市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

前日の風で見頃のピークが潰えた奥日光の紅葉

2016-10-30 23:58:00 | 国内外からのトピックス
■今年も奥日光の紅葉見物に出かけました。10月29日の土曜日の昼過ぎに沼田市で国道17号線から国道120号線に入り、日本ロマンチック街道とも呼ばれる群馬と栃木を結ぶ道路としてはもっとも北に位置するルートを走行しました。あいにく曇り空で、せっかくの紅葉も鮮やかさが今一つでしたが、かなり見ごたえがありました。途中金精峠では雨粒がフロントガラスを濡らしましたが、栃木県側に抜けると少し日差しが出て来た代わりに強い風が東から吹き上げてきました。







 中禅寺湖畔につくころは午後5時近くとなりました。さすがに海抜が高いので日が暮れると冷え込みます。いつもこの時期に宿泊する施設の建物のすぐわきにあるモミジの木は、期待に違わず見事な紅葉を見せていましたが、前日からの風で、木の上部はかなり散ってしまっていました。









 日光側からいろは坂を上ってきた人の話では、もし前日に強風が吹かなければ、中禅寺湖畔でもまだまだ美しい紅葉が拝めたが、今週は天候もいまいちなので、いろは坂は拍子抜けするくらい道が空いていたとのことでした。

 また、中禅寺湖畔で、長年改修中だった英国大使館の旧別荘がようやく完成したのだそうです。ここに来る途中で、旧別荘をモチーフにした記念公園に立ち寄ってきたその人の感想によれば、以前から観光スポットとなっているイタリア大使館の旧別荘と同じような雰囲気で、規模はイタリア大使館の旧別荘の方が少し大きく、趣もあったとのことでした。




日光国立公園の特別地域及び特別保護地区内である奥日光国有林丸山地区事業区にある関電工の保養施設(右上)。特例で国立公園内に施設を設置してもらっているのに、なぜ群馬県の県立公園でもある赤城山の南麓では住民の反対を無視してバイオマス発電施設をつくるのか。

 硫黄泉につかり、奥日光で一晩を過ごしたあと、翌日は朝9時ごろ宿泊地を出発しました。中善寺湖は深い霧に覆われ、幻想的な風景でした。岩肌を彩る赤や黄色のグラデーションを車窓に眺めつつ、標高差約500mのいろは坂を下りました。地元の人によれば、昨年の紅葉は10年ぶりの見事なものだったが、今年は気候のせいか、色の鮮やかさがいまひとつ物足りない状況だということです。

 それでも、途中何カ所かある展望スポットでは、道路わきに車を停めて深まりゆく秋の色づきを写真に収める人たちで賑わっていました。驚いたのは外国からの観光客と思しき人たちの姿が目立ったことです。今や日光は、年中、ほとんど切れ間なく外国人観光客の皆さんが押し寄せており、その人たちが日本の秋の風物詩である紅葉を見ようと、奥日光にも足を延ばしていることは明らかです。

 ほとんど渋滞もなくいろは坂(正式には第一いろは坂)を下りきると、反対側の上り車線(第二いろは坂)は既に長い列の車がノロノロ運転をしていました。



 総延長 94.2 km(栃木県区間 : 41.7 km、群馬県区間 : 52.5 km)といわれる国道120号線をほぼ走り終えて、日光市内で国道122号に入り、通称「あかがね街道」とよばれる道路を群馬県のみどり市大間々方面に向けて車を走らせました。途中、草木ダムに立ち寄りましたが、駐車場には大型バイクでツーリングを楽しむ年配者グループがたくさん目につきました。




草木ダム湖。かつて230戸あった集落が水没することになったため、激しい反対運動が起きた。にもかかわらず建設が強行された場所だ。ダム湖の場合、このように人為的に水位が変動するため、自然の美しさに欠ける。そのせいかダム湖百選といっても65しか推薦できていないのが現状。群馬からは八木沢、奈良俣、相俣、下久保、野反そしてこの草木ダムの6カ所。

 こうして暮れゆく秋の深まりを堪能したひとときでしたが、間もなく今月下旬には、はやくも金精峠は通行止めとなり、深山の木々も落として厳しい冬に備えて冬支度を急いでいる風情でした。

【ひらく会旅行部】

※奥日光の紅葉の見ごろ予報
戦場ヶ原・光徳(標高1,400 m)10月20日~
竜頭ノ滝(標高1,350 m)10月20日~
小田代ヶ原・西ノ湖・千手ガ浜(標高1,300 m)10月20日~
中禅寺湖・八丁出島・立木観音(標高1,300 m)10月20日~
いろは坂 (標高850~1,250 m)10月25日~


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高崎市議会議員に適用される無質問期間の長さと政務活動費不正支出金額との間の相似法則

2016-10-28 21:37:00 | 高崎市の行政問題
■2016年10月15日の当会定例会で、高崎市在住の会員から、「一般質問をしない期間がトンデモなく長い議員がゾロゾロいる」という報告があり、その内容を、10月18日の当会ブログに掲載させていただいたことは、読者の皆様の記憶に新しいことと思います。
〇2016年10月18日:高崎市議会の無質問議員…最大15年間一度も一般質問をしない議員は誰?
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2146.html


10月27日晩のNHKホット群馬でも報道。
ユーチューブ: https://youtu.be/-PJhTjjGIHw

 当会会員は、「一般質問をしない議員は行政の監視役を放棄しているのだから、政務活動費もおそらくヘンな使い方をしているはずだ」と考えて、先日、高崎市議会議員の政務活動費についても、調査を始めました。

 その過程で判明したことは、平成13年9月から15年 1ヶ月も一般質問をしていないダントツの無質問議員である新風会の柴田和正センセイが、議会事務局に対して平成27年度の政務活動費収支報告を2016年4月28日にしたのに、5カ月も経過していない9月13日に政務活動費の広聴費について、修正届をしていたことです。

 これは明らかにタイミング的に、9月上旬には既に富山市議会の政務活動費不正使用の問題発覚と合致しています。なぜならこの時は、富山市議会で、順番に議員辞職が始まった頃だからです。柴田和正センセイも、何かを胸騒ぎを感じられて、「とりあえず収支報告書修正届と129,680円を返金しておけば無難かな?」などと思われたのでしょう。

