市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

不適切会計を裁判で認めた人物が区長職に居座り続ける異常事態を正常と見なすみどり市長のコンプライアンス

2015-09-25 23:53:00 | オンブズマン活動
■不適切会計がまかり通る大間々町13区で、自ら不適切会計を裁判所の法廷で認めた人物が、依然として区長の座に就き続けている問題について、同区の民主化を実現すべく当会の桐生広域ネットみどり市支部の会員が粘り強く追及しております。この問題で、みどり市長に対して7月22日付で公開質問状を提出したところ、7月29日付でみどり市長から「問題なし」という回答がありましたので、あらためて8月20日付で第2回目の公開質問状を同市長に提出しました。そして、9月17日付で同市長から回答が届きました。

 なお、この問題に関して、当会の次のブログを参照ください。
○2012年10月15日:大間々町13区の公民館建設不正経理を巡る区長と住民らとの訴訟結果に頬かむりを決め込むみどり市市長
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/871.html
○2015年8月2日:不適切会計を裁判で認めた人物を区長に委嘱し続けるみどり市長が地元オンブズマンの公開質問に問題ないと回答
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1682.html

■当会のみどり市支部代表がみどり市長宛に提出した公開質問状(その2)は次のとおりです。

**********
平成27年8月20日
〒379-2313 みどり市笠懸町鹿2952
みどり市長 石原 条 様

〒376-0101
群馬県みどり市大間々町大間々2081-10
市民オンブズマン群馬
桐生広域ネット みどり市支部
  代表 岡田 三郎

          公 開 質 問 状(その2)
 拝啓、貴殿ますますご清栄のこととお慶び申しあげます。
 平成27年7月22日付の当会の公開質問状に対して、同7月29日付総第92号の回答書をお送りいただき、ありがとうございました。
 ついては、貴回答内容について、再度確認しておきたいことがあるため、あらためて、次の質問があります。
<質問>
 質問2で当会が指摘した「和解の前提としての不適切会計の存在を原告区長が認識している」ことに関して、貴殿は「当該会計処理につきましては、司法に判断を委ね和解となっておりますので、疑義は解消された」とする見解を示しています。
 また同様に質問3で指摘した「不適切会計の存在を認めた者が厳正かつ公平な職務遂行義務の要件に抵触する」ことに関して、貴殿は「当該会計処理につきましては、司法に判断を委ね和解となっておりますので疑義は解消された」とする見解を示しています。
 さらに、質問4で指摘した、区長設置規則第9条「市長は、区の組織及び運営に関し必要がある時は、適切な助言又は勧告をすることができる」に照らして、「不適切会計の存在が裁判所で認められ、不適切会計があったことを認識して原告区長を含む当事者が和解した」ことに関して、貴殿は「大間々町第13区に限らず、行政区の組織の運営につきましては、必要に応じ助言等を行っております。ただし、本件は区の住民自治の範囲内の問題であると考えます」として、不適切会計の存在と、運営の助言の必要性と関連について、まともに回答していません。
 このことについて、改めて次の質問がありますのでご確認をお願いします。

(1) 司法の場で、「当事者ら双方は、群馬県みどり市大間々町第13区の過去の会計において一部適切ではない慣行及び会計処理があったことを共通の前提として」当事者が和解をしているのですから、疑義は解消されていないと考えるのが世間の常識のはずです。貴殿の常識は世間の常識と一致していると思いますか?
(2) 貴殿のいう「疑義の解消」とは、「大間々町第13区の過去の会計において不適切会計があったこと」、つまり、その不適切会計の存在の有無について、疑義が解消され、はっきりと不適切会計があったことを市としても認める、ということなのでしょうか?
(3) それとも、不適切会計があったことを当事者同士が認めてそれを前提に和解をしたのだから、不適切会計そのものの存在が雲散霧消したことで、不適正会計行為という疑惑=疑義が解消され、13区の会計処理には何ら問題がなかった、ということなのでしょうか?
(4) そのどちらでもない場合には、貴殿の言う「疑義」と「解消」の定義や意味について、住民にも分かりやすい表現できちんと説明してくださいませんか?
(5) 裁判所のこの和解調書の解釈と法的有効性について、貴殿からみどり市の顧問弁護士或いは相当の法的知識を持つ関係者のかたのコメントをもらうことはできませんか?

 当会は、本質問状について貴職に提出前に公表し、また貴職のご回答を得た上で、あるいは得られなかった時に、再度、回答の有無及び内容を公表してまいりたいと考えます。同時にその経過を含めて当市民オンブズマン群馬のホームページ上でも明らかにし広く群馬県民に広報してまいる所存です。
 つきましては、平成27年8月28日(金)限り、下記に郵送又はFAXにてご回答いただきますよう、お願い申し上げます。
          記
市民オンブズマン群馬  事務局長 鈴木 庸
〒371-0801 群馬県前橋市文京町1-15-10
電話 027-224-8567 FAX 027-224-6624
                    以上
***********

■みどり市からの回答は次のとおりです。

**********
s9171.pdf
                    総第124号
                平成27年9月17日
市民オンブズマン群馬
桐生広域ネット みどり市支部
代表  岡田 三郎 様
               みどり市長 石 原   条
          公開質問状(その2)について(回答)
 このことについて、平成27年9月10日付で提出のありました御質問につきまして、下記のとおり回答します。
 なお、質問事項については、原文のまま記載しております。
          記
質問(1) 司法の場で、「当事者ら双方は、群馬県みどり市大間々町第13区の過去の会計において一部適切ではない慣行及び会計処理があったことを共通の前提として」当事者が和解をしているのですから、疑義は解消されていないと考えるのが世間の常識のはずです。貴殿の常識は世間の常識と一致していると思いますか?
質問(2) 貴殿のいう「疑義の解消」とは、「大間々町第13区の過去の会計において不適切会計があったこと」、つまり、その不適切会計の存在の有無について、疑義が解消され、はっきりと不適切会計があったことを市としても認める、ということなのでしょうか?
(質問(1)及び質問(2)に対する回答)
公開質問状(1回目)の質問1に対する回答のとおりですが、区長の委嘱につきましては、みどり市区制設置規則(平成18年みどり市規則第7号)第3条第3項の規定(当会注:20060327suk.pdf)により大間々町第13区の住民の方が推薦した者を市長が委嘱することとなっております。
したがいまして、同区が民主的な運営のもとにおいて、区長を推薦していただいていると考えていますので、「疑義の解消」と考えております。


質問(3) それとも、不適切会計があったことを当事者同士が認めてそれを前提に和解をしたのだから、不適切会計そのものの存在が雲散霧消したことで、不適正会計行為という疑惑=疑義が解消され、13区の会計処理には何ら問題がなかった、ということなのでしょうか?
(回答) 区の運営につきましては、区の住民自治の範囲内の問題であると考えられます。

質問(4) そのどちらでもない場合には、貴殿の言う「疑義」と「解消」の定義や意味について、住民にも分かりやすい表現できちんと説明してくださいませんか?
(回答)上記の回答のとおりとなりますが、大間々町第13区が民主的な運営のもとにおいて、区長を推薦していただいていると考えていますので、「疑義の解消」と考えております。

質問(5) 裁判所のこの和解調書の解釈と法的有効性について、貴殿からみどり市の顧問弁護士或いは相当の法的知識を持つ関係者のかたのコメントをもらうことはできませんか?
(回答) 和解調書につきましては、民事訴訟法(平成8年法律第109号)第267条の規定によるものと理解しており、当方から回答すべき事項でないと考えております。
           【この件に関するお問合せ先】
            総務部総務課行政係
            電話:0277-76-0961(直通)
**********
(当会注:民事訴訟法第267条(和解調書等の効力)和解又は請求の放棄若しくは認諾を調書に記載したときは、その記載は、確定判決と同一の効力を有する。)

■このように、みどり市にはコンプライアンスという概念が欠如しています。これを打破するには、現在、不適切会計を長年繰り返していて、取り巻きの幹部とともに、独裁体制を築いている大間々町13区の自治会の現状を、住民が良くわきまえて、現状打開を図るために一致団結する必要があります。

 ただし、そのためには、大間々町13区の多くの住民が、表向き人当たりの良い区長の本質を認識することが必要であり、粘り強い広報活動が必要になるかもしれません。

 みどり市長は、大間々町13区の集会場が建設された当時は地元の県議会議員でした。そのため、13区区長とは相当付き合いが深かったためか、不適切会計事件が起きたとしても、引き続き、区長の委嘱場を交付し続けなければならない必然性があるものとみられます。

■みどり市がこの体たらくですので、当会会員は不適切会計をしてきた区長本人にも、民事裁判の和解条項を尊重して、民主的な13区の運営のために、自ら行動することを促すべく、次の勧告及び公開質問書を8月20日付で出しました。

**********
勧告及び公開質問書
みどり市大間々町13区
区長 川島 孝 様

 区長にお尋ねしたいことがございます。
 平成27年4月1日、13区集会所での役員総会において、新班長のM氏が、「区長より裁判後、何円か入金があつたか?」と会計監査のN氏にお尋ねをしました。
すると、N氏から「区民より何の話だ?」と言われたので、M氏は「川島区長は、裁判で適切でない会計処理があったことを認めた」という事を役員総会の場で発表しました。場内で大きな反響を呼びました。

