市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

【続報】セクハラ告発町議の除名停止で復帰した途端再び辞職勧告・出席停止懲罰を科した草津町パワハラ議会

2020-04-30 23:11:00 | 国内外からのトピックス
■高温で高酸性の硫黄泉で内外に知られる草津町が、実は女性蔑視とヨソ者排除の習慣を引きずる前時代的なコミュニティであることを、町長のセクハラ行為の告白を町議会で公表した女性町議が問答無用で12月2日に除名されたことで、はからずも明るみに晒されました。草津町の女性町議が黒岩町長から町長室で性的関係を求められるなどしたうえに、町長から政治的な妨害を受けたとして電子書籍で公表したところ、2019年12月3日に町議会で除名処分を受けた事件は、その後、黒岩町長が町議ら3人に対し慰謝料など約5000万円を求めた民事訴訟の第1回口頭弁論が2020年2月19日、前橋地裁(渡辺和義裁判長)で開廷されました。第2回弁論は4月27日(月)15時から弁論準備のかたちで開催予定でしたが、新型コロナ禍による裁判所の業務縮小方針により、延期された可能性があります。

草津町役場庁舎。地上4階RC造、延べ床面積4,500㎡、竣工1991年。出典:㈱桂設計HP

 一方、女性町議は2019年12月10日に行政不服審査法による除名処分の執行停止申し立てを行っていましたが、群馬県は2020年2月7日付で、町議会議長と女性町議宛に処分の執行を一時停止する通知を出しました。除名処分の妥当性を審議する自治紛争処理委員の審決が今月5月に出る見通しのようですが、新型コロナの影響でさらに遅れるかもしれません。
 女性町議はさっそく草津町議会3月定例会に出席しようと思いましたが、黒岩町長の御用議会は、3月18日に女性町議に対して今度は「辞職勧告決議」そして「10日間の出席停止」の懲罰を可決しました。依然として、議会の閉鎖性とパワハラ体質は全く変わっていないことが判ります。

 この事件については次のブログもご覧ください。
○2019年12月3日:日本の名湯で知られる草津町でセクハラ告白した女性町議への異常バッシングが示す群馬県の政治風土
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3084.html
○2019年12月9日:【続報】セクハラ告白の女性町議を除名し今度は町長不信任案提出の男性町議を懲罰にかけた御用議会
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3088.html

■では、今年に入ってからのこの事件の動きを当事者によるSNS発信情報や、報道記事などから見てみましょう。

**********新井祥子ブログ2020年01月01日(水)
「こんなパワハラ議会にセクハラの相談ができますか?」


 12月25日、クリスマスの日に草津町議会が新聞折込に入れたチラシです。私の懲罰について書いてあります。
 草津町には「ハーモニー」という議会の広報誌があり、回覧板と一緒に各家庭に配布されます。
 私の懲罰については、この広報誌にも掲載されます。
 それなのに、わざわざご丁寧に、別途新聞折込で全戸配布の折り込みチラシまで入れて、私を懲罰し、除名にしたことを宣伝して回っています。この予算は、どこから出たのでしょうか。
 このチラシを発行した議員で折半したんでしょうか。
 黒岩町長も新聞折込に、私を誹謗中傷する折込を2回入れています。
 前の議会中継、先輩議員が私の告発を非難して「何故、電子書籍に告発したのか」「そうする前に他の方法はなかったのか」「第2委員会室では人権委員の人が相談する日を設けていて」「月末になると、町の顧問弁護士も来るし」「議長だって、相談に乗ってくれるかもしれない」と言われました。
 その先輩に、私は「私が議会に上がった時、先輩からのセクハラやパワハラがあった」「だから言えなかった」そう言ったら、その先輩は黙ってしまいました。
 理由は、先輩議員だったら誰でもが、議会で私に対してや女性職員に対してのセクハラやパワハラがあったことを知っているからでしょう。
 それに、こんなチラシを捲く議会でセクハラの相談ができるなんて思うでしょうか。
 私に暴露されることが困るので、早く懲罰にかけ、警察に捕まってほしいと思っているの
でしょう。
 それを証拠に、私が除名になり、失職したとたん、町長の刑事告訴が受理されたという報道がありました。
 酷いなと思うのは、私以外の被害者の証拠を出せ、出せ、ということです。
 新潮の記事(草津に静養に来られる美智子様のこと)でも感じましたが、こちらが、相手の事を慮って表に出したくないと思った事をついてくる。
 けれど、先輩議員のセクハラ・パワハラについては、もう、遠慮なく告発できると感じているので、証拠をもって、明らかにしていきたいと思います。
 それは、議員に戻れようが、戻れなかろうが行っていきます。

**********飯塚玲児ブログ2020年01年03日17:11
新井祥子元議員のブログ
 立場こそ違えど、一緒に告訴された(らしい)新井祥子元議員が、自身のブログで心境をつぶさに綴っている。
 そこには、長く告白したくてもできなかった事情や、草津町議会の歪み、黒岩町長の法律を持ち出しての脅しなどがこれでもか、と書かれている。
 ぜひとも一度読んでみてほしい。
https://ameblo.jp/chocora2535/entry-12563718478.html?frm_src=thumb_module

**********飯塚玲児ブログ2020年01月04日18:54
中沢康治議員のFacebook
 表題の件であるけれども、読んでいて気分が悪くなった。以下のようなものである。
(以下引用)
 昨年暮れ「訴訟を起こされた人と食事をしたくないと言う人がいるのであなたは別のところで昼食を食べてくれ」と申し渡しがあった。勿論、異議は申し立てた。違う考えの人と同席も出来ない日本人、呉越同舟は困ると言う、未だこんな世界がある!!この発言も無礼で品を下げ懲罰に値する。と言うだろう。
(引用ここまで)
 聞くところによると、議会議員と昼食弁当を食べる機会があった際、ある議員から上記のような発言があったという。ここまでくると人権侵害も甚だしいと思う。あんまり頭にきたのでこのブログに書いた次第。
 さらに康治議員は同じくフェイスブックで以下のような書き込みをしている。
(以下引用)
 ある人から電話があった。あなたのサイトに「いいね」をすると監視をしている人がいてマークされると言う。まるで戦時中の特高警察だ。反対意見は正解を探すために必要なのがわからない人が最近出てきたのか?嫌な世の中に逆戻りしないで欲しい。
(引用ここまで)
 ありえないほど酷い話である。無論僕は「いいね」し続ける。もう監視されているわけだし、このブログの記事も町長派の「ネット部隊」にチェックされ、町長に報告されているはずだ。
 僕は草津に約4年も住んで、地元の方々のほとんどは優しく素敵な方だと知っている。
 ところが、町の政治を司る議員たちがこのような始末では、いずれなんらかの破綻が生じるような気もしている。
 新井元議員が除名となり、現在の草津町議会は康治議員を除く全員が町長寄りである。
 それは無論いいことだとは思えない。少なくとも少数派の意見も聞いた上で議論するのが議会ではないだろうか?
 独裁政治は必ず滅びる。歴史がそれを証明している。そう思う。
※中沢康治町議のFacebook https://www.facebook.com/yasuji.nakazawa