 その時、閲覧した資料から、関係する書類を確認しました。スナップ写真でご覧ください。


柴田和正センセイの領収書。

柴田和正センセイの修正届。

柴田和正センセイの収支報告書。

柴田センセイの会計帳簿。

柴田センセイの広聴費。

■まだ詳しく調べていないため、裏付け調査等などが必要ですが、おそらく富山市議会と同様に「カラ」会議だった可能性もあります。この分だと過去に遡って相当調べる必要がありそうです。時間を見ながらさらに調査を進めたいと考えています。なにしろ、柴田和正センセイといえば、議長経験時を除けば14年間も一般質問をしていないトンデモ議員です。一般質問もしないのに、どのような政務活動をしていたのか、その経緯について、ご本人が説明責任を果たすとは到底思われますので、納税者としては、きちんと把握しておきたいと思います。

 悪意をもって不正支出を繰り返していたのですから、少しだけ「修正返金した」というポーズを示せば許されると思っているのでは困ります。やはり、富山市議同様に、「議員辞職」というけじめをつけた対応が必要だと痛感させられます。

■そうこうしているうちに、なんと、既に新聞に次の記事が掲載されていたことが判明しました。当会会員のように富山市議会と同じ穴のムジナが高崎市議会にも救っていると考えていた記者がマスコミにもいたことは、まだ群馬県にもジャーナリズムの名残は残っているようです。さっそく当該記事をチェックしてみました。

**********毎日新聞2016年10月27日 地方版
高崎市議3人、不適正支出 報告書修正、総額296万円返還 /群馬
 全国で不適正な使途が問題になっている政務活動費について、高崎市議3人が「政務活動費で認められない後援会活動などに支出していた」として、収支報告書を修正し、返還したことが26日、市議への取材でわかった。3人の返還総額は、市議会に書類が保存されている2011年度から5年分で約296万円に上る。【増田勝彦】
 高崎市議会では、政務活動費の使途について、運用指針で、政党、選挙、後援会などの活動経費は不適当と明示されている。
 最高額の約215万円を返還した議員は、支持者に送ったはがきの印刷代と郵送料計約179万円と、市内の式場で開催した3回の会合の会場費などを支出していた。取材に対し、「はがきは『市議会近況報告』の表題をつけて、議会の状況を知らせるものとして作成したが、後援会の名簿を使って送付していたので修正した。会合も後援会主導だった。後援会活動に関する認識が甘かった」と語った。
 別の1人は、今年1月に市内の式場で開いた後援会主催の新年会の開催経費として、会場費9万5680円とお茶・ジュース代3万4000円を政務活動費で支出した。議員によると、毎年ほぼ同額の経費を計上しており、5年分で約59万円を返還した。この議員は「会合の中でしっかり『市政報告』をしており、政務活動費で支出できると考えて処理してきたが、富山市議会などで使途が大きな問題になり、自身の支出を再チェックして不適当と判断した」と述べた。
 もう1人も、今年1月にJA施設で開いた会合の会場使用料4万円、緑茶代2万350円など、5年分の会合経費約17万円を返還した。さらに15年度に支出した「フェイスブック立ち上げ事務手数料」4万円も返還し、返還額は約21万円。議員は「会合は、第1部を(政務活動費を使える)市政報告会、第2部を(使えない)後援会新年会と2部制と自分では考えてきたが、参加者の意識は全部新年会だったので修正した」と説明した。フェイスブックについては「新しい発信ツールとしてホームぺージ管理を依頼している人に立ち上げてもらったが、利用しなかったので返還した」と説明した。
 高崎市議会の政務活動費(12年度までは政務調査費)は1人年間100万円。共産党市議団は会派、他は個人に交付されている。

**********上毛新聞2016年10月28日
PDF ⇒ 20161028vl.pdf
高崎市議3人が政活費295万円返還
支持者へのはがきや会合費

 高崎市議会の最大会派「新風会」に所属する市議3人が、市議会の運用指針で認められていない後援会活動に政務活動費を使ったと受け取られかねないとして、収支報告書を修正していたことが27日、分かった。富山市議会の不正支出問題を受け、2011~15年度を見直し、計約295万円を返還した。
 市議らによると、市議会として使途の透明化に努めている状況を踏まえ、“クレーゾーン”と判断した部分を返還したという。
 約215万円を返した市議は、市政報告として支持者に送ったはがきの印刷代や輸送料、会合の会場使用料などに支出した。別の市議も市政報告の会合経費として会場使用料やお茶代などに支出したが、「後援会活動との線引きが難しい」と約59万円を返還した。もう1人は同様の会合経費約17万円と「フェイスブック立ち上げ事務手数料」の約4万円を返した。
 同市議会の政務活動費は1人年間100万円。共産党市議団は会派への交付を、他は個人への交付を選択している。
**********

■まさに当会の会員の方の狙いどおりの内容記事です。上毛新聞記者に先を越された感はありますが、高崎市議会の政務活動費の問題について、当会会員からさきほど「議員個人を特定しましたのでお知らせ致します」との報告がありました。

 会員のかた曰く、「昨日10月27日に高崎市役所へ平成25年度・26年度分の政務活動費の領収書の情報開示請求をしたところだったので、(上毛新聞の記事)は何という偶然なのでしょうか?」と非常に驚いたそうです。

 とりあえず当会会員が閲覧できたのは、現時点では平成27年度分だけです。しかし、これまでの調査の結果から伺えるのは、おそらく、上毛新聞で報じられた「215万円を返還した議員」というのは田中治夫センセイのことと思われます。

 なお、「59万円を返還した議員」は柴田和正センセイだと思われます。さらに、「21万円を返還した議員」は柄沢高男センセイに間違いなさそうです。

■田中治夫センセイは10月17日に27年度分として19万円を返還しています。残りの約196万円は27年度以外の過年分です。

 柴田和正センセイは上述のとおり9月13日に129,680円を返還しています。残りの約46万円は、27年度以外の過年分です。

 柄沢高男センセイは9月29日に100,350円を返還しています。残りの11万円は過年分です。フェイスブックにログインするのに4万円も掛ける御仁には、本当に行政の監視ができるのでしょうか?高崎市民の皆さま、どう思われますか?

