まず「物語設定」から始まるこの A24映画(←今、旬の製作会社)
その物語設定からして、ズルい(笑)
主人公(ホアキン・フェニックス)はラジオ局に勤めるプロデューサー格の ジャーナリスト。
持っているラジオ番組は、アメリカの都市にいる各地の子供たち(9歳程度)をインタビューし番組化。
質問する内容は例えば、
・自分が今現在住んでいる環境をどう思うか。
(住んでいるところだから否定的な意見はほとんどなく、前向きな回答!)
・世界、自分の未来について、どう思う?
・大人について、どう思う?
・もし自分にスーパーパワーが一つだけ備わるとしたら、何を選ぶ?
そしてどう使う?
etc…
9歳程度の男女なのでその返答は、マセた答えは勿論あるとして、将来・可能性・人類の未来 までユニークに 拡散!
まるで、宇宙のよう(汗)
この「拡散」が冒頭から全編、ラストのクレジットにまで展開される。
全くもって、ズルい(笑)
そしてメインプロット。
NYに住む主人公は、LAに住む妹から甥のジェシーの面倒をしばらく見るように頼まれる。
この子がやはり9歳、かつ親の不安的な状態が既に彼にも伝播しており、一筋縄ではいかない…
質問してくる内容がいちいち悪い意味で鋭く、主人公が答えに窮するシーンが続出(汗)
そんな2人の共同生活が始まる…
マイク・ミルズ監督は「20センチュリー・ウーマン」でもほのかにエモーションを醸し出すワザをもつ監督。
今作でもその、ほのかに感情を醸し出す感覚が生きており、好感が持てた。
全編モノクロなのも効いており、色に頼らずアメリカ各土地の印象を表現していくサマが美しかった。
そんな地味にではあるが深い内容に、当ブログは自問自答し始めた。
「自分が9歳の時に同じこと聞かれたら、どう答えたんだろう?」
「自分が9歳の時、どんな子供だったんだっけ?」
全くもって、この設定 ズルい(笑)
そうやっているうちにラストが近づくにつれ、観ているのがNYの場末のマイナー映画館のような感覚に陥った(笑)
結論:切り口の巧妙さがメインプロットにも波及し、地味にではあるが深い味わいを残す、実に大人な映画。
今作を見てから、アタマの中で 木霊(こだま)
し続けている1曲が...
その曲は、Blur Tender
Come on, Come on, Come on
Get through it
Come on, Come on, Come on
Love's the greatest thing
Come on, Come on, Come on
Get through it
Come on, Come on, Come on
Love's the greatest thing...
仕方ないねえ!(笑)
ストーリーとは別のかたちで提示される子供たちのコメントを聞いていると,世界の未来も捨てたものではないと思わせてくれる効果もありましたが,日本の子供だったらどうなのかななんて思っていました。
おっしゃる通り,私も別の意味で自問自答したのですが,自分の場合は娘が9歳の頃はどうだったかなということでした。観ている人間に自己投影を迫るこの映画は確かにズルいですね(笑)。
ということで,当方ブログ記事のURLを貼り付けさせて頂きます。
https://music-music.cocolog-wbs.com/blog/2022/04/post-ced603.html
ほんと! ズルさ炸裂してますよ今作(怒)
切り口のズルさがメインプロットにも波及してるとは...
ドラマ映画において、プロの役者を、台詞を与えられていない素人たちの中に置いて、ほぼ即興的に演技をさせることを、僕は”演技の混在”と名付けていますが、それではないでしょうか。
>「自分が9歳の時に同じこと聞かれたら、どう答えたんだろう?」
9歳の時の僕は、ここに出て来るどの子供ほどにも上手に言葉にできなかったです。最近の子供は頭が良すぎます(笑)
の中から「これだ」なものを抜き出せるので、
<全くもって、この設定 ズルい
となるわけです(笑)