民俗の香り 「破船」 吉村 昭
3年の年季奉公が明ければ父が帰ってくる。小さな港町。17軒の極貧の村に暮らす9歳の伊作を通し人々の暮らしを描く。
鰯、蛸、烏賊、秋刀魚と季節の魚を採り、自然の恵みに暮らしの糧を得る村人。
常に死と隣り合わせの毎日の中で、冬、時化のとき夜行う塩焼きは穀物交換のための塩を得るため、海岸で火を焚く行事であった。しかし、一方、その火をめがけやって来る船を座礁させ、荷を奪い取る慶事「お船様」を待つ手段でもあった。
しかし、これが村を震撼とさせる凶事となる。
息を潜めるように慣習に固執し、共同体としての暮らしを営む人々。
私小説や随筆、歴史小説とは異なり、新境地を開拓した異色の民俗小説。昭和57年(1982)刊行。
3年の年季奉公が明ければ父が帰ってくる。小さな港町。17軒の極貧の村に暮らす9歳の伊作を通し人々の暮らしを描く。
鰯、蛸、烏賊、秋刀魚と季節の魚を採り、自然の恵みに暮らしの糧を得る村人。
常に死と隣り合わせの毎日の中で、冬、時化のとき夜行う塩焼きは穀物交換のための塩を得るため、海岸で火を焚く行事であった。しかし、一方、その火をめがけやって来る船を座礁させ、荷を奪い取る慶事「お船様」を待つ手段でもあった。
しかし、これが村を震撼とさせる凶事となる。
息を潜めるように慣習に固執し、共同体としての暮らしを営む人々。
私小説や随筆、歴史小説とは異なり、新境地を開拓した異色の民俗小説。昭和57年(1982)刊行。