**********上毛新聞2020年02月13日05:53
除名処分を一時停止 新井草津町議が復帰 県が7日付で決定

草津町役場
 議会での言動を理由に草津町議会で除名処分を受けて昨年12月に町議を失職した新井祥子氏(50)の不服申し立てを受け、群馬県は12日、除名処分を一時停止する決定をしたと明らかにした。決定は7日付。新井氏は町議に復帰した。申し立てにより議員の除名処分が一時停止となるのは県内初。
◎新井氏「公正に判断」/議長「粛々と議会運営」
 新井氏を巡っては、昨年12月の町議会定例会で「2015年1月に町長室で黒岩信忠町長と肉体関係を持った」などの発言を町議会側が問題視。「他人の私生活に関する言論を禁じた地方自治法に反した」として、除名を求める懲罰動議が提出され可決、失職した。
 県の決定に対し、新井氏は「公正に判断していただきありがたい。町民のため、女性の権利のために活動していきたい」と話した。3月定例会を控え、黒岩卓議長は「粛々と正常な議会運営を行うだけ」とした。
 新井氏は除名取り消しを求める「審決」も申請しており、弁護士など有識者3人の県自治紛争処理委員が審理を続けている。処分の一時停止は審決が出るまでの期間が対象となる。

**********朝日新聞デジタル2020年2月13日 7時25分
「セクハラ」訴えの前草津町議、県が除名処分を一時停止

議場内に町長室の写真パネルを持ち込んで新井祥子氏に説明を求める黒岩信忠町長(右)=2019年12月2日、群馬県草津町
 群馬県草津町の黒岩信忠町長からセクハラ被害を受けたと訴えていた新井祥子氏(50)が、議会の品位を傷つける発言をしたとして懲罰動議を受けて失職した問題で、群馬県は除名処分の執行を一時停止する通知を出した。通知は7日付で町議会議長と新井氏宛て。新井氏が行政不服審査法に基づいて12月10日、除名処分の執行停止を申し立てたのを受けた措置で、新井氏は当面、町議会の議席を回復することになった。
 新井氏が12月9日に申し立てた処分取り消しについては、処分の妥当性を審議する自治紛争処理委員の審決が5月にも出る見通し。執行を一時停止しないままでは、新井氏に投票した有権者の町政参加の権利が侵害されると県市町村課が判断した。
 新井氏は「除名処分の停止の申し立てが認められ、ほっとした。町民や女性の権利を守るための活動を続けていく」と話した。一方、除名処分を決めた町議会の黒岩卓議長は「法律に沿った手続きなので、粛々と受け止めたい。1議員として通常通りに対応していく」と語った。
 新井氏は昨年11月に電子書籍などで町長からセクハラ被害をうけたと告発。町議会12月定例会での町長の不信任決議案を巡る質疑などでの新井氏の発言が「破廉恥で、議会の品位を傷つけた」として懲罰動議が提出され、賛成多数で可決。新井氏は最も重い除名処分を受け、失職していた。(泉野尚彦)

**********読売新聞オンライン2020年02月13日10:40
「町長室で性交渉」告白の女性、町議除名処分停止に
 群馬県の山本知事は、草津町議会で除名の懲罰処分を受けた新井祥子氏(50)の申し立てについて、今月7日付で処分の執行停止を通知した。これにより、新井氏の町議失職は保留された。
 新井氏は「町長室で2015年に町長と性交渉をした」との告白を巡って昨年12月に処分を受けたが、その後、処分の執行停止と取り消しを求める審査を申し立てていた。知事は審決に向けた手続きを進めている。

**********飯塚玲児ブログ2020年02月13日16:48
新井さんの除名処分が執行停止!
 僕とともに裁判を戦っている新井祥子元議員が除名処分を受けたことについて、群馬県知事は除名処分を執行停止としたとのニュースがYOMIURI ONLINEに掲載された。
https://www.yomiuri.co.jp/politics/20200213-OYT1T50074/
 まあ、町長の疑義がまったく晴れてもいないのにいきなり除名処分というのは、通常の常識でも考えられない。
 最終的な審決が出るのはまだ先のことらしいが、ひとまず新井さんは「新井祥子議員」として議会に戻ってくるわけだ。
 何はともあれ、新井祥子先生、良かったですね。
 除名処分は中沢康治議員以外の全員が賛成した決議なわけで、それを群馬県知事は支持しなかったということになる。
 草津町の議員の方々は、いったいどのような態度で新井議員を迎え入れるのだろうか。
 そのような間違った決議を全員で決めた議員たちを、草津町の町民のみなさんはどのように捉えているのだろうか。
 入込客数過去最多にあぐらをかくことなく、色々と考えるべき時期が来ているように思う。

**********上毛新聞2020年02月20日11:00
草津町議ら争う姿勢 町長名誉毀損訴訟 前橋地裁で口頭弁論
 事実と異なる内容を電子書籍に記載され名誉を傷つけられたとして、群馬県草津町の黒岩信忠町長(72)が新井祥子町議(51)ら3人に対し、慰謝料など約5000万円を求めた民事訴訟の第1回口頭弁論が19日、前橋地裁(渡辺和義裁判長)であった。被告側は請求棄却などを求める答弁書をそれぞれ提出、いずれも争う姿勢を示した。
 被告は新井町議のほか、電子書籍を出版した飯塚玲児ライター(53)、町議会で虚偽事実とされる記載がある不信任決議案の理由書を読み上げた中沢康治町議(85)。

