市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

秋の日のため息をつく間もないウラジオストクにはやくも忍び寄る初冬の冷気(その2)

2010-10-31 16:43:00 | 国内外からのトピックス
■ロシアが国家の威信をかけて開催準備をしているAPECですが、日本でも11月7日から14日までの8日間、横浜で開催されます。APECとは、アジア太平洋経済協力会議の略称で、1989年に日本、韓国、中国、台湾、香港、アセアン諸国(但しラオス、ミャンマー、カンボジアを除く)、米国など21の国。地域の首脳らが参加し、貿易や投資の自由化、経済協力などを話し合うもので、日本では過去、1995年に大阪市で開かれたことがあります。

 来月7日からの横浜のAPECでは、海外の首脳らの警備に、警察官が約2万1千人投入予定だといいます。ロシアからも、再来年のAPEC開催に備えて、警備のノウハウや開催要領などを予め学んでおくため、8月20日、ロシア沿海州のセルゲイ・ダリキン知事ら一行が、横浜を訪問しています。


京成上野駅にあるAPEC横浜のポスター。
■要人の警護の観点からは、ロシアは島の方でAPECを開催したほうが、市民生活に影響が少ないと考えたのかも知れません。また、APEC開催を契機に、それまで海賊や密輸団の巣窟と言われていたルースキー島を大規模開発して、極東連邦大学やリゾート開発、スポーツ施設などを整備して、APEC後に備える計画です。


東ボスポラス海峡横断橋の完成想像図。

 ルースキー島(Russky Island)はウラジオストク市あるムラビヨフ・アムールスキー半島の南に位置する島で、面積は97.6平方kmです。ウラジオストクとは狭い東ボスポラス海峡で隔てられています。ムラビヨフ・アムールスキー半島とルースキー島がピョートル大帝湾を二分しており、西はアムール湾、東はウスリー湾となっています。同島の南西にはポポフ島、レイネケ島、リコルダ島などの島々が連なり、さらに小さな島々の連なるイェフゲニー諸島がピョートル大帝湾の沖合に向かって40kmにわたって伸びています。


 ルースキー島は起伏が多く、高さ300m弱の峯が連なっており最高峰ルースキー山は標高291mです。海岸は険しい断崖が多くみられます。ルースキー島の中央には、北西から南東に向けて細長いノヴィク湾が入っており、これによって同島はほぼ二分されている。対岸のウラジオストク市街との間は現在は、フェリーが往復していますが、現在、2012年のAPEC開催に間に合わせるためにルースキー島との連絡橋が建設されています。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:Russky_island_topographic_map-en.svg

■前回、9月後半にウラジオストクを訪問した際、当会取材班は、ルースキー島を船で一周して調査したので、報告します。

 9月下旬の時点では、まだ気温もさほど低くなく、海も穏やかでした。調査当日は、風もなく絶好の日和です。早朝9時半に宿泊所を出て、午前10時にウラジオストク郊外のアムール湾沿いのボート係留場から午後5時の帰着まで7時間のクルーズでしたが、料金は1万2000ルーブルでした。


 日本の中古のヤマハ製10人乗りモーターボートは、まずアムール湾をウラジオストク市を左に見ながら南下します。ボートのオーナーは福島県に出稼ぎに行っていたことがあり、そこで蓄えた金で日本の中古ボートを購入して持ち帰り、釣りやレジャーなど観光の仕事をしているのだそうです。釣り船としての仕事は気温がマイナスになる11月半ばまでやっているのだとか。

■ボートはまもなく、東ボスポラス海峡の出口を通過し、ルースキー島の一部であるイェレーナ島をぐるりと回ってノビック湾に入ります。このイェレーナ島はもともとルースキー島と繋がっていましたが、ウラジオストクへのアクセスを良くするために運河が切り開かれて「島」となっています。

 ノビック湾はルースキー島の懐深く入り込んでおり、奥に向かって右手が細長いサピョルヌイ半島になっていて、APECの施設はここに建設されています。ただし、半島の反対側なので、湾の内側からは外側で進行中の工事風景はうかがい知ることはできません。静かな入り江と言った佇まいです。

 湾の奥には軍事施設があるため、警備艇らしき船舶も複数、湾の中央部で停泊しています。


 うかつに入り込むとロシア海軍憲兵隊およびsウラジオストク警察に拘束を受けることもあり注意が必要なので、オーナー兼操舵手は、付近の海岸に見える水産加工施設の跡地の前でUターンして、運河を通過して一旦、東ボスポラス海峡に出ました。


 そのあと、再び、イェレーナ島を迂回すると、ボートはルースキー島を反時計方向に回りはじめました。

■ウシ島沖を通過し、イグナチェフ岬を回って、リンダ湾に入りました。


手前の岩がウシ島。

レーダーサイトがひょっこり現れた。

 ここで昼食です。海賊マークのはためく木製桟橋には、昼食の食材用のホタテ貝がぎっしり詰まった網袋が結わえられていました。



 昼食の準備が整うまで、付近を散歩しました。湾の奥に向かって浜辺を10分ほど歩くと、今は使われていないコンクリート製の桟橋がありました。多数のウミネコが休んでいました。


 この辺りは夏場は海水浴やキャンプを楽しむ人で賑わうようですが、海岸には彼らの残した飲料ビンや殺虫スプレー、プラスチック袋などが散乱しており、バーベキューのあとがそのまま残っていました。ゴミの投棄に関する後ろめたさは、まだロシア人には身についていないようです。

 さらに10分ほど入り江の奥に向かうと、バンガローが見えました。ここまで来るまでも来られるようです。管理人が一人いましたが、既に夏のバカンスは過ぎており、客の姿は見えませんでした。


 その向こうに大きな建物の屋根が見えました。水産加工場か何かのようですが、今は使われていない様子で人の気配がありませんでした。


■もと来た浜辺をたどって戻ると、昼食の用意ができていました。昼食は海鮮の炊き込みご飯とホタテのバター焼きです。ウオッカは昼食には重すぎるのでビールを頼んだところ、定番のロシア産ビールの「ボーチカ」は置いておらず、あるのは、アサヒスーパードライとサッポロ黒ラベルのロング缶だけでした。我々取材班は皆170ルーブルの黒ラベルを注文しましたが、ロシアのこんな離島で日本製缶ビールを飲むことになろうとは思いもよりませんでした。


 ロシア人に言わせると、日本のビールの味は最高で、皆大好きなのだそうです。そういえば、根室で聞いた話ですが、北方四島が目の前にある貝殻島で潜水漁をしていたロシア人が、日本のビールが飲みたくなってそのまま泳いで根室に上陸して、酒屋でビールを買って飲んでいたら、不法入国で捕まったというエピソードもあるほどです。

 長粒米の炊き込みご飯は今一つでしたが、ホタテのバター焼きは絶品でした。





ロシア人もワサビ醤油が好きらしい。何も言わなくても出してkた。よく見るといずれも中国製。醤油はワダカンとあり日系資本を想像させるが、ワサビはひらがなこそ書いてあるが完全な中国製。合成品らしくワサビの強烈な人工的刺激臭が鼻を突き、鮮やか過ぎる緑色の着色に背筋が寒くなる。早く日本製を普及させないと和食のイメージダウンが心配だ。

