市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

関東最大級メガソーラーを2月12日に買い取った東京ガスに出した質問状の回答に滲む上から目線体質

2020-08-19 23:25:00 | 安中市内の大規模開発計画
■2016年秋から造成が開始された群馬県安中市の岩野谷の大谷・野殿地区約130ヘクタールに及ぶ関東地方で最大級とされるメガソーラー施設が2019年12月末に完成し、2020年1月3日に送電が開始されました。約370万立方メートルに上る移動土砂が行われ、それまでオオタカやキツネが生息し、関東地方の平野部では唯一猟銃による水平撃ちも可能で、エビネやヒツジグサが自生していた広大な里山が僅か3年で姿を消し、現地では一面の殺風景なパネルの海となってしまいました。
 ところが、送電開始後わずか1か月余りの2月12日に、このメガソーラーを中国資本も関与するタックスヘイブン会社から東京ガスが買い取ったという衝撃的なニュースが駆け巡りました。
 この余りの素早い電撃的買収劇を目の当たりにした筆者は、近々、各方面にヒヤリングをして今回の突然の外資系SPCの撤退と、東京ガスの進出の顛末を調べてみようと思っていましたが、新型コロナウイルスの蔓延で、しばらく様子見をしていました。
 その後、7月16日に、東京ガスの担当者らが、地元に事務所を置く鹿島建物の現場代理人の案内で、留守中、筆者の自宅に来たと言うので、この機会にかねてから知りたかった質問事項を東京ガスに訊いてみることにしました。


東京ガスが2020年2月にタックスヘイブンのペーパー会社から買収した関東最大級のメガソーラー施設。

 なお、現時点で稼働中のメガソーラーではおそらく関東圏では最大級のこの大規模太陽光発電施設の今年に入ってからの経緯は次の通りです。
○2020年1月5日:関東最大級の安中ソーラー合同会社のメガソーラーがついに1月3日から送電開始!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3107.html
○2020年3月1日:1月3日に送電開始したばかりの関東最大級の安中ソーラーが早くも東ガスに身売り!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3126.html

■それでは当会が東京ガスに宛てた質問書を見てみましょう。

*****質問書*****ZIP ⇒ j.zip
                    2020年7月23日
〒105-8527
東京都港区海岸1-5-20
東京ガス株式会社 エネルギー需給本部
再生可能エネルギー事業部
再エネ第一グループ
係長 砂田 良知 様
係員 大内ありさ 様

                質問者:〒379-0114
                    群馬県安中市野殿980
                    小川 賢
                    電話090-5302-8312
                    FAX027-381-0364

件名:安中市岩野谷地区の安中ソーラー合同会社メガソーラーにかかるご質問

前略 先日は遠路お越し下さったにもかかわらず自宅を留守にしており大変失礼しました。
 さて、貴社が2020年2月12日にプレスリリースで公表した「群馬県安中市における太陽光発電所の取得について」と題する情報によると、「東京ガス株式会社(社長:内田 高史、以下「東京ガス」)100%出資子会社のプロミネットパワー株式会社(社長:菅沢 伸浩)は、このたび、アジア・パシフィック・ランド・(ジャパン)・リミテッド社が運営を行ってきた特別目的会社である安中ソーラー合同会社を通じて「安中市太陽光発電所」(以下「本発電所」)を取得しました。固定価格買取制度の適用期間終了後は、自社電源としての活用を想定しており、年間約5.6万トンのCO2削減に寄与する環境価値のある電力をお客さまにお届けしてまいります。東京ガスグループは、経営ビジョン「Compass2030」で掲げた2030年における国内および海外での再生可能エネルギー電源取扱量500万kWの達成に向け取り組んでまいります。」としています。
 このことについて、次の質問がありますので、できる限り、詳しく教えてください。

【質問1】
 この本発電所の土地(借地を除く)は、安中ソーラー合同会社という特別目的会社(SPC)が、日刊スポーツ新聞社の子会社から買い取ったものと認識しております。またこのSPCのバックには、代表社員としてグレート・ディスカバリー・ホールディングLLC社(GDH)という米国デラウエア州ウイルミントン市に登録されたペーパー会社がおり、その職務執行者として、東京都港区赤坂2-10-5にある税理士法人赤坂国際会計事務所の山崎亮雄と、香港に拠点を置く香港九龍大角咀ホイファイロード18ワン・シルバー・シー、ブロック7、21階、ルームBのリュー・シャオ・フィの2名が選任されていました。今回、貴社のプレスリリースによると、「アジア・パシフィック・ランド・(ジャパン)・リミテッド社(APL)が運営を行ってきた特別目的会社を通じて『安中市太陽光発電所』を取得しました。」と報じています。
 今回の貴社による一連の取得劇において、貴社、貴社子会社プロミネット・パワー社、SPC、GDH、APL、および後述の三菱UFJ信託銀行、さらに、本発電所の運営を請け負っている鹿島建物の各社がどのように関与してきたのか、その結果、現在どのような立ち位置に各社が置かれているのか、わかりやすく説明をお願い申し上げます。

【質問2】
 一方、地元の菩提寺である念称寺が本発電所内に保有する土地については、寺とSPCとの間で、2016年11月7日付で地上権設定予約契約書が交わされ、2016年4月24日付予約権行使の通知書により地上権の設定が為されています。日付が前後しているのは、国土法違反が発覚して、地上権設定予約契約書の正式締結が遅くなったものと思料されます。
 このことに関連して、2020年1月10日付で念称寺にSPCから差し出された書面によれば、SPCは、本件地上権を2019年12月25日付で受託者である三菱UFJ信託銀行に信託譲渡し、地上権設定予約契約書に定めたSPCの地位・権利・義務を三菱UFJ信託銀行に承継したことが明記されています。SPCは承継後も寺の土地を三菱UFJ信託銀行から賃借しながら、事業を継続し、地代もSPCから支払うとしています。
 こうした事実によれば、プレスリリースで「SPCを通じて太陽光発電施設を取得した」と報じた貴社は、本発電所のどのような権利を誰からどのような条件で取得したのか、わかりやすく説明をお願い申し上げます。

【質問3】
 プレスリリースで貴社は「固定価格買取制度の適用期間終了後は、自社電源としての活用を想定しており、年間約5.6万トンのCO2削減に寄与する環境価値のある電力をお客さまにお届けしてまいります。」と言明しています。このことは、FIT制度の適用期間が終了する2040年1月3日(要確認)以降は、引き続き自社電源として本発電所を保有し運用していくことが想定されます。具体的には、本発電所内の土地の所有権、借地の地上権、施設・設備等の管理について、どのようにお考えなのか、わかりやすく説明をお願い申し上げます。

【質問4】
 質問者は、本発電所に取り巻かれている山林を所有し、そのアクセスとして市道を利用しています。しかし、道路の両側が本発電所の所有地となっていることから、道路管理面で支障の出ることが予想されます。道路管理者である安中市は、認定道路として道路に番号を付与していますが、実際の管理面ではなんの対策も講ずる意図が見られず、やむをえず、唯一の利用者である質問者が道路里親制度等を活用して管理するほかはありません。この件については、本発電所の運営管理業務を貴社が鹿島建物に委託していると思われますが、どのような条件で業務委託をしているのか、分かりやすく説明をお願い申し上げます。
 とりわけ、質問者の所有する山林および道路管理者である安中市が保有するアクセス用市道との境界付近の管理責任について、所掌範囲や責任の明確化等はどうなっていますでしょうか、

【質問5】
 本発電所の設置及び稼働に関連して2017年(平成29年)2月24日付で、安中市(群馬県安中市安中―丁目23番13号)、地区住民(安中市岩野谷地区第6区および第7区区長)および事業者の安中ソーラー合同会社(東京都港区赤坂二丁目10番5号赤坂国際会計事務所内)の3者による協定書が締結されました。さらに同日、FIT制度終了後を想定した撤去費の積立及び支出の仕組を構築することを約すとして、安中ソーラー合同会社と安中市の間で覚書が交わされました。この覚書に基づき、安中ソーラー合同会社では、三井住友信託銀行株式会社との間で信託契約が締結され、その具体的な条件は、別途三井住友信託銀行株式会社の指定金銭信託約款及び金銭信託契約特約申込書に従とされました。この覚書に基づき、発電事業(売電)開始日から毎年3000万円ずつが積み立てられ、20年間で6億円の累積積立金が確保されることになります。これらの協定書や覚書は、現在どのように承継されているのか否か、その内容についてわかりやすく説明をお願い申し上げます。

【質問6】
 質問者の知る限り、SPCは三井住友信託銀行から150億円の資金を借り入れ、そのうち20億円を日刊スポーツ新聞社に支払い、土地を取得し、残りの130億円を投じて、造成工事と施設・設備設置工事を東芝プラントシステムに請け負わせて、2020年1月18日に完成した本発電所の施設・設備がSPCに引き渡されました。貴社はその僅か25日後に、本発電所を何らかの形で取得されました。
 つきましては、貴社は本発電所の取得のために資金としていくら投じたのでしょうか。また、本発電所の取得について、いつ頃から会社として方針を立て、取得に向けた計画を策定してきたのでしょうか。分かりやすく説明をお願い申し上げます。

【質問7】
 本発電所の建設に当たり、地元を対象とした説明会で、本発電所の稼働により年間17億円の売電収入が見込めるとの発言が、SPC側からありました。今回、本発電所を取得した貴社として、本発電所の取得を決断された理由にはどのようなものがありますでしょうか。さまざまな理由があると思いますが、それらをすべて教えてください。また、それらの理由について、優先度を付してください。

 以上が質問者からの質問事項です。
 本発電所が設置された場所は、岩野谷地区の南部の広大な丘陵地帯です。ご案内の通り、岩野谷地区の北部には、カドミウム公害でしられる東邦亜鉛安中製錬所が位置しており、これまでに80年間に及ぶ操業により、周辺にカドミウムをはじめ重金属を含む降下煤塵が降り注ぎ、深刻な土壌汚染が発生し、今でも製錬所周辺半径1キロメートル以内は、汚染土壌が手つかずのまま放置された状態にあります。
 現在、製錬所周辺の北野殿地区や岩井地区では、公害防除特別対策事業として区画整理方式による汚染土壌の排客土計画が行政主導で進められていますが、遅々として進展を見せておりません。その過程で、本発電所の造成工事中に発生する山土を汚染土壌対策のための客土用への利用を行政にもSPCにも働きかけましたが、ことごとく無視されてしまった経緯があります。
 質問者が本発電所計画に対して、終始慎重な対応を、関係筋に一貫して求めてきた理由や背景には、地元の事情を無視して、経済的論理で開発が為されることへの戒めがありました。以下にかいつまんで、これまでの経緯を記してみました。
【経緯概要】
 岩野谷地区南部の水境および大谷にまたがる約130haの丘陵地帯については、バブル期に日刊スポーツ新聞社による朝日新聞グループ専用のゴルフ場計画が進められてきましたが、バブル崩壊により、同社の社有林として維持されてきたところ、東日本大震災を契機に2012年7月1日にスタートしたFIT制度(再生可能エネルギー固定価格買い取り制度)のため、太陽光発電施設業者によるメガソーラー設置計画の動きが活発化し、日刊ゴルフ場もその動きの中で、2013年になると数社から日刊スポーツに買取り要請が寄せられ、日刊スポーツはその中で最も高額の買取価格を提示したタックス・ヘイブンで知られるグレート・ディスカバリー・ホールディングスLLCに約20億円で2015年12月に売却しました。その後2016年10月までに群馬県の大規模開発許可がおり、造成工事に着手、2019年末までに完成し、2020年1月3日に運転開始となりました。

