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石元さんの桂

2012-06-10 16:30:23 | 写真

ずっと行きたいと思っていた、神奈川県立近代美術館での企画展「石元泰博写真展 ~桂離宮1953,1954~」に、会期ギリギリの昨日、行くことができました。

雨。しかも横なぐり。まるでシャワーのようだ。そんな日に鎌倉に来たのは初めてですが、桂離宮は、妙に雨が似合う場所だな、と思います。日本の古建築のエッセンスをとりいれて設計されたこの美術館も、雨が似合う場所、なのかもしれない。ですが、だいぶ古ぼけてしまった新建材で覆われた建物は、雨に濡れて少し物悲しそうにも見えました。

あたり一面、なんとなくモノクロームの抑制された雰囲気のなか、展示室内に入りました。そこには、適度に間合いをあけて淡々と展示される、比較的小ぶりな作品の数々がありました。写真はすべてモノクローム。ゼラチンシルバープリントとの記載がありましたが、この何とも言えない湿度のある質感は、デジカメ一辺倒でちょっと忘れかけていたフィルムカメラの魅力を思い起こさせてくれました。

石元氏の写真は、桂離宮という建築写真を撮るというよりも、ファインダーで切り取られた平面構成を楽しむ、といった撮り方で、ちょっと水平・垂直がずれている作品があるのも、キャリアの初期ならではの、感性優先といったところでしょうか。

ずいぶん時間をかけて楽しく鑑賞しました。この写真群のなかに映っている桂は、現実の桂とは印象が異なるものです。写真家の個性が強く表れた構図、そして光。現実には無い、この小さな写真のなかにしかない桂。

桂離宮にはこれまで数度、訪れたことがあります。印象的だったのは、春先の優しい柔らかい光のなかで見た時でした。陰影も柔らかく、沈潜した何かを感じることができたように記憶しています。

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脚線美

2009-08-31 23:39:10 | 写真

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ちょっと時期遅れですが、ガンダムの勇脚を後光を浴びて。
言わずと知れたお台場の実物大ガンダム。
当然ながら主役ロボットが選ばれて作られたわけだけれども、ジオン軍ロボなら、よりモリモリしてド迫力だったんだろうなあ・・・と思った人も多かったのではないでしょうか。ザクとかドムとか。
来ていた人はみんな、バッチリ童心にかえっていました。

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タルコフスキー・ポラロイド

2008-09-05 17:14:18 | 写真

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映画監督アンドレイ・タルコフスキーによる写真集「Instant Light」を手に入れました。

この写真集は1979年~84年の間に、彼がポラロイドカメラでロシア・イタリアで撮りためた写真を編集したもの。映画「ノスタルジア」の準備のためだったとも言われています。初版当時はすぐに売り切れ、長らく絶版になっていたそうです。再版されたこの本は、大きさも手頃で、原寸大のポラロイド写真が程よい余白をともなってレイアウトされています。いつでも傍らに置いておきたくなるような一冊。なんか、そういう本とかモノって、ありますよね。

ピントもぼやけ、輪郭もぼやけた写真の数々。焦点も定まらない日常のスナップ。ですが、不思議な光の中に浮かび上がる光景や、人や、犬や、事物を見ていると、何か不思議な感覚にとらわれてきます。何らかのイメージが、ゆっくりゆっくりと、頭のなかをめぐりはじめる、ような。

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タルコフスキーは「一日で起きた出来事を、ひとつずつ思い出して映画にしたら、それはとても神秘的なものになるでしょう」と語ったことがありました。そして、我々の日常生活は、スクリーンの上につくられるものよりもずっと神秘的だ、とも。

今、目の前にある写真に映し出された日常のシーンの数々。日常の神秘的なイメージだけを、一瞬の光で切り取って表現したのが、これらの写真なのかもしれません。

日常は、神秘に満ちている。

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リコーのカメラ

2007-09-27 20:01:15 | 写真

僕は2つのカメラを持っています。(正確には一つは妻のもの・・・)

ひとつはキャノンのEOS30Dという一眼レフ・デジカメ、もうひとつはリコーのCAPLIOというコンパクト・デジカメ(これが実は妻のモノ)。リコーCAPLIOはコンパクトでありながら非常によくできていて、広角の画角に強いのが特徴。接写にも強いので、静物や模型、建築・インテリアの写真に大活躍します。今回さらに、コンバージョンレンズを取り付けてより広い画角(22mm)を得られるようにしました。

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実際に取り付けてみると、なかなか頼もしい佇まいに。下の写真はもともとの状態ですが、それと比較するとメカっぽくなって、なんだか元服した感じ(笑)

070927_2

難点は、これまでカバンに入れて敷地調査にも建設現場にも、旅行にも(このブログのパリ~リスボンの写真はすべてこれ)一緒に連れ立っていたのが、急にかさばるようになってしまったこと。カメラケースにもはいりません。

大きなレンズをつけたまま、とりあえずムキ出しで机の上に鎮座しているCAPLIO。う~ん、どうしたものか・・・。

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ニューハウス

2007-08-21 17:52:46 | 写真

今年はじめから連載エッセイを書かせていただいている住宅雑誌「ニューハウス」。10月号が手元に届きました。「家づくりは楽し」というコーナーで、毎回自由にテーマを決めて書かせて頂きました。ベテラン設計者の黒木実さんと交互に書くということで、気の利いた文章が書けるか少々不安でしたが、なんとか、やってこれました。

少しは文章力があがったカナ・・・と思った矢先、「ニューハウス」が今号をもって休刊になるとの連絡を受けました。75年間も続いた雑誌だそうです。75年前といえば、まだル・コルビュジエらが提唱した「モダニズム建築」が勢いをつけ始めていた頃。そんな時代からあった雑誌です。

永く続くということは、本当に貴重なことだと思います。老舗雑誌の休刊、本当に残念に思います。

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コメント (2)
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