 腹ごしらえを終えて、再びモーターボートは反時計回りにルースキー島を回りだしました。


■外洋に出て、ボイェボダ湾の沖合を通過し、バシェリフ岬をめぐると、ルースキー島の南側にあるポポフ島との間のスタルク水道を通過しました。



上:岬の灯台と水鳥たち。下:プーチン大統領も滞在したことのあるという高級幹部用ビーチ別荘。

ポポフ島(左)とルースキー島のスタルク水道を抜ける。

 すると、ラブロフ島やエンゲルム島などが点在する風光明媚な湾に出ます。ここは、日本海に直接面していますが、当日は風もなく、穏やかで波もほとんどありませんでした。



上:ラブロフ島。下:釣り船があちこちに見える。

 ロシア人のボートオーナーは、ここで釣りをやろう、と言ってエンジンを止めると、錨をおろしました。付近には他にも釣り船が見えます。オーナーによると、ここはヒラメの漁場で、よく釣れるとか。さっそく、持参した貝を割って、中身を小さく切り分け、餌の準備に取り掛かりました。


 仕掛けは、先端に錘を付けたテグス糸に、錘から10センチと40センチのところに長さ20センチのそれぞれ枝糸を結び、その先に針を付けたもので、底魚を狙います。これを細長い木切れに巻きつけたものを手に持って、錘をボートから下ろしながら、木切れに巻きつけた釣糸を繰り出して、水深18mの砂地の海底に錘が着地したら、少したるませ気味にしながら、釣糸をゆっくりと上下にしゃくります。すると、底魚たちには、餌が2つ砂地の表面を跳ねているように見える、という仕掛けです。

 午後1時半から3時半までおよそ2時間近く釣りをしましたが、釣果はご覧のとおりでした。時期によっては、1日でアイスボックスが満杯になることもあるそうです。


■午後3時過ぎになると、次第に日本海からの南東風が強くなってきました。釣糸を片づけ、錨を上げて、再びルースキー島を反時計報告に回りました。

 ルースキー島から砂州で繋がっているシュコト島の最南端を通過し、日本海に面したルースキー島の東側を海岸にそって、トビジン岬、ビャトリン岬を見ながら、一気に北上しました。
シュトコ島南端
ルースキー島最東南端
奇岩が続く東海岸
トビジン岬
ピャトリン岬

 アクロスティシェフ岬をまわり、東ボスポラス海峡の東の入り口にあるスクリュトフ島が右手見えると、間もなく前方に、海峡横断橋の工事現場が遠くに見えだしました。



上:アクロスティシェフ岬。下:以前は囚人の監獄だったスクリュトフ島。

 左手のルースキー島のアヤスク湾を見ると、APEC会場となる連邦極東大学、国際会議場、スポーツコンプレックス、その他関連施設の建設が盛んに行われていました。



 あと1年半後には全て完成していなければなりませんが、我々取材班が見たところ、全部が仕上がるとは到底思えません。しかし、当事者のロシア側では楽観的な見方がされています。いずれにしても、直接APEC開催に関係する空港と空港からルースキー島までのアクセス道路、それに会場の建設は何としても間に合わすのでしょうが、それ以外の事業は優先順位が後回しにされるかもしれません。




■ところで、APECの会場建設には、膨大な作業員が動員されています。共同通信の報道では、ロシア内務省の発表として、平成22年6月上旬の時点で、APEC関連の建設現場で、約1万2千人のロシア人と、中央アジア出身者を中心に約1200人の外国人が作業に従事しており、外国人労働者は今年中に約7500人に増える予定で、うち約3600人を北朝鮮、約3300人を中国から動員する計画だそうです。

 そういえば、先日、帰国する際に、ウラジオストクの国際空港のロビーで、胸に首領様のバッジをつけた幹部らに引き連れられた北朝鮮の労働者と思しき一行が、膨大な荷物の山とカートに乗せて待機していた光景に出くわせました。


労働者の一団を輸送する北朝鮮の高麗航空(Air Koryo)機。ウラジオストクからピョンヤンには週1便、木曜日のみ運航される。

 北朝鮮労働者は低賃金なため、旧ソ連時代から、両国政府の協定によって、ロシア極東に多数派遣されてきましたが、今回のように数千人単位の動員規模は異例です。北朝鮮にとっては外貨獲得のためにも願ってもない話なのでしょうが、最近、ロシア極東では北朝鮮労働者の亡命申請が頻発しており、ロシア治安当局は今後の連鎖的な発生を警戒していることも事実です。

■東ボスポラス海峡横断橋の工事現場を海上から視察し、左手のルースキー島側に建設中の貨物ターミナルの建設現場と、右手にウラジオストク商業港を右手に見ながら海峡を通過し終えると、アムール湾に入りました。



 後は海岸にそって北上すると間もなく、8月に宿泊したアムールスキー・ザリフ・ホテルや9月に宿泊したその姉妹ホテルのウラジオストク・ホテル、そしてAPEC用に建設中の五つ星ホテルの建設現場が見えました。



 そこを通過して間もなく出発地点のボート係留桟橋に到着しました。


■夕食は、かねてからマークしていた北朝鮮系のレストラン「カフェ・ピョンヤン」を訪ねてみました。ウェートレスは喜び組のオーディションに応募して惜しくも首領様に選ばれなかった美女人揃いだという噂でしたが、そのとおりでした。無愛想なロシア人の店員とは違い、接客態度もマナーも申し分ありません。典型的な韓国料理、もとい朝鮮料理のほかに、水餃子や焼餃子、それに、寿司や刺身などの日本食もメニューに載っていました。


場所は、日本領事館からさらに500m南にあるコロナホテルの1階。このホテルはロシア人専用ホテルなので日本人は宿泊できない。


上:メニューの表紙。下:メニューの一例。

 ビールはロシア産のボーチカ等も飲めますが、ここでも、アサヒ、サッポロが人気があります。ビールは中国産の「ハルピン」ビールもいけます。北朝鮮ブランドのビールはなく、代わりに、なんと、韓国の「ハイト」ビールならあるとのこと。しかし、当会の取材班はホップの効いていないハイトの味に、2杯目を注文する者はいませんでした。

 残念ながら(当然か)韓国の真露(チンロ)はなく、北朝鮮ブランドの焼酎ならあるというので試してみましたが、味にパンチがなく、焼酎党は皆最初の一口だけで、あとはウオッカに切り変えました。

 お勧めのピビンパは320ルーブル(1ルーブルは約2.8円)ですが、使用している米が日本のものと遜色がなく、驚かされました。北朝鮮の人民は口にすることのできないのでしょうが、こうして貴重な外貨獲得のためのアンテナショップは、中国やベトナム、それにモスクワにもあるそうです。




上:ピビンパ。中:冷麺。下:水餃子がいずれもお勧め。一番下:室内の壁のタペストリー。刺繍は金剛山の滝をあしらったものか。

■ウラジオストクには、現代グループの経営するヒュンダイ・ホテルの中の韓国料理店のほか、ダウンタウンにコリアンハウスという店があります。ヒュンダイ・ホテル内の店には入ったことがありませんが、少なくともコリアンハウスで出すクッパやピビンパよりも、「ピョンヤン」の味が上です。

 店内にはロシア人のグループのほか、北朝鮮らしき関係者の姿も見え、夜も更けるとウェートレスとカラオケに興ずる光景も見られました。こうして、国際都市ウラジオストクの秋の1日が終わるのでした。

【ひらく会情報部海外取材班・この項おわり】

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秋の日のため息をつく間もないウラジオストクにはやくも忍び寄る初冬の冷気(その1)