 事実、地元説明会でも、広大な森林伐採による周辺への気象変化(温度上昇)や、鳥獣が棲み処を失うことによる周辺農業への鳥獣害も懸念され、さらに調整池が設置されるとはいえ、下流に流出する水量の変化によりとくに集中豪雨の際の下流への出水被害を懸念する声が多数出されました。このうち、獣害や水害については、実際に周辺や下流に被害がでたことも事実です。
 とりわけ、これまでSPCの実態が素性のしれない外資系のタックスヘイブンのペーパー会社であったことは、いつ転売されて、FIT制度終了後は産業廃棄物中間処理ないし最終処分場施設にかかわる事業者の手に渡ってしまうのではないか、との強い不安がありました。
 今回、事情はともかく、結果的に日本を代表する企業のひとつである貴社が本発電所を取得したことについて、これまでの不安は解消したと判断してもよいのかどうか、近日中に貴社と面談の機会を持たせていただければ、質問者としても幸いと存じます。
 その際、上記の質問事項についても、あらかじめ書面でご教示願えれば、無用な誤解や不明事項を最小限化することができ、効率よく情報共有ができると思います。
 つきましては、誠に恐縮ですが、盆明けの8月17日(月)までに上記質問へのご回答を書面で質問者の連絡先あてにお願いいたします。そして、その後、適当な時期に、直接ご面談できる機会を希望しております。
 貴社におかれましては、こうした事情を拝察いただき、今後とも本発電所の事業を通じて地元と良好な関係を保持していただけるよう、ご理解ご協力を賜りたくお願い申し上げます。
                    草々
**********

■こうして、8月17日(月)期限で回答を待っていたところ、8月13日付で東京ガスから封書で回答が郵送されてきました。わずか2ページ(実質的に1頁強)でした。回答内容は次の通りです。



*****東京ガスからの回答*****ZIP ⇒ 20200813kx2.zip
                           2020年8月13日
小川 賢 様
                     東京ガス株式会社
                     群馬安中太陽光発電合同会社

              回答書

 平素より、弊社太陽光発電事業への格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。
 2020年7月23日付「安中市岩野谷地区の安中ソーラー合同会社メガソーラーにかかるご質問」につきまして、以下の通り回答申し上げます。何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。

【ご質問1への回答】
 東京ガスの100%出資子会社であるプロミネットパワー株式会社が100%出資する群馬安中太陽光発電合同会社(群馬GK) が安中ソーラー合同会社(安中GK) の出資持分を取得しております。その後、群馬GKが安中GKの権利義務を承継しており、当社グループの群馬GKが事業運営を行っております。

【ご質問2への回答】
 安中GKより群馬GKが取得し、現在はプロジェクトに関連する契約は群馬GKが承継し履行しております。地上権設定者への地代お支払いは群馬GKより実施いたします。

【ご質問3への回答】
 本発電所内の土地の所有権、地上権、施設・設備等の管理については事業期間を通して、法令等を遵守し、事業者として適切に運営・管理する所存です。施設・設備の管理については、専門の第三者に委託しております。

【ご質問4への回答】
 第三者との契約内容については大変恐縮ではございますが、秘密保持義務を負っていることから回答を差し控えさせていただきます。貴殿の所有地及び安中市道との境界付近の 管理責任については、地権者として適切に管理し、法令遵守に努めて参ります。

【ご質問5への回答】
 安中GKの発電事業は会社分割により群馬安中GKに承継されており、契約は群馬GKにて履行致します。撤去費は契約に従い、群馬GK によって積み立てられており、今後も継続して参ります。

【ご質問6への回答】
 取得に要した金額がいくらであるかは、秘密保持義務により、大変恐縮ではございますが、回答を差し控えさせていただきたく存じます。本発電所の取得を計画した時期についても同様です。

【ご質問7への回答】
 CO2削減に向けて取り組むことはエネルギー事業者の責務であり、環境に優しい天然ガスの普及拡大と合わせて、再生可能エネルギーの開発を通じた安定的な電力供給も当社の使命と考えております。このような背景の下、本太陽光発電所の取得を決定しております。

                               以上
**********

■ご覧のとおり、当方ができる限り詳しくお答えいただきたいと5ページにわたり7項目の質問への回答を要請したにもかかわらず、たった1ページ半しか答えてくれません。それも、当方が時系列に沿って、わかりやすく、概要を説明したうえで質問しているのに、「秘密保持義務」を連発したり、わざと当方の質問の趣旨をはぐらかしたり、端折ったりしています。

 これでは、まるで、2009年から2013年にかけて地元安中市の磯部から高崎市の下小塙町まで、高圧ガス導管を敷設した際の、横柄な東京ガスの対応を彷彿とさせます。まさに、東京ガスの体質そのものと言えます。

 上記の回答内容だけでは質問との兼ね合いが把握しにくいため、個々の項目の質問と回答を対比させてみましょう。

*****各質問・回答ごとの対比*****
【当会の質問1】
 この本発電所の土地(借地を除く)は、安中ソーラー合同会社という特別目的会社(SPC)が、日刊スポーツ新聞社の子会社から買い取ったものと認識しております。またこのSPCのバックには、代表社員としてグレート・ディスカバリー・ホールディングLLC社(GDH)という米国デラウエア州ウイルミントン市に登録されたペーパー会社がおり、その職務執行者として、東京都港区赤坂2-10-5にある税理士法人赤坂国際会計事務所の山崎亮雄と、香港に拠点を置く香港九龍大角咀ホイファイロード18ワン・シルバー・シー、ブロック7、21階、ルームBのリュー・シャオ・フィの2名が選任されていました。今回、貴社のプレスリリースによると、「アジア・パシフィック・ランド・(ジャパン)・リミテッド社(APL)が運営を行ってきた特別目的会社を通じて『安中市太陽光発電所』を取得しました。」と報じています。
 今回の貴社による一連の取得劇において、貴社、貴社子会社プロミネット・パワー社、SPC、GDH、APL、および後述の三菱UFJ信託銀行、さらに、本発電所の運営を請け負っている鹿島建物の各社がどのように関与してきたのか、その結果、現在どのような立ち位置に各社が置かれているのか、わかりやすく説明をお願い申し上げます。
【東京ガスの回答1】
 東京ガスの100%出資子会社であるプロミネットパワー株式会社が100%出資する群馬安中太陽光発電合同会社(群馬GK) が安中ソーラー合同会社(安中GK) の出資持分を取得しております。その後、群馬GKが安中GKの権利義務を承継しており、当社グループの群馬GKが事業運営を行っております。

←(当会注:この度の突然の買収劇において、有象無象のペーパー会社がどのような役割で蠢いて、その最終的なかたちが東京ガスによる取得という結果になったのか、その過程も訊いているのに、完全無視!)

【当会の質問2】
 一方、地元の菩提寺である念称寺が本発電所内に保有する土地については、寺とSPCとの間で、2016年11月7日付で地上権設定予約契約書が交わされ、2016年4月24日付予約権行使の通知書により地上権の設定が為されています。日付が前後しているのは、国土法違反が発覚して、地上権設定予約契約書の正式締結が遅くなったものと思料されます。
 このことに関連して、2020年1月10日付で念称寺にSPCから差し出された書面によれば、SPCは、本件地上権を2019年12月25日付で受託者である三菱UFJ信託銀行に信託譲渡し、地上権設定予約契約書に定めたSPCの地位・権利・義務を三菱UFJ信託銀行に承継したことが明記されています。SPCは承継後も寺の土地を三菱UFJ信託銀行から賃借しながら、事業を継続し、地代もSPCから支払うとしています。
 こうした事実によれば、プレスリリースで「SPCを通じて太陽光発電施設を取得した」と報じた貴社は、本発電所のどのような権利を誰からどのような条件で取得したのか、わかりやすく説明をお願い申し上げます。
【東京ガスの回答2】
 安中GKより群馬GKが取得し、現在はプロジェクトに関連する契約は群馬GKが承継し履行しております。地上権設定者への地代お支払いは群馬GKより実施いたします。

←(当会注:これも当会の質問にまともに応えようとせず、焦点をはぐらかせています。SPCはこの施設の地上権を三菱UFJ信託銀行に信託譲渡した、と言っているのに、東京ガスはこの施設の何の権利義務を承継したというのか、判然としません。想像するに、どうやら、地上に設置したパネル装置とその下の土地について、三菱UFJ信託銀行が安中ソーラー合同会社から買い取り、それを東京ガスに賃貸で使わせ、FIT制度により高値で売れた電力の販売利益は東京ガスが得るという構図のようです。東京ガスは、それを源資に、念称寺の土地の地代を支払っているということのようです)

【当会の質問3】
 プレスリリースで貴社は「固定価格買取制度の適用期間終了後は、自社電源としての活用を想定しており、年間約5.6万トンのCO2削減に寄与する環境価値のある電力をお客さまにお届けしてまいります。」と言明しています。このことは、FIT制度の適用期間が終了する2040年1月3日(要確認)以降は、引き続き自社電源として本発電所を保有し運用していくことが想定されます。具体的には、本発電所内の土地の所有権、借地の地上権、施設・設備等の管理について、どのようにお考えなのか、わかりやすく説明をお願い申し上げます。
【東京ガスの回答3】
 本発電所内の土地の所有権、地上権、施設・設備等の管理については事業期間を通して、法令等を遵守し、事業者として適切に運営・管理する所存です。施設・設備の管理については、専門の第三者に委託しております。

←(当会注:ここでも東京ガスの回答は曖昧というか、故意に分かり難くさせている感じがします。どうやら土地の所有権はSPC、地上権は三菱UFJ信託銀行、施設・設備等の管理は鹿島建物というくくりのようですが、あらためて確認する必要があると思います)