 このことを知った私は、この会計処理のことが非常に気になったため、後日、M氏宅を訪ね、M氏本人に「13区役員はじめ参加住民250名くらいの席での発表内容は、真実なのか?」と事情をうかがいました。
するとM氏は、「27回口頭弁論調書(和解)」を私に見せました。その調書には「過去の会計において一部適切でない慣行及び会計処理があつたことを共通の前提として」と書かれていました。

 この意味するところを正確に把握するため、私はM氏と一緒に、またこの問題について以前から関心を寄せている市民オンブズマン群馬の代表と計3名で、高崎合同法律事務所(高崎市東町172-16 共済会館ビル 3F)の弁護士・広田繁雄氏に面談し、同氏から直接説明を聞きました。
広田弁護士は、「川島区長が不適切会計を認めたので、和解を受け入れましょうと、又、不適切会計を認めた区長は責任を取りやめるでしょうとからと、常識的に考えて、被告の森嶋氏らを説得したところ、弁護士がそういうのであれば、としてM氏らが説得に応じたものだ」と説明しました。こうして、和解に至った経緯が判明致しました。

 現在、私は陳情書提出の為に100人の署名を集めてあります。この陳情書を議会に提出する前に、川島孝区長の判断をお伺いいたします。
 なお、私としては、当時の会計監査のN氏なども、不適正会計を防げなかったことから重大責任は免れないと考えておりますが、川島区長も同様にお考えのことと思います。

 私からのお伺いは次のとおりです。

質問1
 13区の住民に対して、原告・被告とも互いに出席の上、裁判終了報告会を、速やかに開催し、和解に至った経緯を説明してくださいますか?

質問2
 不適切会計の存在を前提として和解したのですから、常識的にみても、川島孝区長が即刻退任するのが一番良い方法であり、他の関係者のかたがたにも迷惑が掛からないと思うのですが、いかがなものでしょうか?

上記の2つの質問これらにつき、この文書受領後10日以内に書面で回答を実行してください。
もし、回答をいただけない場合には、不適切会計の責任をとるつもりがないものと判断して行動をおこします。

 最後に付けくわえさせてください。
裁判の被告だったM氏は、話をすると大変相手の事を考えてくれる温厚な人だと思います。川島孝区長もきちんと不適切会計の存在を認めたのですから、その責任をとる度量は十分お持ちのことと思います。
 裁判の和解調書にも述べられているように、不適切な会計を巡る13区の住民の皆さんの疑心暗鬼を取り除き、原告・被告ともに力を合わせて、明朗な明るい13区にしましよう。そのためにも、原告・被告ともに真実の和解をすることを強く望む次第です。

平成27年8月20日
市民オンブズマン群馬 桐生広域ネット
みどり市支部長  岡田三郎

回答書の送り先:〒371-0801 前橋市文京町1-15-10
市民オンブズマン群馬
     事務局長  鈴木 庸
**********

■しかし結局、現在に至るまで回答はもらえていません

 そのため引き続き、当会会員はこの問題に取り組む決意をあらたにしています。

■群馬県内では、みどり市大間々町13区のように区の住民が千人を遥かに超える自治会が相当数あります。そのため、区長や区に対して、自治体から多額の補助金や報酬が支出されると共に、区の行事や事業を通じていろいろな利権が派生するため、長期間、区長職に就くケースが目立ち、中には前橋市広瀬町三丁目自治会や桐生市第11区のように、区長ら幹部による不正の温床になることもあります。

 その結果、一種の独裁組織が形成され、一般住民と区長ら区幹部との間の風通しが悪くなりがちです。その兆候として、区の会計処理が不明朗となり区民にきちんと開示されなくなることが挙げられます。

 みどり市大間々町13区の場合、みどり市長と区長との癒着関係が、区の民主化を拒んでいる最大の原因だと見られます。みどり市支部の当会会員には、今後とも粘り強い活動が求められますが、自分の住む自治会の民主化に向けてぜひ尽力いただきたいと思います。

【市民オンブズマン群馬事務局及び桐生広域ネットみどり市支部からの報告】
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フォルクスワーゲンの排ガス違法制御ソフト搭載のディーゼル車が示した企業モラルの重要性

2015-09-24 23:35:00 | 国内外からのトピックス
■ドイツを代表する自動車メーカーのフォルクスワーゲン(VW)社を巡る不正ソフト問題で、企業モラルが問われています。VW社は今年4月に米国の評価格付会社であるレピュテーション・インスティチュート社(以下RI)が、世界各地の各企業の評判・評価のランキングで14位になりましたが、今回の不祥事で一気にその順位を下げてしまいました。

9月4日に高崎駅東口にオープンしたばかりのフォルクスワーゲン高崎店。いきなり逆風に見舞われた感じだ。

 最初にVWの不正ソフトについて報じられたのは9月18日でした。米環境保護局(EPA)が同日、排ガス規制を逃れるソフトウェアを搭載していたとして、独自動車大手のVW社に対して、米国で販売された約48万2千台のシステムを改修するように求め、EPAなどは大気浄化法に違反する疑いがあるとして調査に着手したという記事でした。

 報道では、米当局は同法違反で1台あたり最大3万7500ドルの制裁金を課すことができ、VWへの制裁金は単純計算でも最大180億ドル(2兆1600億円)に上る可能性があるということでした。

 EPAによれば、対象はVWとVW傘下のアウディの直列4気筒ターボディーゼル「TDI」エンジンを搭載した車で、該当車種は2009年から15年までに発売されたVWのゴルフ、ビートル、ジェッタ、アウディのA3と、14年から15年に発売されたパサートの計5車種。いずれもVWグループを代表する人気シリーズです。

 問題になった不正なソフトウェアは、当局の排ガス試験が行われていることを、ハンドルの動きの有無や速度パターンなどから自動的に検知し、テストをしている間だけ排ガスを低減する仕組みになっており、通常走行の場合は排ガスを抑える効果が限られ、最大で基準の40倍の窒素酸化物(NOX)を排出していたのだそうです。

■筆者もかつて青年海外協力隊に参加した1970年代末ころ、途上国で小型の舶用機関の整備の指導を行っていましたが、実際には自動車のエンジンの不具合の修理もしばしば依頼されたりしました。当時の自動車や船のエンジンは、機械的な構造で、非常に分かりやすく、修理し易かったのを覚えています。

 自動車のボンネットを開けても、ボルトを締めたり緩めたりするスパナを突っ込む隙間が十分あり、エンジンの簡単な調整や修理は自分ですることが可能でした。

 当事は、ガソリンエンジンの点火装置として、機械制御式点火装置であるコンタクトブレーカーがしょっちゅう摩耗して、隙間ゲージで定期的に調整しなければなりませんでした。ところが、CDIと呼ばれる電子制御式点火装置が登場し、煩わしいタイミング調整が不要となり、画期的な技術だと驚いたことがあります。

 その後、瞬く間に電子点火方式が普及し、間もなくエンジン全体の制御も電子化され、さらにコンピュターを使った人工知能により、エンジン各部の様子をセンサーで計測し、そのデータをもとに最適な運転条件を自動的に設定できるようになりました。

 自動車用ガソリンエンジンでは、ガソリンを空気と混ぜる気化器(キャブレーター)が姿を消して、燃焼制御がやりやすい燃料噴射方式が主流となりました。

■そのため、かつてはいかに不具合を迅速に的確に把握して、その原因をつきとめ、最小限の部品交換や適切な調整により、不具合を改善するのがエンジニアとしての責務と思われていました。しかし、今や、そんなことをしていたら、時間ばかりかかって作業効率がアップしません。

 今は部品ごとそっくり交換する、いわゆる「チェンジニア」が周流となりました。エンジンの調整も、全てマイコンチップとよばれるマイクロコンピューターが司り、中身は完全にブラックボックス化しています。

■先日、ドイツ製の船舶用高速ディーゼルエンジンを間近に見る機会がありました。軽量で高出力のエンジンですが、ディーゼルエンジンの場合、スタートと同時に真っ黒な黒煙が排気ガスとして立ち上るのが常ですが、今のこのドイツ製ディーゼルエンジンは全く黒煙が出ません。アイドリング速度も、自動的にぴったりと毎分600回転ちょうどで安定するのです。

 このドイツ製エンジンはかつて、第2次大戦中に砂漠のキツネと呼ばれたロンメル将軍の機甲師団が使っていた戦車に搭載されていたことで知られており、現在、世界中で、産業用、輸送用に使用されています。

 ドイツのエンジン技術水準の高さに驚かされましたが、今回のVWの不正ソフト事件をきいて、再び驚かされました。

■VWの不正ソフト事件はその後、大きな広がりを見せて現在に至っています。不正ソフトのエンジンを搭載した車が世界に1100万台もあること、不正関与を否定していた前会長が実は不正行為を知らされていたこと、数年前から不正ソフト使用について告発情報があったがそれらが握りつぶされてきたこと。あの、生真面目なドイツ人気質からは極めて想像しにくい数々の出来事です。

■不正があったとされたのが、VWとVW傘下のアウディの直列4気筒ターボディーゼル「TDI」エンジン。該当する車種は2009年から15年までに発売されたVWのゴルフ、ビートル、ジェッタ、アウディのA3と、14年から15年に発売されたパサートの計5車種。いずれもVWグループを代表する人気シリーズです。VWは、この問題に対応する間、対象車種の米国での販売を中止するはめに追い込まれました。そして、制裁課徴金は2兆円超になると言われます。