■それでは、あらためて各センセイの修正申告の内容を見ていきましょう。

<議員番号33番・柄沢高男センセイの場合>

①収支報告書補正届

②収支報告書(議員用)

③会計帳簿表紙

④政務活動費会計帳簿

⑤広聴費


⑥領収書

<議員番号36番・柴田和正センセイの場合>

①収支報告書補正届

②収支報告書(議員用)

③会計帳簿表紙

④政務活動費会計帳簿

⑤広聴費

⑥領収書

<議員番号38番・田中治夫センセイの場合>

①収支報告書補正届

②収支報告書(議員用)

③会計帳簿表紙

④政務活動費会計帳簿

⑤広聴費

⑥領収書

■どこかのマスコミに取材を要請して、高崎市議会を舞台にした不正支出の実態を、ぜひ特番としてオンエアしてもらいたいものです。勿論タイトルは「15年間ものギネス級無質問期間を誇る市会議員!それも二人も!」という感じでお願いしたいものです。

 当会の知り合いのマスコミ記者らに声掛けをしてみる価値は十分あると思います。

 その場合、地方議員問題を得意とするマスコミに取材に来てもらい、徹底的にインタビューや記者会見を通じて、高崎市議会に蔓延る無質問議員の実態を暴き、なにもしないのに政務調査費だけは第二の報酬と勘違いしてネコババしている市議らの実態を全国に広めてもらいたいと思います。そして、群馬県からも第二、第三の野々村議員をムショに送り込めれば、なお幸いです。

 会員のかた曰く、「政務活動費の領収書を見ていると、言葉は悪くなるけれど、まるで乞食の証拠を見ているようで、怒りで手が震えるほどだった」ということですので、高崎市民の皆さん、時間があったらぜひ議会事務局で、上記の3名のセンセイの領収書の綴りを過去に遡ってチェックしてみましょう。。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

※参考情報「政務活動費の区分」について
**********
 議会事務局で、政務調査費の資料を閲覧する際に次の支出区分と項目を座右に置きながら、ご覧になってください。
 いずれの項目も悪事の温床として利用されかねませんが、今回の長期間無質問議員センセイかたが目を付けた広聴費のところを赤字でハイライトしてみましたので参考まで。

**********
●区分:会派に係る政務活動費及び議員に係る政務活動費
◎項目:内容
 研修費:会派又は議員が研修会を開催するために必要な経費及び団体等が開催する研修会の参加に要する経費
 調査研究費:会派又は議員が行う市の事務、地方行財政等に関する調査研究及び調査委託に関する経費
 資料購入費:会派又は議員が行う活動のために必要な図書、資料等の購入に要する経費
 広報・広聴費:会派又は議員が行う活動及び市政について住民に報告するために要する経費並びに会派又は議員が行う住民からの市政及び会派又は議員の活動に対する要望及び意見の聴取、住民相談等の活動に要する経費
 要請・陳情活動費:会派又は議員が要請及び陳情活動を行うために必要な経費
 人件費:会派又は議員が行う活動を補助する職員を雇用する経費
 事務所費:会派又は議員が行う活動に必要な事務所の管理に要する経費
 事務費:会派又は議員が行う活動に係る事務の遂行に要する経費
●区分:議員に係る政務活動費
◎項目:区分
 会派共用費:所属する会派において議員が共同で使用する物件に要する経費及び共同で行う事業に要する経費
**********

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アカハラと寮生死亡事件に揺れる群馬高専・・・アカハラ情報不開示に対してオンブズマンが東京地裁に提訴

2016-10-26 23:30:00 | 群馬高専アカハラ問題
■2014年1月から2016年1月に掛けての2年間に群馬工業高等専門学校(群馬高専)では3人の男子学生が亡くなりました。いずれも寮生でした。一方、2014~2015年にかけて、同校電子情報工学科教授による学生らへの罵倒や人格否定、脅迫を伴ったアカデミックハラスメントにより学生や教官の間に多数の被害者が出ました。

本日午後1時半、訴状提出後、東京地裁民事受付の窓口でくれた受付票。法人文書不開示処分取消請求の事件番号は「平成28年(行ウ)499号」で担当部署は「東京地方裁判所民事第3部」と決まった。
※受付票:PDF ⇒ 20161026_tokyo_chisai_uketsuke_hyo.pdf

 このうち、寮生連続死亡事件については、曲がりなりにも、群馬高専側が国立高等専門学校機構(以下「機構」)に対して報告を上げるために不十分な情報収集ながらも事件・事故報告書を作成していたことがわかり、これは亡くなった学生の氏名等は黒塗りでしたが、かなりの部分は開示されました。

 一方、アカハラ事件については、2015年4月15日に群馬高専側に対してアカハラに関する公開質問状を提出しましたが、一切拒否されてしまいました。そのため、当会では2015年6月26日に法人文書開示請求を行い、必要な情報の入手を図ろうとしました。しかし、同7月23日には呆気なく不開示処分通知を学校側が出してきました。そこで、同8月31日付で異議申立書を提出していたところ、学校側は機構にそれを上げて、機構から内閣府情報公開・個人情報保護審査会に諮問をしました。その結果、2016年3月2日付で同審査会は「本件文書の存否を明らかにしないで開示請求を拒否した決定は、取り消すべきである」との結論を機構を通じて群馬高専側に伝えました。

 ところが同日、群馬高専と機構は、存否だけを明らかにしただけで、肝心の法人文書はことごとく不開示処分に当たると、決めてしまったのでした。

 それから明日で半年が経過する前日の10月26日(水)午後1時30分に、当会は霞が関の東京地裁に赴いて、14階北棟にある民事受付窓口を訪れて、次の内容の訴状を提出し、受理されました。内容は次の通りです。

*****訴状*****PDF ⇒ 20161026i.pdf

            訴  状

                      平成28年10月27日
東京地方裁判所 御中
                     原 告   小 川   賢

〒371-0801 群馬県前橋市文京町一丁目15-10(送達先)
               原    告    小 川   賢
               電話:090-5302-8312
                  (市民オンブズマン群馬代表・小川賢)
                  又は 027-224-8567
                  (市民オンブズマン群馬事務局長・鈴木庸)
               ファクシミリ:027-224-6624
〒193-0834 東京都八王子市東浅川町701-2番地
               被    告   独立行政法人国立高等専門学校機構
               電話:042-662-3120(代表)
               ファクシミリ:042-662-3131

