べてみると、96年に録音されていて、今は指揮者自身のレーベルからSACDとして発売されているようだ。恐らくオリジナルのアウヴィディス盤は契約の関係で売り払いの特価だったのだろう。CDで鳴る音質に期待してみよう。あの実演を思い出すまでも無く、この指揮者の演奏する音楽は、エンターティメントであることは間違いないのだが、決してそれをサブカルチャーと断定できないハイカルチャーな意識を齎すのが面白い。

いつものようにADACの割引6ユーロを入れて、六枚で30ユーロ以下と、それほど格安商品は無かったが、まあまあ満足のいく価格であろう。



参照:
非日常の実用音楽 2005-12-10 | 音
開かれた陽画の舞踏会 2009-01-23 | 音
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