 上記5車種はエンジン制御ECUのソフトトウエアの中に「defeat device」プログラムを挿入し、米国環境保護局(EPA)の排ガス試験の際にこのプログラムが稼働し、NOx(窒素酸化物)を無効化して試験をクリアしていたということです。米国EPAは、該当車は実際には排出ガス基準の40倍のNOxを排出していたと説明しえいます。

 今回の制裁課徴金は1台当たり3万7500ドル(約450万円)、リコール該当台数は約48万台と見られており、そうなるとVWが支払う制裁課徴金は最大180億ドル(約2兆1600億円)に上る計算になります。

 VWは9月22日になって、対策費用として65億ユーロ(約8700億円)を特別損失に計上すると発表しましたたが、今回の問題は米国だけにとどまるかどうか、予断を許しません。このエンジンを搭載した車は全世界で約1100万台販売されており、これらがすべて不正とされた場合、VWに与える影響は極めて深刻だからです。

■日本をはじめ世界市場への影響は必至と考えられます。フォルクスワーゲン グループ ジャパン(VWJ)がミドルサイズセダンの新型「パサート」と、同ステーションワゴンの新型「パサート ヴァリアント」を発売してから1カ月後の7月末に、既にシリーズとして約1500台を受注。好調なスタートを切っていたばかりでした。

 折から、高崎駅東口の群馬トヨタの向かい側に、フォルクスワーゲン正規販売店「フォルクスワーゲン高崎」 が新規オープンしたのは9 月5 日(土)でした。新規オープンしたばかりなのに、この様な問題が発生し、出鼻をくじかれた形です。グローバル企業の持つ光と影の面が紙一重という観があります。

 ビジネスの世界では、このように虚偽の情報を流すことは極めて大きなリスクを伴いますが、なぜか我が国の行政では、虚偽の公文書が堂々とまかり通っています。当会では、日本社会の閉鎖性の元凶の一つである行政体制のオープン化をめざし、微力ながら全力を傾注してゆく所存です。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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サンパイ処分場化する群馬県に持ち込まれていた滋賀県からの原発汚染木くずの県内中間処理問題(その3)

2015-09-24 23:21:00 | 前橋市の行政問題
■市民オンブズマン群馬では、滋賀県に不法投棄されていた東電福島第1原発事故による放射能汚染された木くずが前橋市内の産廃中間処理施設で破砕処理されていたことを重く見て、前橋市長に対して、平成27年9月24日午前10時30分に次の内容で、行政情報公開請求書と公開質問状を提出しました。

**********
様式第1号
          行 政 情 報 公 開 請 求 書
                    平成27年9月24日
(あて先)前橋市長 山本 龍 様
          郵便番号:371-0801
          住所(所在地):前橋市文京町一丁目15-10
          氏名(名称・代表者の氏名):鈴木庸
           (市民オンブズマン群馬・事務局長、代表者氏名:小川賢)
          電話番号:027-224-8567(事務局)
 前橋市情報公開条例第5条の規定により、次のとおり行政情報の公開を請求します。
<公開の請求に係る行政情報の内容>
別紙のとおり。
<公開の請求に係る行政情報の公開の方法>
① 閲覧  2 視聴  3 写しの交付(□郵送)
(別紙)
 9月17日付で共同通信から次の報道がありました。
―――――以下、引用―――――
<共同通信2015年09月17日 18:41>
汚染木くず、前橋で処理 滋賀から持ち込み
 滋賀県高島市の河川敷に放射性セシウムに汚染された木くずが不法投棄された事件で、前橋市は17日、東京のコンサルタント会社が2013年末から昨年2月の間、河川敷から撤去した木くず約310立方メートルを前橋市内の産業廃棄物中間処理業者に持ち込み、処理されたと発表した。
 処理された木くずは市外の業者に売却されたが、市は「風評被害につながる」として売却先を明らかにしなかった。
 市は昨年12月に滋賀県からの情報提供を受けて業者を立ち入り検査したが、違法性はなく、施設内の空間放射線量も問題はなかったという。市は「業者間で適正に処理されたと認識している」と話した。
―――――引用終わり―――――
 このことに関連する、次の情報を含む行政情報の開示を請求します。
(1) 昨年12月に滋賀県から提供を受けた一切の情報
(2) 上記(1)を受けて、市内廃棄物中間処理業者を立ち入り検査した際の復命書および検査報告書にかかる一切の情報
(3) 市内業者が市外の業者に売却されたとする根拠を示す一切の情報
(4) 立ち入り検査の結果、違法性がないと判断した根拠を示す一切の情報
(5) 市内業者の施設内の空間放射線が問題なかったと判断した根拠を示す一切の情報
(6) 業者間で適正に処理されたと認識している根拠を示す一切の情報
                    以 上
**********

■併せて、次の公開質問状を提出しました。

**********
                    2015年9月24日
前橋市長 山本 龍 様
                    市民オンブズマン群馬
                     代表 小川 賢
          公 開 質 問 状
 拝啓、貴殿ますますご清栄のこととお慶び申しあげます。水と緑と詩のまちの前橋市におかれましては平素より市民の安全・安心な健康と生活のために、日々ご尽力賜り厚く御礼申し上げます。
 当会は、群馬県において、行政を外部から監視し、行政による税金の無駄遣いや関連する権限を不当に行使することによる住民・関係者の権利・利益の侵害に対する調査及び救済の勧告を図る活動をしているボランティア団体です。
 さて、最近のマスコミの報道によりますと、2013年3~4月、滋賀県高島市の河川敷に、福島県内で発生した原発事故の放射性物質を含む大量の木くずが不法投棄された事件で、滋賀県は、高島市から撤去された木くずが、前橋市にある産業廃棄物の処理施設に搬出されたことを示す文書を初めて公開しました。
 この不法投棄事件では、原発事故で放出された放射性物質を含む大量の木くずを不法投棄したとして東京のコンサルタント会社社長が去年、廃棄物処理法違反の罪で、有罪判決を受けました。
 木くずは高島市からこの社長が撤去しましたが、このほど住民の情報開示請求に基づき、滋賀県の三日月知事は、搬出先が前橋市の産業廃棄物処理施設であることを示す文書を初めて公開しました。
 前橋市によれば、滋賀県から、東京のコンサルタント会社が2013年12月~2014年2月にかけて市内の処理施設に放射性セシウムに汚染された木くず約310立方メートルが搬入されたと知らされたのは2014年12月5日で、その時点では既に木くずは市外の複数の業者に売却済みで、施設内の空間放射線量は除染を必要としない値だったということです。2013年12月から2014年2月にかけて市内の産廃中間処理業者に持ち込まれ、破砕処理をされた後、市外の複数の業者に売却されたということです。
 そして、前橋市は滋賀県からの情報提供を受けて昨年12月5日、今年4月23、24日の計3回にわたり業者への立ち入り検査を実施しましたが、その結果、廃棄物処理法や放射性物質汚染対処特措法などの違法はなく、4月24日に行った放射線量の測定でも、施設内で除染を必要とする値は検出されず問題はなかったとし、「業者間で適正に処理されたと認識している」と話しました。また、前橋市の担当者は「持ち込まれた時点で知らされていれば、その時に線量を測ることもできたが、知る手立てがなかった」と話しました。処理された木くずは破砕処理後に市外の業者に売却されましたが、風評被害につながるとして市は売却先を明らかにしませんでした。
 この情報に接し、当会は事実関係の確認を行う必要性があると考えております。
 つきましては今回、福島県で発生して滋賀県に不法投棄された放射能を含む木くずが前橋市に持ち込まれ中間処理されて、市外の複数の業者に売却された件について、質問形式で確認をさせていただきます。そこで、次の質問があります。

1.今回のマスコミ報道について
●質問1-1
 今回のマスコミ報道について、貴殿としては、その内容について、事実と異なっていたり、あるいは違和感があったりする箇所などはありませんか?
●質問1-2
 もし、事実と相違していたり、違和感を抱いたりする箇所があれば、該当する個所と、それぞれの相違点や違和感についての具体的な理由を教えてください。
●質問1-3
 貴殿は、市内の処理施設に放射性セシウムに汚染された木くず約310立方メートルが搬入されたと知らされた2014年12月5日と、2015年4月23、24日の計3回にわたり業者への立ち入り検査を実施し、同4月24日には放射線量の測定を行っていますが、こうした一連の事実について、これまで市民に対して公表しなかった理由は何でしょうか?

2.市内の産業廃棄物処理施設について
●質問2-1
 マスコミ報道では、放射性物質を含む不法投棄された大量の木くずを破砕処理した施設を運営する事業者の名前が見当たりません。マスコミの取材に対して、貴殿はこの事業者の名前を伝えていなかったのですか?
●質問2-2
 この事業者の名前をマスコミに伝えなかったのであれば、その理由は何でしょうか?とりわけ、市民の安心・安全な健康と生活の観点からお答えください。
●質問2-3
 当会が入手した情報によると、今回のマスコミ報道で取り上げられている前橋市内の産業廃棄物処理施設は、市内■■■■■■■■■の■■■■■■■■■であると認識していますが、当会のこの認識に間違いありませんか?
●質問2-4
 東京のコンサルタントは、この施設における破砕費用として、市内の事業者に、いくら支払ったのでしょうか?
●質問2-5
 それとも、東京のコンサルタントではなく、それ以外の東電などが破砕費用を支払ったのでしょうか?
●質問2-6
 滋賀県から前橋市内の事業者までの木くずの運搬費は誰が支払ったのでしょうか?

