Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

筋力よりも脳を鍛えろ

2013-09-06 | アウトドーア・環境
眠い、帰ってきたのは夜十時半を過ぎていた。夕飯を奇岩地帯で摂って、帰ってくると、仕事のメールが入っていた。夜中に仕事をする心算はなかったが、あれやこれやしていて、じっくり寝込んだのは未明の四時過ぎだった。朝八時過ぎには待ち合わせがあるので、七時に目覚ましをセットして熟睡した。

ドロミテから帰ってきてから本格的に緊張するルートは登っていなかったので、そろそろと思って準備していたら、暑くなってしまったので、涼しい場所を選んで、夕方そこに着いた。始めは殆ど誰もいなかったが、身体慣らしのルートを登っているうちに徐々に人が増えてきて、登ろうと思っていたルートに待ちが出来た。

そこで思い切って未知の中ぐらいに難しいところに向かった。兎に角未知のルートであり、更に下から登り始めてもオヴァーハングなどに隠れて、見通しが利かなく、本格的な登攀となった。途中に三つほどリングボルトが打ち込まれているのだが、幾つかは中間支点を足さないと危険である。だから危険度一と評価されている。

乗り越しから割れ目へと一つ目のフレンズを挿して、二つ目のリングに到達する。そこで初めて、地面に墜落する危機から逃れる。第一の難所は越えた。最初からそのルート運びが分っていたなら、フレンズは必要なかったかもしれないが、落ちると地面に叩きつきかねられないので、中間支点は重要だ。そこから右上に5.10超えのルートが伸びているのが見えるが、その方向に行っても、左の小さな壁を登ってもどちらでもよいので思案した。結局、傾斜の強いがしかし中間支点を取れる可能性のある凹角を登った。

そこが第二の核心部であったが、途中で岩角に立てたので、岩頭にシュリンゲを掛けて中間支点とした。この辺りの臨機応変で、迅速な仕事振りがドリミテでの経験で磨きが掛かってきており、自信がなかった面で自信が出てきて、登る技術がそのまま登れる難易度に近づいてきて、安全度と尚且つ信頼度が高まっている分野である。そして思いの外、その上で左に横へとトラヴァースしていくので、これが後続を確保をする場合の重要な中間支点となったのである。ザイルの動きでシュリンゲが岩頭から滑り落ちるかとも危惧していたのだが、シュリンゲに二つぶら下がっていたミニカラビナが錘になって、落ち着いたようだ。

トラヴァースから確保地点へ、そこから更にトラヴァースで他のルートの確保地点へと抜けた。そこから頂上へと抜ける核心部を相棒に先行させたので、彼にとっても良い練習となった。後ろ向きに手でつっかえを掛ける場所もあり、肩関節周辺を痛め、首の後ろも張っている、長い距離を爪先で立ち尽くしたからか脹脛が疲れた。あれほど爪先で走りこんでいても、その時間も使い方も違うのでまだまだ鍛え方が足らない。

「脳を使え、筋力よりも」こそが、ビッグウォールを迅速に安全に登る最大の要素であり、頭脳プレーの面白さを少しづつ相棒も分ってきだしたようである。それにしても身体は疲れたが、頭脳の方は大分ルーティンになりだしてきている。



参照:
今夏シーズン前半の頂点 2013-07-08 | アウトドーア・環境
いよいよラストスパート 2013-09-01 | アウトドーア・環境
スピード即ち安全の登山 2013-08-06 | アウトドーア・環境
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