市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

公立碓氷病院で不正行為?…不祥事の損害回収等を求めた住民監査請求を門前払いした安中市監査委員

2018-04-27 23:09:00 | 安中市の行政問題

■安中市原市の公立碓氷病院で職員が診療報酬の請求文書に虚偽記載した疑いと、同じく有給休暇の不正取得の疑いで、当会が安中市長に通報した事件では、調査の結果、後者のほうの不正は54時間分だとして当会の試算の半分に過ぎず、前者の方は依然として全容が判明しないまま、不祥事が公に発覚してから半年以上が過ぎようとしています。このため、当会では3月27日付で安中市監査委員に対して公立碓氷病院の事務部長にかかる職員措置請求、いわゆる住民監査請求を行いました。この度、4月27日に配達証明郵便で監査結果通知が当会に届きました。


 安中市監査委員から届いた通知の内容はつぎのとおりです。また、住民監査請求の提出に関しては次のブログを参照ください。
〇2018年3月28日:公立碓氷病院で不正行為?…不祥事の損害回収等を担保すべく住民監査請求を提出
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2605.html#readmore

*****住民監査結果通知*****PDF ⇒ img_20180428_0026.pdf

                          安監委発137号
                        平成30年4月25日
請求人 安中市野殿980番地
    小川 賢 様

                  安中市監査委員 安藤 忠善
                     同    奥原 賢一

           住民監査請求について(通知)

 平成30年3月27日に提出のあった安中市職員措置請求について、内容を審査しましたので、その結果を下記のとおり通知します。
                 記
1 審査の結果(請求に対する判断)
  本件請求を却下する。
2 理由
(1)住民監査請求の対象となる行為等は、地方公共団体に積極消極の損害を与えひいては住民全体の利益に反するものでなければならいもので、たとえ違法・埠頭な行為又は怠る事実があるとしても、当該地方公共団体に損害をもたらさない行為等は住民監査請求の対象にならないとされており、「(1)療法士別リハビリ実施記録と実際の実施開始・終了時間の間に、明らかに矛盾のあるケースが多発していること。」について、市に損害が発生しておらず、監査の対象とすることはできない。

(2)住民監査請求は、地方自治法第242条第2項の規定により財務会計所の行為のあった日又は終わった日から1年を経過したときは、これをすることができないとされており、「(2)勤怠簿への年休、時間給の未記載が多発していること。」について、当該行為は、措置請求が行われた日(平成30年3月27日)の時点で1根に状経過していることとなるので監査の対象とすることはできない。
**********

■当会が監査委員事務局を訪れて直接窓口に提出したのが3月27日ですから、監査委員は1カ月も経たないうちに通知をよこしたことになります。つまり、なんら具体的な監査業務をしないまま、当会の請求を門前払いしたことがうかがえます。

 今回当会が提起した監査請求のうち、(1)診療報酬の不正申告については、現在、関東厚生局からいろいろな指摘が為されており、それに対して碓氷病院側からの資料提供や調査報告が行われ、不正の実態解明が進められているものとみられます。

 そのため、碓氷病院が受ける被害は明らかです。にもかかわらず、安中市監査委員らは「たとえ違法・不当な行為又は怠る事実があるとしても、安中市に損害をもたらされていない限り、監査の対象とすることは出来ない」と結論付けています。

 実際に碓氷病院の関係者にヒヤリングもせず、被害がなかったなどと結論付けた可能性もあるので、当会では、監査委員に対して質問書を出すことも検討したいと思います。

 ちなみに、最近の他地方公共団体における住民監査請求では、千葉県の住民が平成27年12月24日に住民訴訟を提起した「病院事業管理者に対し、県病院局の健康保険組合等への不正な診療報酬の返還等に係る支出に関し損害賠償請求することを求める」事件が挙げられます。

 今回の結果通知で、監査委員が引用した「積極消極の損害」という表現は「監査の対象となる行為等は、地方公共団体に積極消極の損害を与えひいては住民全体の利益に反するものでなければならないというべきである」(最高裁平成6年9月8日第一小法廷判決)を参考にしたようです。これは他の自治体における監査委員らもよく使うフレーズですが、住民全体の利益に明らかに反する公立碓氷病院の不祥事件に対して、躊躇なく引用するあたり、安中市監査委員のレベルの低さを象徴しています。

■また、(2)の勤怠簿の不正申告について、安中市監査委員らは、財務会計上の行為と認定しているようですが、今度は「1年を経過した」あとの監査請求なので、監査の対象ではない、として、これもまた門前払いとなりました。

 昨年9月に当会は、安中市長に直訴状でこのことを指摘しておりましたが、その結果を監査委員に確認してもらおうと思い、今回の住民監査請求となりました。ところが監査委員は、きちんと調べるつもりは皆無で、ひたすら、碓氷病院の事務部長を庇うべく、当会の請求を問答無用で却下したのでした。

■以上のとおり、これほど酷い監査結果も近年珍しいことですが、タゴ51億円事件を起こした安中市政では、監査委員のレベルもこの程度だということがあらためて証明された形です。

 住民訴訟は、「(住民監査結果)通知があった日等から30日以内に住民訴訟を起こすことができる」(地方自治法第242条の2第1項2項)とありますので、5月26日までが提訴の期限となります。それまでに、関東厚生局など関係機関に現在の状況を聴取したうえで、対応を検討する所存です。