3.市外の売却先について
●質問3-1
 貴殿によるマスコミ発表によれば、処理された木くずは破砕処理後に市内の業者から市外の複数の業者に売却されたそうですが、風評被害につながるとして売却先を明らかにしませんでした。「風評被害」については、用語解説によると、「根拠のない噂のために受ける被害。特に、事件や事故が発生した際、不適切な報道がなされたために、本来は無関係であるはずの人々や団体までもが損害を受けること。例えば、ある会社の食品が原因で食中毒が発生した場合、その食品そのものが危険であるかのような報道のために、他社の売れ行きにも影響が及ぶことなど」とあります。貴殿が理由に挙げた風評被害とは、どのような根拠のない情報のために誰が被害を受けることを想定しているのでしょうか?分かり易く教えてください。
●質問3-2
 市外の複数の業者とは、2社でしょうか?それとも3社以上でしょうか?
●質問3-3
 それらは県内の業者でしょうか?それとも県外の業者でしょうか?あるいは、1社が県内の業者で、そのほかは県外の業者でしょうか?
●質問3-4
 市外の複数の業者に売却された際の単価(1立方メートルもしくは1トン当たり)は、いくらだったのでしょうか?
●質問3-5
 破砕済みの木くずの売却代金は、購入先の市外の業者から前橋市内の業者に全額、支払われたのでしょうか?
●質問3-6
 購入先の市外の業者は、破砕済みの木くずをどのような目的で購入したのでしょうか?
●質問3-7
 購入先の市外の業者は、前橋市内の業者の施設から直接引き取ったのでしょうか。それとも、市内の業者が、市外の業者の指定場所まで破砕済みの木くずを運搬したのでしょうか?あるいは、第三者が輸送用トラック等を手配して運搬したのでしょうか?
●質問3-8
 市内の業者から前橋市外の業者までの破砕済みの木くずの運搬費は誰が支払ったのでしょうか?

4.違法性の有無の判断について
●質問4-1
 貴殿が市内の業者を立ち入り検査した結果、違法性がないと判断した根拠は、どのようなものでしょうか?
●質問4-2
 市内の業者から市外の業者に売却された経緯があるようですが、運搬費などの補てんや手数料と称する補てんなど、いわゆる逆有償取引等の問題は見られあいことをきちんと確認しましたか?
●質問4-3
 業者間で適正に処理されたと認識している根拠は、どのようなものでしょうか?

5.最終処分、その他について
●質問5-1
 当会では、破砕された木くずが、焼却されて、最終的に最終処分場に運搬されたものと考えております。貴殿は、滋賀県に不法投棄された福島原発事故で放射能汚染された木くずの最終処分に至るまでの実態について、どのように確認しましたか。それとも、そこまでは確認しませんでしたか?
●質問5-2
 貴殿は、福島原発事故による放射能汚染ガレキ類の受け入れ自治体として手を挙げていたことがあります。今回の市内の業者による不法投棄された放射能汚染の木くずの受け入れについては、市内の業者が受け入れて破砕処分をしてから、貴殿は約1年後に滋賀県から通知を受けたわけですが、通報の遅れについて滋賀県に説明を求めた経緯があるでしょうか?
●質問5-3
 貴殿は、もともと放射能汚染ガレキ類の受け入れ自治体として手を挙げていましたが、今回の事件について、事件の違法性がないとする見解を示していますが、道義的にはどのような見解をお持ちでしょうか?

なお、貴殿のご回答を得た上で、あるいは得られなかったときに、記者会見で回答の有無及び内容を明らかにしてまいりたいと考えます。同時に当市民オンブズマン群馬のホームページ上でも明らかにし広く群馬県民に広報してまいる所存です。つきましては、平成27年10月1日(木)限り、下記にFAXにてご回答いただきますよう、お願い申し上げます。
          記
市民オンブズマン群馬  事務局長 鈴木 庸
〒371-0801 群馬県前橋市文京町1-15-10
電話027-224-8567  FAX027-224-6624
                    敬具
**********

■情報開示が有り次第、及び回答書が届き次第、順次報告してまいります。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

【9月25日追記】
この件で、本日朝刊に次の記事が掲載されました。また、本日午前中に当会事務局宛に前橋市役所秘書課から電話がありました。山本龍・前橋市長が、当会の公開質問状の内容その他に関して直接当会と面談して話し合いたいというので、9月29日(火)午前11時に、市長室で面談する予定となりました。

**********2015年9月25日上毛新聞社会面P24
汚染木くず中間処理 前橋市に公開質問状 オンブズマン群馬
 東京電力福島第1原発事故で放射性セシウムに汚染された木くずが滋賀県に不法投棄され、撤去された木くずの破砕処理を前橋市内の産業廃棄物中間処理業者が受け入れたことについて、市民オンブズマン群馬(小川賢代表)は24日、山本龍市長に市民に公表しなかった理由などを問う公開質問状を提出した。
 質問は破砕木くずの売却先、違法性がないと判断した根拠などを問う内容。10月1日までの回答を求めている。
 投棄された木くずの放射性セシウム濃度は3900ベクレルで、指定廃棄物(8千ベクレル以上)に当たらないことから通常の産業廃棄物として破砕処理された。市は2014年12月に滋賀県からの情報提供で把握した。山本市長は24日の定例会見で「一定の放射線を帯びた廃棄物を自治体が管理監督でいる仕組みをつくるべきではないか」と述べ、国への申し入れを検討する方針を示した。

**********2015年9月25日東京新聞群馬版
汚染木くず処理問題 前橋市長「法に不備ないか
 東京電力福島第一原発事故で放出された放射性セシウムに汚染された木くずが滋賀県で不法投棄され、前橋市内に運ばれて破砕処理されていた問題で、前橋市の山本龍市長は二十四日の定例会見で、民間業者同士のやりとりで処理された過程で市側に何も知らされず関与できなかった点を「法的に不整備があるのでは」と疑義を呈し、国に問題提起する考えを示した。
 市によると、不法投棄された二〇一三年時点の木くずのセシウム濃度は最大で一キロ当たり三九〇〇ベクレルで、国の責任で処理する「指定廃棄物」の基準となる八〇〇〇ベクレルを下回っていた。
 山本市長は「指定廃棄物ではないから民間の流通で良いというのでは市民の不安を払拭(ふっしょく)するに足りない。全国的な流通の仕組みの中で政府として関わりが求められるのでは」と指摘。今回の事例のような汚染された木くずなどの処理をめぐる管理・監督で、自治体も関与できる仕組みを作るべきだと主張した。
 木くずは、不法投棄した事業者が一四年二月までに自主撤去し、前橋市内の産廃中間処理業者に運び破砕され、市外業者に売却されていた。前橋市は同年十二月に滋賀県から連絡があるまで、一連のやりとりを把握していなかった。
 市は今年四月にこの施設の空間放射線量を測定。除染が必要となる国の基準値を下回っていたが、山本市長はこの日の会見で「多くの市民に不安を与えたことをおわびしたい」と陳謝した。 (川田篤志)
**********






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サンパイ処分場化する群馬県に持ち込まれていた滋賀県からの原発汚染木くずの県内中間処理問題(その2)

2015-09-24 01:14:00 | 前橋市の行政問題
■このように、東電原発事故由来の放射能汚染の大量の木くずが、一体どこにどうやって運搬され、どのように処分されているのか、事件の全貌が皆目つかめません。しかし、今回の前橋市内での中間処理業者の関与により、いよいよ群馬県でも住民の安心・安全な健康と生活への脅威を不安が現実のものになっていたことが判明したのです。

 当会がこれまでに入手した情報によれば、今回の放射能汚染木くず不法投棄事件を含む一連の問題は、東京電力の体質がもたらしたものであり、早急に行政側や司直が東電やその取り巻きの関係者らの事情聴取を行う必要があると考えております。

以下は当会が、これまでの調査をもとに想定している東電福島第1原発事故由来の放射能汚染木くず処理の構図です。

■この構図の背景にあるのは、福島第1原発事故を起こした東京電力が、この事故の除染や賠償のために支払っている巨額のカネです。

 東電は、2013年1月1日に、福島復興本社(電話0240-25-5310)を福島県双葉郡楢葉町大字山田岡字美シ森8番Jヴィレッジ内に設置しました。東電のHPによると、「福島県にある全ての事業所の復興関連業務を統括し、原子力事故で被災された方への賠償、除染、復興推進などについて、迅速かつ一元的に意志決定し、福島県の皆さまのニーズにきめ細やかに対応するため」とあります。

 しかし東電は、表向きは加害者として反省を示す言葉を発していますが、その一方で、今回の放射能汚染木くず不法投棄事件に関して、マスコミの取材に対して、「賠償金は、申請書類をもとに支払いの適否を判断するが、個別の案件については回答できない」と回答しました。これが東電の本質です。

