日々 是 変化ナリ ~ DAYS OF STRUGGLE ~
このプラットフォーム上で思いついた企画を実行、仮説・検証を行う場。基本ロジック=整理・ソートすることで面白さが増大・拡大
 



2週間近くも前に見たのに、今更ここで取り上げるのは、実は前のエントリーと関係が。


今回のMETライブビューイングで今回最も刺さったのが、3幕でのヴォータンと娘ブリュヒンデ(写真)のやり取り。

ヴォータンの決定的な自己矛盾をはらんだ指示を、娘ブリュヒンデがヴォータンの真意を察した結果、指示と違う行動をとる。
これを許さないヴォータン。
結論に向かっていく2人のセリフ(歌)まわしが、ここまでか!というくらいに、「微妙に揺れながら」進行していく。
ここまでよく理解できたのは初めて。
だったので、圧巻だったのだ。

これに関係する前のエントリーとは、読中評:フェイスブック時代のオープン企業戦略 よいオープンリーダーとは?!
読み進むにつれ、この本がフェイスブックの本というよりは、SNS時代のリーダーシップについて論述している本だということに気付く。
(原題もOPEN LEADERSHIPだし)
そこを読んでいて、ヴォータンが下した結論の過ちを思い出したのだ。

<こうした背景から、リーダーシップは決定的な分岐点にさしかかっていると言える。
<ところが私が取材したエグゼグティブの多くには、まだその自覚がなく、危機的な局面や
<重大な変革を手動する場面では、強力なリーダーシップが不可欠だと主張していた。
<情報も意思決定も手の内でコントロールする従来型の指揮統制スタイルから離れられないらしい。
(フェイスブック時代のオープン企業戦略 第7章「よいオープンリーダーとは」より抜粋)

ヴォータンは自分が引き起こした決定的な自己矛盾が、娘の命令不服従の原因であるにもかかわらず、一方的な判断を下す。
その自覚がないことが、今後の「神々の黄昏」を確定させる「引き金」となる。
「権力」という最終兵器を行使することが抱える「危険性」への自覚が欠如しているのだ。


オペラの演出で面白かったのが、この判断の決定的瞬間をルパージュ(シルク・ド・ソレイユ「KA」の驚異の舞台演出で有名)も大事にしていること。
今回の演出の目玉は、マシーンと呼ばれる巨大な45トンもの巨大装置。
この巨大装置、その面に映像も映し出すのだが、そのシーンの背景になっている冬山が、その決定的瞬間に小さな雪崩を起こす。
(小さな、というところがポイント)
ここで思わず「おっ~!」となった。
(あくまでもセリフまわしが理解できるこのシリーズならからこその感想かな、と)

このシンプルかつ機能美がある、このルパージュ演出を、私は「21世紀のリング」と褒め讃えている。
昔からワルキューレの演出は、ワルキューレたちが闘いによる死者の中から魂をよりすぐる設定なので「残酷」サイドにどうやってもこぼれがち。

舞台をシンプルにすることで、逆に見えてくるドラマもあるのだ。
ここが21世紀的で、新しいような気がする!

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