**********毎日新聞2020年2月20日
名誉毀損訴訟 新井草津町議ら町長と争う姿勢 /群馬
 虚偽の内容が書かれた電子書籍を出版されて名誉を傷つけられたとして、草津町の黒岩信忠町長が同町の新井祥子町議や男性ライターら3人に4400万円の損害賠償などを求めた訴訟の第1回口頭弁論が19日、前橋地裁(渡辺和義裁判長)であった。新井町議らは「名誉毀損(きそん)に当たらない」と述べ、争う姿勢を示した。
 訴状などによると、新井町議は、黒岩町長と町役場の町長室で性的関係を持ったなどとの内容を証言。男性ライターは、これら証言を電子書籍として出版した。黒岩町長は、証言は全くの虚偽で、回復困難な人格権侵害の被害を受けたと主張している。【妹尾直道】

**********新井祥子ブログ2020年03月18日(水)
今度は出席停止の懲罰です
 せっかく、除名処分の停止の申し立てが通ったのに、それが「不服」ということで、今度は「辞職勧告決議」そして「10日間の出席停止」の懲罰が可決されました。
 そのため、大切な予算議会を欠席することになりました。
 今回も「12月2日の発言がけしからん」っていう理由です。理不尽で不当な二重懲罰です。
 新型コロナウィルスが日本中で猛威をふるう中で行われた議会初日、議会が開始した午前10時〜午後3時過ぎまで、議会は私の懲罰につぐ懲罰の議論で終始しました。
 とても残念です。
 ただ、議員の権利が剥奪された訳ではないので、議員活動は変わらずに行っていきます。


**********

■新型コロナによる緊急事態宣言で、全国の裁判所で業務縮小が続いていますが、5月6日の時点でなんらかの方針が出れば、裁判業務の再開の可能性も見えてきます。民事裁判の進捗と、群馬県による除名処分の妥当性を審議する自治紛争処理委員の審決の行方を引き続き注視したいと思います。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
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国策マスク・行政マスクを巡る不透明感からあらためて痛感させられる情報開示・説明責任の重要性

2020-04-29 22:51:00 | 新型コロナ問題
■新型コロナの感染拡大が世界規模で展開されているなか、原因国の中国がマスクを戦略物資として捉え、自らの責任を棚に上げ、世界各国に恥知らずの外交攻勢をかけています。我が国では、国策のアベノマスクの配布を巡り不透明な調達方法が話題になっていますが、政治家にとっても、今やマスクは格好のPR材料にされています。高崎芸術劇場の官製談合が注目されている全国トップクラスの談合体質を有する高崎市でも、先月ベトナム製とみられるマスクの配布を行いました。ところが、このマスクの調達担当部署を高崎住民が確認しようと4月22日に「配布したマスクの購買は何課が担当ですか?」と尋ねたら、たらい回しにされた挙句、同日夜7時30分になって、曽根総務部長から電話があり、「高崎保健所の総務課」がマスクの購買担当ということが分かりました。しかし、配布されたマスクに同封されていた送り状を見ると、連絡先は福祉部長寿社会課福祉施設担当とあり、どこの部署のどのような予算でいくら税金を投じたのかが曖昧です。よく確認する必要がありそうです。


 高崎市が4月23日にHPで公表したマスク配布に関する情報は次のとおりです。

*****マスクの配布について*****高崎市HP 2020年4月23日
https://www.city.takasaki.gunma.jp/info/corona/0204/020422.html
マスクを約70万枚確保。子どもや高齢者などに配布しました
 市は、市内の小中学生や高齢者の他、福祉・介護施設や放課後児童クラブの職員などを対象に、使い捨てマスクを配布しました。
 これは、新型コロナウイルス感染症拡大に伴うマスク不足を受け、入手できたものを活用するもの。市内の小中学生などの子ども、高齢者、妊婦、学校や施設の職員など、計約17 万人に配布。市はこれからも、マスクの確保に努めます。
○保健医療総務課
電話: 027-381-6111
E-mail: hoken-soumu@city.takasaki.gunma.jp
**********

■高崎市のマスク40万枚配布について最初に報じられたのは4月14~15日でした。

**********共同通信2020年4月14日 18:32
高崎市がマスク40万枚無償配布 群馬、小中高生や妊婦などに
 群馬県高崎市は14日、市内の小中高生、妊婦、保育園と幼稚園職員、高齢者福祉施設の職員などに不織布マスク計40万枚の無償配布を始めた。マスクはベトナム製で3月下旬から市内の企業を通じて発注し、さらにホームセンターから寄付も受けた。
 小中高生全員に各10枚、それ以外には1人に3枚ずつ配る。2019年度から繰り越した予備費約2千万円を充てる。
 富岡賢治市長は「マスクの確保は困難だったが、緊急に必要な方に配布できてよかった」とコメントした。今後さらにマスクが入手できれば、高齢者世帯への配布も検討するという。(共同通信)

**********高崎新聞2020年04月15日
マスク40万枚を配布

★6万4千人が対象★
 高崎市は、新型コロナウイルス感染防止対策の一環として、使い捨てマスク40万枚を市内小中学生や教職員、障害者施設、介護・高齢者施設職員などに配布する。
 小中学生には一人10枚、職員には一人3枚を配布する。対象者は6万4308人、配布数は40万1867枚。
 4月14日に、高崎アリーナで職員150人により仕分け作業を行い、順次配布する。
 高崎市の富岡賢治市長は「マスクの確保は困難だったが、これだけのマスクが入手できた。緊急に必要な方々に配布することができて良かった」とコメントしている。
 高崎市は、これまで新型コロナ対策として、備蓄マスクの配布を実施してきた。
<対象者>
小中学校(特別支援含む)の児童生徒全員(各家庭に郵送)
小中学校の教職員
公立・私立の保育園・幼稚園、認可外保育園、病児病後児保育の職員
放課後児童クラブ、児童館、子育て支援センター等の職員
高崎経済大学附属高校生徒と職員
障害者施設、介護・高齢施設の職員
妊婦、難病患者、在宅医療的ケア児・者
区長、民生委員・児童委員