【当会の質問4】
 質問者は、本発電所に取り巻かれている山林を所有し、そのアクセスとして市道を利用しています。しかし、道路の両側が本発電所の所有地となっていることから、道路管理面で支障の出ることが予想されます。道路管理者である安中市は、認定道路として道路に番号を付与していますが、実際の管理面ではなんの対策も講ずる意図が見られず、やむをえず、唯一の利用者である質問者が道路里親制度等を活用して管理するほかはありません。この件については、本発電所の運営管理業務を貴社が鹿島建物に委託していると思われますが、どのような条件で業務委託をしているのか、分かりやすく説明をお願い申し上げます。
 とりわけ、質問者の所有する山林および道路管理者である安中市が保有するアクセス用市道との境界付近の管理責任について、所掌範囲や責任の明確化等はどうなっていますでしょうか、
【東京ガスの回答4】
 第三者との契約内容については大変恐縮ではございますが、秘密保持義務を負っていることから回答を差し控えさせていただきます。貴殿の所有地及び安中市道との境界付近の管理責任については、地権者として適切に管理し、法令遵守に努めて参ります。

←(当会注:第三者とは鹿島建物のことでしょうが、あえて固有名詞を出さず、隣接地権者である当方に対して、できる限り情報を教えないという東京ガスの徹底した方針を痛感させます。ここで、東京ガスは自ら地権者と明言しています。東京ガスはSPCを買い取ったから土地は自ら所有し(念称寺の土地のように地上権設定された場所は、SPCが支払い、上物のソーラーパネルは、三菱UFJ信託銀行から賃借しているということだと思われます。であれば、東京ガスと当方は隣接地権者同士ということになります。また、本件メガソーラー計画では、三菱UFJ信託銀行が裏で主要なプレーヤーとして動いていたことが今回ハッキリしました)

【当会の質問5】
 本発電所の設置及び稼働に関連して2017年(平成29年)2月24日付で、安中市(群馬県安中市安中―丁目23番13号)、地区住民(安中市岩野谷地区第6区および第7区区長)および事業者の安中ソーラー合同会社(東京都港区赤坂二丁目10番5号赤坂国際会計事務所内)の3者による協定書が締結されました。さらに同日、FIT制度終了後を想定した撤去費の積立及び支出の仕組を構築することを約すとして、安中ソーラー合同会社と安中市の間で覚書が交わされました。この覚書に基づき、安中ソーラー合同会社では、三井住友信託銀行株式会社との間で信託契約が締結され、その具体的な条件は、別途三井住友信託銀行株式会社の指定金銭信託約款及び金銭信託契約特約申込書に従とされました。この覚書に基づき、発電事業(売電)開始日から毎年3000万円ずつが積み立てられ、20年間で6億円の累積積立金が確保されることになります。これらの協定書や覚書は、現在どのように承継されているのか否か、その内容についてわかりやすく説明をお願い申し上げます。
【東京ガスの回答5】
 安中GKの発電事業は会社分割により群馬安中GKに承継されており、契約は群馬GKにて履行致します。撤去費は契約に従い、群馬GK によって積み立てられており、今後も継続して参ります。

←(当会注:会社分割とあるので、額面通りに受け止めると、発電専業のはずの安中ソーラー合同会社が、会社分割により発電事業が群馬安中太陽光発電合同会社に引き継がれたということなのでしょうか。となると、他にもパートナーがいることをうかがわせます。なお、事業終了後のパネルの撤去費はこのSPCが積み立てているとしています。)

【当会の質問6】
 質問者の知る限り、SPCは三井住友信託銀行から150億円の資金を借り入れ、そのうち20億円を日刊スポーツ新聞社に支払い、土地を取得し、残りの130億円を投じて、造成工事と施設・設備設置工事を東芝プラントシステムに請け負わせて、2020年1月18日に完成した本発電所の施設・設備がSPCに引き渡されました。貴社はその僅か25日後に、本発電所を何らかの形で取得されました。
 つきましては、貴社は本発電所の取得のために資金としていくら投じたのでしょうか。また、本発電所の取得について、いつ頃から会社として方針を立て、取得に向けた計画を策定してきたのでしょうか。分かりやすく説明をお願い申し上げます。
【東京ガスの回答6】
 取得に要した金額がいくらであるかは、秘密保持義務により、大変恐縮ではございますが、回答を差し控えさせていただきたく存じます。本発電所の取得を計画した時期についても同様です。

←(当会注:今回の質問の中でも核心に触れる質問なのに、東京ガスはあっさりと秘密保持義務を盾に情報秘匿を決め込んでいます。おそらく取得には200億円は優に投じられたと当方では見ています。あるいは、地上権を設定している三菱UFJ信託銀行から賃借しているので、運転資金面では、さほど一時的に巨額の投資は必要なかったのかもしれません。となると、日刊スポーツ事業から朝日新聞グループ専用ゴルフ場計画跡地を、三井住友信託銀行から150億円(うち20億円が土地代、130億円が発電施設代)の融資を受けて購入し、造成し、設備を設置した安中ソーラー合同会社から、東京ガスの再生エネルギー事業本格参入の為、200億円(当会推測)で取得したのは三菱UFJ信託銀行で、東京ガスはその土地の所有権を買い取り、設備である地上権は三菱UFJ信託銀行から賃借していることが考えられます。ここで思い当たるのは、この事業の為の造成工事が始まったころ、匿名で、この事業の裏にはメガバンクが関与している、との情報提供があったことです。そのため、メガバンク3行に公開質問状を出して、本件事業に関与しているかどうか尋ねましたが、顧客との守秘義務を理由に一切回答拒否をされたことがあります。しかし、そこには三菱UFJ信託銀行の名前が記載されていました。安中ソーラー合同会社には三井住友信託銀行が資金面で関与していましたが、実際には匿名情報が言っていた三菱UFJ信託銀行がこの事業を主導していたことになります。ということは、このメガソーラー発電所計画では、造成工事に着手した時点で、三菱UFJ信託銀行が東京ガスの意向を受けて、完成後早期に取得するシナリオができていた可能性が濃厚だったことになります。まさにマネーゲームに翻弄された日刊スポーツによる朝日新聞グループ専用ゴルフ場計画の構図を彷彿とさせます)

【当会の質問7】
 本発電所の建設に当たり、地元を対象とした説明会で、本発電所の稼働により年間17億円の売電収入が見込めるとの発言が、SPC側からありました。今回、本発電所を取得した貴社として、本発電所の取得を決断された理由にはどのようなものがありますでしょうか。さまざまな理由があると思いますが、それらをすべて教えてください。また、それらの理由について、優先度を付してください。
【東京ガスの回答7】
 CO2削減に向けて取り組むことはエネルギー事業者の責務であり、環境に優しい天然ガスの普及拡大と合わせて、再生可能エネルギーの開発を通じた安定的な電力供給も当社の使命と考えております。このような背景の下、本太陽光発電所の取得を決定しております。

←(当会注:これも、当会の質問に対してまともに答えていません。東京ガスが、関東最大級のこのメガ―ラー施設の完成直後に土地と施設の使用権を取得した背景には、たしかに再生エネルギーを活用した企業イメージ向上と電力事業参入の方針もあるのでしょうが、その一方で、得体のしれないタックスヘイブンのペーパー会社を隠れ蓑にした、いかがわしい香港=中国のファンドマネージャーを巻き込んだマネーゲームに加担し、彼らに多額の利益を与えたことになります。形を変えたハゲタカ・ファンドに我が国の国土を利用され、搾取されたわけですが、東京ガスはそのことをどう考えているのでしょうか)
**********

■ところで東京ガスの100%出資子会社であるプロミネットパワー株式会社が100%出資する群馬安中太陽光発電合同会社(群馬GK) について、調べてみましょう。

○群馬安中太陽光発電合同会社
https://pps-net.org/ppscompany/72722
発電実績:8594千kWH(2020年4月)
住  所:東京都港区赤坂二丁目10番5号 税理士法人 赤坂国際会計事務所内
電話番号:03-4560-8891

○群馬安中太陽光発電合同会社
https://presspage.biz/corporation/3010403021647/
群馬安中太陽光発電合同会社は2019年10月21日に法人番号が指定されました
本店所在地 〒105-0022 東京都港区海岸1丁目5番20号
<基本情報>
称号または名称:群馬安中太陽光発電合同会社
法 人 種 別:合同会社
法人番号指定日:2019年10月21日
更 新 年 月 日:2019年10月25日
代 表 者 名:代表者名はまだ登録されていません
ホームページ :まだ登録されていません
変 更 履 歴:群馬安中太陽光発電合同会社は2019年10月25日に法人番号が公開(一部の情報が更新)されました

○経産省資源エネルギー庁発表「発電事業届出事業者一覧(令和2年7月31日時点)」
https://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity_and_gas/electricity_measures/004/list/
番  号:754
事業者名:安中ソーラー合同会社(法人番号 3010403011920)
住  所:東京都港区赤坂二丁目10番5号 税理士法人赤坂国際会計事務所内
電話番号:03-4560-8891
届 出 日:令和元年6月24日

○国税庁「法人番号公表サイト」/安中ソーラー合同会社
https://www.houjin-bangou.nta.go.jp/henkorireki-johoto.html?selHouzinNo=3010403011920
法人番号:3010403011920
商号又は名称:安中ソーラー合同会社
商号又は名称(フリガナ):アンナカソーラー
本店又は主たる事務所の所在地:東京都港区海岸1丁目5番20号
最終更新年月日:令和2年2月4日
<変更履歴情報>公表以後の変更履歴について表示しています。
No.1
事由発生年月日:令和2年1月30日
変更の事由:本店又は主たる事務所の所在地の変更
旧情報:東京都港区赤坂2丁目10番5号税理士法人赤坂国際会計事務所内
No.2 新規
法人番号指定年月日:平成27年10月5日

○国税庁「法人番号公表サイト」/群馬安中太陽光発電合同会社
https://www.houjin-bangou.nta.go.jp/henkorireki-johoto.html?selHouzinNo=3010403021647
法人番号:3010403021647
商号又は名称:群馬安中太陽光発電合同会社
商号又は名称(フリガナ):グンマアンナカタイヨウコウハツデン
本店又は主たる事務所の所在地:東京都港区海岸1丁目5番20号
最終更新年月日:令和元年10月25日
<安中ソーラー合同会社の登録履歴>
日付:2020年01月30日
内容:【住所変更】国内所在地が「東京都港区海岸1丁目5番20号」に変更されました。
日付:2015年10月05日
内容:【新規登録】名称が「安中ソーラー合同会社」で、「東京都港区赤坂2丁目10番5号税理士法人赤坂国際会計事務所内」に新規登録されました。
<変更履歴情報>公表以後の変更履歴について表示しています。
No.1 新規
法人番号指定年月日:令和元年10月21日

■上記のとおり経産省のHPには、群馬安中太陽光発電合同会社の住所として未だに「東京都港区赤坂2丁目10番5号 税理士法人赤坂国際会計事務所内」などと記載があります。東京ガスが買い取ったとしていますが、本当にそうなのでしょうか、単に経産省のHPの「群馬安中太陽光発電合同会社」のデータが更新されていないだけなのでしょうか。このあたりも全く明らかになっていません。