2010-10-30 18:58:00 | 国内外からのトピックス
■ウラジオストクの夏と同様、秋もあわただしく過ぎてゆきます。9月後半と10月後半に再びウラジオストクを訪問する機会がありました。9月後半ではまだ気温が昼間は20度近くになりましたが、10月後半では、日中でも気温はせいぜい7度程度で、早朝はマイナス2度にまで下がります。わずか2か月前には海で泳いでいた市民が、早くもコートに身を包んで通りを歩いています。


 空港から市内に向かう約50キロの道路は、2012年のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議開催に向けて、引き続き突貫工事が進められていますが、まだまだ完成への道のりは長いように見えます。あちこちで立体交差のための高架工事や、道幅を片側3車線に広げるための造成工事が行われ、渋滞を引き起こしています。



 取材班は、日曜日の現地時間午後8時に到着するフライトでウラジオストク空港に到着しましたが、日曜日の夜とあって、週末を別荘(ダーチャ)で過ごしたウラジオストク市民が一斉に帰宅する時間帯のため激しく渋滞しており、通常は50分程度で到着する市内中央部まで、1時間40分を要しました。

■この道路拡張工事の現場で、今年6月7日、495人分、約3.5トンの人骨が見つかり、工事に携わっている人たちを驚かせました。調査の結果、ウラジオストク市当局は6月15日に、それが旧ソ連スターリン時代に銃殺された粛清犠牲者のものであるとする鑑定結果を発表しました。

 昨年末に最初の人骨が発見された後、専門家や民間ボランティアが縦200m、横150mの区画を深さ2.5mまで掘って集骨し、鑑定作業を進めていたもので、当局の発表によると、人骨は主に25~35歳の男性で、埋葬後50~100年が経過しており、死因は頭部を口径9mmの銃で撃たれたことが判明したそうです。スターリン時代の弾圧で犠牲になった人たちとの見方が確認されましたが、時効で刑事立件はされず、再埋葬の時期や場所を検討している最中だそうです。

 スターリン時代の「政治犯」粛清の犠牲者はピーク時の1937~38年だけで数百万人とされており、2007年10月には、モスクワの「赤の広場」近くで死後60年以上が経過したとみられる34体の白骨遺体が見つかっています。


↑ロイター通信が今年6月に配信したウラジオストク近郊で発見されたスターリン時代の粛清犠牲者の遺骨や遺品の写真。

■ウラジオストク市内では、金角湾をまたぐ斜張橋の建設が進められていますが、ワイヤーを支える両岸の主塔の高さは、8月、9月以降、あまり伸びていないような感じです。


工事の進捗が見られなくなった金角湾横断橋の主塔の高さ。10月19日撮影。

 情報によるとワイヤーの入荷が滞っている様子で、再来年の3月までの完成が再び危ぶまれます。もっとも、金角湾を横断する橋は、どちらかと言えば市民の生活用の意味合いが強いのですが、ウラジオストクの南に、海峡を隔てて浮かぶルースキー島は、APEC会場となるため、悠長なことは言っていられません。



 当会取材班は、今年9月下旬に現場近くで工事の進捗状況を視察しましたが、世界最大級の斜張橋の現場にしては、静かな感じがしました。


ウラジオストク市のある半島側からルースキー島側を観る。9月20日撮影。

↑主塔に続く道路橋桁を支える橋脚群。9月20日撮影。

海から見た東ボスポラス横断橋の両岸の主塔。9月23日撮影。

海から見たルースキー島側の主塔。9月23日撮影。

海から見た半島側の主塔。9月23日撮影。

 ウラジオストク空港からAPEC会場のルースキー島に至るルートとしては、空港から一旦、西の方向に道路を伸ばし、アムール湾をコーズウェーで渡って、ウラジオストク市のある半島の東側の先端部から、東ボスポラス海峡を隔てて対岸のアムールキー島まで世界最大級の斜張橋で横断するものです。

■2008年1月、当時のプーチン大統領はAPEC2012の中心業務地区(Central Business District=CBD)の諸施設の配置プランと建設・都市計画コンセプトを承認しました。APEC会場はルースキー島のアヤスク湾に建設されますが、周辺インフラ建設など次の設備項目が挙げられています。
(1) 上下水道、ウラジオストックとルースキー島に跨る(処理容量25万トン/日、2系統配管)
(2) ウラジオストック・クネフチ国際空港の拡張・近代化(3000m滑走路+国際通関施設)
(3) 金角湾自動車横断道路(2.1km)
(4) ボスポラス湾自動車横断道路(3.1km)
(5) 空港・市内・ルースキー島間の高速道路(片道4車線)
(6) ルースキー島内のインフラ整備(道路、通信、電気、ガスなど)
(7) 会議開催のメインホール(4千人収容)、プレスセンター、ホテル施設(1万500人)、医療センターなどの主会場
(8) 船舶用ターミナル
(9) ウラジオストック市内整備事業

 一方、ロシア西部の黒海沿岸の保養地で有名な措置では2014年に開催予定の第22回冬季オリンピックにむけて建設ラッシュが起きていますが、東のシベリアの玄関口であるウラジオストクでは、2012年のAPEC首脳会議開催 に向けて、このような大規模開発が進行中です。

 前者の2014年の冬季オリンピック開催地としてソチが決定したのは2007年7月4日でしたが、ウラジオストクで2012年のAPEC開催が決定したのは、2007年9月5日~9日にかけてシドニーで開かれたAPEC閣僚・首脳会議でした。

 それまではロシアでは欧州にばかり目を向けていたため、シベリアから西部への人口移動が止まらず、シベリアの人口減少が大きな問題となっていました。他方で、シベリアへの中国人の進出が顕著になっています。

■さすがに、このままではいけないと思ったのでしょう。また、シベリアの豊富なエネルギー資源は、経済発展が著しいアジア向けにロシアの存在を示せる格好のネタです。そこで、上記のように、2012年のAPEC首脳会議を契機に、巨額の投資を行って、旧ソ連時代は軍事閉鎖都市だったウラジオストクを極東の近代都市に変ぼうさせ、「欧州の窓」である東のサンクトペテルブルクに匹敵した「アジアの窓」を目指していると言えます。

 現在は、ロシア極東地方の行政の中心は、ウラジオストクとほぼ同じ人口規模のハバロフスクですが、恐らく近い将来にハバロフスクからウラジオストクにシフトされることでしょう。不凍港のウラジオストクを近代都市にすることで西太平洋でのロシアのプレゼンスを高めたいという強い意図を感じさせています。

【ひらく会情報部海外取材班・この項つづく】

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巨額横領金をタゴに騙し取られた群銀元安中支店長が理事長をする群馬県信用組合で起きた着服事件

2010-10-24 23:41:00 | 群馬県内金融機関不祥事件
■またもや群馬県内で起きた横領金着服事件。報道記事を読むと地元安中市原市に本社のある群馬県信用組合が舞台となって事件が起きました。まずは、事件の内容を報じた上毛新聞の記事を見てみましょう。