■今回の木くずは、福島県中通りの中央部にある本宮市高木駒込29-1にある浜崎製材㈱(電話0243-33-4400)から排出されました。浜崎製材は、福島県木材協同組合連合会(通称「福島県木連」)の組合員221社のひとつです。福島県木連の概要は次のとおりです。
●福島県木材協同組合連合会
 ・URL:http://www.fmokuren.jp/publics/index/2/
 ・所在地:〒960-8043 福島県福島市中町5番18号林業会館
 ・電話番号:024-523-3307
 ・代表者:会長 朝田宗弘、 専務 宗形芳明
 ・設立年月日:1964年3月25日
 ・資本金:17,910千円(出資金)
 ・会員数:27組合(221組合員)
 ・事業内容:組合員のためにする各種共同事業 (木材、木製品の受注・斡旋・購買)、木材産業振興対策 、製材JAS認定工場の指導、各種認定制度、団体事務受託

 福島県木連の組合員の木材チップ・バーク(樹皮)業者としては、浜崎製材㈱をはじめ、次の各社が挙げられます。
●郡山チップ工業㈱
 URL:http://k-chip.co.jp/
 住所:郡山市土瓜1丁目71-2
 電話:024-961-1412
 備考:設立1970年7月、資本金1,000万円、代表者は代表取締役社長・大内雅晴。事業内容は製紙用チップ、各種木製パレット・梱包材の製造・販売、住宅用パネル(軸組工法、2×4工法等の製造)、チップ(紙、炭、遊歩道敷材、他)、オガ粉(椎茸栽培、畜舎敷料、他)、バーク(肥料、燃料、畜舎敷料、他)、杭木。
●㈱荒海チップ
 URL:http://www.uyou.gr.jp/arakai/
 住所:南会津郡南会津町川島字土橋1205
 電話:0241-62-1054
 備考:1962年 6月設立、資本金2000万円、代表取締役は渡部東。従業員は男子5名(工場) と女子1名(事務)、事業内容は木材チップの製造。
●浜崎製材㈱
 URL:http://hamazaki-seizai.co.jp/company.html
 住所:本宮市高木字猫田46-2
 電話:0243-33-2481
 備考:1959年8月開業、代表取締役会長は濱崎喜一郎、代表取締役社長は濱崎さちえ。業務内容は木材チップ製造(紙原料)及び木材チップ関連機械の設計・製造・販売。
●千葉製材所
 URL:http://www.minpo.jp/pub/topics/jishin2011/2011/12/post_2822.html
 住所:南相馬市原町区丑来字穴田42-1
 電話:0244-22-3442
 備考:代表者は千葉喜之助。

 福島県木連は、東電原発事故により、それまでは有価物として出荷できていた樹皮などの木材加工副産物が放射能汚染で特定廃棄物扱いになったため、当然、東電に善処を申し入れたはずです。東電では、福島復興本社農林漁業相談グループが対応にあたったと思われます。この組織の概要は次のとおりです。
 ・部署名:東京電力福島復興本社農林漁業相談グループ
 ・部長:白鳥光雄
 ・次長:武井敬一
 ・課長代理:森井正人
 ・課長代理:村田仁志
 ・電話:024-521-8450

■こうして利害が一致した福島県木連と東電農林漁業相談グループの強力なバックアップを受けたのが、福島県内の汚染木くず等の収集・運搬と中間処理の利権を一手に引き受けている遠野興産㈱です。
●遠野興産㈱
URL:http://www.toono.co.jp/
住所:福島県いわき市遠野町根岸字石田44-3
代表者:代表取締役 中野光
電話:0246-89-2214
FAX:0246-89-3316

 この遠野興産㈱が集めた福島県外の産業廃棄物中間処理業者は次のとおりです。これらの業者は、福島県外にある汚染木くずの処理先でもあります。福島県いわき市の遠野興産に一旦収集された放射能汚染木くずは、400ベクレルを超えており最大8,000ベクレルの放射線量があったと推測されます。

<栃木県>

●㈱ニューナスリサイクル工場
 住所:那須塩原市鳥野目330
 電話:0287-60-0280
 備考:遠野興産の関連会社
●㈲日光有機
 URL:http://nikko-yuki.co.jp/index.php
 住所:日光市大沢町388
 電話:0288-26-1442
 備考:堆肥製造及び産廃処理会社。2011年3月7日付で東京地方裁判所へ民事再生法の適用を申請した。1985年に設立、有機堆肥の製造販売を主力とし、産業廃棄物の中間処理も手掛け、2008年には産廃処理施設を新設するなど事業を拡大していた。しかし、その産廃処理施設に不備があったため想定した収益を上げられず、また、主力の堆肥販売でも競争激化で売上が減少し業績が悪化。資金繰りの行き詰まりから、自力での再建を断念し今回の措置に至った。信用調査会社などによると、関連会社の「三宝緑化」も同様の措置が取られ、2社合計の負債総額は約21億円。
●㈱フライトワン
 URL:http://www.flight-one.co.jp/index.html
 住所:足利市真砂町41
 電話:0284-40-3090
 備考:産業廃棄物中間処理。RPF製造
●㈱セルクリーンセンター
 URL:http://c-clean.co.jp/
 住所:宇都宮市平出工業団地45
 電話:028-660-6075
 備考:産業廃棄物焼却処分事業。 120t/日(24時間運転)。「(株)八幡」、「鈴運メンテック(株)」が共同出資した会社。
●神明畜産㈱
 URL:http://shinmeifarm.co.jp/
 住所:須鳥山市志鳥36310287-88-2331
 電話:0287-88-2331
 備考:資本金20,000万円。本社は東京都東久留米市。グループ企業に共栄畜産有限会社(資本金8,000万円、東京都東久留米市)、株式会社丸神運輸(資本金3,000万円、東京都東久留米市)、有限会社森林畜産(資本金3,500万円、栃木県那須烏山市)、有限会社南紀畜産(資本金1,000万円、 三重県熊野市)、農事組合法人第二姫椿牧場(資本金1,010万円、大分市日田市)、有限会社いわきファーム(資本金500万円、福島県いわき市)、有限会社飯館ファーム(資本金300万円、福島県相馬郡飯館町)、有限会社八戸ファーム(資本金300万円、青森県三戸郡階上町)、有限会社神明商事(資本金200万円、東京都東久留米市)がある。

<群馬県>

●㈱関口フレーム
 URL:http://www.sekiguchi-f.com/
 住所:高崎市倉賀野町2642
 電話:027-346-3131
 備考:産業廃棄物中間処理業。施設として、選別破砕、選別、油水分離、脱水、混合、中和(特別管理産業廃棄物を含む)、破袋分別、乳化、分解・洗浄、アスベスト含有産廃積替保管、脱水蒸留処理水貯留タンク、施設内発生汚水貯留槽からなる。

<埼玉県>

●埼原リサイクル㈲
 URL:http://www.saigen.co.jp/05_02.html
 住所:深谷市大字折之口195
 電話:048-573-2557
備考:産廃の中間処理・第一種フロン類回収業。埼玉製鐵原料㈱(廃棄物再生事業・計量測定・とび・土木工事業)のグループ会社。他に、彩原㈱(産廃の中間処理・収集運搬、遊技機リサイクル業)、関東リサイクル㈲(建築物解体・産廃収集運搬業)

■福島県いわき市の遠野興産㈱により、収集された放射能汚染木くずは、県外に搬出されて、上記の処理先で中間処理(破砕或は焼却、または堆肥化)が行われていたと見られます。また、汚染木くずを福島県から取集し、栃木県、群馬県、埼玉県など県外に運搬し、中間処理される費用は全て東電が支払っていたものと推測されます。

 一部は㈱セルフクリーンセンターで焼却された放射能汚染木くずもあるかもしれませんが、大半の破砕された木くずは、埼玉県にある埼原リサイクル㈲のすぐ近くにある㈱クリーンテックサーマルに持ち込まれて焼却された模様です。また、運搬・処分費用は東電が支払ったと考えられます。
●㈱クリーンテックサーマル
 URL:http://www.clean.ne.jp/thermal/index.html
 住所:深谷市折之口1985
 電話:048-572-3445
 備考:2002年4月30日設立。代表取締役は反後太郎。産廃最終処分業の㈱クリーンテックの関連会社で焼却による中間処理を業務とする。

 焼却することで、さらに放射線量が上がり、焼却灰の持つベクレル値は相当高いレベルになったと思われます。その焼却灰は、親会社の運営する福島県内の最終処分場に搬送されたようです。
●㈱クリーンテック
 URL:http://www.clean.ne.jp/cleantech/index.html
 住所:福島県飯坂町中野字赤落27
 電話:024-541-2811
 備考:資本金4,000万円、主要株主は反後堯雄、反後太郎、㈱社日本クリーンサプライ、日和サービス㈱(日立製作所グループ)、㈱熊谷組。現在、第1期処分場が満杯となり、第2期処分場で営業中。同管理型産業廃棄物最終処分場は、埋立面積104,600m2(内1工区 57,400m2)、埋立容量1,752,000m3(内1工区 637,000m3)、準好気性埋立構造、セル+サンドイッチ(中間覆土)方式、浸出水処理方式は物理化学処理+生物処理+高度処理、水処理能力330m3/日(内1工区 220m3/日)。