【市政をひらく安中市民の会事務局からの報告】

※参考情報「住民監査請求書」
**********
             安中市職員措置請求書

公立碓氷病院事務部長に関する措置請求の要旨

1.請求の要旨

 公立碓氷病院事務部長の神宮潔は、2017年6月8日付で現場から嘆願書が出されていたにも関わらず、その後、2017年7月31日付で請求人が安中市長に書面で通報し事実関係の調査を要請するまで、損害を放置した。請求人による安中市長への通知以降、ようやく神宮潔は、院内調査を開始し、平成29年第4回市議会定例会の12月15日開催の全員協議会に、碓氷病院に係る不正事案の説明を行った(事実証明書1)。しかし、未だに損害額の特定や、損害の具体的な回収を実施したのかどうか、市民に公表していない。
 本事案の概要は次のとおりである。
 請求人は2017年8月4日付で行政文書開示請求を行い、安中市は同8月17日付で2通の部分開示通知と1通の不存在決定通知を送ってきた。そして、前者の通知に基づき請求人は同8月23日に安中市役所2階の法制課で次の資料の部分開示を受けた。
① 嘆願書(事実証明書2)
② 単位単価情報(事実証明書3)
③ 公立碓氷病院組織規則(事実証明書4)
④ 公立碓氷病院患者別業務月報(事実証明書5)
⑤ 公立碓氷病院療法士別実施一覧(事実証明書6)
⑥ 安中市職員の給与に関する条例(事実証明書7)
⑦ 公立碓氷病院組織図(事実証明書8)
 この結果をもとに、請求人は問題となっている次の2項目についてそれぞれ損害額を試算してみた。
(1) 療法士別リハビリ実施記録と実際の実施開始・終了時間の間に、明らかに矛盾のあるケースが多発していること。
(2) 勤怠簿への年休、時間給の未記載が多発していること。
 このうち(1)については、2017年7月10~25日の半ヵ月に限ってみても、次に示す矛盾事例のあることが判明した。
**********
●7月10日(月)16:00に当該職員は療法士の待機室に戻っているにもかかわらず、16:07~17:07に内科3病棟の女性患者に対して運動器リハビリ料【3単位】+早期リハビリ加算【3単位】を施療したことになっていること。⇒170点×3単位+30点×3単位=600点
●7月11日(火)15:40に当該職員は療法士の待機室に戻っているにもかかわらず、15:50~16:05に内科3病棟の男性患者に対して運動器リハビリ量【1単位】を施療したことになっていること。さらに、16:07~16:48に内科3病棟の別の女性患者に対して運動器リハビリ料【1単位】+早期リハビリ加算【2単位】を施療したことになっていること。⇒170点×1単位+170点×1単位+30点×2単位=400点
●7月13日(木)15:35に当該職員は療法士の待機室に戻っているにもかかわらず、16:05~16:25に内科4病棟の男性患者に運動器リハビリ料【1単位】+早期リハビリ加算【1単位】+リハビリ総合計画評価料+目標設定等支援・管理料(初回)を施療したことになっていること。さらに、16:28~16:49に内科3病棟の男性患者に対して廃用症候群リハビリ料【1単位】+早期リハビリ加算【1単位】を施療したことになっていること。⇒170点×1単位+30点×1単位+300点+250点+146点×1単位+30点×1単位=926点
●7月18日(火)9:25に当該職員は午前の施療を開始し、11:20に療法士の待機室に戻っているにもかかわらず、11:05~11:45に内科3病棟の男性患者に対して運動器リハビリ料【2単位】を施療したことになっていること。さらに、午後の場合、当該職員は15:46に待機室に戻っているにもかかわらず、16:08~17:08に整形外科3病棟の男性患者に「運動器リハビリ料【3単位】を施療したことになっていること。⇒170点×2単位+170点×3単位=850点
●7月19日(水)11:40に当該職員は午前の施療を終わって療法士の待機室に戻っているにもかかわらず、11:46-12:07に整形外科3病棟の男性患者に運動器リハビリ料【1単位】を施療していることになっていること。⇒170点×1単位=170点
●7月20日(木)9:20に当該職員は午前の施療を開始し、11:02に療法士の待機室に戻っているにもかかわらず、11:08~11:47に内科3病棟の女性患者に運動器リハビリ料【2単位】を施療していることになっていること。なおこの時間内に、当該職員は11:20頃待機室を出ましたが数分に戻っていること。さらに、午後の場合、当該職員は15:55に待機室に戻っているにもかかわらず、16:07~16:47に内科4病棟の男性患者に運動器リハビリ料【2単位】+早期リハビリ加算【2単位】を施療したことになっていること。なお、この時間内に、当該職員は16:25に待機室を出て17:24に待機室に戻っていること。施療時間との食い違いが顕著であること。⇒170点×2単位+170点×2単位+30点×2単位=740点
●7月21日(金)9:46に当該職員は午前の施療を開始し、10:45に療法士の待機室に戻っているが、これについては09:24~10:45に内科3病棟の男性患者に廃用症候群リハビリ料【4単位】+早期リハビリ加算【2単位】を施療していることにされていること。確かにこの男性患者に対するリハビリ施療そのものは他社による目撃で確認できているが、20分ほど施療時間に食い違いが生じていることになること。さらに午後の場合、当該職員は15:00過ぎには療法士の待機室の自席にいたにもかかわらず、16:10~16:32に内科4病棟の男性患者に運動器リハビリ料【1単位】+早期リハビリ加算【1単位】を施療したことになっていること。16:20に当該職員がないか4病棟の男性患者のところにいなかったことが、他者に目撃され確認されていること。⇒146点×4単位+30点×2単位+170点×1単位+30点×1単位=844点
●7月24日(月)15:25に当該職員は、療養病棟から療法士の待機室に戻っているにもかかわらず、15:25~16:25に内科3病棟の女性患者に運動器リハビリ料【3単位】を施療したことになっていること。さらに当該職員は、そのあと、16:29~16:50に内科療養病棟2階の男性患者に運動器リハビリ料【1単位】+早期リハビリ加算【1単位】を施療したことになっていること。⇒170点×3単位+170点×1単位+30点×1単位=610点
●7月25日(火)9:33に当該職員は午前の施療を開始し、11:16に療法士の待機室に戻っているにもかかわらず、10:45~11:48に内科4病棟の女性患者に運動器リハビリ料【3単位】+早期リハビリ加算【3単位】を施療したことになっていること。さらに、午後の場合、当該職員は15:40に療法士の待機室に戻っているにもかかわらず、16:09~16:50に内科療養病棟2階の男性患者に運動器リハビリ料【2単位】+早期リハビリ加算【2単位】を施療したことになっていること。⇒170点×3単位+30点×3単位+170点×2単位+30点×2単位=1,000点
*********
 以上の通り、僅か半ヵ月でこれほど多くの施療に関する虚偽記載が確認されている。
 虚偽記載による療法実施の単位数がどれほどの診療報酬を意味するのか分からないが、同病院の信用問題にも関わる深刻な問題であることは容易に理解できる。
⇒半月合計で6,090点→60,900円となる。これと同様な不正行為を過去にさかのぼって行っていたとすると1年間で、60,900円×24=1,461,600円に上ることになる。
 次に、(2)については、平成28年1月~平成29年2月に限ってみても、年次休暇の取得申請において、次に示す勤怠簿への年休、時間休の未記載の疑い、もしく明らかな未記載が判明した。
**********
●2016年1月5日:2時間休の未記載の疑い
●2016年2月16日:2時間休の未記載の疑い
●2016年2月17日:2時間休の未記載の疑い
●2016年2月19日:2時間休の未記載の疑い
●2016年3月15日:2時間休の未記載の疑い
●2016年3月30日:2時間休の未記載の疑い
●2016年4月7日:2時間休の未記載の疑い
●2016年5月31日:2時間休の未記載の疑い
●2016年7月1日:4時間休の明らかな未記載
●2016年7月22日:2時間休の未記載の疑い
●2016年8月2日:4~5時間休の明らかな未記載
●2016年8月3日:2時間休の未記載の疑い
●2016年8月8日:2時間休の未記載の疑い
●2016年8月15日:2時間休の未記載の疑い
●2016年8月18日:4~5時間休の明らかな未記載
●2016年8月29日:2時間休の未記載の疑い
●2016年9月1日:2時間休の未記載の疑い
●2016年9月6日:2時間休の未記載の疑い
●2016年9月13日:2時間休の未記載の疑い
●2016年9月14日:2時間休の未記載の疑い
●2016年9月20日:2時間休の未記載の疑い
●2016年10月4日:2時間休の未記載の疑い
●2016年10月11日:2時間休の未記載の疑い
●2016年10月12日:2時間休の未記載の疑い
●2016年10月24日:2時間休の未記載の疑い
●2016年10月26日:2時間休の未記載の疑い
●2016年10月27日:2時間休の未記載の疑い
●2016年10月28日:4時間休の明らかな未記載
●2016年10月31日:2時間休の未記載の疑い
●2016年11月1日:1日年休の明らかな未記載
●2016年11月4日:2時間休の未記載の疑い
●2016年11月11日:2時間休の未記載の疑い
●2016年11月28日:2時間休の未記載の疑い
●2016年11月30日:2時間休の未記載の疑い
●2016年12月15日:4~5時間休の明らかな未記載
●2017年1月11日:4時間休の明らかな未記載
●2017年1月26日:1日年休の明らかな未記載
●2017年2月3日:2時間休の明らかな未記載
●2017年2月6日:6時間休の明らかな未記載
**********
 以上の通り、1年2カ月の期間における有給休暇の不正取得は、合計で106~109時間にのぼり、1日当たりの労働時間を8時間と仮定すると、13日と2~5時間に相当する。
⇒当該職員は療法士なので医療技師向けの医療職給料表(2)をもとに、仮に職務3級で56号給と想定した場合、給料月額が302,100円となる。そこで、月平均20日労働とすれば、有給休暇で不正取得した金額は13日5時間(13.625日)の期間分に相当するので、302,100円×13.625日/20日=205,806円となる。これがほぼ1年間に失われた人件費となる。
 上記の損害が明らかであるにもかかわらず、神宮潔は、事実証明書1のとおり、不正に休暇を取得していたと判断される時間を合計54時間と特定した。これは請求人の試算の半分に過ぎない。
 また、診療報酬の計算根拠となっている施療時間については、電子カルテに遺された唯一の証拠だとしているが、本事件が発覚した昨年8月から、既に8カ月が経過しようとするのに、いまだに全貌が明らかになっておらず、関東厚生局との間の協議を未だにしているという。
 こうした無責任な対応は、今回の不正有給取得と不正診療記録記載という、特定の30代理学療法士による不正行為に対するものとしては、不十分としか言いようがなく、このような機器管理の不作為は、市民納税者による公立碓氷病院への信頼を大きく棄損するものである。
 よって、神宮潔のこの行為は、地方自治法242条の2の3号「当該執行機関又は職員に対する当該怠る事実の違法確認の請求」に該当すると思料される。
 その結果、30代理学療法士が市に与えた損害を回収させるために、神宮潔に勧告されたい。
 そして、回収が不可能の場合は、地方自治法24条の2の4号「当該職員又は当該行為若しくは怠る事実に係る相手方に損害賠償又は不当利得返還の請求をすることを当該普通地方公共団体の執行機関又は職員に対して求める請求」に基づき、神宮潔に損害賠償を請求するよう勧告されたい。

2.請求者
  住 所   安中市野殿980番地
  職 業   会社員
  氏 名                        (自署押印)

 地方自治法第242条第1項の規定により,別紙事実証明書を添え必要な措置を請求します。

  平成30年3月27日

  安中市監査委員(あて)

*****別紙*****
事実証明書
1 「公立碓氷病院・リハビリ室問題」について
2 嘆願書
3 単位単価情報
4 公立碓氷病院組織規則
5 患者別業務日報
6 療法士別実施一覧
7 安中市職員の給与に関する条例(抜粋)
8 公立碓氷病院・病院概要・組織構成
**********

コメント (2)
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退社を希望するバドミントン選手を巡り再春館製薬所が起こした奇妙な事件

2018-04-26 23:09:00 | 国内外からのトピックス
■ドモホルンリンクで知られる再春館製薬所が、バドミントン部を設立したのは、4年前の2014年8月7日でした。当時熊本に半導体製造工場を持っていたルネサス九州セミコンダクタがルネサスエレクトロニクスへの吸収合併で解散することになったため、同社のバドミントン部の譲渡を受けるためでした。その翌年の2015年4月1日に「くまもと再春館製薬所バドミントンチーム」を創設し、前身チームから引き継いでバドミントン日本リーグ1部(現:バドミントンS/Jリーグ)に加盟し、2016年5月10日に所属選手の山口茜がリオ五輪代表選手に内定しました。そのバドミントン部を巡り、4月24日からマスコミを騒がせています。


