Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

嗚呼、グレーフェンベルク

2013-09-26 | 試飲百景
陽が差し出した土曜日はラインガウでの試飲会であった。今年は一人で遅めに出かけた。カードが無効になったので現金の持ち合わせがなく、フェリーの渡しでライン河を超えるところを帰りの一回だけに絞った。遅めに出かけたお蔭で、車も醸造所の中に停めることが出来た。悪いことばかりではない。

朝から一走りしてブランチを摂った後で昼食は出来ていなかったのであり、若干の寝不足でも昼寝も出来ずに出かけたので極力吐き出すことを考えてそれを実行に移した。

2012年のラインガウは、酸が足りない一方糖比重は高かったようで、アルコールもしくは熟成となっている。その分、酸が分解されている上級のPCやGCクラスとなると、粘度が高い反面、果実実の割には清涼感は少ない。2011年もグレーフェンベルクはミネラルを楽しむリースリングとなっていたが、2012年はそれが隠れるほどの濃くとなっている。

ガイセンヘイムの五回生の者からヴァイルの内部情報を色々と教えて貰った。長くそこで働いているので、2006年産から押さえていた。グランクリュの評価も難しさについても話題となった。今年からはグレーフェンベルクのPCがVDPの意向で出せなくなったので、GCしかないのだが、それが強過ぎて未だに樽試飲のように出来上がっていないのである。この辺りは、昨年から八割方が木樽醸造となった経験不足のようなものを感じさせた。つまり、二割はステンレス醸造でキュヴェーのように様々な樽が混ぜられるのである。

それ以前は、現在の二種類のPCのように30%しか木樽が使われていなくて、まさにこれから経験を積まなければいけないことが沢山あるのだ。その意味からは、未だに天然酵母醸造に成功していないことも偉大なグランクリュを排出するために乗り越えなければいけない高いハードルである。三人居る醸造親方も役割分担となっていて、天然酵母を確りやろうと思えば三交代にするぐらいでなければこの分野では中々追い着かないであろう。

これだけの情報でなぜグレーフェンベルクは大きく瓶熟成をすることなく、何時の間にかフィルンに近くなってしまうそれが説明できたろうか。先日開けた2010年もフィルンではなかったが、酸が糖と分離してしまっていたので、ステンレス醸造の問題点が感じられた。それ以上に減酸の方法などあの価格ならば更に手を掛けて欲しかったものである。

最終的にはドイツで最も高い価格の問題となるのだが、なるほどグレーフェンベルクのグローセスゲヴェックスは37ユーロとまずまずの価格に抑えられている。ビュルクリン・ヴォルフ醸造所の殆どのそれよりは安いのは至極当然である。つまり、どうすれば金の取れるワインを造れるかということにもなるが、重要なのは地所である。

天然酵母に進めないのは味筋が重くなるからだと言うが、フォルストのペッヒシュタインやキルヘンシュトュックよりもキードリッヒのオルツヴァインが重いと言うのはどうしたことだろう。つまり軽い土壌はグレーフェンベルクしかないのである。

最近は試飲会で知人にお目にかからないことは無い。今度も春に二か所で出会ったラインガウの夫婦からお声が掛かった。どこで出会ったかを思い浮かばなかったが、レープホルツ醸造所でその前に出会ったシェーンレーバー醸造所の話が出たと聞いて思い出した。それでも今年の春だと言われて驚いた。かなり昔の話だと思った。なぜならばそうして会ってから二桁ほどの試飲を繰り返しているからである。



参照:
2009年産の過熟成速報 2013-08-29 | ワイン
余裕が全く無くても冷静な元旦 2013-01-01 | 料理
コメント
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