だらだら日記goo編

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虫の目になって

2009-08-12 23:18:16 | インポート
目黒区美術館で以前この人の展覧会が行われた。
花や虫をリアリティー豊かに描くのと名前から女性かと思ってしまったが、男性だった。
今回は舞台を松屋銀座に移して、白寿の記念展覧会が開催されている、熊田千佳慕さんだ。
展示のコーナー分けも面白い、絵本館、植物園、昆虫館、動物園、ファンタジー館と分かれている。
熊田さんのライフワークは、ファーブル昆虫記の世界を描くことだが、この人は焦らない。
一枚完成するのに数年要することもあるとか。
もともと熊田さんと虫との出会いは父親に読んでもらった昆虫記だという。
そして青年時代の軍事教練で、腹這いになって虫の世界と「出会った」
しかしすぐには昆虫を描いたりしない、あの日本工房に入って、土門拳と、五郎ちゃん、土門氏と呼び合う仲になる。ちなみに熊田さんの本名は五郎だ。
しかし戦後、一転して絵本作家の道に進む。ワルデマンボンゼルスの「みつばちマーヤ」の挿絵を繰り返して描いたという。
ファーブル昆虫記をライフワークにしたのは70のころからだという。
一ミリに満たない毛の一本一本まて丁寧に描くその作品は、熊田の絵は生きていると評判になりボローニャ国際絵本
原画展で入選をはたすまでになる。
その熊田ワールドは是非会場でご覧いただきたいが、熊田さんの言葉をあげておこう。
「虫と花と対話して答えを待つ、そんな積み重ねが一枚となるのです」
「自然は美しいから美しいのではなく、愛するからこそ美しいのだ」
「でき上がった絵はそれを描かせてくださった神様へのレポートなのです」
熊田さんのような生き方もすばらしいと思う。