 騒ぎというのは、オーナーの再春館製薬所が、金銭的不正行為があったとして、バドミントン部の監督を4月13日に日本バドミントン協会に告発したというものです。同監督はバドミントン部発足の2015年4月1日から就任していましたが、再春館製薬所は、「社内調査で金銭的不正行為が発覚した」として、同監督を2017年1月に解任しました。

 一連の報道は後述しますが、どうみても同社バドミントン部に所属する有力ペアが4月末で同社を退社して、昨年1月に解任した監督のいる岐阜県のチームに移籍することを逆恨みしての告発としか思えません。

■再春館製薬所と言えば、1943年生まれの西川通子会長が、38歳で1971年の警備会社を設立後、1982年、会社再生中だった再春館製薬の代表取締役に就任後、ダイレクトメールによる通信販売を導入して、1985年からはテレビCMを盛んに打ち出したことにより、1982年に売上げ5000万円だった同社を、6年後の1982年には売上102億円に急成長させ、2004年に社長から会長に就任しています。現在は息子の西川正明が社長についており、2014年度実績の売上は288億円とされています。

 一方で、同社は九州山口組の企業舎弟として、地元では知る人ぞ知る企業で有名です。当会も、1988年に地元で始まった日刊スポーツ新聞社による朝日新聞グループ専用の高級ゴルフ場計画に伴い、1990年から地上げ業者として、ジャパンビラインターナショナルという東京六本木のロアビルの一室に事務所を持つ会社の代表者が、地元に巣食うようになり、山林の地上げを巡り、当会の事務局長にもコンタクトしてきたことがあります。

 その際、ジャパンビラインターナショナル社は、再春館製薬所の子会社の不動産会社であり、九州山口組系暴力団と関係があること、そして、「本件では、地上げ業務に既に2億円を先行投資したため、ボスからその回収について失敗が許されないので、朝日新聞グループの日刊スポーツから地元工作資金の20億円をせしめるために、一緒に組もう」と勧誘されたそうです。

 この日刊スポーツによる朝日新聞グループ専用の高級ゴルフ場建設計画の顛末は、次のブログをご覧ください。
〇2009年7月14日:通販禁止をすり抜けた再春館製薬所と九州山口組とのヤバイ関係に翻弄された日刊ゴルフ場
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/285.html#readmore
〇1992年11月1日:「あの手この手で自然を守る」会報『自然保護』No.367(1992年11月号)より転載
http://www.nacsj.or.jp/archive/1992/11/1068/

 残念ながら、日刊スポーツ新聞社が朝日新聞グループ専用の高級ゴルフ場建設計画用地として保有していた127町歩の里山は、メガソーラーブームにより2年前に中国資本との関係が取りざたされるタックスヘイブンの外資による資本金1円のSPC(特別目的会社)であるペーパー会社に20億円(当会推算)に譲渡され、メガソーラー建設の元請の東芝プラントシステムの下請で、現在、大規模な造成工事が、大成建設によって行われています。
〇安中市内の大規模開発計
http://pink.ap.teacup.com/applet/ogawaken/msgcate14/archive

■現在、再春館製薬所は、極道の妻の会長のもと、堅気の息子が社長に就いており、「もはや九州山口組系の企業舎弟ではない」との声もあるようですが、実際に同社のグループ子会社の関係者と直接面談した当会事務局長によれば、反社会的勢力との関連が完全に切れたのかどうかは、きわめて不透明だということです。

 そうした状況にもとで、今回の同社バドミントン部を巡る騒ぎが起きました。一連の報道を見てみましょう。

**********スポーツ報知2018年4月24日7時0分
バド福島、広田組が再春館製薬所を退社へ 移籍認められず国内団体戦2年間出場不可も
 バドミントンの17年世界選手権女子ダブルス銀メダルで、20年東京五輪でのメダルが期待される福島由紀、広田彩花組が、4月末で再春館製薬所を退社する意思を固めたことが23日、関係者への取材で分かった。既に辞表を提出している。
 2人は岐阜トリッキーパンダースに入団するが、再春館製薬所は移籍を認めない方針。日本実業団連盟の取り決めで、前所属の移籍承諾が得られていない場合は、国内の団体戦に2年間出場できない。
 岐阜には再春館製薬所の今井彰宏元監督がスタッフとして在籍している。今井氏は昨年1月、所属選手が国際大会で獲得した賞金を当該選手に渡さなかったとして、再春館製薬所の社内処分で監督を解任された。
 08年北京五輪4位の末綱聡子、前田美順組や12年ロンドン五輪銀メダルの藤井瑞希、垣岩令佳組を育てた今井氏は女子ダブルス育成に定評がある。金銭トラブルでチームを離れたが、2人が師匠を慕う気持ちは変わらなかった。
 岐阜は専用体育館を持つため、練習環境の面では大きな支障はなさそうだ。ただ再春館製薬所と今井氏の間では今後、移籍や金銭の問題を巡って争いが起きる可能性があり、状況は不透明だ。

**********デイリースポーツ2018/04/24 18:55
再春館製薬所がバドの福島&広田ペアの退団を発表 前監督の不正告発も
 バドミントンの再春館製薬所は24日、女子ダブルス17年世界選手権銀メダルの「フクヒロ」ペアこと福島由紀(24)、広田彩花(23)組が4月末で退社する見込みであることを発表した。
 同社によれば、2人は3月末に退職届を提出。家族から慰留の申し出があって保留しているものの、現在中国に遠征中の2人の意思が変わらなければ、30日をもって退社となる。また、同社が移籍を認めないという一部報道に関しては「そのような発表はしておりません」と否定した。
 一方、フクヒロペアが5月から入団する見込みの岐阜トリッキーパンダースには、再春館製薬所の前監督で今年2月に退社した今井彰宏氏が、4月からコーチングコーディネーターを務めており、来季からは監督を務める見込み。また、今井莉子(19)、吉冨桂子コーチも同チームに移籍している。
 このことを受けて、再春館製薬所は「社内調査の結果、今井氏の金銭的不正行為が発覚したため、17年1月に監督を解任した」と経緯を明かし、「金銭的不正行為については、これまでに把握していたものだけではなく、さらなる不正の事実も発覚しており、4月13日付で日本バドミントン協会に告発状を提出させていただいた」と発表した。
 フクヒロペアに対しては「地元熊本市出身でもあり、今回の退社の意向は残念だが、今後もバドミントン界を盛り上げていくために頑張ってほしい」とねぎらったが、今井氏に関して「金銭的不正行為については、日本協会に、今後のバドミントン界の健全な発展、選手の私生活の平穏と安定およびバドミントンに関わる人や企業が永続的に応援していけるように、厳正な処分をお願いしている」とした。

**********日刊スポーツ2018年4月25日9時13分
バドミントン再春館が金銭的不正行為で元監督を告発
 バドミントンの再春館製薬所は24日、17年世界選手権女子ダブルス銀メダルの福島由紀(24)広田彩花(23)組の去就について見解を発表した。同社によれば3月末に退職届が提出されており、家族から選手を慰留する声があったため、手続きを保留しているという。現在2人は中国・武漢で行われているアジア選手権に参戦中。終わり次第、意思を確認し、変わらなければ4月30日をもって退社になる。
 2人は、再春館製薬所の今井彰宏元監督が在籍している岐阜トリッキーパンダースに移籍する意向。日本実業団連盟の取り決めで、前所属の移籍承諾が得られていない場合は、国内の団体戦に2年間出場できないが、同社関係者は「他チームでプレーできないようにするなど邪魔するつもりは一切ありません」とし、移籍も認める方針という。文書では、地元熊本出身の2人について「東京オリンピックでのメダルを目指してともに頑張っていきたいという気持ちは強くあり、今回の退社の意向は非常に残念ではありますが、今後もバドミントン界を盛り上げるために頑張ってほしい」とした。
 また、今井氏の金銭的不正行為について、13日に日本協会に告発状を提出したことも発表した。今井氏はバドミントン部発足の15年春から監督を務めたが、社内調査で金銭的不正行為が発覚し、昨年1月に監督を解任されていた。再春館製薬所は「今後のバドミントン界の健全な発展、バドミントン選手の私生活の平穏と安定およびバドミントンに関わる人や企業が永続的に応援していけるように、厳正な処分をお願いします」として、協会に処分を求めた。
 同社は、女子シングルス世界ランキング1位の山口茜(20)も所属する強豪。昨年8月には、15年世界選手権銅の福万尚子、与猶くるみ組がヨネックスに移籍している。

**********スポーツ愛知2018年4月24日7時0分
 バドミントンの17年世界選手権女子ダブルス銀メダルで、20年東京五輪でのメダルが期待される福島由紀、広田彩花組が、4月末で再春館製薬所を退社する意思を固めたことが23日、関係者への取材で分かった。既に辞表を提出している。
 2人は岐阜トリッキーパンダースに入団するが、再春館製薬所は移籍を認めない方針。日本実業団連盟の取り決めで、前所属の移籍承諾が得られていない場合は、国内の団体戦に2年間出場できない。
 岐阜には再春館製薬所の今井彰宏元監督がスタッフとして在籍している。今井氏は昨年1月、所属選手が国際大会で獲得した賞金を当該選手に渡さなかったとして、再春館製薬所の社内処分で監督を解任された。
 08年北京五輪4位の末綱聡子、前田美順組や12年ロンドン五輪銀メダルの藤井瑞希、垣岩令佳組を育てた今井氏は女子ダブルス育成に定評がある。金銭トラブルでチームを離れたが、2人が師匠を慕う気持ちは変わらなかった。
 岐阜は専用体育館を持つため、練習環境の面では大きな支障はなさそうだ。ただ再春館製薬所と今井氏の間では今後、移籍や金銭の問題を巡って争いが起きる可能性があり、状況は不透明だ。