やろうと思えば刑事告訴はすぐにできる、安中警察署の東隣にある群馬県信用組合の本社ビル。この事件との関係かどうかは定かでないが、日曜というのに、2階には煌々と明かりが灯いていた。10月24日午後4時半頃撮影。
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県信用組合 支店長 2080万円着服
別件で依願退職 すでに弁済、告訴せず
 群馬県信用組合(安中市原市、松井誠理事長)の支店長だった元男性職員(47)が、顧客の口座に入れるために預かるなどした現金計2080万円を着服していたことが、10月22日明らかになった。男性は着服の問題が発覚する前に別の就業規則違反で依願退職し、退職金を受け取っている。同信組は退職金相当額の返還を求める民事訴訟を近く起こすが、顧客への被害が弁済されていることから男性の刑事告訴はしない方針。
 同信組によると、男性は2007年9月から今年4月まで、富岡市と下仁田町の3支店に支店長や支店長代理として勤めた間、営業で訪問した企業と個人合わせて3者から預かるなどして現金を着服した。
 このうち2者からは、苦情を受けた後に「手続きを間違えた」などと説明して返還した。もう1者に対して、預金の払戻伝票の金額を書き換える手口で差額1010万円を着服しており、信組側の内部調査で発覚するまで顧客は被害に気付いていなかった。発覚後に男性や親族が弁済した。
 調査に対して、男性は「パチンコなどの遊興費や消費者ローンの返済に使った」と答えている。
 着服以外にも、男性は業務で知り合った企業や個人から私的な借金を繰り返しており、今年3月時点で2者から計590万円を借りていた。それまでに返済した分も合わせると、15者から計5930万円を借りた。
 取引先からの融資の申し込みを放置し、期日が迫ったため自らの金を貸し付けたことも3者に対して計740万円あった。個人での借り入れと貸し付けはともに就業規則違反に当たる。
 顧客からの指摘を受けて調査した結果、今年3月に就業規則違反である金の貸借が判明し、男性を本部人事部付に異動。男性が5月末に依願退職をした後、着服の問題が新たに分かった。
 今年6月の1カ月分、理事長の報酬を10%、ほかの常勤理事6人を3~7%減額した。
 同信組は「管理監督が不十分だった。原因をよく把握し、対策を立て、信頼される体制作りにまい進したい」と話している。
(平成22年10月23日)
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 次に、東京新聞の記事を見てみましょう。

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県信用組合元職員 預金2080万円を着服 引き出し額を水増し記入
 県信用組合(本店・安中市)は10月22日、元職員の男性(47)が顧客の口座から不正に預金を引き出す手口で、三人から計2080万円を着服していたと発表した。
 男性は5月末で依願退職したが、組合の内部調査で着服が発覚。就業規則で禁じられている個人的な借り入れや貸し付けも行っていたことが分かった。
 組合の調査によると、男性は昨年1月~今年4月、富岡市内の支店で支店長代理などを務めていた立場を利用し着服を繰り返した。現金自動預払機(ATM)を使用しない顧客が口座から現金を引き出す際、実際の引き出し額よりも多い額を手続き書類に記入する手口で不正に現金を払い戻していた。取引先から計5930万円を個人的に借り入れ、740万円の貸し付けも行っていた。
 男性は動機について「パチンコなどで借金がかさみ、多重債務に陥っていた」と話しているという。同組合は「被害金は全額弁済された。男性は懲戒解雇に相当する事案を起こしており、退職金の返還などを求めている。」とした。(中根政人)
(平成22年10月23日)
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■群馬県信用組合の松井誠理事長は、知る人ぞ知る、あの安中市土地開発公社を舞台にしたタゴ51億円巨額詐欺横領事件で、平成7年5月の事件発覚当時、群馬銀行安中支店長だった御仁です。融資側の群馬銀行安中支店の総責任者として、タゴが偽造して持参した金銭消費貸借契約証書や払戻票に疑問や不審感を抱くことなく金を貸し出し、結果的に巨額の金を騙し取られ、その尻拭いを今もなお、安中市民がツケ払いさせられていることは、当然本人も承知しているはずです。

 群馬銀行関係者によれば、松井誠理事長は、51億円発覚当時は、群馬銀行で冷や飯を味わされて失意の日々を送っていたようですが、理事長職を求めていた群馬県信用組合の情報をいち早く自らキャッチして、トラバーユに成功しました。

■タゴ事件では、タゴに盆暮れに高級ワインを送ったり、ゴルフ接待に余念のなかった群馬銀行安中支店でしたが、事件に関係した職員は、いずれも左遷や降格されたりして、冷遇された経緯があります。

 そのような逆風のもとで、めでたく県信用組合の理事長職の座を射止めた松井元支店長は、数少ない勝ち組と言えるでしょう。もちろん、かつて群馬銀行安中支店長として築いた地元金融業界におけるコネクションが有効に活用されたことは想像に難くありません。

■タゴ事件から15年が経過し、めでたく群銀の呪縛から逃れたと思いきや、勝ち組の松井元群銀安中支店長に再び悪夢が蘇ったかのような今回の転職先での事件。自分の部下の横領に気付かないまま、タゴが安中市役所を15年前に懲戒免職になったのと同じ5月31日に、依願退職をした部下に退職金を支給してしまいました。

 報道によれば、その後、合計2080万円の着服の事実が発覚したため、元部下とその親族が弁済したとされていますが、この原資に退職金の一部が充当された可能性は否定できません。だから、松井理事長は、退職金相当額の返還を元部下に対して請求する意向のようです。

■しかし、理解できないのは、「返済したから」として、刑事責任を問わない松井理事長の方針です。自らの人事管理能力不足が招いた今回の不祥事と、真相調査不足による退職金の支給により、実質的に組織に損害を与えたことになるのに、顧客に弁済がなされたということだけを強調して、刑事告訴を行わなかったことは、真相解明や、責任の所在、そして再発防止の観点から、誤った対応だと見られても仕方がありません。

 おそらく、51億円事件で自らの責任を群馬銀行から結果的に追及されないまま、転職で理事長職を射止めて、勝ち組の筆頭として、安中市商工会議所の役員にまで返り咲いた松井理事長としては、自身の経験を部下に伝えきれず、結果的に、監督不行き届きが招いた今回の不祥事件の責任の所在をうやむやにするには、部下の仕出かした横領事件の刑事告訴をしないことが、ベストの方策だと判断したのでしょう。

 群銀の支店長経験者として、その手腕を見込まれて群馬県信用組合の理事長に迎えられた松井理事長ですが、自らの人事管理能力不足の責任を、今年6月のわずか1カ月分の理事長報酬のわずか10%にとどめたばかりか、ほかの常勤理事6人には連帯責任として3~7%の報酬減額を求めたりするなど、はたしてどの程度自己責任を認識しているのか、はなはだ疑問です。理事長には、厳しい経営環境の中で、経営安定の手腕を発揮することが期待されているのに、群銀の事なかれ主義だけを持ち込まれては、群馬県信用組合としても本意ではないはずです。

■しかも、「管理監督が不十分だった。原因をよく把握し、対策を立て、信頼される体制作りにまい進したい」などと、ありきたりの言葉で釈明しているところをみると、タゴ事件で学んだはずの反省が、現在の松井理事長の脳裏にどのくらい残っているのか疑問です。

 横領事件が起きたら、一刻も早く警察に通報して、刑事告訴をして、徹底的に真相解明を行い、責任の所在をはっきりさせて、再発防止策を確立し、その経緯を内外に公表することが、最良の対応策であることを、金融機関の経営陣には、肝に銘じてもらいたいものです。