**********東京新聞2020年4月15日
【群馬】<新型コロナ>高崎市、小中高生らにマスク40万枚

 高崎市は14日、市立小中高校の児童・生徒全員と公私立の幼稚園や保育園などの教職員らを対象に、マスク計約40万枚の配布を始めた。
 配布の対象は市内の小中学校(特別支援学校を含む)と、市立高校の児童や生徒計約2万9850人に1人当たり10枚。
 学校や幼稚園、保育園、放課後児童クラブなど子ども関連施設と、障害者や高齢者など福祉・介護施設の全職員には1人当たり3枚を配る。難病患者や妊婦、在宅医療ケア児、民生委員など行政委員にも同3枚を提供する。
 マスクの品薄が続いて入手困難な状況を踏まえ、市が独自に確保した。14日は同市下和田町の高崎アリーナで、職員が150人態勢でマスクの仕分け作業に追われた=写真(市提供)。児童と生徒の家庭には郵送し、施設などには順次配布する。(石井宏昌)

**********毎日新聞2020年4月15日
新型コロナ 高崎市、マスク40万枚配布 児童・生徒など6万5000人に /群馬

マスクを仕分けする市職員ら=群馬県高崎市で
 高崎市は14日、新型コロナウイルス感染防止対策として、市内小中学校の児童・生徒や教職員、幼稚園・保育園の園児と職員、障害者施設など約6万5000人を対象に、約40万枚の使い捨てマスクの配布を開始した。
 配布数は、児童・生徒には1人10枚ずつ、ほかの対象者には3枚ずつ配布する。
 市は使い捨てマスクを13日までに約40万枚入手。トラックなどで高崎アリーナ(同市下和田町4)に搬入。市職員150人が配布先への仕分け作業をした。郵送などで各家庭や施設に配布する。【佐藤伸】

**********産経新聞2020年4月14日18:55
使い捨てマスク40万枚配布 群馬・高崎市、児童生徒らに

新型コロナウイルス感染防止のためのマスクの仕分け作業を行う群馬県高崎市職員=14日、同市の高崎アリーナ(同市提供)
 群馬県高崎市は14日、新型コロナウイルス感染防止のため、市内の小中高生や妊婦、高齢者施設などに使い捨てマスク計約40万枚を無償配布すると発表した。さらにマスク確保に努め、入手でき次第配布する。
 市の計画によると、配布するマスクは小中学校の児童生徒向けが大半を占め、1人10枚ずつ計約29万枚を各家庭へ郵送する。高崎アリーナ(同市)では14日、市職員がマスクの仕分け作業を行った。
 富岡賢治市長は「確保は困難だったが、これだけのマスクが入手できた。緊急に必要な方々に配布することができてよかった」とコメントした。

■続いて第2弾として、高崎市は4月18日にマスク31万枚余りの配布を発表しました。

**********上毛新聞2020年04月19日11:00
65歳以上の市民 マスク3枚郵送 高崎市
 新型コロナウイルスの感染拡大に伴うマスク不足を受け、高崎市は18日、市内の65歳以上の高齢者約10万4千人に1人3枚ずつ、使い捨てマスクを配布すると発表した。同日から順次郵送する。
 市に住民登録した人が対象で、計31万枚超を配る。富岡賢治市長は「重症化の恐れがある高齢者の方々に配布できて良かった。皆さんの安心につながればうれしい」とコメントした。
**********

■以上トータルすると高崎市が今回配布した約71万2千枚のマスクの単価を約135円とすると、約9600万円余りとなります。このうちの一部はホームセンターからの寄付を当てているようですが、3月下旬から市内の企業を通じて発注したとされていることから、令和元年度末に余った予算を流用した可能性もあります。

 官製談合でならす高崎市役所の体質からすると、やはり調達の経緯を明らかにしてもらう必要がありそうです。

■一方、国策のアベノマスクについても、怪しげな調達の実態が浮き彫りにされています。

**********東京新聞200年4月29日
[こちら特報部]ナゾノマスク業者 遅れて公表ユースピオ
看板なし、公明党議員に寄付 社長の別会社は以前脱税

 安倍晋三首相が「1住所あたり2枚配布」とぶち上げ、「アベノマスク」とも呼ばれる布マスク。妊婦用を調達した4社のうち、国が公表を拒んできた1社が27日に明らかになった。「ユースビオ」。登記上の住所に看板はなく、どうやら過去にマスクを手掛けたこともない。発注のいきさつや契約の内容を質問しても、厚生労働省の説明は要領を得ない。何を隠そうとしているのか。

妊婦向け布マスクを受注した「ユースピオ」の会社事務所。社名の記載はなく、窓には公明党のポスターが貼ってあった=福島市内で
 福島駅西口から高湯街道と呼ばれる県道を西へ約三キロ。そこから住宅街に少し入ったところに「ユースビオ」がある。平屋で横長に六つの事務所が並ぶ。長屋のような造りになっている。住所で見ると、ユースピオはその一室になる。
 外付けの郵便受けには白いテープが貼ってあり、何も書いてない。ガラス戸や建物壁にも社名の記載はない。目に付いたのが、窓ガラスに貼られた一枚の公明党のポスター。ガラス越しに見えた室内にも、山口那津男代表が笑顔を見せる公明党のポスターがあった。
 会社の所在地周辺には昨日の今日で見物人が訪れていた。千葉県柏市から車で来た自営業男性(四一)は「表札も出ていないし、何の会社かもわからない。怪しいですよね。それでよく、国は億単位の取引を決めたと思う」と語った。
 どんな会社なのか。
 近所の人に聞いても「社長一人でやっていて、従業員はいない。何をしてるかはわからない」「社長が出入りしているけど。うちは関係がないから」とはっきりした話は出てこない。
 午後二時半前。黒いワゴン車が止まり、社長の樋山茂氏がやってきた。青いジャケットに黒っぽいズボンに長めの髪。「今日はやらない(取材に応じない)」とひと言残すと、事務所から荷物を取り、すぐ車で立ち去った。
 電話でも樋山氏に話を聞こうとした。「電話では誰だかわからないので対面じゃないと話さない。(対面は)きのう大手新聞社に話して一日費やしたから、今日はしゃべらない。以上」と言うだけだった。
 仕方ないので二十七日に配信された共同通信の記事を参照する。それによると樋山氏は五十八歳。樋山氏は「ユースビオはベトナムに駐在員を置き、木質ペレットを輸入販売している。ベトナムでマスクを調達できることを県議らに話し、国に一枚約百三十円で約三百五十万枚を納入することになった」という趣旨の説明をしている。
 樋山氏は以前、地元新聞に掲載されたことがある。樋山氏と、樋山氏が社長を務める会社「樋山ユースポット」が消費税などを免れたとされる脱税事件。福島地裁で二〇一八年に有罪判決を受けている。
 「今の政権を考えると、また『お友達』的につながっているのではないかと疑ってしまう」という福島市の丹治尚武さん(七九)のように、政権との近さで調達業者に選ばれたのではと疑う人もいる。
 調べたところ、一五年に公明党の若松謙維(かねしげ)参院議員(比例)の政治資金管理団体に十二万円、妻とみられる女性も同額を寄付していた。それ以上の政界とのつながりは、これまでの取材では浮かんでいない。