**********スポーツ愛知2018年4月25日7時0分
バドミントン再春館製薬所が今井元監督を告発

今井元監督
 昨年、バドミントンの世界選手権女子ダブルスで銀メダルに輝いた福島由紀(24)、広田彩花(さやか、23)組が再春館製薬所に退職届を提出している問題で、再春館製薬所は24日、選手の家族から強い慰留要請を受けているため退社手続きを4月30日まで保留していると発表した。移籍を認めない方針ではない、としている。
 2人は、再春館製薬所の今井彰宏元監督が在籍している岐阜トリッキーパンダースに移る意向だが、再春館製薬所は「2020年東京五輪でのメダル獲得を目指し、ともに頑張っていきたい」として、4月末まで残留の可能性を探るという。
 また同社は、今井氏が再春館製薬所の監督時代に金銭的不正行為を行っていたとして、13日付で「日本協会に告発状を提出させていただいた」とも明らかにした。金銭的不正行為が発覚し、昨年1月に監督を解任したがその後、さらなる不正行為が明らかになった、としている。「今後のバドミントン界の健全な発展、選手の私生活の平穏と安定のために厳正な処分をお願いしている」と発表した。

**********スポーツ報知2018年4月26日7時0分
報奨金の振り込み先、再春館製薬所・今井元監督の口座だった

今井彰宏・元監督
 日本バドミントン協会の銭谷欽治専務理事(65)が25日、都内で取材に応じ、再春館製薬所から出された今井彰宏元監督の金銭的不正に関する告発状を受理したことを明かした。
 今後は顧問弁護士とともに内容を確認した上で、今井氏の処分について倫理委員会で話し合うかを決める。(刑事事件に発展するような)シリアスな案件である可能性も、ゼロではない。事実確認にも時間がかかる」と慎重を期す構え。次回の定例理事会は5月26日の予定だが「(事実確認は)多少過ぎるかもしれない」と見通しを語った。
 不正をめぐっては、日本協会の下部団体である熊本県協会も、この日までに今井氏に除名処分を科したことが判明した。今井氏の不正は、選手が海外遠征で獲得した報奨金の一部を流用したとされるもの。報奨金の振り込み先口座が再春館製薬所の法人口座ではなく、今井氏自身の口座だったことが問題発生の一因となった。日本協会から一度報奨金を受け取り、各所属に配分する役割を担う熊本県協会関係者は「(問題発生以降は)個人口座ではなく、会社(の口座)へ直接振り込むように変えている」と再発防止策を明かした。

**********日刊スポーツ2018年4月26日5時0分
バドミントン福島広田組に熊本県知事が慰留の手紙
 昨年のバドミントン世界選手権女子ダブルス銀メダルで再春館製薬所から岐阜トリッキーパンダースへ移籍する意思を示している福島由紀(24)広田彩花(23)組に対し、拠点熊本県の蒲島郁夫知事が県にとどまるようお願いする手紙を3月に送っていたことが25日、分かった。
 福島は八代市、広田は和水町と熊本県出身。ともに高校卒業後からこれまで熊本を活動拠点とし、県からは20年東京五輪のメダル候補、また震災復興のシンボルとして大きな期待を受けていた。だが、今年2月、今井彰宏前監督が再春館製薬所を退社し、岐阜トリッキーパンダースのスタッフになることが決まると、福島・広田組も追随する形で退社届を提出した。
 熊本県バドミントン協会の関係者によれば、2人の退社の意向を伝え聞いた県知事が自ら筆をとったが、現段階で2人の反応はないという。また、同協会は今井氏にも、福島・広田組を熊本に残すように訴えたが、今井氏は「(移籍を)譲れない」と拒否したという。
 関係者によれば、福島・広田両者の家族や親しい者も2人とは連絡が取れない状態と、不穏な空気が漂う。家族から選手を慰留する声があり、再春館製薬所は4月末まで退社の手続きを保留している状態だが、岐阜トリッキーパンダース女子チームを持つ株式会社サムライジャパンは、ホームページ上で既に2人の加入を発表している。

**********ZAKZAK2018年4月25日
再春館製薬バドミントン「移籍」騒動
 バドミントンの再春館製薬所は24日、昨年世界選手権銀メダルの福島由紀(24)、広田彩花(23)組が退職届を提出している問題について、選手の家族から強い慰留要請を受けているため退社手続きを4月30日まで保留していることを明らかにした。
 本人たちの意思が変わらなければ退職となる。「同社が移籍を認めない方針」との一部報道については否定し、退社手続きを妨げることはないという。
 両選手は、同社元監督の今井彰宏氏が在籍している岐阜トリッキーパンダースへの移籍を希望している。同社によると、今井氏は社内調査で金銭的不正行為が発覚したとして、昨年1月に解任された。同社は今月13日付で日本協会に告発状を提出した。

**********サンケイスポーツ2018.4.26 18:53
再春館元監督、除名処分に反論「事実であるなら違法」/バドミントン
 バドミントンの再春館製薬所元監督の今井彰宏氏が在籍時に金銭的不正行為をしていた問題で、熊本県協会が同氏の除名処分を決めたことが25日、協会関係者の話で分かった。今井氏は昨年1月に所属選手が国際大会で獲得した賞金を当該選手に渡さなかったとして、監督を解任された。現在は岐阜トリッキーパンダースに在籍している。
 今井氏は岐阜トリッキーパンダースのフェイスブックで「私は県協会から事実調査をまったく受けておりません。県協会は何が倫理違反なのかを私に対し示していません。処分に対して意見を述べる機会も私には与えられていません。熊本県協会の倫理規定は告知と聴聞を明文で保障していませんが、適正手続きの観点から、被処分者には告知と聴聞が保障されるべきです」と反論。「私の除名処分を決めたという報道が事実であるなら、県協会による処分は違法です。こうした野蛮なやり方自体が処分の道理の無さを示すものです」と強調した。
**********

■こうしてみてくると、再春館製薬所の一連の対応は、会社のPR看板であるバドミントン部の有力ペアに逃げられた腹いせとした思えない行動です。やはり、こうした理解不能な企業行動から見ても、普通の企業団体ではないことをうかがわせています。

 そしてとくに問題なのは、あいかわらず朝日新聞グループのテレビ朝日が、とくに再春館製薬所のコマーシャルを頻繁に流していることです。同じく朝日新聞グループの日刊スポーツ社が企業舎弟である再春館製薬所の傘下の地上げ屋に目を付けられ、日本国土開発を仲介して多額の資金をつぎ込んだにもかかわらず、グループの親会社の朝日新聞社では、当時平然と、社説に「暴力団とゴルフ場開発の実態を批判する社説を1年に16回も掲載していた

 こうした朝日新聞及び同グループの体質が、今や中国資本の絡んだ得体のしれないタックスヘイブン外資が操る資本金1円のペーパー会社による、地元安中市岩野谷地区で進行中の、関東地区最大クラスのメガソーラー事業として、我が国の国土保安と安全保障に影を落としているのです。

【4月28日追記】
**********日刊スポーツ2018年4月27日22時17分
バドミントンの再春館元監督は「パワハラ」で退社
 バドミントンの再春館製薬所で監督を務めていた今井彰宏氏が27日、同社を2月限りで退社したのは「パワーハラスメントからうつ状態になったため」と明かした。
**********

【ひらく会情報部】

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群馬高専アカハラ・寮生連続死問題を追う…アカハラ不開示控訴審で東京高裁が言い渡したほぼ原審どおりの判決

2018-04-25 23:11:00 | 群馬高専アカハラ問題
■群馬高専の電子情報工学科を舞台に発生した陰湿極まるアカデミックハラスメント(アカハラ)事件。この忌まわしい事件に関連する情報公開請求を発端として、群馬高専側が情報秘匿体質を存分に発揮したため、現在、当会が東京高裁で係争中であることはこれまでご報告のとおりです。この度、4月25日(水)午後1時20分に東京高裁8階809号法廷で、判決が言渡され、裁判長の声が、控訴人である機構訴訟代理人弁護士のいない法廷に響き渡りました。その後、16階の東京高裁第9民事部を訪れて、判決文を受領しました。

4月25日(水)午後1時40分ごろの東京高等・地方・簡易裁判所合同庁舎。新緑がすがすがしい。

 なお、東京地裁での判決言渡し以降の本件の経緯は次のブログ記事を参照ください。
○2017年11月24日:【速報】アカハラと寮生死亡事件に揺れる群馬高専…アカハラ情報不開示訴訟で東京地裁が原告一部勝訴判決!
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2476.html
〇2018年1月21日:アカハラと寮生死亡事件に揺れる群馬高専…東京高裁第9民事部から2月28日の弁論期日呼出状と控訴状が届く
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2536.html
〇2018年1月29日:アカハラと寮生死亡事件に揺れる群馬高専…アカハラ情報不開示控訴審で機構=群馬高専が控訴理由書を提出!
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2546.html
○2018年3月4日:アカハラと寮生死亡事件に揺れる群馬高専…アカハラ情報不開示控訴審が2月28日に開かれ即日結審!
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2578.html#readmore
〇2018年3月14日:アカハラと寮生死亡事件に揺れる群馬高専…アカハラ情報不開示控訴審で2.28結審後にオンブズが最終書面陳述
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2590.html#readmore