平成22年10月20日発行の「社協あんなか」第21号の3ページに、平成22年8月1日~9月30日の「寄付者の紹介」として、群馬県信用組合の松井理事長の写真が掲載されている。第21号によると、群馬県信用組合は特別賛助会員として平成22年度は2口(2万円?)の会費を納入したが、この他に9月28日(火)付けの上毛新聞によれば、8月に市内のゴルフ場で実施した第1回群信協健康友の会・県信用組合支部チャリティーゴルフ大会の参加者196人から寄せられた寄付金のうち、安中市社会福祉協議会に10万円、富岡市、甘楽町、下仁田町、南牧村の社会福祉協議会に5万円ずつ、合計30万円を寄付したことが報じられている。松井理事長の表情がいまひとつ冴えないのは、この時既に着服事件処理が脳裏をよぎっていのか、それとも、群銀支店長時代のタゴ事件のことだったのか、本人しか理由は分からない。

【ひらく会情報部】

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道普請への作業協力要請をにべもなく拒否したガスパッチョ東京ガスのCSR活動の現実

2010-10-14 23:52:00 | 東京ガス高圧パイプライン問題
■毎年春と秋に行われる地元岩野谷地区の道普請。春は市長選挙とかち合って、選挙前あるいは後と、地区内の各区でバラバラに行われましたが、今回は10月3日(日)に行われたところが多かったようです。

 地元の北野殿地区でも、午前8時から、草刈機やスコップ、あるいはカマを手に、腰にはゴミ拾い用の袋を付けて、それぞれ住民がいつものようにそれぞれの地元の市道や農道の整備作業のため、各人に決められた分担場所での道路清掃作業に汗を流しました。

 本来、道路法によれば、道路管理者以外の者がこうした作業をしてはいけないことになっていますが、昔からの慣例ということで、毎年、こうして春と秋に実施されています。


毎年春と秋に行われる恒例の道普請。一方で、安中市は道路法により道路管理者以外の者がこうした道路維持作業等の関与禁止を法廷で主張している。

■ところが、年々、少子高齢化が進み、この道普請でも、戦力になる青壮年世代の参加者が次第に減少してきました。一方、安中市ではタゴ51億円事件の影響で、道路維持予算が削られているため、道端の除草や側溝の掃除などは殆ど手が付けられていない状況です。地区の区長を通じて、あるいは直接市役所に陳情しても、いっこうに埒が明きません。


タゴ事件の和解金の捻出を優先しているため、安中市の市道の維持管理状況はこのとおり。住民に労働奉仕で肩代わりさせている。

 10月3日の日曜に実施された道普請のため、いつものように共同作業に精出していた住民たちですが、あまりの雑草の多さや道端や側溝のゴミや堆積土砂の多さにはウンザリでした。異常気象のせいもあり、雑草の伸びる量も半端ではありません。


異常気象のためか、雑草の伸びが例年になく著しい。

 一服しているとき、ひとりの住民が「たしかこの道の下には東京ガスのガス管が埋まっているんだっけ」とつぶやきました。それを契機に、他の住民らも「地元にガスも供給せずに、生活道路や通学道路の下に強引に埋めたんだし、市道を利用している立場として、道普請に参加してもらうように頼んだらいいんじゃねえんかい」という話になりました。


市道の管理は道普請だのみの市役所。この道路の下には太いガス導管が走っている。

 ちょうど、軽トラックで巡回してきた区長代理にそのことを話すと、「そりゃあ、ぜひ頼んでみんべ」ということで賛同を得たため、当会から電話をすることで了承を得ました。「区長にも話しておくんで、結果が判ったら、ぜひ教えてくれや」と言って、区長代理は軽トラで次の巡回場所に向かっていきました。

■さっそく携帯で東京ガスの導管敷設を担当した窓口の人物に電話をしたところ、いくらコールしても出てきません。既に敷設工事が昨年末で全て完了したため、既に撤退してしまったようです。仕方がないので、ネットで検索して、東京ガス高崎支社のカスタマーサービスセンター(電話027-322-2523)に電話を入れてみました。すると休日のため自動音声で応答がありました。ガスのトラブル相談ということで、該当番号を押して待っていると、宿直担当者が電話に出ました。

 事情を説明し、「なんとか東京ガスから一人でもいいからボランティアで来て一緒に道普請を手伝ってもらえませんか?」と要請したところ、「今すぐ、別の現場に行かなくてはならないので、別のものから折り返し電話をする」ということで、しばし待っていると、まもなく電話番号027-322-0251から着信がありました。担当者の池上さんに、あらためて、道普請の意味を話しました。地元では昔からの慣例であり、春と秋に実施され、午前8時から2時間程度、道路わきの草刈や側溝の掃除、そして道端に捨てられて空き缶や空き瓶など、車から投げ捨てられたゴミ等の清掃作業をおこなっていることを説明したうえで、少子高齢化による作業者の能力低下により、ぜひ、東京ガスの元気な社員の力を貸してほしい、とお願いしました。

 池上さんは「即答はできないので、明日、月曜日に担当部署に話をした上で、折り返し電話をする」といいました。

 やがて午前9時半ごろになって、下までゴミ拾いに行っていたグループも戻ってきたので、東京ガスにもボランティア作業を依頼したことを伝えたところ、「それはよい提案だ。東京ガスの社員に少しでも作業に参加してもらえれば、来年の春はもう少し作業が楽になるね」と、喜ぶ声が大半でした。


集めたゴミをステーションに集積。やれやれ疲れました。

■月曜日になりました。携帯電話番号を伝えておいたのですが、一向に電話の掛かってくる気配がありません。

 午後5時を過ぎて、ようやく東京ガスから電話番号027-322-0046で着信がありました。たまたま仕事中だったので、午後5時24分ごろ折り返し電話をしたところ、東京ガスでは「きょうはまだ結論が出ないので、あす、あらためて連絡したい」ということでした。

 10月5日の午後1時38分になり、ようやく東京ガスから電話番号027-322-0430で着信がありました。この時も手が空かず、電話に出られなかったため、同日午後5時52分に折り返し電話をかけました。

■東京ガスの返事は、予期しない内容でした。すなわち、「東京ガスとしては、一旦ガス導管を埋設した後は、そのような道路管理は一切しない」というのです。

 当方から、「しかし、皆さんは、地区住民には事前に同意を得ずに、勝手に道路管理者の安中市と合意して、地元の中心を走る市道のしたにガス導管を敷設しました。せめて、交通量の少ない、地区の裏道に当たる農免道路にルート変更してくださいと地元住民らが懇願したにもかかわらず、強引に市道に導管を敷設しました。道路使用料として年間数十万円を安中市に支払っているかもしれませんが、我々住民も税金を支払って市道管理を安中市がやっていますが、巨額横領事件による103年ローンの影響で、このように道路管理が行われておらず、毎年2回の道普請できれいにしています。東京ガスさんも、道路を同じく道路を利用する立場ですからぜひ労働力の提供をお願いします。毎年春と秋の2回で、せいぜい1時間半から2時間足らずの短い時間なので、ぜひ再考をお願いします」と懇願しました。

 ところが、東京ガスは「当社では、そのようなことは他でも行っていない。また、群馬幹線の導管敷設事業で担当していた組織は既に解散して、別の工事場所に移動してしまっており、現在管理しているのは高崎支社だが、工事中はともかく、工事完了後は、そのようなボランティアでの清掃作業はしていない。毎日、道路パトロールだけはしている」という返事を繰り返すばかりです。