法人文書不開示処分取消請求事件 

  訴訟物の価格  金160万円(算定不能)
  貼用印紙額   金13,000円

                 請求の趣旨

1 被告が原告に対し、平成28年4月27日付群高専総総第105号で行った次の文書
① 平成26年(2014年)4月1日以降、現在に至るまでの間に、貴学内の関係者(教職員、学生を含む)或いは貴学外の関係者(卒業生、同窓生、保護者を含む)に対して、学内のハラスメント行為に関して発信した一切の文書。
② 平成26年(2014年)4月1日以降、現在に至るまでの間に、学内のハラスメント行為に関して、学校長ら貴学幹部、あるいは総務課や学生相談室、カウンセラーあてに、貴学内(教職員、学生を含む)或いは貴学外の関係者(卒業生、同窓生、保護者を含む)から寄せられた申立や相談などの一切の文書。
③ 上記②の受付後、貴学内に置いて対応等を協議した場合は、その起案書や議事録などの一切の関連文書。
の不開示決定処分を取り消す。 
2 訴訟費用は被告の負担とする。
との判決を求める。

                 請求の原因

第1 原告の情報公開請求と被告の不開示決定処分
1 原告は、平成27年6月26日、被告に対し、独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(以下「本件法律」という)第4条第1項の規定に基づき、請求の趣旨記載の法人文書(以下「本件文書」という)の開示請求を行った(甲1号証)。
2 しかるに、被告は、平成27年7月23日到達の本件文書の不開示決定通知書をもって、全面不開示処分をなした(甲2号証)。
3 上記不開示決定通知書には、不開示の理由について、本件法律第8条に該当するとして、以下のとおりの記載があった。 
ア 本件文書については、その存否を応えることにより、ハラスメント行為に寄せられた申立や相談などがあったという事実の有無を示すことになる。
イ したがって、その事案の性質に鑑みプライバシー保護の観点から、その存否をあきらかにすることはできない。
4 このため原告は、平成27年8月31日に行政不服審査法に基づき被告に異議申立書を提出した(甲3号証)。
5 すると被告は平成27年11月19日付27高機総第70号で本件文書の不開示処分について内閣府の情報公開・個人情報保護審査会(以下「本件審査会」という)に諮問したことを原告に通知した(甲4号証)。
6 このため原告は平成27年11月30日に本件審査会に対して意見書を提出した(甲5号証)。
7 本件審査会は、平成28年3月2日付平成27年(独情)答申第73号で、本件異議申立てについて被告に答申を行った(甲6号証の2)。それを受けて被告は平成28年4月27日付28高機総第20号で決定書謄本を原告に送付した(甲6号証の1)。
8 同日の平成28年4月27日付群高専総総第105号で、被告は原告に対して本件文書の存在について、①については3件、②について2件、③について1件の合計6件の情報が存在することを認めたものの、本件文書についてはあらためて全て不開示決定処分(以下「本件処分」という)をなした。(甲7号証)。
9 上記不開示決定通知書には、不開示の理由について、本件法律第5条第1号に該当するとして、以下のとおりの記載があった。
ウ 本件文書については、個人情報を含み、公にすることによって、個人の権利・利益を害するおそれがある。

第2 本件処分の違法性について
 被告が挙げる非開示の事由は、本件文書には当てはまらない。その理由は以下の通りである。
1 本件法律5条1号の事由(個人情報)の非該当性
本件法律が行政文書に記載されている個人氏名を非開示事由としたのは、個人のプライバシー保護のためであるが、但し書きロとハには、次の除外規定が定められている。
ロ 人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報
ハ 当該個人が公務員等(国家公務員法 (昭和二十二年法律第百二十号)第二条第一項 に規定する国家公務員(独立行政法人通則法第二条第四項 に規定する行政執行法人の役員及び職員を除く。)、独立行政法人等の役員及び職員、地方公務員法 (昭和二十五年法律第二百六十一号)第二条 に規定する地方公務員並びに地方独立行政法人(地方独立行政法人法 (平成十五年法律第百十八号)第二条第一項 に規定する地方独立行政法人をいう。以下同じ。)の役員及び職員をいう。)である場合において、当該情報がその職務の遂行に係る情報であるときは、当該情報のうち、当該公務員等の職及び当該職務遂行の内容に係る部分
このうちロについては、アカデミックハラスメント(以下「アカハラ」という)を受けた被害者(学生及び一部職員)の生命、健康、生活を保護するためには、まず、被害者一人一人に氏名や性別や所属クラス等の情報を公開しても良いかどうか確認したうえで、氏名等の公開を望まない被害者に対しては当該情報個所を不開示にすることはやむを得ないものの、それ以外のアカハラの実態を記した本件文書を公表することは実態の真相究明、責任所在の明確化、再発防止策の確立のために必要不可欠である。
また、ハについては今回、アカハラを加えた関係者(特定の職員)及び受けた被害者(一部職員)は独立行政法人等の役員及び職員であることから、本件文書はこうした関係者が職務を遂行している学校内で発生したアカハラ情報に関するものである。よって、アカハラを加えた側、受けた側の職員の職及び当該職遂行の内容に掛かる本件情報は、氏名を含めてすべて開示されなければならない。
 このような場合は、その氏名を開示しても、その個人のプライバシーを侵害することにはならないから、本件法律第5条第1号の規定上も開示をなすべきである。かりに、請求に係る文書中に、同条項の規定上から不開示にできる部分が存在したとしても、他の記載部分は開示できる(本件法律第6条)のであるから、第5条第1号を理由にして全面不開示とすることは許されない。

第3 むすび
 以上のとおり、本件文書を不開示とした本件処分が違法であることは明らかであるから、本件処分の取消を求めるため本訴を提起した次第である。
                           以上

                証 拠 方 法

1.甲1号証    法人文書開示請求書
2.甲2号証    法人文書不開示決定通知書
2.甲3号証    異議申立書
3.甲4号証    情報公開・個人情報保護審査会への諮問について(通知)
4.甲5号証    内閣府情報公開・個人情報保護審査会への意見書
5.甲6号証の1  決定書謄本の送付について
6.甲6号証の2  別紙 答申書
7.甲7号証    法人文書不開示決定通知書

                添 付 書 類

訴状副本          1 通
証拠説明書         各1通 ※PDF ⇒ 20161026.pdf
甲号証写し         各1通 ※PDF ⇒ 20161026b17.pdf
**********

■アカハラ事件については、多数の被害者を出したにもかかわらず、加害者の教授に対して西尾学校長は何の処分も下していません。それどころか、加害者の教授自身、全く罪の意識がないのも同然だという情報もあります。2016年4月から学科長の任が解かれ、通常の教授となりましたが、これは降格ではなく、学科長の任期が切れただけという理由に過ぎません。