 ここはやはり東京ガスに確かめ続けるしかありませんが、一方で東京ガスは地元岩野谷地区の区長会が8月7日に開催されるのに合わせて、10分間ほど、2月に外資から買収したこのメガソーラーの概要について、地元区長らに説明をしました。その内容についてはまだ当会に区長会から報告が来ていません。

 おそらく10分間では詳しい説明は期待すべくもありません。かつて地元岩野谷地区の生活道路の下に東京ガスが高圧ガス導管を強引に敷設した当時、東京ガスは地元の代表区長と結託して協定を交わしていたことが後で発覚しました。

 その当時を彷彿とされる今回の誠意の見えない回答書を読み返すほどに、同社の情報秘匿体質をあらためて痛感しました。それだけに、今後、半永久的に東京ガスとは隣接地権者の関係を強いられることから、先の見えない長い苦労と困難が予想されます。
※参考情報;「東京ガス高圧パイプライン問題」
https://pink.ap.teacup.com/applet/ogawaken/msgcate11/archive

【岩野谷の子ども達の明日を想う会】

※参考記事「東京ガスの群馬安中太陽光発電合同会社」
**********日経BP 2020年08月03日05:00
国内外で「再エネ5GW」、東京ガスのCO2ネット・ゼロ戦略
太陽光、風力、バイオマス電源を開発、獲得へ

■関東最大のメガソーラー
 今年1月、群馬県安中市大谷に関東地方で最大規模となるメガソーラー(大規模太陽光発電所)「安中市太陽光発電所」が運転を開始した。
 ゴルフ場の計画が頓挫した開発跡地を活用し、出力63.2MW分の太陽光パネルを設置した。事業区域約137haのうち約3割を森林とし、残りを造成してパネルを敷き詰めた。東京電力パワーグリッドの系統に送電する最大出力は42.8MWで、固定価格買取制度(FIT)により売電している(図1)。

図1●関東最大のメガソーラー「安中市太陽光発電所」(出所:東京ガス)
 安中市は、世界遺産・富岡製糸場のある富岡市に隣接するなど養蚕業で栄え、いまでも安中市には国内最大の製糸工場が操業している。市内にはかつて多くの桑畑があった。メガソーラーのあるエリアも、かつては桑園に囲まれた小高い丘陵だった。
 完成した「安中市太陽光発電所」には、北側に複数の調整池があり、緩やかな北向き斜面になっている。そこにパネル4段(枚)のアレイ(パネルの設置単位)を整然と並べている。パネルを設置できない急な法面を極力減らして緩斜面を段状に造成し、巧みに設置枚数を増やした。造成面積は約92haとなり、盛土と切土による土量は327万7000m3に達した。
■5GWの再エネ獲得を目指す
 大掛かりな造成を伴うことが多い大規模なメガソーラー開発は、相対的に用地コストの低い北海道や東北、中国、九州地方がほとんど。現在、国内で稼働済みのメガソーラーの設備規模で、関東地方にある60MWを超えるサイトは「安中市太陽光発電所」だけだ。
 一方、FITを利用する再生可能エネルギー電源は、買取期間が終了した後、発電電力を相対契約で販売することになる。将来まで見通すと、巨大な首都圏の需要地に地域間連系線を経ずに売電できる関東地方のメガソーラーの価値は高い。
 東京ガスは今年2月、「安中市太陽光発電所」が運転を始めてから約1カ月後、こうした将来性などを評価して、同発電所を取得したことを発表した(図2)。

図2●東京ガスが取得した「安中市太陽光発電所」(出所:東京ガス)
 「安中市太陽光発電所」を開発したアジア・パシフィック・ランド・(ジャパン)・リミテッド(東京都港区)の運営してきた特別目的会社(SPC)安中ソーラー合同会社を通じ、東京ガスグループのプロミネットパワー(東京都港区)が取得した。
 東京ガスは、これにより関東圏で大規模な再生可能エネルギー電源を持つ、数少ないエネルギー企業の1社になった。同発電所の取得により、東京ガスの国内における再エネの運営規模は100MWを超えた。
 それでも、今回の再エネプロジェクトの買収は、同社の掲げる再エネ戦略のほんの序の口に過ぎない。
 同社グループは、2019年11月に発表した中期経営計画「Compass2030」の中で、再エネ電源に関する目標を掲げ、国内外で「5GW(5000MW)」とした。2022年度までに2GW、そして2030年度までに5GWの再エネ電源を確保することを目指す。この目標を達成するには、関東最大の「安中市太陽光発電所」規模の発電所が実に80個も必要になる(図3)。

図3●2030年度までに再エネ電源「5GW」を目指す(出所:東京ガス・中期経営計画「Compass2030」)
 同社では、メガソーラーのほかバイオマス発電、そして、洋上も含めた風力発電を主体に、「安中市太陽光発電所」のような稼働済みプロジェクトの獲得のほか、開発段階から関与して新規案件を発掘することで、「5GW」の達成を目指している。
■CO2ネット・ゼロ戦略
 こうした再エネ電源の積極的な獲得戦略の背景には、同社が「Compass2030」で掲げた「CO2ネット・ゼロ」への挑戦という経営ビジョンがある。具体的には、「東京ガスグループの事業活動全体で、お客さま先を含めて排出するCO2をネット・ゼロにすることに挑戦し、 脱炭素社会への移行をリードする」と明記した。
 「ネット・ゼロ」とは、再エネなどの環境価値を使って化石燃料によるCO2排出を相殺(カーボンオフセット)することを意味する。同社では、基幹商品である都市ガスなどガス体エネルギーそのものが「脱炭素」に移行できるのは2050年頃と見ており、それまでは、天然ガス由来のガス販売事業で客先から発生するCO2を、自社の持つ再エネなどの環境価値(CO2クレジット)で相殺することで脱炭素を達成するとの道筋を描いている(図4)。

図4●東京ガスが掲げる「CO2ネット・ゼロ戦略」(出所:東京ガス・中期経営計画「Compass2030」)
 ここ数年、世界では風力と太陽光発電の低コスト化によって、電力事業の脱炭素化が急速に進み始めた。一方で、残された化石燃料として、ガス体エネルギーの脱炭素化への模索が始まっている。欧州などで注目されている「P2G」(パワー・ツー・ガス)もその1つで、再エネで水を電気分解して製造した水素や、CCS(CO2回収・貯留)を組み合わせて化石燃料から取り出した水素を活用したり、それを原料にメタンを製造したりするメタネーションの実証的なプロジェクトが動き始めている。
 東京ガスでは、P2Gによる水素製造やメタネーションなどの技術が商用ベースに乗り、ガス体エネルギーの脱炭素が進む前に、環境に配慮する先進企業による「脱炭素」のニーズが顕在化すると予想する。こうした動きに対応し、環境価値によるCO2排出の相殺という「ネット・ゼロ戦略」を打ち出した(図5)。

図5●東京ガスが掲げる「CO2ネット・ゼロ」へのロードマップ(出所:東京ガス・中期経営計画「Compass2030」)
 7月21日に米アップルは、2030年までに同社製品のサプライチェーン、ライフサイクル全体を含めて、CO2「ネット・ゼロ」を達成すると発表した。こうした動きが、国内外の先進企業に広がった場合、再エネ電源やその環境価値を巡り争奪戦になる恐れもある。そうなれば、自社で大量の再エネ電源を持っていることが有利になる。エネルギー企業にとって、再エネ電源を大量に獲得しておくことが、経営リスクに先手を打つことになる。
■カーボンニュートラル都市ガス
 東京ガスは今年3月、初めて「カーボンニュートラル都市ガス」の販売に乗り出した。地域熱供給会社である、丸の内熱供給(東京都千代田)を通じて、都内のオフィスビル2棟(丸の内ビルディング、大手町パークビル)に提供し始めた。
 「カーボンニュートラル都市ガス」とは、東京ガスが英蘭国際石油資本・シェルグループから購入した「カーボンニュートラルLNG(液化天然ガス)」を原料に製造したもの。天然ガスの採掘から燃焼に至るまでの工程で発生するCO2を、シェルの保有する環境価値で相殺している。
 両ビルでは、ガスを燃料にしたコージェネレーション(熱電併給)システムによって電気と熱を供給している。東京ガスは、それぞれで使用する都市ガスの全量について、「カーボンニュートラル都市ガス」を使用する(図6)。

図6●都心の2つ商用ビルに「カーボンニュートラル都市ガス」を供給(出所:東京ガス)
 さらに今年4月から、工業用向けにも初めて「カーボンニュートラル都市ガス」の供給を始めた。堺化学工業の小名浜事業所・松原工場で使用する都市ガスの全量を「脱炭素」製品に切り替えた。
 また、東京ガスは、ガスに並ぶ柱として参入し、着実にシェアを上げている小売電気事業でも、今年7月に環境価値を活用したサービスに乗り出すと発表した。
 大東建託グループの首都圏における56事業所に「トラッキング付FIT非化石証書を用いた実質再生可能エネルギー電気」を供給する。8月までに切り替えを完了する予定。
 「トラッキング付FIT非化石証書」とは、FITによる再エネの環境価値を特定の再エネ電源と紐づけした形で活用できる仕組みで、再エネ利用を促す国際イニシアチブ「RE100」など国際的な基準にも適合して「実質的に再エネ利用」と認められる。
■FIT後の再エネ市場を牽引
 昨年12月、再エネ発電事業者の新しい業界団体として一般社団法人・再生可能エネルギー長期安定電源推進協会(=REASP・東京都港区)が設立された。発起メンバーは、再エネ開発ベンチャーのリニューアブル・ジャパン(東京都港区)のほか、東急不動産、ENEOS、オリックス、そして東京ガスが名を連ねた。
 同協会の会長理事である、リニューアブル・ジャパンの眞邉勝仁社長は、「国内の再エネ市場は、FIT後を見据えて、新たな段階に入りつつある」とし、大きな変化として、「旧・一般電気事業者や石油・ガス分野の大手企業が、再エネの新部署や新会社を立ち上げて急速に再エネに投資し始めている」ことを挙げる。
 「こうしたエネルギー大手の再エネへの取り組みは、単なる『投資』ではなく、発電事業者として設備を持ち続け、FIT後の長期運用を前提にしている。企業規模も大きく経営力もあるこうした大手資本が、本気で再エネに乗り出したことで、もう1段、もう2段の再エネ拡大が十分に可能になりつつある」と見ている。
 そして、「本気で再エネに乗り出した大手エネルギー企業」の1社が東京ガスだ。REASPの発起メンバーになったのも、同協会の趣旨である、「FITを乗り越えて、さらに再エネを大量導入し、長期安定電源として運営していく」という方向性と一致しているからだ(図7)。