 または破砕後、焼却処分せずに、福島県由来の汚染木くず破砕物(バークチップ)であることを隠して家畜飼料、肥料(堆肥)として出荷している可能性もあります。

■福島県の浜崎製材㈱からは、毎月200トンほど汚染木材のバーク(樹皮)チップが排出されており、原発事故があった2011年3月からは放射能汚染の木材を加工したため、2012年12月までにバークチップが3000トン程度溜まっていたようです。

 一方、田中容疑者はその後、チップの処分費用として東電から約4億円を受け取っていることから、1トン当たりの処理費用が7万8000円とすると、田中容疑者が扱った木くずは5000~6000トンあったと推測されます。これらの放射能汚染木くずは、福島県内の産廃業者をいくつか経由して、県外に持ち出されたと推測されますが、今回の事件で発覚した放射能汚染木くずの量はわずか300トンであり、浜崎製材㈱の排出する1か月分にしかならないため、氷山の一角とみられています。

■今回の事件では、放射能汚染された木材チップは、前橋市内の産業廃棄物中間処理施設で破砕されたと報じられています。ちなみに、前橋市内の産廃処理業者のリストは次のとおりです。
○前橋市許可業者一覧(産業廃棄物処分業)↓
http://www.city.maebashi.gunma.jp/jigyousya/376/383/p002374_d/fil/sanpaisyobunmeibo270701.pdf

 このうち前橋市内の事務所を構えていて中間処理(破砕)を手掛けているのは、㈲須田工業、㈱最澄建工、高橋物産㈱、群馬アスコンセンター㈱、上毛資源㈱、久松商事㈱、太眞工業㈱、㈲前原化成産業、佐田建設㈱、㈱資源再開発興業、㈱佐藤商店、福和産業㈱、三原興産㈱、鵜川工業㈱、庭前紙業㈱、㈱大野工業、㈱カークエスト、㈲武京商会、国土緑化㈱、社会福祉法人しののめ会、エコアドバンス㈲、㈱オダワラ、㈱前橋クリーン、㈱エコ・ディスタンスです。果たして、この中に、琵琶湖沿岸に不法投棄された放射能汚染木くずを受け入れて破砕処理をした業者は含まれているのでしょうか。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告・この項続く】

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サンパイ処分場化する群馬県に持ち込まれていた滋賀県からの原発汚染木くずの県内中間処理問題(その1)

2015-09-23 23:23:00 | 前橋市の行政問題
■東京電力福島第1原発事故による大量に放出された放射性物質に汚染された福島県内の森林から発生した膨大な木くずが、いったいどうなっているのか疑問に思っていたところ、案の定、福島県外に持ち出されていたことが分かりました。なかでも、2013年3月中旬から4月下旬にかけて滋賀県の琵琶湖西岸の高島市鴨川河口付近の河川敷に約300トン(約580㎥)の木くずの不法投棄されましたが、地元の住民らが問題視をしたため、そのうち約310㎥分が、なんと、2013年12月から14年2月にかけて群馬県前橋市内に持ち込まれ、市内の産業廃棄物処理業者の施設で中間処理(破砕)され、市外の複数の業者に売却されていたことが、先週報じられました。しかも、滋賀県が前橋市に情報提供したのは2014年12月5日で、前橋市は同日と2015年4月23-24日の計3回にわたり市内業者への立ち入り検査を実施しましたが、これまで市民に公表していませんでした。

 この件に関するマスコミ報道を見てみましょう。

**********NHK関西NEWS web 2015年09月16日23時07分
不法投棄の木くず 前橋へ搬出

 おととし、滋賀県高島市の河川敷に、原発事故の放射性物質を含む大量の木くずが不法投棄された事件で、滋賀県は、高島市から撤去された木くずが、前橋市にある産業廃棄物の処理施設に搬出されたことを示す文書を初めて公開しました。
 高島市の河川敷におととし、原発事故で放出された放射性物質を含む大量の木くずを不法投棄したとして東京のコンサルタント会社社長が去年、廃棄物処理法違反の罪で、有罪判決を受けました。
 木くずは高島市からこの社長が撤去しましたが、その後の搬出先の自治体名は裁判で明らかにならず、滋賀県も公表していませんでした。
 これについて市民団体の男性が情報公開を請求し、8月、県の審査会が公開すべきと答申したことを受け、滋賀県の三日月知事は、搬出先が前橋市の産業廃棄物処理施設であることを示す文書を初めて公開しました。
 県によりますと、木くずは施設で処理された後、北関東の企業の敷地に運び込まれたということですが、その後の行方は確認していないということです。
 市民団体の池田進代表は、「搬出先を隠し通してきた滋賀県の責任は重い。これをきっかけに木くずがどこに拡散したか、全容が明らかになることを望む」と話しています。
 一方、滋賀県は、「風評被害につながるとして公開しなかった判断は正しかった」と話しています。
 木くずの搬出先については、ことし7月、大津地方裁判所が検察に対して開示を命じる決定を出し、検察がこれを不服として最高裁判所に特別抗告しています。

**********毎日新聞 2015年09月17日 地方版
汚染木くず:前橋で処理 既に市外業者に売却 滋賀県公表 /群馬
 東京電力福島第1原発事故で放射性セシウムに汚染され、滋賀県に不法投棄されていた木くずが、前橋市の産業廃棄物処理施設に運ばれ破砕処理されていたことが16日分かった。滋賀県が、県情報公開審査会の答申を受けて初めて公表した。前橋市によると、木くずは既に市外の業者に売却されたという。滋賀県は最終処分地については明らかにしていない。
 汚染された木くずを巡っては、滋賀県高島市の琵琶湖岸の河川敷に放置されているのが2013年9月に発覚。東電から損害賠償金を受け取るために福島県の製材業者から木くずを引き取り、約310立方メートル分を許可なく捨てたとして、東京都の男性が廃棄物処理法違反罪で執行猶予付き有罪判決を受けた。
 放置された木くずは14年2月までに男性が高島市から撤去したが、滋賀県は搬出先を明らかにしてこなかった。前橋市の産廃処理施設で破砕処理したことも市側に12月まで知らせていなかった。市によると、今年4月になって施設近くで空間放射線量を測定したが、基準値未満の結果だったという。
 滋賀県の住民が、木くずの搬出先の産廃事業者に事業許可を出した自治体名を公開するよう請求。県情報公開審査会が今年8月に公開するよう答申したことを受け、県が16日、前橋市だと明らかにした。

**********毎日新聞 2015年09月19日 地方版
高島の汚染木くず放置:前橋で「適正処理」 売却先は公表せず /滋賀
 東京電力福島第1原発事故で放射性セシウムに汚染され、高島市に不法投棄された木くずが、前橋市に運ばれて破砕処理されていた問題で、前橋市は17日、「木くずは指定廃棄物ではなく、廃棄物処理法の規定に沿って適正に処理されていた」と発表した。処理された木くずの売却先は公表しなかった
 前橋市などによると、2013年12月〜14年2月、木くず約310立方メートル分が市内の産業廃棄物中間処理業者に持ち込まれ、破砕処理された後、市外の複数の業者に売却された。投棄された時点でのセシウム濃度は最大1キロ当たり3900ベクレルで、指定廃棄物の基準値(1キロ当たり8000ベクレル)を下回っていた。市が滋賀県から市内の処理施設に搬入されたと知らされたのは14年12月。既に木くずは売却済みで、施設内の空間放射線量は除染を必要としない値だった。【田ノ上達也】

**********共同通信2015年09月17日 18:41
汚染木くず、前橋で処理 滋賀から持ち込み
 滋賀県高島市の河川敷に放射性セシウムに汚染された木くずが不法投棄された事件で、前橋市は17日、東京のコンサルタント会社が2013年末から昨年2月の間、河川敷から撤去した木くず約310立方メートルを前橋市内の産業廃棄物中間処理業者に持ち込み、処理されたと発表した。
 処理された木くずは市外の業者に売却されたが、市は「風評被害につながる」として売却先を明らかにしなかった。
 市は昨年12月に滋賀県からの情報提供を受けて業者を立ち入り検査したが、違法性はなく、施設内の空間放射線量も問題はなかったという。市は「業者間で適正に処理されたと認識している」と話した。

**********東京新聞2015年9月18日
「前橋の産廃業者が処理」
汚染木くず不法投棄 滋賀県が明らかに
 滋賀県高島市の河川敷に二〇一三年、東京電力福島第1原発事故で放出された放射性セシウムに汚染された木くずが不法投棄された問題で、県は十六日、撤去された木くずが不法投棄された問題で、県は十六日、撤去された木くずを中間処理したのは、前橋市の産業廃棄物処理業者の施設だったことを明らかにした。県は風評被害の恐れがあるとして自治体名を非公表としていた。
 大津市の市民団体の男性が情報公開会請求し、県情報公開審査会が今年八月、「自治体名を公表すべきだ」と答申したため十六日、県が男性に開示した。業者名や詳しい住所は明らかにしていない。
 県によると、一三年十二月から十四年二月にかけて撤去された木くずは、前橋市内の施設で細かく破砕され中間処理された。処理後の木くずを引き取った別の業者の所在地は「北関東」としか明らかにしていない。