 ところで、当会は寮生の連続死亡事件について、事件・事故報告書等の情報開示請求を2016年6月17日に学校側に提出しました。この結果、同8月2日に部分開示されたのですが、驚くべきことに、亡くなった寮生の氏名の個所は黒塗りにされているほか、なぜかアカハラ事件の加害者である教授の名前も、黒塗りにされていることが判明しました。しかも、他の教授の氏名は黒塗りされていませんでした。

 これはいったい何を意味しているのでしょう。

 これは文科省の官僚として群馬高専に天下った西尾校長が、自らの任期中に不名誉な事件が世間に知られないように、加害者を庇い、被害者に対しては無視をすることで、アカハラそのものが学校内では発生しなかったように装い、次の天下り先への異動まで、事を穏便にやりすごそうという強い意志からくるものではないかと、当会では分析しています。

 最初の法人文書開示請求から既に16カ月が経過し、今回の提訴によっても、おそらく判決が出るのは早くて来年の今頃だと思われるところから、果たして西尾校長の在任中に、アカハラ事件に関する文書開示が実現できるかどうかは断言できません。

 しかし、市民オンブズマン群馬による今回のアカハラ情報不開示処分取消請求の行政訴訟により、アカハラを巡る酷い実態が、きちんと学校側の責任者から語られるためのお膳立てになれば、当会としても幸甚と考えます。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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安中市慣例の政治家による有権者への金品配布・・・前橋検審からの審査申立受理通知で意見書を提出

2016-10-26 21:59:00 | 政治とカネ

■安中市議会の元市議会議長の議員による地元有権者への清酒配布に関する報道記事をもとに、当会が元議長を公職選挙法違反の容疑で告発していた件で、前橋地検が起訴猶予を理由に2016年2月29日に不起訴処分にしたことを受けて、当会は2016年10月18日に前橋検察審査会に対して審査申立書を提出しました。すると、翌10月19日付で同審査会から受理通知が届きました。





*****審査申立の受理通知*****PDF ⇒ 20161019orm.pdf
                        平成28年10月19日
審査申立人 小 川   賢 殿

                        前橋検察審査会

     審査申立の受理について(通知)
 貴殿から提出された審査申立書は、10月18日(火)付けで、平成28年前橋検察審査会審査事件(申立)第20号として受理しました。
 本件について、意見書等を提出できますが、その際は、当検察審査会事務局あてに、平成28年11月18日(金)までに提出してください。
 なお、上記提出期限以降に提出する場合には、下記の問い合わせ先へ事前に連絡してください。
 おって、検察審査会の行った議決に対しては、不服を申し立てることはできませんので、予めご承知ください。
                  記
(問い合わせ先)
   〒371-8531
   群馬県前橋市大手町三丁目1番34号
     前橋検察審査会事務局
       電話番号 027-231-4275(内線470) 
**********

■そこで、当会はさっそく今回の前橋地検による不起訴処分に関して、率直な疑問や感想を意見書のかたちにまとめて、本日10月26日に前橋検察審査会事務局あてに郵送で提出しました。内容は次のとおりです。