図7●再生可能エネルギー長期安定電源推進協会(REASP)のホームページ(出所:REASP)
■提携戦略でキャッチアップ
 2012年7月にFITがスタートして以降、国内でメガソーラー開発を中心的に担ってきたのは、ICT(情報通信)系企業や商社、リース、ベンチャーなど、これまで直接、エネルギー事業に携わっていなかった異業種からの参入組だった。
 逆に言うと、国内エネルギー大手企業は、再エネ大量導入の不可逆的な流れを読み切れず、FITを追い風にしたメガソーラー開発合戦に乗り遅れたとも言える。東京ガスは、こうした再エネ開発の第1ステージでの後れを取り戻すべく、再エネで先行する企業との提携によって「時間を買う」戦略を進めている。
 2017年2月に自然電力(福岡市中央区)に出資したうえで、業務提携契約を締結し、太陽光発電事業を共同で開発すると発表した。契約に基づき、可能な限り早期に合計出力60MWを目標に、太陽光発電所の開発を目指すと公表した。
 さらに2018年5月には、東京ガスと、東京センチュリー、九電工の3社共同で再エネ事業を取得・開発・運営することで基本合意書を締結した。最初の取り組みとして、九州にあるメガソーラー6カ所・約10MWの稼働済み案件を共同で所有した。
 自然電力との連携の成果は、2019年12月に公表した。東ガス子会社のプロミネットパワーが、石川県にメガソーラー2件を建設し、商業運転を開始した。契約に基づく最初のプロジェクトで、東京ガスグループが建設から手掛ける初の太陽光発電所になった。
 同県志賀町の「志賀町猪之谷貯水池太陽光発電所」は出力約2.6MW。また、羽咋市の「羽咋市新保町太陽光発電所」は約2.7MW。両発電所ともEPC(設計・調達・施工)サービスは自然電力グループのjuwi自然電力(東京都文京区)が担い、JAソーラー製のパネルと、東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製のパワーコンディショナー(PCS)を採用した(図8)(図9)。

図8●「志賀町猪之谷貯水池太陽光発電所」(出所:東京ガス)

図9●「羽咋市新保町太陽光発電所」(出所:東京ガス)
  東京ガスでは、プロジェクト開発や買収にあたっては、20年のFITによる売電期間が終了した後も、十分に事業を継続できるだけの耐久性や信頼性を条件としている。冒頭紹介した「安中市太陽光発電所」は、東芝プラントシステムがEPC(設計・調達・施工)サービスを務め、太陽光パネルは東芝製、PCSはABB製を採用している。
 東芝プラントシステムのほか、再エネ開発で連携している九電工、juwi自然電力は、国内メガソーラーのEPCサービスでは、いずれもトップクラスの実績を持っている。
 東京ガスは、こうした提携企業と連携しつつ、今後ともメガソーラープロジェクトの開発案件を積み重ねていく方針だ。
■洋上風力、海外事業で飛躍
 太陽光以外では、すでにバイオマス発電事業への参画を発表している。3月24日にレノバが宮城県石巻市で計画している木質バイオマス発電事業に出資すると公表した。
 定格出力約75MWで、FITにより売電する。主燃料に北米産の木質ペレットを、補助燃料にインドネシアおよびマレーシア産のパーム椰子殻(PKS)を利用する。EPCサービスは、日揮ホールディングスが受注している。2023年5月に運転を開始する予定(図10)。

図10●石巻ひばり野バイオマス発電所の完成予想図(出所:レノバ)
 さらに7月21日には、食品残渣を利用したバイオガス発電に参画すると発表した。JFEエンジニアリングの子会社であるJ&T環境(横浜市)とJR東日本、東京ガス、JR東日本の関連会社である東北鉄道運輸(仙台市)の4社による共同事業になる。
 1日最大40tの食品廃棄物をメタン発酵させ、発生する可燃性ガスを燃料に、出力780kWの発電設備を稼働させる。2022年春に営業を始める予定だ。
 バイオマス発電は、太陽光に比べると安定的に発電できるという利点があるものの、開発できる規模に限界がある。「5GW」の達成に柱になるのは、国内では洋上風力、そして、海外での大規模な再エネプロジェクトへの参画になりそうだ。
 東京ガスはすでに茨城県鹿島港の港湾区域での洋上風力開発プロジェクトに参画し、運営会社に15.6%出資している。洋上640haの面積に36基もの風力発電設備を設置し、合計出力187MWを予定している。
 洋上新法(再生可能エネルギー海域利用法)による開発プロセスが動き出した一般海域での洋上風力に関しても取り組んでおり、特に遠浅海域の少ない日本で潜在的な開発ポテンシャルの大きい浮体式洋上風力の可能性を積極的に探っている。
 今年5月27日には、洋上風力向けの浮体基礎システムの技術を開発・保有するプリンシプル・パワーに20億円を超える出資を行ったと発表した(図11)。

図11●プリンシプル・パワーの洋上風力向けの浮体基礎システム(出所:東京ガス、提供:プリンシプル・パワー)
 一方、海外では、2019年4月にフランスのエネルギー事業者Engieと共同で、メキシコの再エネ開発を推進すると発表した。100%子会社の東京ガスアメリカを通じて、Engieが設立した共同開発運営会社の株式を50%取得した。共同会社は、2つの陸上風力と4つの太陽光発電プロジェクトに取り組んでおり、6プロジェクトの合計出力は900MWに達する(図12)(図13)。

図12●東京ガスが関与するメキシコでの風力発電(出所:東京ガス)

図13●東京ガスが関与するメキシコでのメガソーラー(出所:東京ガス)
 さらに東京ガスは7月29日、東京ガスアメリカが、米再エネ開発事業者のヘカテエナジーがテキサス州で開発を進めている出力630MWのメガソーラープロジェクト「アクティナ太陽光発電事業」を取得すると発表した。
 同事業は、2020年度上期に着工し、2021年度中に段階的な商業運転を開始する予定で、建設から運転開始後の事業運営までを東京ガスグループ主導で手掛ける初めての海外太陽光発電事業となる。
 これにより、海外と国内の再エネ事業を合わせると、これまでに1.2GWを超える規模になる予定という。
 国内の大手再エネ開発事業者は、FITによって再エネプロジェクトの開発を積み重ね、シェア上位企業は1GWの水準に達している。「ギガプレーヤー」が再エネ業界のリーディングカンパニーの目安になる中、5GWを目標に着々と布石を打っている東京ガスの存在感が増していくことになりそうだ。
(金子 憲治=日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ)
**********

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1月3日に送電開始したばかりの関東最大級の安中ソーラーが早くも東ガスに身売り!

2020-03-01 22:50:00 | 安中市内の大規模開発計画
■2016年秋から造成が開始された群馬県安中市の岩野谷の大谷・野殿地区約130ヘクタールに及ぶ関東地方で最大級とされるメガソーラー施設が2019年12月末に完成し、2020年1月3日に送電が開始されました。約370万立方メートルに上る異動土砂量により、広大な里山が僅か3年で姿を消し、現地では一面の殺風景なパネルの海となってしまいました。ところが、送電開始後わずか1か月余りの2月12日に、このメガソーラーを中国資本も関与するタックスヘイブン会社から東京ガスが買い取ったという衝撃的なニュースが駆け巡りました。さっそく東京ガスのHPをチェックしましょう。

安中ソーラー合同会社のメガソーラー完成予想図。実際には2020年1月3日から送電開始。

*****プレスリリース*****
URL ⇒ https://www.tokyo-gas.co.jp/Press/20200212-01.html
2020年2月12日

     群馬県安中市における太陽光発電所の取得について
             東京ガス株式会社
           プロミネットパワー株式会社

 東京ガス株式会社(社長:内田 高史、以下「東京ガス」)100%出資子会社のプロミネットパワー株式会社(社長:菅沢 伸浩)は、このたび、アジア・パシフィック・ランド・(ジャパン)・リミテッド社が運営を行ってきた特別目的会社である安中ソーラー合同会社を通じて「安中市太陽光発電所」(以下「本発電所」)を取得しました。
 関東圏内最大級の発電容量を有する本発電所の取得により、東京ガスの国内における再生可能エネルギー電源取扱量は10万kW超となりました。
 固定価格買取制度の適用期間終了後は、自社電源としての活用を想定しており、年間約5.6万トンのCO2削減に寄与する環境価値のある電力をお客さまにお届けしてまいります。
 東京ガスグループは、経営ビジョン「Compass2030」で掲げた2030年における国内および海外での再生可能エネルギー電源取扱量500万kWの達成に向け取り組んでまいります。


安中市太陽光発電所

<発電所の概要>
発電所名   安中市太陽光発電所
発電端出力  63,206kW
所在地    群馬県安中市
運転開始年月 2020年1月
                        以上
**********

 この他にもネットを検索すると関連情報が掲載されています。

**********環境ビジネスオンライン2020年2月13日
東京ガス、国内再エネ電源量10万kW超に 群馬で6MWの太陽光発電取得

安中市太陽光発電所
 東京ガス(東京都港区)は2月12日、100%出資子会社のプロミネットパワー(同)が、アジア・パシフィック・ランド・(ジャパン)・リミテッド社(同)が運営を行ってきた特別目的会社安中ソーラー合同会社を通じて、安中市太陽光発電所(群馬県安中市)を取得したと発表した。
 同発電所の発電容量は63,206kWで、2020年1月に運転を開始した。同社は「関東圏内最大級の発電容量を有する本発電所の取得により、東京ガスの国内における再生可能エネルギー電源取扱量は10万kW超となった」と明らかにした。
 また、固定価格買取制度の適用期間終了後は、自社電源としての活用を想定しており「年間約5.6万トンのCO2削減に寄与する環境価値のある電力として供給する」としている。
★経営ビジョン「Compass2030」で再エネ電源500万kW掲げる★
 東京ガスグループの経営ビジョン「Compass2030」では、「挑戦」のひとつとして「『CO2ネット・ゼロ』をリード」を掲げている。天然ガス有効利用の技術・ノウハウを電気・熱分野の脱炭素化やCO2の回収技術にも活用し、2030年に向けて1000万トン規模のCO2削減貢献を目指す。再生可能エネルギー分野では、2030年における国内・海外での再エネ電源取扱量500万kW達成に向け、取り組みを進める。

