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大岡 折々のうた 俳句 3/3

2021-09-20 | book
詩人の大岡 信(まこと)が、新聞の一面に、昭和54年1979年から平成19年2007年まで、計6,762回に及ぶ詩歌のコラムを掲載した「折々のうた」。その「折々のうた」から、俳句を600句チョイスし、誕生から現代の名句を600選んで集めた選集(アンソロジー)が、1954年生まれの俳人の長谷川櫂編の「大岡信「折々のうた」選俳句」(一)(二)だ。(二)は2019年令和元年12月刊行。一茶の時代で2人、子規・虚子の時代で47人、楸邨・龍太の時代で47人の俳句を掲載している。巻末の長谷川櫂の「近代俳句は一茶からはじまる」は興味深い。
芭蕉や蕪村の古典主義俳句から、だれでも参加できる近代大衆俳句の誕生という。その最初の一茶の特徴をわかりやすさにあげる。それは日常の言葉で詠まれているからだと。そして第2の特徴を1人の人間の心理が生々しく映し出されていることだと。
次に子規の役割を、「写生」という近代俳句の方法を打ち出したことだという。目の前にあるものを言葉で写せばよいのだ。虚子はさらに客観写生といった。
さらに楸邨・龍太の手法を表現の俳句という。「写生(描写)」は対象を外側から言葉で写すこと。「表現」とは、感じたこと思ったことを言葉で形(俳句)にすることだと。龍太は、表現のために写生があるという。
大岡は、平成19年2007年までコラムを掲載した。大岡は10年後の平成29年2017年に86歳で亡くなる。加藤楸邨の存命は1905年明治35年~1993年平成5年、龍太は1920年大正9年~2007年平成19年だ。龍太が亡くなる年にコラムは終了している。長谷川櫂は楸邨・龍太亡き後の俳句を、批判的精神を失った末期的大衆俳句だという。

また、「折々のうた」に登場した俳句の登場回数一覧がある。一位は与謝蕪村で、72回で断トツ。2位は松尾芭蕉で55回。三位が小林一茶の50回。以下、加藤楸邨39回、炭太祇37回、飯田龍太の33回、7位が高浜虚子の30回、8位は、25回の上島鬼貫、正岡子規、飯田蛇笏、阿波野青畝、山口誓子、森澄雄だ。次の14位は24回が高井几薫と水原秋櫻子、23回が高野素十と石田波郷、20回が向井去来と村上鬼城、19回が内藤丈草と前田普羅、18回が榎本其角、芥川龍之介、中村草田男、17回が、加藤暁台、加舎白雄、夏目漱石、山口青邨、松本たかし、16回が黒柳召波、富安風生、原石鼎、15回が、服部嵐雪、野沢凡兆、橋本多佳子、中村汀女、星野立子だ。

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