地元住民らの無償奉仕によって、毎年2回、きれいにされた市道。無償奉仕をしても、税金は取られ、タゴ巨額横領事件の尻拭いをさせられたり、安中市の不条理は尽きない。↑

■このように、ガスパッチョ東京ガスは、エコだの、社会貢献だの、CSRだのと言って、イメージのよい宣伝だけには大金をかけますが、その本質は、自社の事業推進のことしか考えていないのです。

 東京ガスは、ガス導管を集落の中央に敷設する工事に着手する前には、猫なで声で、「工事後には新しく舗装され道路がきれいになる」「市に使用料が入り財政に貢献する」「毎朝晩の道路パトロールにより通学路の防犯パトロールを兼ねることができる」「地元がその気なら都市ガスも供給できる」などと行政に対して口先だけの甘言を並べ立てていました。

 ところが市長との密約をもとに、足掛け3年間も地区内の道路を掘り返し、交通規制をして地元住民のみならず、膨大な通行車両や運転者に多大な迷惑をかけて、首尾よくガス導管の敷設が今年の3月に完了した途端、「地区住民と一緒に道普請のボランティアなどしたことがない」ので「協力はできない」と言ってくる始末です。


道路下にあるはずの水道管を修理するため道路に切り込みを入れたが、結局、道路下には水道管が見つからず、道の反対側に敷設されていたので、せっかく舗装をカットしたのが無駄。ずさんな埋め戻し工事で段差が付き、車が通過するたびに隣接の住民は騒音に悩まされている。安中市のやることはいつもこうだ。

■これまで当会が指摘してきたように、ガスパッチョ東京ガスには、CSRとか社会貢献という言葉はうわべだけであることが、今回もまた実証されたことになります。

 地元の区長や区長代理には、次回の集会時に、道普請作業の協力に対する東京ガスの拒否回答について、詳しく報告する予定です。

【ひらく会情報部】

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タゴが預けていた絵画等6点に係る情報非開示異議申立に対する岡田市長の理由説明への意見書

2010-10-11 23:41:00 | 土地開発公社51億円横領事件

■自治体史上空前絶後、民間を含めても史上最大級の安中市土地開発公社51億円事件発覚から15年経過した今年(平成22年)4月に、昨年9月に千葉刑務所を公式に出所した元職員の配偶者から、元安中市土地開発公社理事監事として元職員と親しかった現安中市長の岡田義弘・同公社理事長に対して、「夫所有と思われる」絵画6点を損害賠償の債務履行の一部にしたいとして、提供され、岡田理事長が同年5月に受け入れていたことについて、情報開示請求をしたところ、元職員とその関係者の名前等の個人情報が黒塗りにされていたことと、絵画等6点のビジュアル情報が不開示にされたため、異議申立をしたところ、先日、岡田市長から理由説明書が出されたので、それに対する意見書として、平成22年10月12日付けで、次のような内容で提出することにしました。

**********
平成22年10月12日
安中市情報公開・個人情報保護審査会
会 長  采 女 英 幸 殿
     異議申立人 小 川  賢
理由説明書に対する意見書の提出について
私が、平成22年7月28日付(補正書:平成22年8月4日付)で行った、安中市情報公開条例に基づく異議申立てについて、平成22年9月10日付で貴会から安中市長の理由説明書の送付を受けました。
ついては、安中市情報公開・個人情報保護審査会要領に基づき、安中市長の理由説明書に対する「意見書」を下記のとおり提出しますのでよろしくお取り計らい下さい。
     記
意 見 書

1.理由説明書の諾否に対する感想
 理由説明書の「1.異議申立てに対する諾否」について、実施機関(安中市長:総務部企画課)が(2)「安中市長は上記の行政文書部分開示決定通知書で、非開示の理由について「安中市情報公開条例第7条第2号の規定に基づく」としたが、本件情報①(絵画等6点を知人に預けた事)は安中市民の財産を保護するため、公にすることが必要であることから、同第2号ただし書イに基づき、開示することができる」、(3)「また、本件情報①(絵画等6点を知人に預けた事)は、平成7年5月31日に当該個人が公務員を懲戒免職となった以前に為した行為であり、同第2号のただし書ウに基づき、開示することができる」及び(4)「本件情報②については、現物を特定するために必要な情報であり、実際に安中市・公社が引き取る前後に写真等が添えられたり、あるいは報告書に添付されていたり、するはずである。したがって、開示することができる」について否認したことは、地方自治体で史上最大級といわれる安中市土地開発公社を舞台に発生した51億円巨額詐欺横領事件の真相を知っている実施機関(安中市長)の立場にあるにもかかわらず、その責任を放棄したことを示しており、まことに遺憾である。

2.理由説明書の「2.本件の経緯」についての認否
(1)は認める。
(2)は、不知。もともと、安中市土地開発公社(以下「公社」という)は、安中市が資本金を全額拠出しており、別法人とはいえ、その事務事業については、安中市の職員が兼務していることから、安中市が100%その情報を把握していなければならない。なぜなら、平成16年12月27日付総務事務次官による「土地開発公社経営健全化について」と題する通知には「・・・地方公社等の財政状況を全体として的確に把握し、総合的な行財政運営に努める必要がある。・・・(中略)・・・土地開発公社等の設立法人の負債や損失補償を行っている第三セクターの債務のうち、当該法人の財務内容等を勘案して当該地方公共団体の負担見込額を算入することになることにも留意すべきである。さらに、「行政改革の重要方針」、「行政改革推進法」及び「地方行革新指針」を踏まえ、その人員や給与に関する情報を国民に分かりやすく開示させ、改革の取組を促すなど、経営改善等について積極的に取り組む必要がある」と述べられている。ちなみに、この通知に基づき、全国の自治体の多くでは、公社経営の健全化計画が策定され、国によって承認され、実施されているが、安中市ではまったくそのような動きが見られない。(添付資料1参照)
(3)は、不知。
(4)は、請求人(異議申立人)にたいする部分開示の決定(以下「本件処分」という)は認める。その他は不知。
(5)は概ね認める。