覆い隠さず説明を
取り扱い実績なく不自然 税金投入 透明性が必要

★今月、登記に「貿易」加え★


(上)厚生労働省が入る中央合同庁舎第 5 号館=東京・霞が関で。(下)郵便局に搬入された政府が配布する布マスク=東京都世田谷区で
 実は「登記手続き中」という理由で、二十七日はユースビオの法人登記を見ることができなかった。手続きが終わったのか二十八日は閲覧できた。
 登記によると、設立は二〇一七年八月で、 資本金一千万円。事業内容に変更があった。 再生可能エネルギーの生産システムやバイオガス発酵システムの研究開発と販売▽発電や売電に関する事業―。これらは従来通り。新たに、企業の売掛債権を買い取る「ファクタリング」、貿易や輸入代行業などが加わった。貿易は今回のマスク輸入に向けて加えたようにみえる。
 国税庁のホームページで調べると、ユースビオの住所に計十一の法人がある。樋山氏はユースピオと樋山ユースポットで社長を務めている。その他の会社との関係は不明。問い合わせに「長屋のような建物なので、同じ住所になる。ユースビオとは無関係」と答えた会社もあった。
 民問信用調査会社には、樋山ユースポットの記録だけがあった。〇五年三月設立で資本金三百万円、従業員は四人。樋山氏は大学を中退して自衛隊に入隊。その後いくつか会社を設立し、現在に至る。電気通信機器やネットワークシステムの保守を手掛け、大手と取引があって経営基盤は安定していた。東日本大震災以降は復興事業にも乗り出した。経済産業省の復興関連の補助にも社名があった。
 どうやら、樋山氏は過去にマスクを扱ったことはないようだ。ではなぜ、国が白羽の矢を立てたのか。納期を守り、不良品はなかったとのことだが……。
 布マスクの経費には、予備費で二百三十三億円、本年度補正予算で二百三十三億円を見込んでいる。厚生労働省マスク等物資対策班によると、「不良品」が問題になった今回の配布は、予備費を使い、妊婦と介護施設に用意した分だ。
 班の原田浩一氏は「競争入札ではなく、(特定の業者を指名する)随意契約で決めた。広くメーカーなどに声をかけ、応じた社の中から供給力などを考慮して選んだ」と説明する。複数の見積もりを取り、安い会社と契約する「相見積もり」は行っていない。
 各社別の契約金額とマスクの枚数については、原田氏は「どういう数字にするか決めていない」「分からない」「非公表」と繰り返した。樋山氏は報道各社に「一枚約百三十円で約三百五十万枚」と答えた。厚労省側は認めていなかったが、二十八日にようやく「五億二千万円の緊急随意契約」と加藤勝信厚生労働相が国会で説明した。
 一社だけ社名公表が遅れたことに原田氏は「妊婦分の業者はどこかと尋ねられ、三社は調達先として確認できたので公表した。この会社については確認が遅れた。」ならば手間を掛けなくても調達先を全社、公表すればいいのではないか。
 法政大法学部の五十嵐敬喜名誉教授(公共政策)は「緊急事態なので随意契約はやむを得ない。それでも選定経緯や契約内容について説明することは欠かせない。官公庁は長年の実績をもとに随意契約する業者を選ぶはずだ。ユースビオは三年前の設立で実績もない。こういう企業を選ぶのは不自然だ」と疑問を示す。
 全国市民オンブズマン連絡会議事務局長の新海聡弁護士も「随意契約に透明性の確保は当たり前。どこにどれだけ税金を投入したのか説明するのは政府の義務。業者側に迷惑がかかるのを恐れたとしても、非公表は税の使い方に責任を持つ立場の行動から外れている。国民の疑念に対して自分の言葉で説明し、納得させる能力が首相や政府にないことがあらわになった」と切り捨てた。
[デスクメモ]
爆発した原発建屋の上から水を注いだ生コン圧送機。誰も相手にしなかった業者の声を公明党が拾って政権中枢に知らせ、原発は危機を脱した。マスクでも人肌脱いだのかもしれない。それとも「オトモダチ」優遇か。そもそも無関係か。いずれにせよ厚労相の対応は不可解だ。(裕)
2020・4・29
**********

■このように、緊急事態を口実に、ドサクサ紛れに情報開示や説明責任を怠る国や地方自治体ですが、平時でも情報秘匿や説明放棄の体質のため、納税者・住民としては、このような時こそ余計に行政の秘密主義に警戒する必要があります。

【5/3追記】
**********毎日新聞2020年5月2日 20時57分(最終更新 5月3日 05時06分)
アベノマスク「国策」随契2社、深まる謎 業務分割し発注 契約書に合計金額なく

政府が配布した布マスク。表裏の差は見られない=米田堅持撮影
 政府が全国に配布を進めており、妊婦向けのものを中心に不良品が相次いで発覚した布マスク。納入業者の中で、政府が当初会社名を公表せず、他社と比べて事業規模や知名度が大きく違う点で注目されているのが、福島市の燃料輸入販売業者「ユースビオ」と、千葉県富里市の切り花輸入商社「シマトレーディング」の2社だ。社民党党首の福島瑞穂参院議員が、厚生労働省と2社が結んだ契約書を入手し、ツイッター上で2日公開した。大規模な「国策」の随意契約で、なぜこの2社が選ばれたのか。契約書を見てもなぞが深まるばかりだ。【上東麻子、山口朋辰/統合デジタル取材センター、渡部直樹/福島支局】