★放射線量は基準値以下 前橋市内の産廃処理施設 1年以上経過し測定
前橋市内の産廃処理施設 1年以上経過し測定
 前橋市は十七日、滋賀県内で不法投棄された木くずを処理した市内の産廃処理施設内で今年四月、空間放射線量を測定したところ、除染が必要となる国の基準値を下回っていたと発表した。
 市によると、この処理施設では一三年十二月から一四年二月にかけて木くずを順次持ち込まれ破砕処理されていた。測定は一年以上経過した後に実施したことになる。処理後は市外の業者に売却されたという。
 市は今年四月までに、この中間処理業者を立ち入り調査したが、サンパイ処理法などの違反は確認されなかった。
 滋賀県から知らされたのは昨年十二月で、市の担当者は「持ち込まれた時点で知らされていれば、その時に線量を測ることもできたが、知る手立てがなかった」と話した。

**********産経ニュース2015年9月18日 07:08
前橋で処理の汚染木くず、放射線量問題なし
 東京電力福島第1原発事故で放射性セシウムに汚染された木くずが滋賀県高島市の河川敷に不法投棄された事件で、前橋市は17日、東京のコンサルタント会社が平成25年末から昨年2月の間、河川敷から撤去した木くず約310立方メートルを同市内の産業廃棄物中間処理業者に持ち込み、処理されたと発表した。
 市は昨年12月5日に滋賀県からの情報提供を受けて同日と今年4月23、24日の計3回にわたり業者への立ち入り検査を実施。その結果、廃棄物処理法や放射性物質汚染対処特措法などの違反はなく、4月24日に行った放射線量の測定でも、施設内で除染を必要とする値は検出されず、問題はなかったという。市は、「業者間で適正に処理されたと認識している」と話した。
 処理された木くずは破砕処理後に市外の業者に売却されたが、風評被害につながるとして市は売却先を明らかにしなかった。
 事件をめぐっては昨年12月、廃棄物処理法違反罪で東京のコンサルタント会社社長が大津地裁で有罪判決を受けた。判決によると、社長は25年3~4月、木くずを福島県内から持ち込み、滋賀県高島市の河川敷に許可なく捨てた。
**********

■当会では、この事件は東電とその取り巻きの関係者、そして行政とサンパイ業者らが絡んだ廃棄物不法投棄問題として受け止めています。

 報道では、そのときどきの情報を断片的に伝えるだけなので、事件の全容はなかなか認識できませんが、これまでのこの放射能汚染木くず不法投棄問題に関する記事を時系列的に並べてみると、事件の流れが次第に分かってくると思います。

**********福島民友新聞2014年3月4日
汚染チップ放置で関係先を家宅捜索 滋賀県警
 滋賀県高島市野河川敷に、放射性セシウムに汚染された木材チップが放置された問題で、県警が週内にも、廃棄物処理法違反と河川法違反の疑いで、東京のコンサルタント会社など関係先を家宅捜索する方針を固めたことが3日、捜査関係者への取材で分かった。
 社長が業者に依頼し、本宮市にある製材会社から排出されたチップ約300トンを、高島市安曇川町下小川の河川敷や隣接する民有地に無断で投棄した疑いが持たれている。

**********福島民友新聞2014年3月7日
汚染木くず不法投棄疑い 業者らを家宅捜索 滋賀県警
 滋賀県高島市の河川敷に放射性セシウムに汚染された木くずが不法投棄された事件で、登記に関与した疑いがあるとして、滋賀県警は6月、廃棄物処理法違反などの疑いで、東京のコンサルタント会社など関係先十数カ所を家宅捜索した。
 県警は、押収した帳簿などの資料を分析し、全容解明を目指す。
 捜索したのは、東京の会社のほか、木屑を投棄したとされる滋賀県近江八幡市の業者、両者を仲介した神奈川県の男性宅など。近江八幡市の業者の事務所では県警の捜査員数人がパソコンなどを押収。捜索を受けた後、業者は取材に「(廃棄物の木くずではなく)堆肥だと思っていた」と話した。
 告発状などによると、昨年3月15日~4月30日ごろ、高島市安曇川町下小川の河川敷に、東京電力福島第1原発事故で汚染された木くず約310㎥を不法に投棄し、土地の形状を変更した疑いが持たれている。

**********福島民友新聞2014年3月15日
市有地に汚染くず 山梨・立ち入り禁止に
 山梨県は14日、富士河口湖町の市有地で、放射性セシウムに汚染された木くず約36立方メートルが見つかったと発表した。県はシートで覆って立ち入りを禁止し、廃棄物処理法に基づいて排出者の特定を進めている。
 県によると、木くずのセシウム濃度は、農林水産省が定めた堆肥などの暫定許容値(1キログラム当たり400ベクレル)を上回る最大3400ベクレル。付近に住宅はないため、健康被害の恐れはないとしている。
 11日に「滋賀県の不法投棄事件の関係者が富士河口湖町を含む数県に木くずを搬入した」と津法が山梨県にあり、県が調査していた。

**********福島民友新聞2015年3月16日
さまよう汚染木くず ビジネス化、問題拡大懸念
本宮から琵琶湖へ・・・経緯は
 滋賀県高島市で見つかった、放射性セシウムに汚染された木くずは、行き場を失って各地をさまよい、最終的に河川敷に不法投棄されていた。「あるはずのない」汚染木くずが、本県からどのような経緯で琵琶湖畔までたどり着いたのか。山梨県富士河口湖町でも関連が疑われる汚染木くずが見つかり、問題が拡大する可能性も出てきた。
 「関東や九州にも捨てている。山梨みたいに僕の知らないところにもあるだろう」。滋賀での投棄に関与した神奈川県の男性は、他の地域にも木くずが持ち込まれたことを示唆した。
 この男性や本件の林業関係者らによると、木くずは本宮市の製材業者から排出された。東京電力福島第1原発事故前、この製材業者は製材で出た樹皮を堆肥の原料などとして販売していたが、事故後は汚染された「木くず」となり商品化できなくなった。
 処分に困り果てた製材業者に、東京のコンサルタント会社の社長が話を持ち掛けた。「自分の農園に敷き、堆肥のようにして使う」。2012年12月中旬、製材業者は社長に処理を依頼した。社長は木くずの処理のほか、東電に対する賠償請求手続きの代行も請け負った。「社長は木くず処理の委託費などでもうけていた。金は東電から製材業者を通じて流れていた」。神奈川県の男性はこう説明する。
 本件の林業関係者は「製材業者は突然、樹皮を産業廃棄物として処理しなければならなくなり、産廃の扱い方を詳しく知らなかったのではないか」と推測する。
■受け入れ拒否
 木くずは12年12月下旬、フェリーで鹿児島県に運び込まれた。しかし、鹿児島県の堆肥業者は、本件由来であることが分かると、それ以上の受け入れを拒んだ。
 コンサルタント会社社長は、琵琶湖畔に木くずを持ち込むことを計画。神奈川県の男性を介して依頼を受けた滋賀県近江八幡地の業者が2013年3月中旬~4月下旬、木くず200~300トンを河川敷に敷き詰めた。この業者は「『道を平らにするために堆肥を敷いてくれ』と頼まれた。堆肥は神奈川県から来た」と話し、汚染については知らなかったと強調する。
 ことし2月下旬、河川敷から木くずの撤去が完了。県の測定では木くずのセシウム濃度は最大で1キロ当たり3900ベクレル。一般廃棄物と同様の処理が可能だった。県のモニタリング調査でも水質は魚などへの影響は確認されていない。
■氷山の一角
 本宮市の製材業者は取材に「滋賀県に樹皮のサンプルを提供し、うちの樹皮なのか確認してもらっている。詳しくはコメントできない」と言葉少なに話した。
 滋賀県警は今月6日、コンサルタント会社や本宮市の製材業者など関係先を家宅捜索。全容解明に向け調査が始まった。
 本件の林業関係者によると、本宮市の製材業者の排出量は月200~300トンと推定される。この関係者は「滋賀県に放置された木くずの量は、1か月分にしかならない。原発事故直後から相当な量があったはずで、氷山の一角だろう」と指摘する。
<汚染木くずの不法投棄の流れ>
●東京電力
↓賠償金など
●本宮市の製材業者
↓委託費、木くずなど ↑営業
●東京のコンサルタント会社社長  →→→木くず→→→関東など?
↓      ↓木くず ↑拒否
↓      ●鹿児島県の堆肥業者
 ↓木くず
(●神奈川県の男性(仲介))
 ↓木くず
●滋賀県の業者
 ↓琵琶湖畔へ投棄

**********ディリ―スポーツ2014年4月4日
東電、コンサルに4億円支払いか
 滋賀県高島市の河川敷に放射性セシウムに汚染された木くずが大量に不法投棄された問題で、関与した東京のコンサルタント会社社長に、東京電力が処理費用などとして賠償金計約4億円を支払ったとみられることが4日、県警捜査関係者への取材で分かった。
 別の関係者によると、木くずは福島県本宮市の製材業者が排出。コンサル社長は、この業者から木くずの処理と東電に対する賠償請求手続きの代行を請け負っていた。
 東電によると、賠償金は、申請書類をもとに支払いの適否を判断するが、広報担当者は「個別の案件については回答できない」と話している。