3.理由説明書の「3.本件処分をした理由」についての反論
(1)実施機関は、不開示とした理由を、個人の住所、氏名、個人が特定できる情報、及び個人の印影の部分は、次の理由で本件条例第7条第2号に該当する個人情報と主張しているが、あらためて、これに反論する。
 この該当条例にはただし書が付記されている。このことは、個人情報は確かに尊重すべきであるが、それが安中市民の財産を保護するために開示を必要とする場合は比較考量をしたうえで、どちらを優先すべきかを判断しなければならないという趣旨であると異議申立人は認識している。
 実施機関は、この比較考量をしないまま、個人情報を理由に不開示としたことは極めて遺憾である。地方自治体に発生した詐欺横領事件としては、青森県住宅供給公社を舞台にしたアニータ事件など他の追従を許さないほどの巨額事件であるにもかかわらず、公社の歴代理事長、副理事長、常務理事、理事、監事らは誰も責任を取らず、歴代の公社役員を相手取って異議申立人らが提訴した住民訴訟でも、他の全員が事件の反省と再発防止を誓うとした和解案に一時は同意したが、ただ一人岡田義弘氏だけが和解案に応じない姿勢を見せたため、結局、異議申立人ら住民側の敗訴となった。このことから、この事件に対して、行政関係者は誰も反省しないまま、損害賠償を弁済しないまま、群馬銀行への和解金は、安中市土地開発公社の名の下に、公金によって支払われ続けているのが現状である。
 今回、民事面で損害を市に与えたままの公社の元職員や、刑事裁判で全財産を持って償うと裁判官の前で証言した元職員の親族、そして、警察の懸命な捜査の結果、元職員が供述した使途のうち、横領金で購入した多数の骨董品や古美術品などがすべて特定されたにもかかわらず、それ以外にも元職員から絵画等を預かっていた知人がいたことは衝撃的な事実であり、これらの事件関係者らの氏名を公表することは、公社経営の健全化のために必要不可欠であることは疑問を挟む余地のないことである。また、それは103年ローンを公金で尻拭いさせられている安中市民の財産を保護することにも合致するものである。
 なぜなら、市・公社は、絵画等6点の真贋について、元職員やその親族、知人からは説明を受けておらず、寄贈されたこれらの絵画等6点の価値について、価値を認識しないまま受領したのであるから、絵画等6点に関わった関係者の氏名を公表することにより、なぜ価値不明のものを公社に寄贈したのか、市民としてそれらの者たちに質問することができるからであり、かれらにきちんと事情を説明してもらう必要があるからである。このことから、元職員とその関係者の個人情報は、安中市民の財産保護の観点から必要不可欠な情報であり、条例により開示されてしかるべきものである。
 一方、元職員やその親族、知人らの個人情報を開示しても、このことにより、当該個人の権利利益を害する恐れは全くない。なぜなら、元職員は既に出所しており、その他の関係者も刑事罰の観点から共犯でないことが確定しており、もし共犯の疑念が掛かったとしても、既にこの事件では時効が成立しており、現在、事件にかかる係争事案として残っているのは、市・公社と元職員との間の民事面での損害賠償請求であり、この請求は合法的なものであり当該個人の権利利益を害するものではないからである。
 さらに、実施機関は、「絵画等6点を知人に預けた事」について、「この行為自体は、職務遂行に当らない行為であるから、条例第7条第2号ただし書ウの規定に該当しない」と主張しているが、これは失当である。
 元公社職員は、平成7年5月17ないし18日に巨額詐欺横領事件が公社内部で発覚するまで、公社職員の立場で、「美術館を作りたい」として、大量の骨董品や古美術品類の買い付けを、古物商を介して行っていたことは、警察の捜査資料から明らかである。また、元職員が懲戒免職処分を受けたのは平成7年5月31日であり、当時の安中市長小川勝寿が警察に被害について相談したのが同年6月2日午前であり、同日午後に元職員が警察に出頭し、取調べが始まり、同月7日に逮捕に至ったことから、元職員が、絵画等6点を知人に預けたのは、平成7年5月31日の懲戒免職日かそれ以前である可能性が極めて高い。そうであれば、公務員の身分を依然として残したまま、絵画等6点を知人に渡したことになる。
 しかし、元職員が、懲戒免職を通告された平成7年5月31日の夜から、安中警察署に出頭した同年6月2日午後の2日足らずの間に、知人に預けた可能性もゼロではない。異議申立人も、このことについては確証を得ていない。
 実施機関は、「『絵画等6点を知人に預けた事』自体は、職務遂行には当らない行為である」と主張しているが、実施機関は、元職員が懲戒免職になった後、警察に出頭するまでに、絵画等6点を知人に預けた事を確認しているのであれば、その根拠を示すことができるはずである。
(2)実施機関は、本件処分のうち、絵画等6点に関するビジュアル情報について開示しなかったことについて、「『安中市土地開発公社情報公開規程』に則って、それぞれの情報の開示決定を行っている」と主張し、平成22年7月28日付けの異議申立人の異議申立てに基づき、同年8月5日付で、岡田義弘・安中市長名で、岡田義弘・安中市土地開発公社理事長あてに「絵画等6点のビジュアル情報の提供」を協議・依頼したところ、わずか1週間後の同年8月12日付け書状により、岡田義弘・安中市土地開発公社理事長名で、岡田義弘・安中市長あてに、「公社の経営に支障を及ぼすおそれのある情報と認められたので、提出できない」旨の拒否回答が出されたことを根拠にしている。
 しかも実施機関は、理由説明書の中で、「公社にあっては、当該絵画等6点の真贋も不明であるため、換価処分を行う前に必要以上の情報が公にされることにより、適正な価格での取引を阻害しかねない無用な風説が流布する可能性もあり、適正な価格での換価処分が行われない場合には、公社に大きな損害を与えてしまうことになると判断した」として、公社の開示拒否の姿勢に理解を示すかのような見解を述べている。
 これは、とんでもない事実誤認であり、なぜ真贋も不明な絵画等を迂闊にも受領したのかを含めて、実施機関の認識と対応は極めて遺憾である。
 そのため、絵画等6点のビジュアル情報を公にしたほうがよいか、あるいはしないほうがよいのかについて、比較考量により検討してみなければならない。
 実施機関は、新聞等の報道によれば、真贋の鑑定に費用がかかるとして、二の足を踏んでいるようであるが、異議申立人は、ひろく絵画等6点のビジュアル情報を公開して、真贋かどうかを含め、適正な価値の情報を住民と共有化すべきであると考えている。
 たとえば、安中市が、これらの絵画等6点を、鑑定専門家らが「お宝」と称する骨董品や古美術品等の価値を鑑定してくれる有名なテレビ番組に出品すれば、コストをかけずに、真贋を確かめることができる上に、おおよその市場価値についても把握することができるのである。
 それにより、安中市が元職員による巨額詐欺横領事件の損害を少しでも回復しようとしている努力について、世間の知るところとなり、たとえば、安中市が電子入札のようなやりかたで、価格の指値をしたうえで、ネット上でオークションにかける方法で換価することについても、決して非現実的なことではないからである。
 よって、絵画等6点のビジュアル情報を秘匿しなければならない理由は見当たらず、本件処分は、その観点からも条例に違背するものであり、非開示のまま、ずるずると真贋の不明な絵画等を手元に置き続けることは、早期の損害回復(=市民の財産の保護)の観点からマイナスであり、一刻も早く、ビジュアル情報を開示する必要がある。
 なお、異議申立人の見解としては、元職員から絵画等6点を預かっていた知人は、これらの絵画等の真贋について充分専門的な知見を有している人物であると考えている。この観点からも、関係者の個人情報を開示して、真贋についての知人の知見を、安中市民らが確認する道をひらくことが必要であると考えている。
 最後に付け加えておかねばならないことがある。安中市長が、別法人である安中市土地開発公社の理事長を兼務してはならないのである。なぜなら、平成7年5月に発覚した51億円巨額詐欺横領事件においても、当時、安中市長が土地開発公社理事長を兼務していたため、金融機関への借り入れのため作成した公文書の決裁責任が曖昧となり、それに目をつけた元職員が一人で自由に公印を使える環境にあったという反省から、その後、平成18年4月の合併市長選挙直後までは、市長とは別の人物が公社理事長を務めていたのである。にもかかわらず、元職員をよく知る現市長が、ふたたび15年前の事件発覚当時と同様に、公社理事長を兼務することになっていることは、この史上最大級の巨額詐欺横領事件の真相隠しと取られても仕方のない構図であり、非常に好ましくない状況である。このことを最後に書き添えておきたい。
以上

【添付資料1】
「土地開発公社経営健全化について」(平成16年12月27日総務事務次官通知)