■それでは、機構が控訴人となった控訴審及び当会が附帯控訴人となった附帯控訴審の判決文を以下に示します。

*****判決原文*****PDF ⇒ 20180425_tokyokosai_acaharra_jouhoukaiji_soshou_hanketsubun.pdf
<P1>
平成30年4月25日判決言渡し 同日判決原本交付裁判所書記官
平成29年(行コ)第376号,平成30年(行コ)第18号 法人文書不開示処分取消控訴,同附帯控訴事件(原審・東京地方裁判所平成28年(行ウ)第499
号)
口頭弁論終結日 平成30年2月28日
              判      決
  東京都八王子市東浅川町701番2
    控訴人兼附帯被控訴人(以下単に「控訴人」という。)
                   独立行政法人国立高等専門学校機構
    同代表者理事長        谷    口         功
    同訴訟代理人弁護士      本    村    美    隆
    同              藍    澤    幸    弘
  前橋市文京町一丁目15-10
    被控訴人兼附帯控訴人(以下単に「被控訴人」という。)
                   市民オンブズマン群馬
    同代表者代表         小    川         賢
              主      文
  1 控訴人の控訴に基づき,原判決を次のとおり変更する。
   (1) 控訴人が平成28年4月27日付けで被控訴人に対してした法人文書不開示決定のうち,別紙「開示相当部分」記載の各部分を不開示とした部分を取り消す。
   (2) 被控訴人のその余の請求を棄却する。
  2 被控訴人の附帯控訴を棄却する。
  3 訴訟費用(控訴費用,附帯控訴費用を含む。)は第1,2審を通じてこれを3分し,その2を被控訴人の負担とし,その余を控訴人の負担とする。
              事 実 及 び 理 由

<P2>
1 当事者の求めた裁判
 1 控訴の趣旨
  (1) 原判決中控訴人敗訴部分を取り消す。
(2) 前項の部分につき被控訴人の請求を棄却する。
 2 附帯控訴の趣旨
  (1) 原判決を次のとおり変更する。
  (2) 控訴人が平成28年4月27日付けで被控訴人に対してした法人文書不開示決定を取り消す。
第2 事案の概要(以下,理由説示部分を含め,原則として原判決の略称をそのまま用いる。)
 1 本件は,被控訴人が,控訴人に対し,独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(法)に基づき,その保有する法人文書の開示を請求したところ,控訴人から法5条1号の不開示情報に該当するとしてその全部につき開示をしない旨の決定(本件不開示決定)を受けたことから,同決定が違法であると主張して,その取消しを求める事案である。
   原審は,本件不開示決定のうち原判決別紙記載の各部分を不開示とした部分を取り消し,被控訴人のその余の請求を棄却した。控訴人は,上記の請求一部認容部分を不服として控訴した。被控訴人は,請求の一部棄却部分を不服として附帯控訴した。
 2 関係法令の定め,前提事実(当事者間に争いのない事実に加え,掲記の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実),争点及び争点に関する当事者の主張は,以下のとおり原判決を補正するほかは,原判決の「事実及び理由」中の「第2 事案の概要」の1ないし3(原判決2頁3行目から12頁3行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。
  (1) 原判決10頁25行目末尾の後に改行して以下のとおり加える。
   「 控訴人の後記ウの主張は,時機に後れたものとして却下されるべきであ

<P3>
  る。」
  (2) 原判決11頁3行目冒頭に「ア」を,同頁10行目冒頭に「イ」を,同頁11行目の「部分は,」の後に「文書の作成者の氏名・肩書を含めて」を,同頁12行目末尾の後に改行して以下のとおりそれぞれ加える。
   「ウ さらに,本件において,被控訴人は,本件文書1と推測される文書を甲14として,本件文書2と推測される文書を甲11及び12として,いずれも書証として提出し,同各書証を自身のホームページで公開している。同各書証は,個人名が黒塗りされているがその余の部分については何ら修正が施されておらず,被控訴人がホームページで公開したことにより第三者にもその内容が明らかになっている。そうすると,被控訴人が何らかの経緯で実際に本件文書1及び2を入手した上で,これらを上記のとおり書証として提出したり,ホームページで公開したとの被控訴人の主張が根拠のないものということはできない。
     このような状況の下で,本件文書1について,作成者の氏名・肩書及び作成年月日の部分や,教職員,学生及びその保護者に係る所属・属性を除く部分が部分開示され,本件文書2について,作成年月日,標題及び宛先の部分が部分開示されるのであれば,部分開示された本件文書1と甲14を,部分開示された本件文書2と甲11及び12をそれぞれ突き合わせることにより同一性を判断することが可能となる。そして,これが同-であった場合には,本件文書1及び2の全体が個人名のみを伏して開示されたことと実質的に同一の結果となるものであり,個人識別情報に該当する又は公正かつ円滑な人事の確保に影響を及ぼすおそれがあるとして不開示とされた部分が開示される結果と等しくなる。
    したがって,本件文書1の作成者の氏名・肩書及び作成年月日の部分並びに教職員,学生及びその保護者に係る所属・属性を除く部分や,本件文書2の作成年月日,標題及び宛先の部分は,いずれも不開示情報

<P4>
そのものに該当しないとしても,これらが開示されることにより実質的に不開示部分が開示された結果となるおそれがある以上,上記各部分は,不開示情報が記録されている部分と区分して開示することが容易に可能であるということはできないから,同各部分を部分開示することは不可能である。」
  (3) 原判決11頁13行目冒頭に「エ」を加える。
第3 当裁判所の判断
 1 当裁判所は,本件不開示決定のうち別紙「開示相当部分」記載の各部分を不開示とした部分を取り消すのが相当であると判断する(別紙「開示相当部分」の内容は,原判決別紙記載の内容から,同記載3の「作成者の氏名・肩書」を除いたものである。)。その理由は,以下のとおり原判決を補正するほかは,原判決の「事実及び理由」中の「第3 当裁判所の判断」の1ないし6(原判決12頁5行目から20頁26行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。
  (1) 原判決15頁20行目及び21行目の各「不開示情報」をいずれも「法5条1号本文の不開示情報」と改める。
  (2) 原判決18頁7行目から8行目にかけての「作成者の氏名・肩書,」を削り,同頁9行目の「そうすると,これらが」を「また,本件高専の教員数が決して多いとはいえない中で(前記前提事実出),学内のハラスメント事実の調査担当者及びその取りまとめをして報告書の作成等をする者について,その役割の性質上,一定以上の役職にあるとともに中立の確保のため調査対象者との関係にも配慮して選任される必要があるから,候補者が必ずしも多くはないものと推認される。そうすると,行為者及び相手方のいずれにおいても通常秘匿にすることを欲する上記情報や,調査担当者(その取りまとめをして報告書の作成者となる者を含む。以下同じ。)の氏名・肩書が」と,同頁11行目の「萎縮し」を「萎縮したり,調査担当者として適任である者

<P5>
がこれを引き受けることを拒むことにより調査担当者の選任確保が困難となるなどして」とそれぞれ改め,同頁15行目の「作成者の氏名・肩書,」を削る。
  (3) 原判決18頁21行目の「(1)」を「(1)ア」と改め,19頁11行目末尾の後に改行して以下のとおり加える。
  「イ この点について,控訴人は,前記第2の3(5)(控訴人の主張)ウのとおり,本件文書1の上記部分(原判決別紙記載1(1)及び(2)の部分)を容易に区分して除くことができないとして(法6条1項),部分開示が不可能であると主張する(被控訴人は,同主張について時機に後れたものとして却下されるべきと主張するが,同主張により訴訟の完結を遅延させることとなると認められないので,被控訴人の同主張は失当である。)。
     しかしながら,控訴人は,本件文書1について不開示情報と区分して部分開示が可能と解される余地がある箇所の内容を明確にするために乙5の1ないし3を提出しているが,原判決別紙記載1出及び(2)の部分は乙5の1ないし3により示された部分と一致するものと考えられる(前記ア)。そうすると,本件文書1の上記部分(原判決別紙記載1(1)及び(2)の部分)が部分開示された場合にこれと甲14を突き合わせることは,乙5の1ないし3と甲14を突き合わせることと同じことであるから,上記部分開示によって不開示とされた部分が開示される結果となる旨の控訴人の主張はそもそもその前提を欠くものというべきである。
     したがって,控訴人の上記主張はその余の点を検討するまでもなく失当である。」
  (4) 原判決19頁12行目の「(2)」を「(2)ア」と,同頁15行目の「本件文書3」から同頁16行目から17行目にかけての「標題」」までを「本件文書3のうち作成年月日及び標題」と,同頁18行目及び19行目から20行目