**********日経BP 2020年2月17日 19:28
東ガス、関東最大63MWのメガソーラー取得、FIT後は自社電源に

安中市太陽光発電所(出所:東京ガス)
 東京ガスの100%出資子会社であるプロミネットパワー(東京都港区)は2月12日、関東地方で最大規模となる、太陽光パネルの出力63.2MW、連系出力42.8MWのメガソーラー(大規模太陽光発電所)「安中市太陽光発電所」を取得したと発表した。
 アジア・パシフィック・ランド・(ジャパン)・リミテッド(東京都港区)の運営してきた特別目的会社(SPC)安中ソーラー合同会社を通じて取得した。
 同メガソーラーは、群馬県安中市にあるゴルフ場建設予定地に建設したもので、1月に運転を開始した。事業区域136.98haのうち71.53haは森林を開発した。造成対象は約92.1haとなり、盛土と切土はそれぞれ327万7000m3に達する。また、総容量6万2770m3の調整池3基を設置した。
 EPC(設計・調達・施工)サービスは東芝プラントシステム(横浜市)が担当した。太陽光パネルとパワーコンディショナー(PCS)の製造企業は非公表。
 同発電所の取得により、東京ガスの国内における再生可能エネルギーの運営規模は10万kW(100MW)を超えるという。固定価格買取制度(FIT)の買取期間が終了した後は自社電源としての活用を想定しており、年間約5.6万tのCO2削減に寄与する環境価値電源を顧客に供給する計画。
 東京ガスグループは、2019年11月に発表した中期経営計画「Compass2030」において、2030年における国内および海外での再エネ電源取扱量500万kW(5GW)の達成を目標に掲げている。
(工藤宗介=技術ライター)

**********ITmediaスマートジャパン2020年02月27日 15時00分
太陽光:東京ガスが群馬県の太陽光を取得、国内の再エネ取扱量が100MW超に
 東京ガスの100%子会社のプロミネットパワーは、安中ソーラー合同会社を通じて、「安中市太陽光発電所」(群馬県安中市)を取得した。発電端出力は63.206MW(MW)で、2020年1月より運転を開始している。
 東京ガスの100%子会社のプロミネットパワーは2020年2月12日、アジア・パシフィック・ランド・(ジャパン)・リミテッドが運営してきた特別目的会社の安中ソーラー合同会社を通じて、「安中市太陽光発電所」(群馬県安中市)を取得したと発表した。発電端出力は63.206MW(メガワット)で、2020年1月より運転を開始している。

安中市大陽光発電所 出典:東京ガス
 関東圏内最大級の発電容量を有する本発電所の取得により、東京ガスの国内における再生可能エネルギー電源取扱量は100MW超となった。
 固定価格買取制度の適用期間終了後は、自社電源としての活用を考えている。年間約5.6万トンのCO2削減に寄与する電力となる。
 東京ガスグループは、経営ビジョン「Compass2030」で掲げた、2030年における国内および海外での再生可能エネルギー電源取扱量5GW(ギガワット)の達成に向け取り組んでいく。が
**********

■当会では、朝日新聞グループの日刊スポーツが、朝日新聞グループ専用の高級ゴルフ場建設計画がバブル経済崩壊により2001年に頓挫した跡地を、2016年10月に中国資本の影がちらつくタックスヘイブンの外資系ペーパー会社に売却する以前から、このゴルフ場建設計画跡地は、朝日新聞グループの社有林として保有するよう、申し入れてきました。

 ところが、日刊スポーツは一番高いオファーをしてきたこの得体のしれない会社が設立した「安中ソーラー合同会社」に躊躇なく売却してしまいました。

 その後も、マネーゲームのカードとして将来的にこの外資系メガソーラーがどのような行方を辿るのか、不安に駆られていましたが、まさかこれほど早く転売されるとは思いもよりませんでした。

■幸か不幸か、売却先は我が国の企業である東京ガスの子会社であり、また、FIT期限切れの20年後以降も自社用の発電施設として維持するようなので、関東地方の水源地帯でもあるこの一帯が中国資本にかきまわれる懸念は一応払拭されたと言えるかもしれません。

 しかし東京ガスは東電と同じく、企業体質的に上から目線であり、そのことは筆者が地元安中市磯部地区から高崎市の下小塙地区まで全長16.2キロの高圧ガス導管の敷設事業で、地元岩野谷地区の生活道路の下に圧力7MPa、口径500mmのパイプを敷設する際も、地元説明会をしないまま強行しようとしたり、岩盤があるのでルート変更したほうがいいという地元住民の意見に耳を傾けないまま工事を強行し、結果的に予定より1年も長い、都合3年間も道路を掘り返して、地元住民の交通に多大な支障を与えましたが、まったく反省することはありませんでした。
https://www.tokyo-gas.co.jp/Press/20100308-02.html

■この突然の安中メガソーラー施設の東京ガスへの売却は、これまで安中ソーラー合同会社(実態は資本金1円の特別目的会社で、タックスヘイブンの外資が主体となっていますが、そのバックにはアジア・パシフィック・ランド・(ジャパン)・リミテッド(略称:APL)という不動産投資会社がうごめいていました。
※URL「APL社」 ↓
http://www.asiapacificland.co/ja/information-on-affiliates-asia-pacific-land-japan-limited/

 安中ソーラー合同会社は、日刊スポーツからゴルフ場計画跡地の130ヘクタール近い土地をおそらく20億円で買い取り(一部は地権者からリースのため借地料を支払い中)、3年間の歳月と120億円の事業費をかけて造成し、パネルを設置しました。そして試運転を経て今年1月3日から送電を開始しました。

 しかしあろうことか、僅か40日後に、このような扱いになるとは誰が予想できたでしょうか。筆者も夢にも思いませんでした。

 筆者は、特別目的会社(SPC)の安中ソーラー合同会社による地元説明会においても、将来転売される可能性や、それに伴う事業者の責任の明確化が薄らぐ懸念を表明し、地元との協定の順守や、FIT制度による20年間の期間完了後の廃棄物処理問題などの対応を事業者に問いました。しかし肝心の事業者からは誰も出席せず、結局下請けや用地の地上げの担当者は「問題ない」を繰り返すのみでした。

 今回、得体のしれない外資系のSPCが早くもこのメガソーラー施設を転売し、利益をさっさと確保して別の事業に目を向けたことで、筆者の懸念は俄かに現実味を帯びることになりました。

■また、1月3日の送電開始日に、管理業務担当の鹿島建物の現場事務所を訪れましたが、そのとき聴取した情報が早くも前提として成り立たなくなったため、さっそく鹿島建物と一緒に地元対策を担当する人物にも3月1日に電話連絡をとりましたが、本人も今回の転売劇は直前まで全く聞かされておらず、まさに寝耳に水だということでした。

 近々、各方面にヒヤリングをして今回の突然の外資系SPCの撤退の経緯と、東京ガスの進出の顛末を調べてみようと思います。

【ひらく会情報部】

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関東最大級の安中ソーラー合同会社のメガソーラーがついに1月3日から送電開始!

2020-01-05 23:00:00 | 安中市内の大規模開発計画
■2016年秋から造成が開始された群馬県安中市の岩野谷の大谷・野殿地区約130ヘクタールに及ぶ関東地方で最大級とされるメガソーラー施設が2019年12月末に完成し、2020年1月3日に送電が開始されました。約370万立方メートルに上る移動土砂が行われ、広大な里山が僅か3年で姿を消し、現地では一面の殺風景なパネルの海となってしまいました。

野殿の水道山付近から見た安中メガソーラー施設の一部。










 当会では、平成元年より始まった日刊スポーツ新聞社による朝日新聞グループ専用の高級ゴルフ場建設計画を巡り、九州山口組系の再春館製薬所の子会社の地上げ業者「ジャパンビラインターナショナル」が地元有力者を使い、日刊スポーツ社に圧力を掛けていることを知り、暴力団に魅入られたこのゴルフ場の建設計画を阻止し、併せて地元の里山の環境保全を目的に、朝日新聞グループに計画の白紙撤回を申し入れてきました。

 しかし、朝日新聞グループは暴力団の圧力に屈し、自前の高級ゴルフ場建設に邁進し、企業舎弟の再春館製薬所の子会社であるジャパンビラを起用して、平成10年頃には約127ヘクタールにおよぶ里山の買収を成し遂げ、ジャパンビラには、地元対策費の名目で20億円が還流したとみられています。

 ところが、バルブ崩壊後、ゴルフ場計画に対する銀行の融資姿勢は様変わりし、自前の高級ゴルフ場建設を目指した朝日新聞グループといえども、大手銀行からの融資が得られなくなり、ついに平成13年7月に、ゴルフ場計画は白紙撤回となりました。

 当会は、日刊スポーツ新聞社に対して、朝日新聞グループの社有林として、管理するように申し入れましたが、同社はその後も、ほとんど管理をしないまま、里山は放置されていました。

■そうした中、2011年(平成23年)3月11日に発生した東日本大震災により、FIT制度が始まり、全国各地のゴルフ場計画跡地や、倒産したゴルフ場などで、メガソーラー計画が競って浮上するようになりました。

 自然環境保護キャンペーンを売りにしている朝日新聞グループの日刊スポーツ新聞社にも、2013年頃からそうしたメガソーラー開発業者から誘いの手が伸びてきました。その結果、数社からのオファーのうち、もっとも高値でオファーしてきた業者に、日刊スポーツは、127ヘクタールの里山を躊躇なく売却を決めてしまいました。

 2014年秋、日刊スポーツは、国土法の申請手続きをする前に、地権者と土地売買契約を行ったことが発覚して、慌てて契約日を変更するなど失態をしでかしました。これは、20年前のゴルフ場開発でも、九州山口組の企業舎弟の子会社が地上げした際にも、同様な違法行為を起こしており、今回は、日刊スポーツの選定したメガソーラー業者が起用した地上げ業者「ザイマックス」が、一部山林の買収に際して、同じ違法行為をしでかしました。

■朝日新聞グループの日刊スポーツ新聞社が、メガソーラー用地として広大なゴルフ場計画跡地の里山の買収を申し入れてきた数社の中から選定したメガソーラー開発業者は、「グレート・ディスカバリー・ホールディングス」という聞いたこともないカタカナの名前でした。

 その後、群馬県や安中市に提出された申請資料から、この開発業者は中国香港の投資ファンドディーラーが後ろ盾になって、米国のタックスヘイブンであるデラウエア州ウィルミントン市に設立された会社であることが分かりました。

 彼らが資本金1円の特別目的会社(SPC)の「安中ソーラー合同会社」を設立し、同社の名義で、日刊スポーツゴルフ場跡地にメガソーラー計画を立案し、所有者の日刊スポーツは、一番高くオファーしてきた同社に、躊躇なく、広大な里山を売り渡したのでした。

■このメガソーラー計画地のすぐ南に隣接した広さ60ヘクタールの山林は、平成10年ごろまでに群馬県企業局が買収・造成して、現在株式会社IHIエアロスペースが稼働させている固体燃料ロケット製造工場になっています。この工場では、我が国が誇る高性能の固体燃料ロケット「イプシロン」をはじめ、我が国の宇宙開発の主力であるJAXA向けのH-ⅡA及びH-ⅡBロケットの固体ロケットブースターや、防衛省向けの各種ロケット弾システム及び誘導弾ロケットモータを開発生産しており、我が国の宇宙開発及び防衛の重要部分を担っています。

 そのような重要な拠点のすぐそばに、香港にある投資ファンドディーラーが後ろで手引きするペーパー会社が、メガソーラー計画と称して日本の国土、それも関東圏の水源地域である地元の山林を買い占めたのです。

