だらだら日記goo編

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アルコールの魔力

2010-05-14 23:32:01 | インポート
僕は下戸だが、アルコールには果てしない力があるのだろう。
今損保ジャパン東郷青児美術館で開催中のユトリロ展をみて改めて思った。
ユトリロの展覧会は幾つも開かれているが、やはりその波乱万丈の人生がみるものの共感をさそうといってよかろう。
今回の展覧会は全作品日本初公開と銘打っているが、何のことはない、個人コレクションのお披露目だ。
まぁ特に目新しいことはない、いつもみるユトリロがそこにはいる。
何しろ10代でアルコール依存症になったユトリロではある。
その治療として絵画をはじめたこともよく知られている。
はじめはモンマニーという地で制作する。最初の義父が館を建てたからだ。
モンマニー時代は色彩感覚や厚塗りに特徴があるようだ。
で、白の時代を経て色彩の時代へ。
その間に母ヴァラドンの男関係は凄まじく、いろいろ義父が変わる。
法律上の父親も当然いて、スペイン人の画家だそうだ。
ユトリロ8歳の時認知して、で、ユトリロを名乗ったわけだ。
しかしユトリロの画家仲間で、ユトリロより3歳下のユッテルという人とも結婚したヴァラドンは凄まじい。
そしてそんな母をジャンヌダルクとともに聖女としていたユトリロ、母は強しだ。
1938に母が死んだ時はユトリロは礼拝堂にこもり一日祈っていたという。
まことにユトリロの後半生のテーマは祈りだ。
ユトリロは1933に洗礼を受けたという。
そういえばユトリロの作品には教会を描いたものが多い。
母の教えで洗礼は禁止されていたそうだが、ユトリロにとって宗教の存在は大きかろう。
酒を飲んで警察に捕まったり、精神病院に入れられたり、周りの人間はユトリロをよくマネージメントしてくれる、ってつまりは金づるだ、本当にすがりたいものがあったに違いない。
ユトリロは絵はがきを見て風景を描いた、エッフェル塔なども描いた作品があるが絵はがきを見なければ描けなかっただろう。
マキという地をよく描いてもいたらしい。
貧困街だ、モディリアーニも一時住んでいたとか。
結局ユトリロの視線は、あのイエスの貧しき者は幸いなりという言葉からそう遠くないところにあるように思った。