<P6>
   にかけての各「別紙記載2及び3の部分」をいずれも「別紙記載2の部分並びに本件文書3のうち作成年月日及び標題」と,同頁22行目の「別紙記載3の部分」を「作成年月日及び標題」とそれぞれ改め、同行末尾の後に改行して以下のとおり加える。
   「イ 本件文書2の部分開示について,控訴人は,前記第2の3(5)(控訴人の主張)ウのとおり,本件文書2の原判決別紙記載2の部分を容易に区分して除くことができないとして(法6条1項),部分開示が不可能であると主張する(被控訴人は,同主張について時機に後れたものとして却下されるべきと主張するが,同主張により訴訟の完結を遅延させることとなると認められないので,被控訴人の同主張は失当である。)。
      しかしながら,本件文書2からその作成年月日,標題及び宛先(原判決別紙記載2の部分)をその他の部分と区分して除くことが容易であることは同各項目の性質上明らかというべきであり(前記ア),このことは,原判決別紙記載2の部分が開示された本件文書2と甲11及び12とが突き合わされることにより,甲11及び12が本件文書2に該当するものであるか否かが判断される可能性があるとしても,同可能性のあることが法6条1項の「容易に区分して除くことができる」かの判断を左右するものではない。
      したがって,控訴人の上記主張は採用することができない。」
  (5) 原判決19頁23行目冒頭に「ウ」を加え,20頁8行目の「別紙記載3の部分」を「別紙「開示相当部分」記載3の部分」と改める。
2 被控訴人の当審における主張(附帯控訴理由)は,いずれも原審における主張を繰り返すか,独自の見解を述べるものにすぎず,それらの主張が採用できないものであることは,前記1において認定・説示したとおりである。
3 結語
  以上によれば,被控訴人の請求は,本件不開示決定のうち別紙「開示相当部

<P7>
分」記載の各部分を不開示とした部分を取り消す限度で理由があるところ,これと異なり,原判決別紙記載の各部分を不開示とした部分を取り消す限度で請求を認めた原判決は一部失当であり,控訴は理由があり,附帯控訴は理由がない。そこで,原判決を上記のとおり変更し,附帯控訴は理由がないからこれを棄却することとして,主文のとおり判決する。

   東京高等裁判所第9民事部
       裁判長裁判官 齊木敏文
          裁判官 石井 浩
          裁判官 小田正二

<P8>
(別紙)
             開示相当部分
1(1) 群馬工業高等専門学校長が同校の学生の保護者宛てに配布した平成27年4月1日付けの書面2通及び同年6月2日付けの書面1通のうち,作成者の氏名・肩書及び作成年月日の部分
 (2) 前記(1)の各書面のうち,群馬工業高等専門学校の教職員,学生及びその保護者に係る所属・属性(学科・学年を含む。)を記述した部分を除く部分(前記(1)の部分を除く。)
2(1) 群馬工業高等専門学校の内部者が同校校長ら宛てに提出した平成26年12月24日付けの「ハラスメントに関する申立書」1通のうち,作成年月日,標題及び宛先の部分
 (2) 同校の内部者複数名が連名で同校校長ら宛てに提出した平成27年2月25日付けの「人権・被害救済の申し立て」1通のうち,作成年月日,標題及び宛先の部分
3 前記2によるハラスメントの申告を受けて,群馬工業高等専門学校が事実関係を調査の上作成した調査の経緯及びその結果に関する書面1通のうち,作成年月日及び標題の部分

<P9>

これは正本である。

 平成30年4月25日

  東京高等裁判所第9民事部

   裁判所書記官  橋   和 哉

**********

■原審の判決で審判が下った機構=群馬高専が秘匿したアカハラ事件関連情報の「開示相当部分」のうち、今回の控訴審の結果、次の一か所だけ、原審より後退したものの、それ以外は、原審と同じ結果となりました。

<開示相当部分>
3項の最後の部分である
「・・・書面1通のうち、作成者の氏名・肩書、作成年月日及び表題の部分
   ↓↓
「・・・書面1通のうち、作成年月日及び表題の部分

 このように、当会の主張が「原審で審理は尽くした」として全面棄却され、ごく一部とはいえ、東京高裁が機構=群馬高専側の主張を受け入れてしまったことについては遺憾ですが、さすがに機構=群馬高専側の「オンブズマンがブログに公表しているから不開示」などという意味不明な主張に耳を傾けなかったのは、常識の府であることを示したと言うことができます。

 いずれにしても、機構=群馬高専側が控訴に踏み切ったこの5カ月間、結果的に決着が引き延ばされたことになるわけで、よもや機構=群馬高専側が、さらに東京高裁の判決を不服として上告することはないと思いますが、1日でも隠ぺい体質を維持したい群馬高専の体質を鑑みると、決して予断は許されません。

 が、常識的に考えれば、これで本来、「終了のゴング」ということになるわけで、当会として、群馬高専に対して次のコメントを伝えたいと思っています。

(1) 高裁における判決が出たが、1箇所些細な点が修正された以外は原判決と同じであった。これで決着と考えてよいか?そして、これまで3年近く待たされたアカハラ事件に関する情報はいつ開示してもらえるのか?

(2) 西尾前校長が行った全面不開示決定は、今回の控訴審でも「間違いであった」ことが示された形だが、山崎現校長の見解をインタビューさせていただけるか?

(3) また、先日答申が出た「校報等」の情報についても、速やかに開示していただけるか?「校報」については、「処分やり直し」となるわけだから、最初未作成のため不存在とされていた分についても開示願えるか?

(4) なお、裁判所や上級庁から下された判決や答申による「秘匿してきた」情報の開示の際には、この件で意味不明な主張を行って無駄に引き伸ばしを行った当該責任者のかたから、謝罪と再発防止の言葉をいただけるのか?


【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…ついに環境アセス不問で開所式を行った前橋バイオマス発電所の罪と罰

2018-04-24 23:28:00 | 前橋Biomass発電問題・東電福一事故・東日本大震災
■放射能汚染木材を大量に集荷し、チップにしてから、機械的に油圧プレスで脱水し、ボイラーに投入して燃焼させ、発生した高温高圧の蒸気でタービンを回すことで、発電機を駆動させて電気を起こし東電に販売するという東電グループ会社の筆頭である関電工の亡国事業=バイオマス発電施設設置計画は、事業者である関電工が排ガス量をごまかし、それを群馬県が鵜呑みにするという暴挙の結果、群馬県環境アセスメント条例の適用を受けないまま、既に2月4日以降、実質的な運転開始状態にありましたが、大安の本日4月24日にとうとう開所式をとりおこなったことが、前橋市長のSNS投稿記事により判明しました。
※山本龍のツイッター
https://twitter.com/YamamotoRyu/status/988618290443382785


*****前橋市長のTwitter記事*****※赤字の箇所は特にノー天気の箇所を示す
山本龍@YamamotoRyu 12 時間
赤城山の中腹に前橋バイオマス発電所の開所式。関電工が市役所を訪れてから3度目の春になりました。この間様々な課題の解決に努められたことに労いを申し上げます。 私も先月試運転の際に現地を確認して、特に環境保全の取り組みを誠実に行っていることを確認しました。 原発が不要になる一歩です





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山本龍@YamamotoRyu 12時間
私達にもは赤城山を宝の山だと考えています。昔徳川の埋蔵金があったとあわれていましたが、エネルギーや農業や民泊などの宝が、かくれているのです。

特にエネルギーの力は大きな可能性を持っています。

このバイオマス発電所をスマートマウンテン赤城というビジョンの一歩にしなければなりません。
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■当会が支援する地元住民団体では「いつ開所式を挙行するのか」と、行政に対して、再三にわたり情報提供を求めてきましたが、いまでにナシのツブテのまま、このように突然、開所式を敢行されてしまいました。行政には、きちんとした説明責任があるはずです。

 そのため、開所式に出席した行政関係者や、彼らの挨拶文の内容について、情報公開請求で確認してまいりたいと考えております。

■それにしても、このように、前橋バイオマス発電所の持つ問題点について目を瞑り、異様にはしゃぎまわる前橋市長の様子をみると、東電グループと政治と行政との強いトライアングルの癒着の構図の存在を痛感させられます。

 環境アセスメントを実施しないまま操業を開始した火力発電所など、全国どこにもありません。奇しくも、昨日は前橋バイオマス発電所を巡る環境アセス免除根拠情報不存在取消訴訟の控訴審第3回口頭弁論が東京高裁で開催され、引き続き審理が継続中です。

 また、この前橋バイオマス発電所で使用する燃料の木質チップを製造し供給するトーセンと関電工らの前橋バイオマス燃料に投じられた巨額の補助金のからくりについても、明日4月25日に第8回目の口頭弁論準備期日が前橋地裁で開かれ、本裁判に戻されることになるはずです。

 こうした問題を棚上げして、運転開始を強行した東電グループの関電工と、そのコバンザメ企業ともいえるトーセンによる他に例を見ないほどズサンな計画と手続により、稼働を許した責任は、行政側にもあります。