4 行政改革の推進
(1) 集中改革プラン等の取組状況 (略)
(2) 地方公営企業等の改革
ア 地方公営企業
 「簡素で効率的な政府」を実現し、財政の健全化を図り、行政に対する信頼性を確保することが喫緊かつ最重要課題の一つとなる中で、地方公営企業分野においても、民間的経営手法の積極的な導入を含めた不断の経営改革を通じ、住民に対してより良質のサービスを提供していくことが一層求められている状況にある。
 地方公共団体においては、「地方公営企業の経営の総点検について」(平成16年4月13日付け総務省自治財政局公営企業課長通知)、「新地方行革指針」、「地方行革新指針」等に基づき、以下のとおり積極的な取組を行う必要がある。
(1) 現在地方公営企業が供給しているサービス自体の必要性について検討する。また、サービス自体が必要な場合であっても、地方公営企業として実施する必要性について十分検討し、特に公共性の確保等の意義が薄れている場合には、民間への事業譲渡等について検討する。
(2) 地方公営企業として事業を継続する場合であっても、公の施設の指定管理者制度、地方独立行政法人制度、PFI事業、民間委託等の民間的経営手法の導入を促進する。
(3) より一層計画性・透明性の高い企業経営を推進するため、中期経営計画の策定、業績評価の実施、積極的な情報開示に取り組む。特に情報開示にあたっては、人件費、料金水準等について類似団体や民間企業の対応するデータを添えるなど、住民が理解、評価しやすいように工夫をこらす。
 平成19年4月1日現在における各地方公共団体の取組状況については、次のとおりとなっている。
(ア)民営化・民間譲渡
 地方公営企業における過去5年間(平成15年4月1日~平成19年4月1日)の民営化・民間譲渡の実施事業数は105事業(都道府県・大都市等18事業、市町村等87事業)となっている。なお、譲渡された主な事業は、介護サービス事業(49事業)、ガス事業(14事業)、交通事業(13事業)であり、上記以外に民営化・民間譲渡の実施を準備している事業が42事業(都道府県・大都市等8事業、市町村等34事業)ある。
第109図 平成15年度以降の民営化・民間譲渡の状況(累計)
(イ)指定管理者制度
 地方公営企業における公の施設の指定管理者制度の導入状況については、導入済事業が494事業(都道府県・大都市等86事業、市町村等408事業)、導入を検討している事業が334事業(都道府県・大都市等30事業、市町村等304事業)であり、平成18年度の導入済456事業(都道府県・大都市等81事業、市町村等375事業)から増加している。なお、導入された主な事業は、介護サービス事業(132事業)、駐車場事業(114事業)、観光施設事業・その他事業(104事業)である。
第110図 地方公営企業における指定管理者制度の導入状況
第111図 地方公営企業における指定管理者制度の導入済事業
(ウ)アウトソーシング(外部委託)
 地方公営企業におけるアウトソーシング(外部委託)の実施状況については、実施率(何らかのアウトソーシングを実施している団体数の割合)が都道府県・大都市等の各事業でほぼ100%に近く、市町村等においても特に水道事業(末端供給)、簡易水道事業、ガス事業、病院事業、下水道事業についてはいずれも100%に近い割合を示している。
第112図 地方公営企業におけるアウトソーシング(外部委託)の実施状況 その1 都道府県・大都市等
第112図 地方公営企業におけるアウトソーシング(外部委託)の実施状況 その2 市町村等
 以上のように、地方公営企業の民営化・民間譲渡をはじめとした民間的経営手法の導入が大幅に進展している。より質の高いサービスを効率的に提供するため、民営化・民間譲渡を含む経営改革の取組を一層進めることが求められている。
イ 国民健康保険・後期高齢者医療制度事業
 我が国の医療保険の中核として国民健康保険を支える国民健康保険制度については、被保険者の高齢化に伴う医療費の増嵩、保険税(料)負担能力の低い無職者・低所得者の増加、医療費の地域格差から生じる保険者間の不均衡、小規模保険者の増加など、構造的問題を数多く内包している。
 国民健康保険財政の健全化に向けては、これまでにも低所得者を多く抱える保険者を財政的に支援する保険者支援制度の創設や高額医療費共同事業の拡充及び法制度化等の新たな財政的支援を講じてきているところであるが、安定的な保険運営を可能とする上で、国民健康保険制度の抱える構造的な問題の解決が避けて通れないところである。このため、国民健康保険、被用者保険等「医療保険制度を通じた給付の平等、負担の公平を図り、医療保険制度の一元化を目指す」との基本的考え方に立った「医療保険制度体系等に関する基本方針」が平成15年3月28日に閣議決定された。
 これを受け、「安心・信頼の医療の確保と予防の重視、医療費適正化の総合的な推進、超高齢社会を展望した新たな医療保険制度体系の実現」を柱とする「医療制度改革大綱」が平成17年12月1日に決定されたところであり、特に国民健康保険については、保険者支援制度等の国保財政基盤強化策を継続するとともに、保険財政の安定化と保険料平準化を促進する観点から、都道府県内の市町村の拠出により医療費を賄う共同事業の拡充が図られたところである。
 また、平成20年度から75歳以上については、独立した医療制度である後期高齢者医療制度が施行される。
ウ 地方公社等
 地方公社等については、その経営の適否が地方公共団体の財政に重大な影響を及ぼす可能性があることから、普通会計のほか公営企業会計及び地方公社等の財政状況を全体として的確に把握し、総合的な行財政運営に努める必要がある。また、「地方公共団体財政健全化法」の財政指標の1つである将来負担比率では、地方道路公社や土地開発公社等の設立法人の負債や損失補償を行っている第三セクターの債務のうち、当該法人の財務内容等を勘案して当該地方公共団体の負担見込額を算入することになることにも留意すべきである。さらに、「行政改革の重要方針」、「行政改革推進法」及び「地方行革新指針」を踏まえ、その人員や給与に関する情報を国民に分かりやすく開示させ、改革の取組を促すなど、経営改善等について積極的に取り組む必要がある。
 特に、「行政改革推進法」第57条に基づき、地方独立行政法人、地方住宅供給公社、地方道路公社及び土地開発公社並びに地方公共団体が資本金、基本金その他これらに準ずるものの4分の1以上を出資している法人に対しては、その職員数及び職員の給与に関する情報を公開するよう要請する必要がある。
 また、地方公社等については、「地方行革新指針」を踏まえ、人件費抑制等に向け取組を進める必要がある。
 このうち、土地開発公社については、新たな土地の取得にあたり、土地利用計画等を慎重に検討するとともに、現に保有している土地については事業計画の見直し等を含めて処分の促進に努め、土地取得手続の適正化や金利の低減を図るとともに、積極的な情報公開等に努める必要がある。土地開発公社の近年の土地保有総額の推移は、第113図のとおりであり、平成18年度末における土地保有総額は、4兆5,296億円で、前年度と比べると11.6%減となっており、10年連続して減少している。このうち、5年以上保有している土地が占める割合は依然として高いことから、特に、保有期間が長期にわたる土地については、処分を積極的に行う必要がある。
第113図 土地保有総額の推移
 また、「土地開発公社経営健全化対策について」(平成16年12月27日付け総務事務次官通知)に基づき、公社経営健全化団体が指定され、健全化のための取組が行われているところであるが、その他の地方公共団体についても、引き続きより一層の土地開発公社の経営の健全化に取り組む必要がある。
**********

■今後の推移は逐次、当会のブログ上で報告します。

【ひらく会情報部】
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