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窓辺のコーナー

2021-03-03 22:06:21 | 経堂の家


窓辺のコーナーというような場所に、とても心惹かれます。
そんなことをいつも考えながら住宅を設計しているものだから、言葉の端々ににじむそんな想いを施主が汲み取ってくださって、これまで多くの窓辺のコーナーをつくってくることができました。
現代建築は構造体を繊細にし、なるべくガラス張りにして開放的にするのが本流になっていますから、なかなか気持ちのよい窓辺のコーナーには出会えないように感じています。
壁のなかのここぞというところに開口部があけられ、光と風景が入り込む。
そんな風情がないと、なかなか窓辺感が出ないのでしょうね。

旅行先で出会ったいろいろな窓辺コーナーがお手本です。それも前近代の、もっといえば古典のロマネスクとか。
そんな空間に身を置くのがとても好きです。
その経験が記憶となり、じわじわと時間をかけて設計のなかに立ち現れてくるように思います。

上の写真は最近できあがった「経堂の家」のダイニング。
木製で造られた窓辺コーナーに自然に寄り添いたくなる雰囲気にできあがりました。うんうん、優しい感じ。
そして、大きくせり出した庇に守られるような安心感があります。
庭づくりはまだこれからだけれども、やがて木漏れ日が感じられるようになるといいなあ。


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北欧の香り

2021-02-22 22:32:30 | 経堂の家


2年以上の時間をかけて進めてきた住宅「経堂の家」が、お引渡しとなりました。
いろいろ試案を経てたどり着いた最終の設計案は、老後の住まいはいかにあるべきかを、よくよく考えたものとなりました。

バリアフリーであることと同時に、暮らしを楽しむデザインが散りばめられたものとなりました。
北欧のデザイン・テイストに導かれるようにしてできた玄関ホールには、「かもめ食堂」のような柔らかい自然光が満ち、林立する柱はアアルトのデザインのまねび。
同時に、靴を脱ぎ履きするときにつかまる手すり代わりにもなっています。

いろいろと紹介したいことも多いこの住宅。今後もブログで少しずつご覧いただきたいと思っています。

そして!
ぼくが所属する「ザ・ハウス」の企画で、今週土曜日 27日 朝10時より、ぼくの自邸とアトリエのインスタグラム・ライブが開催されます!!



とがったデザインの家ではありません。癒し系でいきたいと思います(笑)
ぜひご覧くださいね。
ザ・ハウス インスタライブ リンクはこちらから!
https://chumon-jutaku.jp/hot_topic/30372/

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触りたくなる手すり

2021-01-22 22:23:19 | 経堂の家


「経堂の家」の家の階段は、玄関ホールと一続きになっています。その雰囲気に沿うように、階段のサイズも少しゆったりさせて、ガラスブロックからの印象的な光が入ります。
そこに、木製の手すりがついています。
大工さんの繊細な手仕事によってつくられた手すり。最初、大工さんは図面を見たときに「太すぎるんじゃないかな」と思ったそう。
いつも設計アトリエの仕事を多く手掛ける大工さんにとって、細くてシャープなデザインの手すりを造ることが多いのだろうと思います。
でも、ここ「経堂の家」では、その逆のディテール。
太くて、手をそっと添えたくなる雰囲気の手すりになりました。手を置いてみると・・・うんうん、しっくりくる(笑)

上方から降り下りてくる光と、くすんだ色味の木製の手すり。
クラシックな雰囲気もあり、礼拝堂のような雰囲気もあり。

完成まで、あともう少し。
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ラテラノ洗礼堂のような。

2021-01-13 10:54:46 | 経堂の家


工事中の「経堂の家」の足場が外され、外観がお目見えしました。
大きな壁面に、深く穿たれたガラスブロック窓。
この佇まいや色味が、ローマのラテラノ洗礼堂を思い起こさせてくれて、ぼくにとって好きな外観になりました。

この日は冷たい小雨まじりの曇天。
寒さから逃げるように室内にはいると、塗装業者さんが壁のペンキを塗っています。
ペンキを塗るハケを動かす音だけが空間に響き、
白く塗られつつある空間に、ガラスブロックからの光が静かに満たされてゆく。
まだきれいに仕上がっていないから、そのぶん、古めかしいラテラノ洗礼堂の空間にいるような気分になったりして。

工事中の現場の、束の間の静かな時間もよいものです。
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緑の回廊

2020-10-26 22:49:46 | 経堂の家


「経堂の家」の現場では、空間のかたちが徐々に現れてきました。
上の写真はダイニングスペース。L型の木製コーナーウィンドウに囲まれて気持ちの良い場所になりそうです。
その外側には、天窓のある広いスペースがあって、そこから屋根付きの通路がずっとつながって・・・。
写真からはわかりにくいですが、ちょっと不思議な空間が連なります。

実はこれ、以前に旅先で見た回廊がイメージの元になっています。
イタリア・フィレンツェにあるサン・マルコ修道院。
フラ・アンジェリコの壁画で有名ですが、そのなかにひっそりと、とても小さな中庭と回廊があります。
中庭には檸檬をはじめ、数々の樹木が育てられていて、それをぐるりと囲むように回廊が巡っています。
ちょうど住宅のリビングぐらいの大きさの空間で、じんわりと居心地の良さが感じられてきます。



「緑の回廊」
そんなイメージがぴったりの愛らしい空間でした。
窓の外には回廊が巡っていて、その向こう側に庭が見える。
そんなイメージを受け取って、遠く離れた極東のこの住宅で、ゆったりとした奥行きを感じる空間になるといいなあと思います。
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