■放射能の二次汚染の恐怖にさらされる前橋市民の強い不安をよそに、前橋市のトップが「関電工が市役所を訪れてから3度目の春になりました。この間様々な課題の解決に努められたことに労いを申し上げます。 私も先月試運転の際に現地を確認して、特に環境保全の取り組みを誠実に行っていることを確認しました。 原発が不要になる一歩です」などと、住民阻害で亡国事業を進めてきた東電グループの関電工に対して、ノー天気な賛辞を贈る始末ですから、前橋市民をはじめ、群馬県民・納税者としては、恥ずかしい限りです。

 とはいえ、ただただ呆れているばかりでは仕方がありませんので、環境アセスメントをきちんとやらせることと、我々の税者の血税からねん出された巨額の補助金を返還させるべく、引き続いて地元住民団体の皆さまと粘り強く反対運動のため、法廷闘争を展開してゆく所存です。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…環境アセス免除根拠不存在訴訟の第3回控訴審と直前に県が出した乙5号証

2018-04-23 23:53:00 | 前橋Biomass発電問題・東電福一事故・東日本大震災
■関電工による放射能汚染木材を大量に集荷し、チップにしてから、機械的に油圧プレスで脱水し、ボイラーに投入して燃焼させ、発生した高温高圧の蒸気でタービンを回すことで、発電機を駆動させて電気を起こし東電に販売するという亡国事業=バイオマス発電施設設置計画で、事業者である関電工が群馬県環境アセスメント条例の適用を受けないまま、既に2月以降、実質的な運転開始状態にあります。この控訴審はこれまで、第1回口頭弁論が2018年2月5日(月)11時に、第2回口頭弁論が2018年3月12日(月)11時に東京高裁7階717号法廷で開かれ、本日2018年4月23日(月)13時15分から第3回口頭弁論が開廷されました。ところが、開廷直前に、群馬県(被控訴人)が突然乙第5号証を突き出してきたのでした。

4月23日正午過ぎの東京高裁のある裁判所合同ビル。正門前にカメラを構えたマスコミ関係者が数十人固まって、こちら側を注視していたのと、裁判所の傍聴者控え場所にも大勢の人たちが並んでいたのが注目された。

 この事件で、当会では、なぜ群馬県が関電工のバイオマス発電だけ環境アセスメントを適用しようとしないのか、その理由を確かめようと、群馬県に情報開示請求しましたが、群馬県はその根拠を示す文書が存在しないと主張しています。そのため、行政訴訟に踏み切りましたが、一審の前橋地裁の塩田裁判長は、被告群馬県側の主張である「口頭で条例の特例措置を説明したが、条例の対象外と判断したのは事業者である関電工だから、文書としては存在しない」という、行政側の無茶苦茶な言い分だけを採用し、2017年11月8日に原告オンブズマン敗訴の判決を下してしまいました。

 そこで、当会では同11月22日に控訴状を前橋地裁に提出し、12月4日に訂正申立書と控訴理由書を提出しました。そして、2018年2月5(月)午前11時に東京高裁で控訴審の第1回口頭弁論が開かれたのち、3月12日(月)午前11時に同じ法廷と時刻で第2回口頭弁論が開かれ、今回、4月23日(月)午後1時15分から第3回口頭弁論が行われました。

 この訴訟事件に関する前橋地裁一審判決から今の控訴に至る過程は次のブログをご覧ください。
○2017年11月8日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…環境アセス不要根拠文書不存在訴訟で地裁が原告敗訴の問答無用判決
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2456.html#readmore
○2017年11月22日:【緊急速報】東電の毒牙から赤城と県土を守れ!・・・バイオマス発電施設から大量の白煙!関電工の暴挙!
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2472.html#readmore
○2017年11月30日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…赤城山南麓に漂うバイオマス発電の白煙と控訴状不備を指摘してきた裁判所
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2482.html#readmore
〇2017年12月4日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…環境アセス免除根拠不存在訴訟の一審敗訴で控訴理由書等を地裁に提出
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2486.html#readmore
〇2017年12月19日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…環境アセス免除根拠不存在訴訟の控訴審が2月5日に決定!
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2504.html#readmore
〇2018年1月31日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…環境アセス免除根拠不存在訴訟の2.5控訴審が迫り群馬県が控訴答弁書を提出
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2550.html#readmore
○2018年2月3日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…2月5日東京高裁で開かれた環境アセス免除根拠不存在訴訟の控訴審
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2559.html#readmore
○2018年3月14日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…環境アセス免除根拠不存在訴訟の第2回控訴審が3月12日東京高裁で開廷
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2591.html#readmore
〇2018年4月23日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…環境アセス免除根拠不存在訴訟の第3回控訴審を前に県が乙4号証を提出
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2619.html

 傍聴希望者の長蛇の列を横切りながら、東京高裁のある裁判所合同庁舎の玄関に入りました。X線による荷物検査と金属探知ゲートによるボディチェックを経て、エレベータで7階に上がり、717号法廷に付きました。まだ開廷までに30分ほど時間があったので、壁にかかっていた開廷表を確認しました。

*****東京高裁開廷表*****
717号法廷(7階)開廷表
平成30年4月23日 月曜日
●開始/終了/予定 10:00/11:00/弁論(本人尋問)
○事件番号/事件名 平成29年(ネ)第4349号/有価証券の確認帰確認請求控訴事件
○当事者      福田篤二/松本光江 外
○代理人          /
○担当       第23民事部Bロ係
          裁判長 垣内正
          裁判官 高宮健二
          裁判官 小川理津子
          書記官 小山内文子、佐藤大司
●開始/終了/予定 11:00/第1回弁論
○事件番号/事件名 平成30年(ネ)第590号/国家賠償請求控訴事件
○当事者      藤原忍/国
○代理人         /
○担当       第23民事部Dニ係
          裁判長 垣内正
          裁判官 内堀宏達
          裁判官 廣澤諭
          書記官 小山内文子、佐藤大司
●開始/終了/予定 13:15/弁論
○事件番号/事件名 平成29年(行コ)第368号/公文書不存在決定処分取消請求事件
○当事者      市民オンブズマン群馬/群馬県
○代理人                /
○担当       第23民事部Cイ係
          裁判長 垣内正
          裁判官 内堀宏達
          裁判官 小川理津子
          書記官 小山内文子、佐藤大司

●開始/終了/予定 14:00/第1回弁論
○事件番号/事件名 平成29年(ネ)第964号/貸金請求控訴事件
○当事者      株式会社太陽/飯島章次
○代理人            /
○担当       第23民事部Bハ係
          裁判長 垣内正
          裁判官 高宮健二
          裁判官 小川理津子
          書記官 小山内文子、佐藤大司
**********

 その後、隣りの待合室で待機していたところ、午後1時前後に、群馬県(被控訴人)の訴訟代理人の石原栄一弁護士と、群馬県職員1名が待合室に入室してきました。

 挨拶を交わすと間もなく、職員が「すいませんが、今日用意した書類があります」と声をかけてきました。当会はびっくりして「今日用意した書類って、なにかあったんですか?」と言うと、県職員は「証拠の補充で、先日送った乙4号証に加えて、今回乙5として、ちょっと補充をしたものです。すいません。今朝9時過ぎにFAXを(市民オンブズマン群馬に)送らせて頂いたが、念のため、持ってきたので、正本に受取のサインだけをお願いしたい。副本を渡すので正本にサインをお願いします」といって、正本へのサインを求められました。

 サインをするにあたって、中身をざっと見てみたところ、関電工から提出のあった書類を廃棄したことについて、特定するための追加説明であることがわかりました。

 正本の証拠説明書と乙5号証の右下に署名をして、副本一式を受領しました。開廷前わずか10分前のことでした。

■第3回口頭弁論の直前に群馬県が突然出してきた乙5号証は次のとおりです。

*****証拠説明書(乙5)*****PDF ⇒ 20180423_otsu_no.5.pdf

平成29年(行コ)第368号 公文書不存在決定処分取消請求控訴事件
控 訴 人  市民オンブズマン群馬
被控訴人  群馬県

           証拠説明書(乙5)

                         平成30年4月20日

東京高等裁判所 第23民事部Cイ係 御中
                    被控訴人訴訟代理人
                         弁護士 石原 栄一
                         弁護士 関 夕三郎
                         弁護士 織田 直樹

●乙号証No.:5
○標目:聴取報告書(再補充)
○作成年月日:平成30年4月20日
○原本・写しの別:原本
○作成者:被控訴人環境森林部環境政策課長 松下克
○立証趣旨:
・乙3号証に記載された,(株)関電工から入手した資料について、破棄された経緯及びその時期をできる限り特定すべく補充したもの。
                                 以上

*****乙第5号証*****PDF ⇒ 20180423_otsu_no.5.pdf

                聴取報告書(補充)
 平成29年(行コ)第368号公文書不存在決定処分取消請求控訴事件において、平成30年3月9日付証拠(乙第3号証)として提出した聴取報告書本文の各項に記載した事実経過について、平成30年4月18日付証拠(乙第4号証)に加え,以下のとおり補充して報告する。

