この人の作品が世田谷美術館の「ルソーが見た夢、ルソーに見る夢」に出品されたとカタログで知って誠に納得した。
「うますぎる絵は描きたくない」とこの人は言うが、うまい下手を別にしてこの人の絵は素朴でルソー的なのである。
しかしかの久世光彦はこの人の絵の魅力を「<憧れ>の背中に貼りついている<怖れ>」と
見て取ったという、きちんと見る人には違うのだろう。
画家の名前は小杉小二郎、かの小杉放菴を祖父に持ち、中川一政に師事した人だ。
今回損保ジャパンの美術館大賞を受けて損保ジャパンで今までの回顧展を開いている。
それが極めて素朴なのだ、その例は「ギィヤンクール飛行場」の飛行機がおもちゃの飛行機のようであり、「聖書物語」のバベルの塔つくりが、まるで日曜大工のようだといえばわかってもらえるかもしれない。
しかしこの人もやはり画家だなと思うー師中川一政の筆、小磯良平の人形、長谷川潔のガラスコップーこういうものを前に制作に迷いが生じたとき自分の気持ちを凛とさせるというのだ。
またこの人はピカソのコラージュに刺激を受けてみづからコラージュに取り組んでもいる。
その中に「ピカソ生誕」があるのはピカソへのオマージュか。
またオブジェ作品では「ヤンキースのMATSUIを観に行こう」なる作品まである。
何というかある程度伝統を継承しつつも新しい世代の画家であることは間違えない。
今度の日本橋三越の「両洋の眼」展にも「エミール・ゾラの館」が出品されるようだ、注目していこう。
現代の画家ではたぶん一番好ましく思います。
静けさが何とも言えずよかったです。
初日に行ったので画家ご本人に会えました。
けっこうイケてるオジさまでした。
現代美術が苦手とおっしゃるから、この画家の抽象性の希薄さ、わかりやすさがよかったのでしょうね。
ところで投稿が1/23となっていますが、僕は今までこのコメントに気づきませんでした、どうしちゃったのかな。