公開されたユースビオと厚生労働省の契約書(1枚目)=福島みずほ事務所提供

公開されたユースビオと厚生労働省の契約書(2枚目)=福島みずほ事務所提供↑」

公表されたシマトレーディングと厚生労働省の契約書(1枚目)=福島みずほ事務所提供

公表されたシマトレーディングと厚生労働省の契約書(2枚目)=福島みずほ事務所提供
★大手企業ばかりの中で…… ★
 政府は妊婦向けマスクの納入業者は4社あり、うち3社は、医薬品などの専門商社・興和(名古屋市)▽大手総合商社・伊藤忠商事(東京都)▽総合アパレルメーカー・マツオカコーポレーション(広島県福山市)--と発表したが、残り1社は当初明らかにしていなかった。菅義偉官房長官が4月27日になり、ようやくユースビオだと公表し、他3社に比べて事業規模が小さく無名の会社であることから注目された。
 さらに28日には、加藤勝信厚生労働相が衆院予算委員会で、ユースビオに加え、関連の輸入業務についてシマトレーディングとも契約しているとした。契約額は両社合わせて合計5億2000万円としていたが、枚数や単価、契約時期は明らかにしなかった。
★2社に分けて発注 「マスク原料」を納入? ★
 厚労省が福島議員に示した契約書は2通あり、契約日はいずれも3月16日。ユースビオとは「生産原料調達一式」の契約を結び、「ベトナム産 抗菌布マスク原料」を「単価55円、350万枚」で発注。シマトレーディングとは「輸入業務一式」について契約し、「ベトナム産 抗菌布マスク」を「単価80円、350万枚」で発注するとしている。いずれも「履行期限又(また)は契約期間」は3月31日で、契約保証金は「免除」となっている。
 ユースビオの樋山茂・代表取締役は4月27日、毎日新聞の取材に対し、「ベトナムの工場と契約し、自社で生産管理をしてマスクを輸入した。枚数は3月分として350万枚、単価は135円」と説明。ユースビオ、シマトレーディングのそれぞれの契約単価を合わせた数字と一致する。
 シマトレーディングは取材に「9割9分9厘は花の輸入、加工の仕事をしており、マスクの輸入は今回が初めて。ユースビオの代表から相談があり、輸入の際の通関の部分だけを担った」と話していた。
 妊婦向けマスクを取り扱う他3社は製造、輸入まで一括して担うが、なぜユースビオの場合だけ、通関業務を他社に切り分けるのか。規模が小さいだけでなく、一括して事業を遂行できない会社と国が契約したことにも疑問が残る。
★取り扱い実績ないのに、巨額の契約★

ユースビオの入居する建物=福島市で2020年4月27日午後3時41分、渡部直樹撮影
 そもそもユースビオはどんな会社なのか。事務所は、JR福島駅から西へ約2キロにある平屋の小さな建物。
 樋山代表によると、燃料用の木質ペレットをベトナムから輸入するのが主な業務で、過去にマスクを取り扱った実績はない。ところが、厚労省と3月16日に契約を済ませて1カ月近く後の4月10日、法人登記の変更を法務局に申請し、事業目的に「輸入取り扱い業務」を加えた。これも不自然だ。
 契約の経緯について、樋山代表はこう説明した。「県会議員を通じて、『マスクが足りない』という話を聞き、『ベトナムから輸入できますよ』と福島県に伝えたところ、相当量を契約するということで話が進んだ。それが2月後半だった。3月上旬に『マスク調達は国が一括することになった』と連絡があり、経済産業省に話をすると、ぜひ国でも調達したいということになった」。その後、マスクの検査成績表やサンプルを提出し、契約が決まったという。
 国との契約後に登記を変更したことについては「これまでの定款では、マスク輸入ができるかグレーゾーンだったため、輸入できるよう定款を変更するためだった」と説明した。
★ユースビオとの契約「幅広く声かけした結果」 ★
 今回のマスク納入業者は、入札を経ない随意契約によって結ばれた。国の公共事業は、複数の業者による一般競争入札を経て契約相手を決めるのが基本とされるが、契約額が少額の場合や緊急を要する場合、国の政策上秘密にする必要がある場合は、随意契約ができるとされている。
 業者選定の経緯について、厚生労働省医政局経済課の担当者は「政府として、幅広く声かけを行った事業所のうちの一つが、ユースビオさんだったということです。マスクの品質、価格とか企業の能力、迅速に対応できるかどうかという観点で選定を行って、速やかにマスクを配布できるという観点から緊急随意契約を行った」と説明。契約の経緯については「私の方からは申し上げられない」とした。
 菅義偉官房長官も4月28日の記者会見で、「マスクの品質や価格、企業の供給能力、迅速に対応が可能かどうかといった観点から選定を行った」として適切な契約であることを強調。「国会議員や地方議員から個別の企業の取引を促すような口利きや紹介はなかった」としている。
★「極めて不自然」「通常はありえない」★
 契約書を入手、公開した福島議員は「これでは(2社合計で)マスク700万枚についての契約書なのか、350万枚のものなのか分からない。もし350万枚の契約ならなぜ2通あるのか、なぜ55円と80円で分けるのか、わからない」と首をかしげる。「詳しくは今後、調査をしていきたい」と話している。
 公文書に詳しい全国市民オンブズマン連絡会議事務局長の新海聡弁護士は、2通の契約書について「極めて不自然な契約書だ」と指摘する。「普通ならユースビオが輸入業務を委託したとしても、それはユースビオとシマトレーディングとの契約になるはず。国の公共事業として、わざわざ原料調達と輸入業務を別々に発注することは通常ではありえない。また、合計金額が書いていないことも不自然です」と話す。さらに「緊急性があるために随意契約としたことは理解できますが、その場合、実績のある会社に任せるのが通常。マスクを調達して納入することが目的なのに、輸入業務もできない会社に原料だけ発注していることの合理的な説明が必要です。利権のために競争性を排除したと思われてもしかたありません」と話している。
**********

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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【速報】高崎官製談合事件…自由競争では有り得ない価格=落札率98%で有罪判決なら高崎市全部アウト!