 平成30年4月20日

               群馬県環境森林部環境政策課長 松下 克

 当課担当者が,平成27年3月頃(3月30日より以前)に(株)関電工から問い合わせを受けた時には,すでに当課において条例アセスにおける木質バイオマス発電の取扱についての検討が進んでおり,運用を定める方針となっていた。
 このような中,前橋バイオマス発電施設が具体化した場合に備え,条例施行規則別表第1に規定する規模要件のどこに該当するかや,手続の大まかなスケジュールのめどを付けて,事務処理の段取りを立てるために,当該施設に係る計画概要を入手した。
 それ以降,(株)関電工からは,問合せ↑条例アセスメントの手続に入る等の連絡はなく,そうした中,平成27年3月31日付で運用が決定された。
 平成27年4月以降に,(株)関電工から,運用を適用すると条例施行規則別表第1に基づく規模要件未満となる旨の連絡を受け,条例アセスの手続の必要性がなくなったことから,平成27年5月末頃までに同資料を破棄した。
**********

■こうした事前の経緯を経たうえで、7分前に717号法廷に入室し、控訴人席に着席し、裁判官らの入廷を待ちました。ちょうど当会の会員で、高崎経済大学の入試合格無効処分で高崎市からひどい目に遭わされたことのあるかたが、傍聴に駆けつけてくれました。
2207
 定時きっかりに始まった第3回口頭弁論のやりとりは概ね次の流れでした。

 「起立願います。」と事務官の声が
裁判長が「こんにちは!」と声をかけて入廷すると、後、事件番号と控訴人、被控訴人の行重を告げました。

 裁判長が「乙の4号書と5号証、いずれも原本か」と言って、控訴人である当会にも被控訴人である群馬県から提出された原本が提示され、確認しました。

 裁判長は、「乙4号証と5号証で、それで、それをみると、最初のほうでお願いしたご報告がされているが、これについて控訴人のほうは何か言うことはありますか?」と当会のほうに問いを投げかけてきました。

 そこで当会では、「ええ、今日も、乙4が1週間前で、乙5は今もらったのですが、もう1回反論というか、事実関係について、実はもう(反論を)用意していたんですが、今日の日付けで。そして今、乙5をいただいたので、少し主張したいのですが、構わないでしょうか。もう1回主張したいのですけど構いませんか?、それともこれでもうおしまいですか?」と打診しました。

 すると裁判長は、「いや、あれでしょうかね。これまでの証拠とか、今回(乙号証として)出てきたものについての評価について意見を書かれるようなことであれば、いちおう閉めさえてもらって、見せてもらって、もし、(もう1度口頭弁論期日を)開いたほうが良ければ、こちらで開きますし、10日くらい入れて持ってきてもらっても、勿論構いません。どっちでもいいですよ」と言ってくれました。

 それを聞いて当会はほっとしつつも、「ここで閉めていただいて、追加で(主張を準備書面で)出す場合は、いわゆる法令に係ることしか有効ではないということで、受理しないという話もあるようですが」と、以前別の控訴審で裁判長から言われた言葉を懸念として口に出しました。

 すると裁判長は「証拠についての評価についてのご意見であれば、それを見せていただいて、それで、これはもういっぺん(口頭弁論期日を)開かなければいけないということあれば、開きますし、これまで出ていることを普遍して主張しているということで受け止めれば、そのまま判決に行きますし、ただそれはもう少し言いたいということであればもう1回やることは別に構わない。言いたいことであればね」と当会の意向を斟酌する発言をしてくれました。

 当会では「ここ2回(の弁論)では(被控訴人に)言われっぱなしなので、すいません。まあ原審でもいろいろ言ってきていますが、ちょっと今日もいただいたのを見ると、これを廃棄したという経緯を今日の5号証は、前の4号証で抜けていることを補完した形になっていますから、これはおやっと思うところがありますので、あと、いろんないろいろな今までの経過からしてこれはありえないな、ということもあるので、よろしいでしょうか?すぐに出しますけれどもね」と述べました。

 裁判長は「では、すぐ(のタイミングでもう1回弁論を)入れましょうかね」というので、当会は「ええ。もうすぐにでも構いません」と答えました。

 すると裁判長は被控訴人の群馬県の訴訟代理人弁護士に向かって「前のようなこともあるのでね」というと、弁護士は「はい」と答えました。それを確認した裁判長は「それではもう1回入れましょう」と念を押しました。

 当会は「すいませんですね」というと、裁判長は「いえいえ。それで特別なことがなければそれで(判決)ということで・・・まあ、ご不満かもしれないが、だいぶどういう流れでこういうことに来たのかといことと自体は出ていると思いますので・・・」と感想を述べました。

 当会も「こちらも同じ考えです。今まで全然わからなかったものが、裁判長の指揮のおかげで、それが信じられるものかどうかはわかりませんが、とにかく流れのプロセスがわかってきたのは事実です」と言いました。

 すると裁判長は、「私が控訴人なら、別のものを出してもらうように作戦を代えるようにしますけれどもね、はっはっは」と、わざわざコメントをしてくれたので、当会は「ありがとうございます」と思わず声を発しました。

 裁判長は「そんなこともありますから、もう(この事件について)終わりませんか?まあ、いいですけども」と、暗に本件はさっさと結論を出して、別の事案に注力するようと暗示をするかのような発言をしてくれました。

 当会では思わず、「まあ、(裁判長の裁量次第で)いいですよ。もう一件、この件で(訴訟を)やってますから。しかしすいませんが、今日の乙5号証をみたので、1週間で(主張を述べた準備書面を)出しますから。本当に」と言いました・

 裁判長は、「それでは1週間で出してもらって。FAXであればずっとおりますので」と言うので、当会では4月30日までに準備書面を提出することにしました。

 裁判長は次回第4回口頭弁論期日として「5月の16日とか入っていますか?」と提案してきました。当会が「OKです」と言うと、被控訴人の群馬県の訴訟代理人も「はい」と言いました。

 裁判長は「時間は、融通が利きます」と言うので、当会は「この時間帯が一番ベストです」と提案したところ、被控訴人の群馬県の弁護士は、同席した県職員と何やら話をしたあと「午後遅い時間がよい」と言いました。

 すると裁判長はその要望を聞き入れて「3時半とか?」というと群馬県は了承したので、当会も「はい大丈夫です、やりくりします」と言いました。

 最終的に裁判長は「では16日の午後3時半で」と確認をしました。そして「では、これで決定と言うことで。来週までに(控訴人から主張の提出を)やってもらって。さらに何か(被控訴人側に)あれば出してもらって、ここらで終わりにするということで、よろしくお願いします」と言葉を結んだ後、陪席裁判官2名とともに法廷を去りました。

■こうして第3回口頭弁論はおよそ6分半で終わりましたが、控訴審で裁判長が、4回目の口頭弁論を認めたことは、あまり例を見ないことなのかもしれません。傍聴してくれた当会会員のかたも、「なんども住民訴訟や本人訴訟を行ってきたが、きょうのような裁判長の対応は初めて見た」とおっしゃっていました。

 しかし、裁判長が奇しくも発言したように、あくまでも行政の対応はおかしいことは間違いないのですが、それが判決に反映されるのかどうかは、依然としてグレーゾーンです。

 やはり、東電グループの子会社の事業というものは、行政側にとって、政治的な意味合いもあるので、通常の企業が行う手続きとことなり、破格の優遇措置を受けられるのかもしれません。

■しかし、県民の安全・安心な生活環境保全の観点から設けられた環境アセスメントを捻じ曲げてまで、事業をさせてもいい、と言うことにはならないはずです。

 当会としては、4月30日までに最終反論を準備書面にまとめて、FAXで、裁判所と被控訴人群馬県に提出することにしています。そのうえで、次回おそらく結審になると想定される5月16日(水)15:30からの第4回口頭弁論を迎えたいと思います。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

※参考情報「東京地裁前でマスコミが群れていた原因」
ところで東京高裁での裁判を終えて外に出てみると男女2名が揃ってマスコミのインタビューを受けている光景に出くわせました。何気なく、マスコミ側に回ってみると、あの著名なかたとそのパートナーのかたがニコニコしてマスコミの撮影に応じていました。



**********TBS News 2018年4月23日 14時24分
高須クリニックへの名誉毀損認めず、「イエス○○クリニック」裁判
 美容外科「高須クリニック」が、民進党だった議員の国会発言で名誉を傷つけられたとして損害賠償などを求めている裁判で、東京地裁は訴えを退ける判決を言い渡しました。
 「イエスまるまる、とクリニック名を連呼するだけのCMとかですね」(民進党〔当時〕大西健介議員 去年5月)
 去年5月、衆議院厚生労働委員会で当時民進党だった大西健介議員が「陳腐なコマーシャル」の例として「イエス○○とクリニック名を連呼するだけのCM」などと発言し、高須クリニックは「名誉を傷つけられた」として、大西議員らにあわせて1000万円の損害賠償などを求めています。
 23日の判決で東京地裁は「大西議員の発言は、高須クリニックのCMを指していると見ることができる」とした一方で、「高須クリニック自体の社会的評価を低下させるものではなく、名誉毀損ということはできない」として訴えを棄却しました。
 「僕を傷つけた事には当たらないという判決なんだけど、僕は傷ついているんですよ。控訴します」(高須クリニック 高須克弥院長)

**********ハフィントンポスト2018年04月23日 16時04分 JST
高須クリニックに「No!」 東京地裁で敗訴 名誉毀損で国会議員らを訴えていた
「イエス!まるまるクリニック」発言 ⇒ 「名誉毀損ということはできない」

�塚�P
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