庭に面した、居心地の良いカフェ・レストラン。ここは「丸の内ブリックスクエア」と「三菱一号館美術館」に囲まれた「一号館広場」。近年の再開発によって生まれたスペースです。
丸の内は再開発による整備で、オフィス街としてだけでなくショッピングエリアとしても洗練された、という話を聞きます。それが単に、一流ブランドのためのテナントスペースを、とにかくぎっしり詰め込んで・・・ということではなく、ゆったりとした歩道の幅を確保し、舗装も無味乾燥としたものにならないように気を配り、木を植えて・・・という風に、新しい再開発エリアでありながら、街並みに質感やゆとりや奥行きが与えられていて、この界隈を散歩するのが楽しくなるように工夫されています。
再開発では、大規模の建物を建てると同時に、空地を一定面積以上確保しなければなりません。つまりどんな再開発でも、ある一定の「ゆとりスペース」は生まれますが、それが生き生きとした場所になっているかというと、必ずしもそうとは言えなさそうです。ですが丸の内の再開発では、屋外空地がうまく使われているように思いました。上の写真の広場も、面積としてはさほど広くないのですが、木々が植えられた小径がつくられ、写真を撮ったりする人も見られます。
趣向を凝らしたイベントスペースは、流行とともにいずれ消えることが多いもの。でも、緑のある気持ちの良い屋外空間や、そこにつながる「窓辺」のような場所は、いつの時代でも居心地良いものですし、そのような場所には、自然と人が集まってくるように思います。そんな変わらない魅力を、街並みの中に少しずつつくり込んでいけたら、日本の都市風景は、美しさと居心地の良さが同居する魅力的なものになっていきそうですね。
余談ですが、この広場に面した「三菱一号館美術館」では、オディロン・ルドンの展覧会が開かれているとのこと。前に観に行ったルドン展は、黒の時代のものでした。退廃的で物悲しくも美しいモノクロの絵は、胸にぐっと染みるものがありました。そして今度はその後の、鮮やかなカラーが溢れ出た時代のものが展示されるそう。楽しみです。
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