****意見書******PDF ⇒ 20161026_ikensho.pdf
                        平成28年10月26日

前橋検察審査会 御中

                   審査申立人 小川 賢

      平成28年度前橋検察審査会審査事件(申立)第20号
               意見書等の提出

 表記事件に関する意見書等を次のとおり提出いたします。
 申立人は常に疑問を抱いているのですが、なぜ、通常の場合であれば当然起訴されてしかるべき公職選挙法違反行為が、長年政治に携わっている政治家の場合、同じ違反を犯しても、有罪判決にならず、不起訴相当、嫌疑不十分という理由で無罪になるのでしょうか。
 小渕優子代議士や甘利明代議士の事件からも明らかなように、著名な政治家の場合は本人はもとより、秘書でさえも不起訴相当となるケースが多々あります。小渕代議士の場合、申立人は東京地検に政治資金規正法違反に加えて公選法違反、旅行業法違反で告発をしました。しかし、いずれもおとがめなしに終わりました。結局秘書をしていた前中之条町長の折田謙一郎が、「自分がすべてやった」と早期に犯行を宣言していたためか、さすがに東京地検もおとがめなしとするわけにもいかなかったのか書類送検に踏み切ったものの、東京地裁では最終的に有罪判決をくだしましたが、執行猶予付きでした。
 旅行業法違反では、毎年大型バスを26台も連ねて午前と午後、明治座に観劇ツアーと称して選挙区内の有権者らを対象に旅行業法に定める登録もしないまま、長年に亘り参加者から料金を徴収していました。
 しかし、前橋市在住の長年旅行業を営んできた男性の場合、宿泊施設を紹介しただけで顧客からおカネを受け取らずに営業をしていたにも関わらず、「斡旋」だとして群馬県旅行業協会が全国旅行業協会を促して前橋東署に告発をさせ、結局、その男性を廃業に追い込んだばかりか、旅行業法違反として、罰金30万円の判決が前橋地裁、東京地裁で出され、どうしても合点がいかない男性が上告したにもかかわらず、最高裁でも東京地裁の判決が支持されてしまいました。
 一方で、旅行案内所など、旅行業法の登録をしないまま客に旅行のための宿泊情報を提供しているにもかかわらず、旅行業協会に加盟しているというだけで、全くお咎めがありません。当会が警察に告発しましたが、警察は旅行案内所側の説明に理解を示したのか、一向に埒が開きません。
 これらは明らかに司法のもとでの平等の精神に反しています。著名な政治家であれば、金品を配布しても不起訴相当だとしてすべておとがめなしになるのであれば、公職選挙法や政治資金規正法はすべてザル法ということになり、社会に無用な混乱を与えかねませんから、直ちに廃止すべきです。
 しかしそうなると選挙のルールがなくなってしまい、当選するためには手段を選ばないカネにあかせた乱脈選挙が復活してしまいます。
 だから、違反行為の尺度をきちんと決めて、選挙民に対して金品を配布したりすれば、有罪になるということをひろく社会に示す必要があります。
 今回の元市議会議長による地元有権者に対する清酒等の配布事件は、その直後に行われた市議会選挙で実際に本人が当選しているだけに、毅然とした対応が求められてしかるべきでした。新聞報道でこのことを知った申立人は、新聞記者にも確かめて、すべて事実であることを確認したうえで、安中署に告発をしました。告発をしないと、あとでどのような処罰が適用されたのか否かが分からないからです。
 事実、一昨年の安中市長選の投票日の午後5時ごろ、安中市内の某投票所でなりすまし投票が行われるという事件が起きました。しかし、結局警察は私の告発状を受理しようとせず、そのため、前橋地検にその後の処分結果をヒヤリングしようと訪れましたが、「告発人ではないから」という理由で、処分結果について検事らは申立人に対して何も語らず、追い返したのです。
 今回の事件では、安中署の高柳刑事課長に「前回のように受理をしたのかしないのか、曖昧な対応は困るので、きちんと受理してほしい」と申し入れました。安中署刑事課では、「既に新聞報道を見るまでもなく、きちんと捜査をしているから」としました。そして、当初は「まだ捜査の端緒だから」して、申立人の告発状の受理をためらっていましたが、その後捜査が済んだとして、「告発状を受理する」との連絡をいただきました。
 そのようにして提出した告発状ですから、犯罪の態様は新聞記事に書かれていた通り、間違いないはずであり、安中署の刑事らも、関係先をすべて当たって供述をとったうえで、容疑者を特定し送検したことをうかがわせていました。
 にもかかわらず、前橋地検からは不起訴処分通知が、告発人である申立人に対して届けられたのです。警察が公費を遣い一所懸命捜査をしたその処分理由を聞いたところ、不起訴相当だというのです。何がなんだかわからないので、申立人は直接前橋地検に赴き、検事から話を聞こうとしましたが、対応した若い検事は、「何も話すことはない」という態度で、なぜ不起訴処分となったのか、全く語ろうとしませんでした。
 これでは、公選法が骨抜き同然です。申立人はこれまで4度、市長選挙に出馬した経験がありますが、候補者説明会で、安中署の刑事課長から「公選法を遵守するように。留置所はいつでも開いている」と常に厳しいアドバイスを賜りました。事実、支援者による選挙用チラシの戸別投げ込み行為について、警察から厳しく戒められたり、安中市の選挙管理委員会からは農地に立看板を立ててはならないことや、ポスターにおける候補者名の漢字と通称名のひらがな表記の食い違いなど些細なことまでも指摘を受け、直ちに是正した経緯があります。
 ところが実際には、保護司などをしている候補者の場合、検察や警察に顔が利くのかどうか定かではありませんが、選挙後に地域の有力者らに票まとめの謝礼に商品券や清酒を配る輩も存在し、見かねた関係者から「警察に通報しても全然取り合ってもらえなかった」という証言も聞いています。
 今回の事件では明らかに地元の有権者らに常習的に清酒等を配布していたことを本人も認めています。「知らなかった。大変なことをしてしまった」などと反省の意を示していたとはいえ、議長まで勤め上げた人物です。情状酌量ではなく、一罰百戒の意味を込めて、起訴し、法廷での判断にゆだねるべきです。その結果、執行猶予付き有罪判決が出るのか、配布した金品相当の罰金を科すのか、きちんと処罰の軽重を世間に示すべきです。
 もっとも、議長を務めあげた大物政治家であるからこそ、「その名誉を傷つけるから」として、無罪放免にするという、通常の一般市民には適用されることのない「特別ルール」が適用されるのだ、という穿った見方をする向きもあります。これは、換言すればそれだけ罪の軽重を判断する検察が、その判断の尺度を明らかにしてこなかったからだとも言うことができます。
 このため、せっかく警察が手間と費用をかけて関係者らを取り調べても、その捜査結果を判断する立場の検察が勝手に独自の非公表の基準をかざして、結果のみを告発人に伝えるだけで、なぜそうなったのかを公表しないという姿勢は、検察の威信を弱めることはあっても、決して強めることはあり得ません。
 今回の事件のように起事実関係が明瞭で、当然ながら起訴訴相当であるべき事件も、検察官の裁量という曖昧な判断基準に基づく「不起訴相当」という訳の分からない処分が下されたことは、明るい選挙の実現に対してブレーキとなるものであり、既に議員によって骨抜き同然となっている公職選挙法など、明るい選挙の最低限のルールとして明文化されている拠り所が、完全に葬り去られてしまいかねません。   
 検察審査会に置かれては、もう一度、一般市民の常識を駆使して、この事件についての賢察の処分結果を再考し、このまま不起訴処分相当とするのか、それとももう一度検察にきちんと正しい判断基準に基づいて判断させるためにも、起訴処分相当とするのか、市民の常識と明るい選挙実現のためにも、慎重に協議の上、審査をして下さるよう強くお願いをする次第です。

                              以 上
**********

■当会がこのような意見書を提出した背景には、完全に骨抜きとなってしまった公職選挙法を改めて問い直し、一定額の金品を選挙民や利害関係者に配布しても公選法はおろか、政治資金規正法や斡旋利得処罰法の違反でしょっぴかれても、せいぜい起訴猶予までで不起訴処分になるかどうかの判断基準を、この際はっきりさせておきたいという気持ちがあります。

 これによって、安心して選挙運動や政治活動に励めるかどうかのグレーゾーンをなくし、きちんと線引きを行えることになります。ひいては政治家の皆さんや、これから政治家を志す若い人たちにとっても、「きっと有用であるに違いない」と確信をしております。

【ひらく会情報部より】

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館林市内の湿地の埋め土にスラグ状の物質が大量投入?

2016-10-25 23:46:00 | スラグ不法投棄問題
■館林在住の当会会員から、10月に入って間もなく、同市赤生田町と赤生田本町の境界付近の沼地状の農地で、現在は葦が生い茂っている場所に、何やら得体の知れない業者が鉄鋼スラグのようなものを埋め立てているという報告がありましたので、さっそく調査をしてみました。


館林市内の埋立て現場の様子。
 たまたまこの現場付近に住む議員のかたがこの件でブログ記事を書かれておりました。その情報によれば、スラグ状の物質はJFEスチールの関係先で製造されたようです。それまで連日11トンダンプトラックで数百台分、スラグのようなものが持ち込まれていましたが、10月5日午後4時半に電話で問い合わせたところ、翌日の10月6日から搬入作業がピタリと止まったようです。