 そのため当会は、国土保安上の観点から、せめて公有地である里道や水路などぜんぶで5万平米におよぶ国有財産を、得体のしれない中国資本が絡む業者に払い下げしないよう、2016年6月から8月にかけて、国の財務省関東財務局(前橋)をはじめ、安全保障会議の議長である安倍晋三首相や、防衛大臣、さらには地元の群馬県知事、安中市長に直訴状をだしました。さらに隣接のIHIエアロスペース社の社長や富岡事業所長や、土地を売り渡した日刊スポーツや、メガソーラー開発業者のペーパー会社にも白紙撤回の要請状を出しました。しかし、すべて徒労に帰しました。

■筆者は、このメガソーラー計画地の中心部に近い場所に約3500㎡の山林を所有しており、周辺の広大な地域がソーラーパネルの海で囲まれるため、環境が激変することを憂慮し、隣接地権者として、この計画の中止を安中市や群馬県に呼びかけてきました。しかし、日刊スポーツが筆者の所有地の周辺の土地を分筆したため、直接の隣接地権者ではないとして、いくら筆者が計画に反対しても、業者や行政からは部外者扱いにされました。

 そのため、開発事業者である安中ソーラー合同会社は、「地元では懸念の声はあるが、反対の声はない」などと行政に虚偽の報告をし、行政側もまた、地元の住民の意見に耳を傾けようとせず、行政手続法により、開発事業者が提出してきたウソの文書でも、外形的に整っていれば許可を下さざるを得ない、として国土保安責任を完全に放棄しました。

■140億円とされるこのメガソーラー開発事業費(うち20億円は日刊スポーツからの買収費用)は、日本のメガバンクのひとつである三井住友信託銀行が、得体のしれないタックスヘイブン資本が資本金1円で設立した安中ソーラー合同会社からの融資要請に答えたものです。いくらFIT制度で売電利益が保証されるとしても、中国資本が絡むタックスヘイブン会社に巨額の融資をすることは、道義的にみて問題だと思われ、現に筆者の知り合いの国際金融マンに聞いても、通常はそのような融資先は審査に通らない、と語りました。

 こうして、前回、朝日新聞グループの日刊スポーツ新聞社は、暴力団の企業舎弟の子会社の地上げ屋に地上げ業務を委ねましたが(正確に言うと、朝日新聞のイメージを損なわないように、中堅ゼネコンの日本国土開発をダミーとして介在)、今回は、中国資本のからむタックスヘイブン会社が設立したペーパー会社が事業主体です。

■この実態について、メガソーラー事業の地上げ業務を請け負ったザイマックスアセットマネージメントに地元説明会で質したところ、メガソーラー全体工事を東芝プラントシステムに発注し、そのうちソーラー機器以外の造成工事を東芝プラントシステムを介して大成建設に下請させ、完成後の管理業務一切を鹿島建物に発注することが分かりました。

 こうして2016年秋に始まった工事は、前述のとおり、370万立方メートルの移動土砂量を伴う大規模工事でしたが、僅か3年余りで完了し、冒頭の説明のとおり、1月3日に送電開始に至ったのでした。


東電が外資のために建てた安中ソーラー送電専用の野殿線と碓氷幹線の接合鉄塔(手前右側)。

東電が建てた安中ソーラー専用の数基の野殿線鉄塔のひとつ。

 さっそく筆者が所有する山林の様子を確認するために、新年早々、アクセス用の市道を進んでいくと、いつの間にか立入禁止の看板が建てられているのに気付きました。しかも、市道を挟んで左右2か所に看板が建てられているため、さっそく、請負業者の東芝プラントシステムの事務所を訪れました。




安中ソーラー合同会社が筆者に無断で鹿島建物に建てさせた立入禁止の看板。

 すると、ちょうど2名の担当者が車で施設のフェンスの出入り口から出てくるところでした。話を聞くと、1月3日に送電開始予定で、その後、残務処理のため、正式には1月17日(金)に現場を撤収する予定だということでした。そのため、「完成写真を撮らせてほしい」とお願いしたところ、なにやら携帯電話で電話をしはじめました。

 まもなく、「高圧電気設備なので、立ち入りできない」ということで、立入禁止を言い渡されました。筆者は「まだ東芝プラントシステムが管理しているはずなのに、なぜ別のところに確認を求めるのか」と質問したところ、高圧電気設備の管理は鹿島建物が担当しているので、そちらに聞いてほしい、ということが分かりました。勝手に、公道の脇に立入禁止の看板を立てて、公道の利用者を排除しようとし、完成写真の撮影さえ拒否する管理者の姿勢に疑問を呈し、強くクレームしたところ「警察を呼ぶぞ」と言われました。


農免道路から安中ソーラー入口フェンスまで通じる進入道路の様子。

安中ソーラー入口フェンスに貼ってある立入禁止の張り紙。まだ完成引渡し前のため鹿島建物の名前はここには見当たらない。



 筆者が心配した通り、得体のしれない外資、それも中国資本の絡むタックスヘイブン会社のペーパー会社が事業主体となっているこのメガソーラー事業で、地元の広大なエリアが治外法権化してしまいました。


市道里親制度による岩野谷の子どもたちの明日を想う会の看板。ここが公道であることを示すためのもの。

■すると、安中ソーラー合同会社の地元代理人から電話があり、話がしたいというので、1月3日の送電開始日の午後3時に、管理業務担当の鹿島建物の現場事務所を訪れました。



安中ソーラーの管理業務を委託されている鹿島建物の現地事務所(野殿元駐在所前)。

ソーラー発電事業者の遵守事項(鹿島建物提供)。


送電開始の1月3日に安中ソーラー施設内で撮影された写真(鹿島建物提供)。

 2時間ほどの質疑応答で、次の事が分かりました。1月3日に送電が開始され、1月17日に東芝プラントシステムが撤収後、正式に設備の所有権が安中ソーラー合同会社に移され、鹿島建物が管理業務を請け負うことになり、さっそく経産省立会いの検査が行われ、承認を得ることになるため、本格的な商業運転に入るのは2月頃になるとのことです。

 鹿島建物によると、地元住民対策として、施設見学会など、積極的に検討したいそうですが、その前に、施設周辺の管理にもっと力を入れるよう要請をしました。また、防災の観点から、昨年10月の台風19号の襲来時に、下流の水境川と岩井川の水位が上昇し、避難勧告がだされた事や、台風通過直後、施設内のパワーコンディショナーから火災が発生し、消防車が駆け付ける騒ぎがあった事について、指摘をしたところ、今後は地元との協定書に基づき、隣接の大谷地区と水境地区の区長、そして安中市には迅速に情報伝達を行うとのことでした。

 しかし、地元各区には自主防災会があり、それらとのホットラインが必要ではないか、と申し入れると、今後、2月に入り運転が安定したら、そうした課題について対応措置を考えたいとのことでした。

■また1月3日に送電開始となりましたが、このメガソーラーで発電した電気は、当初、IHIエアロスペースに近い富岡市側の桑原地区を、東電が数本の鉄塔を新設して碓氷幹線とよばれる特別高圧線ネットワークに接続する予定でした。

 ところが、廃棄物処分場やアスベスト加工施設の計画に悩まされ、その反対運動展開のために住民が一致団結してきた桑原地区の住民の皆さんが、気温上昇やイノシシの被害を恐れて隣接のこのメガソーラー計画を阻止するため、立ち上がりました。そして、自分たちの居住する地区の上空を送電線が通過することについて住民総会で反対を決議しました。

 このため、安中市側の隣接地区の住民が、桑原地区の住民と同じく一致団結して送電線の設置に必要な鉄塔建設地の提供や送電ルート沿いの線下補償を拒否すれば、このメガソーラー事業は成り立たなかったのですが、残念ながら、安中市側の場合は、行政も含めて、市道や県道の道路下の電線埋設を許可し、鉄塔建設用地提供やルート沿いの線下補償もさしたる障害もなく、実現してしまいました。

 とりわけ、安中市の財産である市道については、電線埋設の為、相当長い箇所が掘り返され、舗装が補修的なまま残されています。県道の場合は、安中土木事務所がきちんと舗装工事を東電にやらせたようですが、それ以外の指導部分は、ずさんな簡易舗装のまま、現在に至っています。はたして安中市は東電にいつ本格舗装を指示するつもりなのでしょうか。

■こうして特別高圧線ネットワークの碓氷幹線では、安中ソーラー合同会社のメガソーラーと同様、ゴルフ場を廃業してソーラー発電事業に転換したビックカメラの子会社によるメガソーラーも完成時期をまもなく迎えようとしています。

 一方この碓氷幹線には、先ほどのIHIエアロスペースの富岡事業所のほかにも、電気亜鉛の製造のために高崎市の全世帯と同程度の電力を消費する東邦亜鉛安中製錬所や、さらに半導体用シリコン製造のために大電力を消費する信越化学など、大容量の電力消費企業がつながっています。

 晴れた日の昼間にはメガソーラーによる電力供給が地産地消で可能ですが、雨天や夜間の電力については、消費側に電力負荷がかかることになります。東日本と西日本、さらに北海道との間で、電力の融通ができるように現在、サイクル変換施設や海底ケーブルの敷設のための大規模投資が行われていますが、自分勝手な東電のことですから、そのしわ寄せがメガソーラー事業者に降りかかってくる可能性は否定できません。

 そのような場合、日本に根を下ろした企業によるメガソーラー事業であればまだしも、タックスヘイブンのペーパー会社の場合、さっさと見切りをつけて別の業者に転売することは十分あり得ます。

■こうして、安中市岩野谷地区の南部にある広大なエリアが、治外法権化してしまい、今後、広大な森林喪失による気温変動やイノシシなどの挙動、さらに気象変動による雨量の両極化による干ばつや洪水の問題、そして20年後の事業終了後のパネル廃棄問題や、土地の再利用による産廃処理施設など迷惑施設化の不安、また事業転売による更に得体のしれない事業者の進出、とりわけ中国資本の土地占有など、引き続き地元住民にとって心配のタネが尽きることはなく、国土保安上からもリスクを引きずることになります。

 当会では、できる限り将来を見据えて、言うなれば東シナ海に浮かぶ尖閣列島と同じく、中国資本のからむソーラーパネルの海に囲まれた筆者所有の山林とそのアクセス道路の保全管理を通じて、関東最大級の規模のこのメガソーラーの監視を末永く続けて参る所存です。

【ひらく会情報部】

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安中市の0.5%を中国資本が占める安中メガソーラー計画…送電線敷設について東電が3月下旬に地元で回覧板