2020-04-28 23:39:00 | 高崎市の行政問題
■新型コロナ感染対策で傍聴席60席のうち、報道陣8席、被告親族3席、そして傍聴席8席以外の41席が空席のままという異常な光景の中、4月28日(火)午後1時27分から前橋地裁第4号法廷で判決公判が開廷されました。

NHKが開廷前の2分間で撮影した前橋地裁第4号法廷の様子。



 当日は、12時30分に地裁に到着しました。駐車場は4割程度埋まっていました。本館の玄関前に表示板が置かれており、傍聴券の配布は第4号法廷のある別館1階の裁判員控室において午後1時まで行うとありました。


筆者のリストバンドの抽選番号は3921だった。

同行者は3922。

 本館1階のロビーに入り、エレベーター前に張り出されている開廷表を確認したところ、確かに午後1時30分から2時30分まで第4号法廷で事件番号・事件名「令和元年(わ)第541号 入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律違反、公契約関係競売入札妨害」、被告人「佐藤育男、菅田明則、阿久澤茂」、審理予定「判決」、担当部署「刑事第2部合議係」、裁判官(長)「山崎威」、事務官「吉田美乃里」とありました。

 一旦玄関前に出てから、本館の右手にある別館に向かいました。入口に着くと、ちょうど裁判所の腕章を付けた職員らが出てくるところでした。傍聴者らの案内のため、裁判所各所で待機するようです。

 別館に入ると、数名の職員があわただしく行き来しています。入口から入ってすぐ左手に裁判員控室がありましたが、まだ準備中とのことでした。足元を見ると、2m間隔で黄色のマーキングがしてあり、さっそく先頭に並びました。

 12時35分から抽選券の配布が始まりました。順番に2名ずつ部屋に入り、机の上にある黄色に黒で番号が書かれた紙製のリストバンドを左手首にまかれ、取り外せないように、甲斐バンドの両端をしっかりと糊付けされました。終わると注意書きが書かれたチラシが渡され、入口とは別のドアから外に出ました。

■抽選は午後1時で締め切られ、午後1時10分に抽選結果が裁判員控室の奥にある掲示板に表示されました。傍聴がゆるされるのは僅かに8名で、待ち時間は昼食をとっていただめ、何名が抽選手続きをしたのか定かではありませんが、おそらく数十名は応募したようです。

 昼食後、少し早めの午後1時7分頃、裁判所別館にいくと、ちょうど当選番号の張り出しが始まったばかりでした。部屋にはいり、掲示板を見ると、一番上に当選番号が書かれており、筆者の手首にまかれたリストバンドの番号と同一であることを確認しました。



 部屋を出ると係員の人が、「当選されたかたは廊下の奥にある受付で、傍聴券をもらってください」と誘導していました。さっそく2番目に受付で傍聴券をもらい、念のため、手洗いにいってから、午後1時15分頃法廷内の傍聴席に入りました。入るとき裁判所の職員に傍聴券を見せ、携帯電話の電源を切ったことを示しました。

 第4号法廷の傍聴席は、左側、中央、右側の計3グループに分かれており、それぞれ4行5列に椅子が並んでいます。

 このうち左側の1、2列は報道関係者用(計8名)で、傍聴用の関は、左側が最後尾の5列目の両端席、中央が4列目の両端席、右側が3、5列目の両端席の計8名分、さらに被告関係者用として、緑色のカバーをした椅子が右側最前列の両端席と、中央2列目の右端に確保されていました。その他、41席は全てソーシアルディスタンシングのため着席禁止とされていました。

■筆者は中央の前から4列目の左端に着席しました。たまたま当会会員がもうひとり抽選に当たり、同じく4列目の右端に着席しました。

 開廷5分前に裁判長ら裁判官3名が入廷し、全員起立の上、一礼した後、2分間、マスコミの撮影タイムがとられました。事前に裁判所職員が「取られるのを遠慮されたいかたは、一時的に退出できます」と案内をしましたが、誰も退出者はいませんでした。マスコミ用8席も直前に全部埋まり、傍聴者8名も最後のひとりがマスコミ撮影後着席しました。そして、被告3名とその親族と思しきご婦人方が左側のドアから入廷し、親族3名の方々は傍聴席の緑色のカバーをした席に、被告3名は法廷内の椅子にそれぞれ着席しました。

 それを見た裁判長は「定刻より少し早いようですが、開廷したいと思います」と宣言し、判決公判が始まりました。

 メモを取っているうちに、15分ほどで終わりました。判決は予想通り執行猶予付き判決でしたが、裁判長の判決言渡しの中で、おもわず仰け反りそうになったのは「本件2件の入札妨害事件の平均落札率が98パーセントという高率で談合により落札したことはまことに遺憾で・・・」とするくだりでした。

■その晩ネットを検索すると次の報道がなされていました。

**********NHK News Web群馬2020年04月28日16時28分
「劇場談合」市課長らに有罪判決

 高崎市が発注した「高崎芸術劇場」の照明などの購入をめぐり、官製談合防止法違反などの罪に問われた市の課長と劇場の元館長、それに業者の元社長に対し、前橋地方裁判所は、執行猶予のついた有罪判決を言い渡しました。




 高崎市総務部の課長の佐藤育男被告(50)は去年1月から2月にかけて市が発注した「高崎芸術劇場」の照明や舞台装置などの設備の購入をめぐり、入札の予定価格に関する情報を劇場の元館長の菅田明則被告(66)を通じ、市内の業者の元社長の阿久澤茂被告(68)に漏らして落札させたなどとして官製談合防止法違反などの罪に問われました。




 28日の判決で前橋地方裁判所の山崎威裁判長は、「自由競争ではあり得ない高い価格で落札し入札の公正を大きく害した責任は重い」と指摘しました。



 そのうえで、「役職を失ったり入札への指名停止を受けたりする社会的な制裁を受けている」などとして佐藤課長と菅田元館長に懲役1年6か月、阿久澤元社長に懲役1年、いずれも執行猶予3年の判決を言い渡しました。

 判決を受けて高崎市は、佐藤課長を懲戒免職の処分にしました。
*********

■裁判長による判決に至った判断についての説明を額面通りに受け止めれば、高崎市の平均落札率が都道府県所在地と中核都市62都市のうちダントツの98%であることから、高崎市の職員や談合関与者は全員アウトになるはずです。

 当会としてこの問題を引き続き徹底追及してまいる所存です。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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【速報】群馬県台湾総会が県内の新型コロナ医療従事者の皆さんに台湾製防護服・ゴーグルを寄贈

