今朝、アトリエのある「自由が丘の家」で、思わぬ光景に出会いました。
階段の白い壁に、細長いタペストリーがゆらゆら。音もなく静かに樹影がゆれる、数分間だけの神秘的な光景。中庭にあるジューンベリーの枝葉の長さと、太陽光の角度がちょうどうまく折り合ってできたのでしょう。この家ができてから7年の間、この光景は見たことがありませんでした。
住宅の設計は、その隅々までを把握してはじめて、よいものになると思っています。もちろん、そこにある光や影のことも。図面にすると何も無い空白のなかに、どんな光と影が満ちるか。それを血肉化しないと、美しい空間は生み出せないと僕は考えています。よくイメージしながら設計していくのですが、やはり自然のもたらす力は偉大で、時として思いもかけなかった光や影や光景が現れたりします。人の作為の上をいく美しさに、少々嫉妬(?)もしますが、やはりいいものですね。
僕が設計する住宅では、よく壁や天井を白く塗ります。それは、白い壁や天井が、光や影を美しく映す背景になると考えているからです。
窓は、必要以上に開けません。その方が、陰影の深い、奥行きのある空間ができると考えているからです。
静けさとか、落ち着きとか。そんなことを大事にしたいと考えています。そこに偶然あらわれる光と影のマジックは、日々の暮らしにこの上ない新鮮さをもたらしてくれるようにも思います。
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