だらだら日記goo編

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ガラクタも人が見ればー

2006-06-02 22:29:11 | アート・文化

「侘びたるはよし、侘ばしたるは悪し」と利休はいったそうだ。

人為で完璧なものを求めるのも芸術だが、自然の味わいを求めるのも又芸術である。

今回の展覧会はその自然の味わいを主に器物に求めた人たちの展覧会だ。

人呼んでそれを「骨董」という、しかし興味のない人にはガラクタに過ぎない、古本屋で古びた本がべらぼうな値段をつけるのを理解不能とする人もいる、考え方はさまざまだ。

渋谷区立松涛美術館の「骨董誕生」の展覧会だ、「骨董」を展覧会の題名に付した展示は全国でもはじめてという。

この展覧会は「骨董誕生」を青山二郎の昭和十年代に置く。

青山が始めて焼き物を購入したのが1915,1920には美術市場が不況に陥ったというからまあ安くものが買えたのだろうか。

で、青山と並んでご存知小林秀雄やら白州正子がサークルを創っていた。

小林は青山が集めなかった「つば」を多く集めたらしい、で青山と白州はデルフトジョッキのぬくもりに魅せられたという。

しかし青山の「骨董」を生んだのもその前提があった、用の美を主張した柳の「民藝」だ。

今でも松涛のすぐ近くに日本民藝館があって今は柳の集めた日常作品の展覧会をしている、あわせていくと面白いかもしれない。

柳は日本各地を歩き、又朝鮮の芸術にも触れた人だが「丹波焼」を自慢していたらしい、日本民藝館の評判になると語っていたが実際評判になったか僕は知らない。

戦後は、白州のコレクションと安東次男のコレクションの比較だ。

安東は社会批判の詩を書いた人だそうだがよく知らない、最近まで生きていた人だ。

そんなこんなで地下一階の展示はものすごい量だ、それも解説文がきちんとついているから読むのに時間がかかる。

二階の展示は現代の数奇者四人のコレクションと古美術商坂田和実の扱う古道具だ、千葉県にAS IT IS美術館という坂田の美術館があるそうだ。

坂田の扱う古道具はまことに変わっている。

イヌイットのお守りがそうであり、手描日本地図がそれであり、しらみ取りようの受け皿まである。

こうなってくると何を骨董と呼ぶかが問題になるが、いみじくもこの収集が現代美術の最先端にかかわってくることは間違いない。

現代美術家たちもごく日常の風景を切り取って作品を創りあげているのではある。

こんな刺激的な展覧会がたったの三百円で観られるのである、閉館時間近くに藝術新潮が取材に来ていた、これからも波紋を呼ぶ展覧会になろう。