 当会会員がさっそく現場に出向いたところ、約2800㎡の土地にビッシリとスラグ状の物質が埋め土として敷きこまれていることが判明しました。次の写真をご覧ください。



大同のデカスラグや角張スラグと異なり、砂のように細かいスラグ状のシロモノだ。

■会員からの報告を受けた当会では、10月14日夜にJFEスチールのホームページの問い合わせ欄に次の内容の質問を投稿しました。

*****JFEスチールへの投稿内容*****
<内容確認>
以下の内容で送信してかまわなければ「確認」を、修正が必要な場合は「内容修正」を選んで下さい。
会社名・学校・団体名: 市民オンブズマン群馬
所属・部署名: 代表
お名前: 小川賢
郵便番号: 379-0114
連絡先住所: 群馬県安中市野殿980番地
電話番号(半角): 09053028312
FAX番号(半角): 0273810364
メールアドレス(半角): ogawakenpg@gmail.com
標題: 10月初めにJFE千葉から館林市赤生田町に搬入された高炉水砕スラグについて(質問)
内容: 私は市民オンブズマン群馬の代表をしております小川賢という者です。
10月初旬に館林市赤生田町と赤生田本町の境界付近の湿地帯に大量の高炉スラグと思しき資材が投入されています。(場所は次の地図を参照ください)
https://www.google.co.jp/maps/dir//%E7%9C%8C%E9%81%93362%E5%8F%B7%E7%B7%9A/@36.223365,139.5624456,359m/data=!3m1!1e3!4m8!4m
7!1m0!1m5!1m1!1s0x601f31ac76919b4f:0xffe1031255b009f1!2m2!1d139.5634398!2d36.2229619

地元の情報によるとJFE千葉製鉄所から11トン積みトラックで数百台搬入されたとのことです。
また、地元議員さんが御社の鉄鋼スラグ担当者に「スラグに含まれている六価クロムやフッ素などの有害物質の成分分析結果を教えてください」と依頼したそうですが、回答がまだないとのことです。 当会の館林在住の会員のかたにスラグの写真をとってもらっておくってもらいましたが、どうやら高炉水砕スラグのようにも見えます。 そこで、ご多忙中恐縮ですが周辺住民の不安解消のために、当会のほうにも、当該スラグの性状、製法、搬入量、成分分析結果、搬入ルート、逆有償性の有無などの必要情報を送っていただけると幸いです。
**********
■すると10月17日(月)午後遅くJFEスチールから次の回答が届きました。

---------- 受信メッセージ ----------
From: O.H. <xxxxxxxxxxx@jfe-steel.co.jp>
日付: 2016年10月17日 16:54
件名: スラグに関するお問い合わせについて
To: ogawakenpg <ogawakenpg@gmail.com>

市民オンブズマン群馬
小川代表様

JFEスチール スラグ事業推進部のOHと申します。
当社のホームページ宛てにお問い合わせいただいた件について回答させていただきます。

ご連絡いただいた場所で使用されたスラグは、当社(JFEスチール)の鉄鋼スラグではなく、JFEグループのジャパン・リサイクル株式会社の溶融スラグです。(高炉スラグ等、鉄鋼製造工程において副産物として発生する鉄鋼スラグではありません。)

ジャパン・リサイクル社に確認したところ、六価クロムやフッ素について、国で定める基準値未満、とのことです。

なお、地元(館林)市議の方からの問い合わせについてですが、先々週、当社(JFEスチール)にY館林市市議からお問い合わせをいただきましたので、当社の鉄鋼スラグではないことを回答させていただいております。併せて、10/7にジャパン・リサイクルの溶融スラグを取り扱っている三恵(サンケイ)からY市議殿に対して回答申し上げ、その後分析表を提示しています。

小川様のお問い合わせ事項についても三恵(サンケイ)から対応させていただきますので、同社からご連絡差し上げるように手配してよろしいでしょうか?
(ご希望の連絡方法(携帯へ電話、電子メールでの連絡等)をご指定ください。)

以上


***************************************************************
このメールには機密情報が含まれる可能性があります。
内容の転送・コピー・プリント等 取り扱いには十分ご注意下さい。
また、このメールを間違って受信された場合は、直ちに送信者まで
お知らせいただき、受信されたメールを削除下さい。
***************************************************************

O.H.

JFEスチール株式会社 スラグ事業推進部
東京都千代田区内幸町2-2-3 日比谷国際ビル
Tel:03-3597-4657
Fax:03-3597-3415
E-Mail: xxxxxxxxxxx@jfe-steel.co.jp
**********

■これによると、どうやら電炉由来の鉄鋼スラグや製鉄所からの高炉スラグではなさそうです。JFEグループのジャパン・リサイクル株式会社のホームページで確認したところ、JFEスチールの千葉製鉄所構内に同社の溶融施設があり、フロー図を見ると、どうやら各種のサンパイを圧縮したうえで、誘導加熱式の炉に投入し、蒸し焼き状態にしたあと、酸素を炉内に吹き込んで、2000度まで昇温し溶融させて金属やスラグに分離するシステムのようです。
※ジャパン・リサイクル社のHP:http://www.japan-recycle.co.jp/
※同社千葉リサイクルセンターのガス化溶融フロー図:PDF ⇒

 そこで次の返事を発信しました。

--------- 発信メッセージ ----------
From: masaru ogawa <ogawakenpg@gmail.com>
日付: 2016年10月18日 1:03
件名: Re: スラグに関するお問い合わせについて
To: O.H. <xxxxxxxxxxx@jfe-steel.co.jp>

JFEスチール㈱
OH様

毎々お世話になっております。
御社のHPを拝見しました。溶融スラグのもとは各種サンパイで、それらを高温の溶融炉で溶かしたものが溶融スラグとして製品化されリサイクル品として販売されているようですね。

ところで、2つほど質問があるのですが、①御社のグループ会社のジャパンリサイクル社から三恵(サンケイ)に溶融スラグを卸す場合、トン当たりいくらで売り渡していますか?
また②溶融スラグの原料の産業廃棄物として、毎月どのような物質をどれくらい受け入れているのでしょうか?