2018-04-03 22:59:00 | 安中市内の大規模開発計画
■安中市岩野屋地区の南部にある広大な丘陵地帯127ヘクタールにFIT制度を利用したメガソーラー設置のため、中国系ファンドのタックスヘイブン企業のペーパー会社が、朝日新聞グループの日刊スポーツからゴルフ場計画跡地を買い取り、現在大規模な造成工事がほぼ半分ほど進行中です。このメガソーラー計画では発電した電力を東電の高圧送電網と接続する必要がありますが、当初富岡市側経由で計画されていたルートが、桑原地区自治会の皆さんの反対で頓挫したため、そのルーティングをどうするのか東電の動向が注目さえていましたが、やはり安中市側の野殿・水境地区から間仁田地区にある特別高圧送電ラインの碓氷幹線の第25号鉄塔に導くルートに決したようで、先日、地元野殿地区に東電が回覧板でチラシを回しました。




 昨年10月の時点ではまだはっきりとしたルートはわからず、東電にきいても詳しくは教えてもらえませんでした。
〇2017年10月21日:安中市の0.5%を中国資本が占める安中メガソーラー計画…送電線敷設について東電から届いた手抜き回答書
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2447.html#readmore

 今回東電が回覧板で回したチラシの内容は次の通りです。

*****東電のチラシ*****PDF ⇒pdh.pdf
【回覧】電気設備新設工事に伴う道路使用のお知らせ
◆はじめに
皆様方には日頃より電気事業にご理解とご協力を賜り厚くお礼申し上げます。
今回、電気工事(電気管路新設工事)の実施について、お知らせ致します。
工事の施工にあたり、恵能の皆様方にはご迷惑をおかけすることと存じますが、安全の確保、騒音、振動の低減などに努め、ご迷惑を最小限に抑えたいと考えておりますので、何卒ご理解尾ご協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
◆工事の箇所と日時について
工事個所:安中市野殿字長峰3244-1~安中市野殿字先祖谷津2841-1
工事期間:平成30年4月~平成31年9月(管路工事)
     平成31年9月~平成31年12月(管路本復旧工事)
作業事件:8:00~17:00(昼間)、21:00~6:00(夜間)
※この工事は予定であり、現場諸条件などにより工程が変更する場合があります。
 なお、書斎日程については決まりしだい、お知らせ致します。
◆工事による影響などについて
この工事では、右案内図の箇所を施工します。
《安中市道区間》
 ・昼間に工事を行います。
 ・通行止めをさせて頂く場合には、事前にご案内させて頂きます。
《県道区間》
 ・夜間は片側通行にして工事を行い、昼間は工事を行いません。
※この工事による停電はございません。

JPEG ⇒ pdhp2.jpg
◆工事個所の案内
(図のとおり)
◆連絡先・お問合せ先
工事に関しまして、不都合やお気付きの点がございましたら、下記連絡先までご連絡くださいますようお願い致します。
   東京電力パワーグリッド㈱
   群馬総支社流通土木グループ
   TEL:027-893-4664
   担当:野本 健
      斉藤 浩幸
**********

■こうして、東電の思惑通り、環境意識が相対的に他の自治体よりも低い安中市側に、中国資本のための送電線ルートが設置されることになりました。

このメガソーラーは、事業主体が前述の通り、得体のしれない外資系ペーパー会社であり、しかも香港に在住する人物がファンドマネージャをしていることから、当会では国土保安上の観点から、首都圏の上流部に位置する群馬県の里山地域で、これほど広大な水源地域を大規模に所有されることによるリスクを、国家安全保障会議の議長をつとめる安倍晋三総理にアピールしてきました。

また、このメガソーラー設置予定地のすぐ西隣りには、自衛隊のミサイルや、日本の宇宙開発の一翼を支えるイプシロンロケットを製造するIHIエアロスペース社の富岡事業所が位置することから防衛省の石破大臣にも国家保安上のリスクの観点からアピールしてきました。

 さらに、その前から、この広大な里山の地権者である日刊sポーツおよびその親会社であある朝日新聞社に対しても、中国系外資に売るのではなく、自社林として保有するか、せめて日本に拠点を持つ事業者に譲渡すべきであると要請してきました。

 そして、この中国系外資ファンドに用地買収・造成工事・設置工事費などに必要な資金約150億円を融資した三井住友信託銀行に対しても、国土保安上の問題から融資を思いとどまるよう、コンプライアンス室に直訴状を提出したり、それでもなしのつぶてのため、東京の大手町の本店を訪れて直訴しました。

 そして、財務省の前橋財務事務所に対しては、計画地内に存在する5ヘクタール余りの公共地、すなわち国の財産を中国系外資に払い下げないように懇願してきました。

■しかしながら、いずれも当会の声は全く届くことなく、現在にいたってしまいました。もちろん、東電に対しても、中国系ファンドのために送電ルートを確保してやる必要性について再考するようお願いをしましたが、地元説明会さえ拒否される始末です。

 したがって、このままゆくと、2020年の東京五輪までには、首都圏で最大級のメガソーラーがここで稼働を始め、20年後のFIT制度切れのあとも、中国の脅威にさらされることになります。

※2018年3月3日撮影の造成工事現場






送電線の設置ルートはこちらの方角。

【ひらく会情報部】

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安中市の0.5%を中国資本が占める安中メガソーラー計画…送電線敷設について東電から届いた手抜き回答書

2017-10-21 23:23:00 | 安中市内の大規模開発計画

■安中市の東南端の丘陵地帯で造成中の首都圏ではトップクラスの発電量となる安中ソーラー合同会社によるメガソーラー建設のための造成工事は、着工後約1年が経過しました。 そうした中、着工後半年が経過した今年の4月に、事業者の意向を受けた東京電力が安中市役所に、送電線を市道の下に敷設して、もよりの高圧送電網に接続させたい、として下話をしたことが、最近になって判明しました。また、群馬県に対しては、県道を横切って送電ルートを確保するために、既に何回か安中土木事務所を訪れて下話をしていることが分かりました。そこで、当会では、2017年9月17日に、東京電力のホームページから、東電に問い合わせをしたところ、1か月後の10月17日付で回答が送られてきました。



 内容は次の通りです。なお、東電に問い合わせをしたいきさつは次のブログを参照ください。
〇2017年9月19日:安中市の0.5%を中国資本が占める安中メガソーラー計画…東電に送電線敷設について問い合わせ中
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2416.html#readmore

*****東電からの回答書*****PDF ⇒ img_20171022_0004d.pdf
                   
                        平成29年10月17日
小川 賢 様

 日頃より弊社事業運営にご理解とご協力をいただき、誠にありがとうございます。
 先日、お問い合わせいただいた件につきまして、以下の通りご回答いたします。

                記

1.地元説明会について
  現時点では、開催の予定はございません。

2.送電線路の建設計画について
①工事期間
 平成30年4月~平成31年9月(予定)
②工事区間
 安中市野殿地内~安中市下間仁田地内

                             以 上

                       東京電力パワーグリッド株式会社
                       群馬総支社 用地グループ


【本書の内容を本来の目的以外に使用することや、当社の許可なくして複製・転載することはご遠慮ください。 東京電力パワーグリッド株式会社】
**********

■質問に対して回答が送られてくるまでの1か月間に、東京電力ホールディングスの100%子会社の東京電力パワーグリッド㈱群馬総支社(〒371-0805 前橋市南町3-60-3)の用地グループ担当・高橋氏(電話0278-98-4143)から、9月19日(火)18時06分、当会に次の内容の電話がありました。

 それによると、「このほど頂いたお取合せに対する回答については、現在社内で検討中なので、折り返しの本日19日の時点では回答できませんので、その旨連絡させていただきます」というものでした。

 これに対して当会からは「おおよその回答時期について、教えてください」とお願いしましたが、「検討してからになります」という返事でした。

 その後9月29日(金)15時36分に東電パワーグリッドに状況を問い合わせましたが、「担当者が不在のため、追って電話します」とのことで、返事を待っていたところ、翌週の10月2日(月)16時51分に高橋氏から電話がありました。それによると「引き続き、上のほうで検討中です」という回答でした。

■1か月も待たせたわりには、ご覧いただく通り、そっけない回答です。問い合わせの内容をベースに回答内容をチェックしてみましょう。

**********2017年9月17日22時10分送信
https://www4.tepco.co.jp/cgi-bin/cformmail/cformmail.pl.cgi
 安中市岩野谷地区で進行中の関東地方で最大級のメガソーラー発電施設の建設工事が、安中ソーラー合同会社により実施されています。事業者によれば、当初、パワーコンディショナーの配置場所を富岡市側に予定し、そこから発電した電力を小桑原地区を通過して、IHIエアロスペースの西側の山にある貴社の磯部線または西毛線の66kV特別高圧鉄塔まで県道に沿って合計8本の45m鉄塔を貴社が新設する計画でしたが、2016年7月に貴社からこの計画を聞かされた小桑原地区の住民の皆さんは、メガソーラー設置による気象変動や森林伐採による生態系の変動、とりわけイノシシによる農作物への被害の不安があるのと、高圧送電線が地区の住宅地の上空を切り裂く状況は到底容認できないとして、臨時総会を開催し、全員一致で「貴社の計画には協力できない」ということを貴社に伝えました。
 そのため、貴社では送電ルートを変更し、貴社関連会社である東京電力パワーグリッド㈱群馬総支社用地グループが今年4月12日(月)午前10時に安中市役所を訪れ、安中市側への送電線新設工事に関して地元区長らへの説明結果及び今後の予定について報告しました。また、県道前橋安中富岡線を経由して岩野谷6区の市道に送電線を埋設する件で、県道を管理する安中土木事務所に数回計画説明と県道における送電線埋設工事の相談をしています。
 つきましては、次の事項についてお願いがあります。
①地元代表区長や関連する各地元区長に説明したところ地権者がOKならよい、と言われたそうですが、工事で公道の道路占用を行うことから地元住民への説明会の開催の予定はありますか。もし未定であれば、ぜひ各地区の区長に開催の申し入れをしてください。

【東電の回答】
1.地元説明会について 現時点では、開催の予定はございません。

【当会のコメント】
「現時点では」という表現を使っているが、開催の意図はあまり感じ取れない。

②現在の送電線の建設計画(工期、費用、ルート、工法などを含む)について教えてください。
【東電の回答】
2.送電線路の建設計画について
①工事期間 平成30年4月~平成31年9月(予定)
②工事区間 安中市野殿地内~安中市下間仁田地内

【当会のコメント】
工事期間をみると1年5か月を見込んでいる。メガソーラーの造成工事のあと、パネル設置工事が完了する時期に合わせて送電線を建設しなければならないので、かなりタイトだと思われる。また、詳しいルート、費用、工法(道路地下埋設なのか、鉄塔による空中架線なのか)について東電はわざと回答をせずに、当会の質問をはぐらかしたかたちだ。


■どうやらこのまま看過していると、東電はなにも広報活動を地元関係住民に知らせないまま、送電線工事に着工してしまいます。地元の住民にとって、安全な生活環境の保全と維持が重要な要件ですが、東電の対応は不誠実というほかはありません。

【ひらく会編集部】

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