*********読売新聞 2014年09月26日 10時58分
セシウム木材投棄、元キャリア官僚の社長を逮捕

河川敷に投棄された放射性セシウムが付着した木材チップ(2013年11月撮影)=滋賀県提供
 滋賀県高島市で昨年、鴨川河川敷に放射性セシウムが付着した樹皮などの木材チップが投棄された問題で、県警は25日、経営コンサルタント会社社長の田中良拓容疑者(42)(東京都中野区)を廃棄物処理法違反と河川法違反の疑いで逮捕した。
 容疑を否認している。
 発表によると、田中容疑者は神奈川県内の男、滋賀県内の建設会社社長の2人と共謀。昨年3~4月、高島市安曇川町の鴨川河川敷に長さ約570メートル、幅約5メートルにわたり、廃棄物であるチップ約300立方メートルを県の許可なく廃棄、土地の形状を変更した疑い。
 県によると、検出された放射性セシウムは1キロ当たり最大3900ベクレルで、国の指定廃棄物の基準(1キロ当たり8000ベクレル超)は下回っていた。今年2月までに撤去され、県などが告発していた。
 捜査関係者らによると、チップは福島県内の製材会社の所有だったが、東京電力福島第一原発事故後、田中容疑者が無償処理を持ちかけ、製材会社から引き取った。田中容疑者はその後、チップの処分費用として東電から約4億円を受け取った。しかし、チップは結局、処分されず、一部が鴨川河川敷に投棄されたという。東電は「個別案件については答えられない」とする。
 捜査関係者によると、田中容疑者は旧郵政省の元キャリア官僚。神奈川県の男を通じ、滋賀県の建設会社社長にチップの処分を依頼したとされる。これまでの読売新聞の取材に対し、神奈川県の男は「放射性物質に汚染されたものとは知らなかった」と説明。滋賀県の社長は「(神奈川県の男から)河川敷に運んでほしいと言われただけだ」と話していた。県警はこの2人からも事情を聞いている。

**********共同通信2014/11/06 18:12
汚染木くず5千トン放置 「関東や九州」と検察指摘
 滋賀県高島市の河川敷に放射性セシウムに汚染された木くずが不法投棄された事件で、廃棄物処理法違反などの罪に問われた東京のコンサルタント会社社長田中良拓被告(42)の初公判が6日、大津地裁(赤坂宏一裁判官)であった。検察側は高島市だけでなく、木くず約5千トンが関東や九州に不法投棄され、現在も放置されていると指摘した。
 田中被告は起訴内容を認め、検察は懲役2年、罰金100万円を求刑し、公判は結審した。判決は12月2日。
 検察の冒頭陳述によると、田中被告は、東京電力福島第1原発事故で汚染された木くずの処理を委託され、高島市や関東、九州などに搬出して投棄した。

**********毎日新聞 2014年11月20日(水)15時0分配信
最終更新:11月20日(水)15時0分
<汚染木材>放射性セシウム、滋賀県の4倍検出 NPO測定
 滋賀県高島市の琵琶湖畔に放射性物質に汚染された木材チップが放置されている問題で、京都のNPO法人がチップから1キロ当たり約1万2000ベクレルの放射性セシウムを検出したことが20日、分かった。県が公表した濃度の4倍にあたり、国が処分する指定廃棄物の基準値8000ベクレルを超えていた。県の濃度が低かった理由として、台風の後で雨水を大量に含んだ状態での測定が原因とみられ、専門家は「やり方が不適切だ」と指摘している。
 一方、県は「汚染の疑いが強まった時期が雨の後だった。測定方法に問題はないと考えているが、撤去する際に再調査も検討したい」としている。
 問題のチップは約300トン(約580立方メートル)あり、今年3月から高島市の鴨川河川敷に勝手に置かれ、一部は袋入りで放置されている。県などの調べでは、東京都の会社経営者が東京電力福島第1原発事故で汚染された木材チップを、福島県の製材会社を通じて、滋賀県内に運び込んだとみられる。
 今回、測定したNPO法人「市民環境研究所」(京都市)代表の石田紀郎(のりお)・元京都大教授(環境毒性学)らメンバーは10月31日、放置現場4地点でチップを採取。含まれた水などを3日間自然乾燥させた後、測定装置で調査。1キロ当たり約1万2000ベクレルの放射性セシウムを検出した。
 一方、滋賀県は9月6日に7地点でチップを採取。県衛生科学センターで測定し、1キロ当たり約3000ベクレルの放射性セシウムを検出したと同17日、公表した。しかし、気象庁などによると、現場周辺は台風17号などの影響で、県がチップを採取した前々日までの4日間に約100ミリの雨が降っていた。このため、県によると、チップは含水率60〜70%の状態だったという。
 木材チップを巡っては、滋賀県が9月以降、放置現場周辺の河川水や近くの川に生息する魚を調べているが、いずれも放射性セシウムは検出されていない。【千葉紀和】
◇「雨後の県測定、不適切」
 汚染濃度測定について、環境省廃棄物対策課は「雨後など極端な状態での測定は適切ではない」と指摘。汚染濃度の測定法マニュアルを策定した山本貴士・国立環境研究所主任研究員も「含水率70%は試料の取り方としてあり得ない」と話す。
 ただ、環境省が3月に示した放射能濃度測定のガイドラインには、木材チップの測定に関する基準がない。そのため、滋賀県廃棄物監視取締対策室は「ありのままを測るべきと考えた」と説明する。
 一方、放射能測定に詳しい塚田祥文・福島大特命教授(環境放射生態学)は「水分を大量に含むと1キロ当たりの値が下がるため含水率が変わりやすいチップなどは風乾(自然乾燥)後に測るのが一般的。被災地のがれきなどはそのまま測ることもあるが、行政が影響を正しく住民に伝えることが目的なら、常識的な測定で濃度を公表すべきだ」との考えだ。
 放射性物質汚染対処特別措置法は、被災地から離れた場所に放置された汚染物質を想定しておらず、木材チップの放射性セシウムの汚染濃度が8000ベクレルを超えたことが確認されれば、今後、国との協議も必要になる。測定したNPO法人の石田紀郎代表は「住民の不安を解消するには正確な再測定を直ちに行うべきだ」と指摘している。【千葉紀和】
【ことば】指定廃棄物
 東京電力福島第1原発事故で発生した、1キロ当たり8000ベクレル超の放射性セシウムを含む焼却灰や汚泥などの廃棄物。放射性物質汚染対処特別措置法に基づき環境相が指定し、国が責任を持って発生した都道府県内で処分するのが基本方針。今年8月末現在、11都県で計13万2738トンに上り、各地で処分場不足が問題化している。

**********【時事ドットコム】2014年12月2日 16:59
放射能木くず投棄で有罪=「原発事故被害の拡散」-大津地裁
 滋賀県高島市の河川敷に、放射性物質に汚染された大量の木くずが不法投棄された事件で、廃棄物処理法違反罪に問われた経営コンサルタント会社社長田中良拓被告(42)の判決が2日、大津地裁であり、赤坂宏一裁判官は懲役1年6月、保護観察付き執行猶予3年、罰金100万円(求刑懲役2年、罰金100万円)を言い渡した。
 赤坂裁判官は、同被告が東京電力福島第1原発事故で汚染された木くずを処理する事業がうまくいかず、処置に困って投棄したと指摘。「原発事故の被害を拡散させて利益を得たと見ることも可能で、責任は軽視できない」と述べた。
 判決によると、田中被告は昨年3~4月、原発事故で汚染された木くず約310立方メートルを河川敷に投棄した。

■次の記事は、放射能汚染問題とは直接の関係は有りませんが、滋賀県高島市から排出された焼却灰(ばいじん)に高濃度のダイオキシンが含まれていたのに、同市が検査データを改ざんして神戸市沖の埋め立て処分場に搬入していた問題についての報道記事です。神戸市は、高島市から搬入された焼却灰(ばいじん)の放射線量も計測して確認したのでしょうか。不安があります。

**********神戸新聞2015/3/27 10:15
高島市ダイオキシン問題 搬入停止解除へ 神戸市沖
 滋賀県高島市が、基準値を超えるダイオキシンを含むばいじんを神戸市沖の埋立処分場(同市東灘区)に持ち込んでいた問題で、処分場を管理する大阪湾広域臨海環境整備センターは26日、高島市に対する搬入停止措置を30日付で解除する方針を固めた。解除は10カ月ぶり。設備の改良や職員研修といった同市の改善策などを踏まえ、再発の恐れがないと判断したという。
 高島市は2007年以降、1グラム当たり3ナノグラム(ナノは10億分の1)の基準値を超えるダイオキシンを含んだばいじん計600トン超を、検査データを偽って処分場に搬入。センターは、昨年5月に同市から報告を受け、受け入れを停止していた。
 同市は、措置の解除に向けて第三者調査委員会を置き、職員の安全衛生研修など再発防止の取り組みを開始。センターは、同市への立ち入り調査や昨年11月~今年2月のダイオキシン検査なども踏まえ、安全性を確認できたと判断した。
(小川 晶)
**********

■このように高島市に不法投棄された福島県から持ち込まれていた大量の放射能汚染木くずは、さまざまな方面にトラブルを与えていますが、まさか群馬県の前橋市内にも持ち込まれていたとは、驚きです。なぜ前橋市はすぐに公表しなかったのでしょうか。

 つづいて、放射能汚染木くず問題を更に掘り下げていきたいと思います。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告・この項続く】
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