もし、これらのことについてもジャパンリサイクル社でないとわからないという場合、ジ社の連絡先及びご担当者をご紹介いただけますでしょうか?よろしくお願いします。

市民オンブズマン群馬
小川

**********

■当会としては、現在、大同特殊鋼渋川工場由来の有毒スラグ問題に取り組んでいる関係上、スラグと聞くとどうしても詳しく確認したいという気持ちになります。そのため、特に逆有償性の有無を調べるためにいくらでスラグが取引されたのかを確認する必要があると考えました。また、溶融スラグの原料であるサンパイの量と種類についても確認したいと思いました。

 そこで、上記の再質問をJFEスチールに投げかけたところ、早速同社から回答がありました。

---------- 受信メッセージ ----------
From: O.H. <xxxxxxxxxxx@jfe-steel.co.jp>
日付: 2016年10月18日 14:37
件名: Re: スラグに関するお問い合わせについて
To: masaru ogawa <ogawakenpg@gmail.com>

市民オンブズマン群馬
小川代表様

JFEスチール スラグ事業推進部のOHです。

メールにて問い合わせいただいた件につきましては、ジャパン・リサイクルから回答させていただきます。
つきましては、先にメールにていただいた小川様の連絡先にジャパン・リサイクルの担当よりご連絡差し上げます。

以上

**********

■すると10月18日(火)午後5時過ぎに電話がありましたが、生憎不在だったため、今度はメールで連絡がありました。

---------- 受信メッセージ ----------
From: S.S. <xxxxxx@japan-recycle.co.jp>
日付: 2016年10月21日 9:17
件名: ご質問の件について(回答)
To: 小川 賢 様 <ogawakenpg@gmail.com>

市民オンブズマン群馬
代表  小川 賢 様

JFEグループのジャパン・リサイクル株式会社・総務部のSSと申します。
 JFEスチール株式会社の岡本氏より下記ご質問2点につきまして弊社より小川様まで連絡するように依頼を受けましたので、ご回答させていただきます。

1.ジャパン・リサイクルから三恵にスラグを卸す場合、トン当りいくらで売り渡しているのか?

 弊社からスラグを販売している相手先は有限会社三恵ではなく、有限会社ケイユウ商事でございます。三恵にはスラグの収集運搬を依頼しています。
 弊社では、スラグを土木資材として販売しております。
販売しているスラグは、土壌汚染対策法の基準を満足する品質であり、土木資材として使用されることに問題はないものと認識しております。
 ケイユウ商事への販売単価につきましては、契約上の守秘義務もあり開示致しかねますので、ご了承くださいますようお願い申し上げます。

2.スラグ原料の産業廃棄物として、毎月どのような物質をどれくらい受け入れているのか?

 弊社が受け入ている産業廃棄物の内訳は、昨年度の実績で、廃プラスチック等約50%、ASR(自動車シュレッダーダスト)約30%、汚泥類約20%となっております。
 月々の受入量の詳細につきましては、弊社ホームページに掲載しておりますのでご確認ください。
http://www.japan-recycle.co.jp/
 ジャパン・リサイクルHP → 情報公開 → 焼却施設に関する情報 → 施設の維持管理の状況に関する情報


ジャパン・リサイクル株式会社
総務部  SS

〒260-0835 千葉市中央区川崎町1番地
TEL 043-262-4716
FAX 043-262-4786
E-mail xxxxxx@japan-recycle.co.jp
**********

■ジャパン・ルサイクル社のHP情報によれば、同社では年間約8万トン近い廃棄物を受け入れており、それらを主に焼却による熱回収と、残さを溶融することで金属とスラグの形で回収しています。廃棄物の割合はサンパイが65%、一般ごみが20%、容りプラ(容器リサイクル容器包装リサイクル法で対象になっているプラスチック製の容器と包装のこと)が15%であり、上記の担当者の説明では、サンパイの半分は廃プラで、30%が車の解体で生じるシュレッダーダスト、残りが汚泥類とのことです。

 つまり、高カロリーのプラスチック廃棄物を主体に受け入れて、蒸し焼きによる乾溜ガスの製造と、燃焼によるサーマルリサイクルが主体と思われます。
※同社の情報公開: http://www.japan-recycle.co.jp/information.html#06
※廃棄物処理施設の維持管理の状況に関する情報:
http://www.japan-recycle.co.jp/pdf/kanrijokyo1610.pdf

 しかし肝心の溶融スラグの外部への売り渡し金額について、守秘義務をたてに開示を拒否されてしまいました。これでは、逆有償取引の疑念が晴れません。そこで、あらためて再考を促すべく、次の依頼メッセージを同社あてに発信しました。

---------- 発信メッセージ ----------
From: masaru ogawa <ogawakenpg@gmail.com>
日付: 2016年10月21日 9:57
件名: Re: ご質問の件について(回答)
To: S.S. <xxxxxx@japan-recycle.co.jp>

ジャパン・リサイクル株式会社
総務部
SS様

毎々お世話になります。
一昨日弊員の携帯にお電話を賜り恐縮です。
こちらからお電話を差し上げようと思っていたところ、メールにて連絡を賜りありがとうございます。

質問1ですが、守秘義務とのことですが、逆有償性の有無について確認させていただくためにどうしても必要な情報であると認識しております。
この情報について共有させていただけないとすると、どうしてもその疑念が払しょくできません。

できる限りの開示努力をお願いする次第です。
再考をお願い申し上げます。

市民オンブズマン群馬
代表 小川賢
Mobile 090-5302-8312
**********

■以降、同社からは何の連絡もありません。

 一方、館林市内の農地に大量に搬入されたこの溶融スラグは、毒性についてはさほど心配はなさそうですが、分析データの開示も受けていないことから、予断は許されません。また、JFEスチールのある千葉市中央区から館林市内の現場まで直線距離にして85㎞ほどあります。これだけ長距離をトラック輸送すれば、それなりにコストがかかります、

 JFEグループのジャパン・リサイクル社が、千葉リサイクルセンターで排出したスラグを、有限会社ケイユウ商事(所在地:千葉県千葉市中央区千葉港8番2号ブラウシア1524号か?)がタダ同然で溶融スラグを売り渡したとして、つまり、ケイユウ商事がタダ同然でジャパン・リサイクル社から溶融スラグを仕入れたとして、それを85㎞離れた場所で、埋立業者にそれなりの価格で埋め土材料として売り渡したことになります。

 その間、有限会社三恵が運搬したことになっていますが、果たして運搬コストをケイユウ商事が負担したら、いったいいくらで埋立業者に売り渡せば利益がでるのか、きちんとした情報を知りたいものです。

 こうした情報は、上記の関係業者から答えてもらえるのかどうか、製造元のJFEグループのジャパン・リサイクル社でさえ、販売価格を守秘義務だとして口をつぐむのですから、先が思いやられます。やはり権限を持つ役所が主体となって調査しないと、円滑な情報収集は困難かもしれません。

 それにもかかわらず、一応できる範囲でこの件を調べてみたいと思います。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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