先日ホンダジェットの本を読んだので、今度は… と思っていたらタイムリーにこの本が登場。
日本を代表するトヨタ自動車の創業から現在までを400ページで。
先ずは感心したのが、トヨタの歴史のはずが、まるで日本の近代史のよう。
繊維業(豊田織機)からのベンチャー ~ 大戦中の統制経済 ~ 敗戦 ~ ドッジライン・竹馬経済 ~ 労働争議 ~ 朝鮮戦争 ~ クラウン発売 ~ カローラ大ヒット ~ アメリカ進出・現地生産 ~ そしてエピローグは、アメリカ議会に社長が呼ばれた公聴会!
とはいえ、この本のメインの「軸」はサブタイトルでも表現している「トヨタ生産方式」TPS
世の中的には「かんばん方式」として有名。
だが読んでいくうちに、そうとうの誤解が世間ではあり、さらにそれがメディア・本で流布されていることを知る。
この本では「トヨタ生産方式」の誕生からその成長の過程をしっかりと描いていく。
すると「トヨタ生産方式」は 教科書的なものでは全くなく、あくまでもヒトに紐づいていることがわかる。
豊田社長の命を受けて始めた 大野 耐一氏はスパルタでこの方式の 伝承者たち を育てあげていく。
そして彼らはまずは社内、でその方向性に目処がついたあとは、協力会社に、そして究極はディーラーにまで!
特徴的だと感じた部分を2つ引用。
「人間は自由度を与えると、仕事をしたくなるんですよ。
トヨタ生産方式は強制ではなく、自由なものです。
だから生産性が向上したんです」
「僕らはラインのレイアウトを毎週のように変えました。そうして、流れを作る。
でもビッグ3はそんなことしません。一度、ラインを引いたら、そのままです。
トヨタ生産方式の特徴のひとつでもあるのだけれど、そうしたことにまで言及するメディアは少ない。
モノづくりに関わる人たちにはその重要性が理解されても、一般の多くの人たちには、
あの頃からいままで、ずっと誤解されています」
明治維新以来、日本の製品はいくつも世界に出ていった。
しかし、生産システムがアメリカへ行き、その後、世界標準になったのはトヨタ生産方式たったひとつだ。
後にも先にもない。
結論:この本を読むと、その凄みを垣間見ることが出来たような気が…
そういう点でゲキお薦めかと!
自由を各子会社や系列の経営者に求める事も必要だと思います。
良い労働者が必ずしも、良い経営者や監督者になるとは限らないと
思いますし、組織とは一枚岩の集まりの事ではないですね。
そうした個々の経営の自由度を認めるならば、越権行為とか、独断というのも、
時には、上のトヨタが認められねばならない、という事で、
最高経営に求められる才能とは、独特の発想や能力の事だけではなく、
人をまとめられる事にもあると思います。
愛知県民として、トヨタには敵いません。
とはいえ、この本を読むと彼らの思想の深い処に手がちょっとだけ届くかと...
まずはこの本からトライしてみてはいかがでしょうか?
記事にもしようと思っています。
ジャストインタイムという、創業者の掲げたビジョンを
守り続け、それを次世代にも伝える、というのは、大変な
事だと思います。ビジョンが正しかったから、
現場もその意志を継げ、実行できたわけで、仕事が大きな
組織的なものになればなるほど、経営者のビジョンという
ものは、実務との協調が求められるのではないでしょうか。
トヨタ方式が、一企業の秘伝ではなく、世界中の多くの
会社に教えられて居る事が特徴的でした。システムは
共有して、「実業」を行う他社に対しても、公開して、
人材を活かす企業活動じたいを、応援し、その精神的支柱と
なっているのがトヨタなのでしょうね。