2020-04-27 22:56:00 | 新型コロナ問題
■中共によって国連機関のWHOから排除されている台湾ですが、世界的に蔓延している新型コロナウイルス対策で顕著な防疫成果を上げているとして今や世界中から関心を集めています。そうした中、医療崩壊とは無縁の台湾では、新型コロナ対策の医療器材に余裕があるということで、群馬県台湾総会では、毎年7月に開催してきた台湾フェアで多くの県民の皆さんにご来場いただいたお礼と、今年7月に中止を余儀なくされた台湾フェア開催準備金の有効利用、および会員の皆さんの浄財を急遽募るなどして、台湾から防護服500着とゴーグル500個を調達しました。梱包の関係で、実際に日本に届いたのは防護服490着、ゴーグル600個でしたが、本日4月27日に無事、県庁に搬入されました。
 さっそく県から次のメッセージが群馬県台湾総会宛に寄せられました。
「今回のものをもちろん病院関係で使ってもらいますが、そのほかにコロナ患者さんに泊まってもらうホテル側の医療従事者にも使ってもらっていいでしょうか」
 これに対して当会から「勿論コロナに関する必要な方達にどうぞ使ってください」と返事をしました。群馬県内の医療関係者の皆様の役に立てれば何よりです。

4月27日に県庁に届いた台湾からの支援物資:防護服490着、グーグル600個。

 台湾政府からは先日4月21日に、日本に対してマスク200万枚が贈られました。

**********フォーカス台湾2020年04月21日14:34
台湾製マスク200万枚、日本に到着 菅官房長官「心から謝意」

親指を立てるポーズを決める古屋・日華懇会長(左)と謝駐日代表
(東京、台北中央社)新型コロナウイルスの感染拡大防止を支援するため、台湾から日本への寄贈が発表されていたマスク200万枚が21日午前、成田空港に到着した。菅義偉官房長官は同日の会見で「台湾側からの温かい声援と支援に改めて心からの謝意を表明したい」と述べた。外交部(外務省)の欧江安報道官は、日本との連携深化に期待を示した。
 感染状況が深刻な国などに提供されている台湾製マスク。この日、貨物機から降ろされたマスクには「Taiwan can help(台湾は手助けできる)」「台湾日本友好」と大きく文字が入った赤い横断幕が掛けられていた。
 外交部によれば、日本でウイルスの感染が広がる中、医療物資の提供を台湾に要請する声が超党派議員連盟「日華議員懇談会」(日華懇)などから寄せられていた。マスクの搬出に立ち会った日華懇会長の古屋圭司衆院議員は、横断幕の文字を見て非常に感動したと語った。謝長廷駐日代表(大使に相当)によると、マスクは学校や医療機関などに配布される。
 新型コロナウイルスの広がりを受け、台湾はマスクの増産に力を注いでおり、1日当たりの生産量は今月末にも1700万枚を突破する見通し。蔡英文総統は今月初め、国内の需要は十分にまかなえるとし、海外に提供する方針を表明した。
(楊明珠、陳韻聿/編集:楊千慧)
**********
 
 新型コロナ感染対策では、目覚ましい成果を挙げてきた台湾でしたが、実は先日、同国海軍がパラオへの練習航海から戻ったあと、艦内で新型コロナのクラスターが発生し、下船後、高雄市内をはじめ各所に大勢の実習生と軍人が分散したため、一時台湾中がパニック状態になりました。幸い、28名程度の新規感染者にとどまりましたが、規律を重んずる国防部で起きた失態に、蔡総統もおかんむりという一幕がありました。

**********TAIWAN TODAY 2020年04月20日
軍艦「磐石」の実習生・軍人、合計24人が新型コロナウイルス感染

 中央感染症指揮センター(新型肺炎対策本部に相当。中国語の正式名称は中央流行疫情指揮中心)によると、台湾における新型コロナウイルス感染者は4月19日までに累計420人となった。写真は2019年3月、澎湖に立ち寄った「敦睦遠航訓練」の艦隊。(中央社)
 中央感染症指揮センター(新型肺炎対策本部に相当。中国語の正式名称は中央流行疫情指揮中心)によると、台湾における新型コロナウイルス感染者は4月19日までに累計420人となった。( )内は累計感染者の通し番号。
4月18日(土)
 台湾では16日と17日、2日連続で新型コロナウイルスの新規感染者ゼロが続いた。しかし、続く18日、新たに3人の感染者が確認された。いずれも男性で、中華民国(台湾)海軍が毎年実施している遠洋練習航海艦隊「敦睦遠航訓練」のうち、軍艦「磐石」に乗船していた実習生及び軍人と発表された。3人は2月21日、軍艦「磐石」に乗船。軍艦はこの3人を含め合計337人を乗せ、3月12日から15日まで中華民国の国交樹立国であるパラオ共和国を訪問していた。また、パラオを離れてからは公海内を30日間近く航行。4月9日に台湾南部・高雄市の左営軍港に帰港したが、台湾での新型コロナウイルス感染拡大に配慮し、艦内で6日間滞在した後、15日に下船した。新規感染者の内訳は以下のとおり。
(396)
 4月12日から頭痛と嗅覚異常の自覚症状があった。4月15日の下船後、帰宅して医療機関を受診した。症状が続いていたため17日に再受診。医療機関が検体を採取し、衛生当局に通報した。
(397)
 4月上旬から上気道の腫れと痛み、頭痛、鼻水、せき、嗅覚異常などの自覚症状があった。帰宅後、4月17日に医療機関を受診した。医療機関が検体を採取し、衛生当局に通報した。
(398)
 4月13日から嗅覚と味覚異常の自覚があり、17日に医療機関の急患センターを訪れた。医療機関が検体を採取し、衛生当局に通報した。
4月19日(日)
 中央感染症指揮センターは19日、新たに22人の感染が確認されたことを明らかにした。そのうち21人は軍艦「磐石」の乗組員で、内訳は20代から40代までの男性19人、女性2人。いずれも4月14日から18日にかけて発症した。残る1人は20代男性。昨年4月21日に留学のため渡米し、今年4月10日に米国で発症。17日の帰国時、空港で検体を採取し、感染が確認された。
 なお、軍艦「磐石」で発生したクラスター(集団感染)による感染者は、これで累計24人となった。中央感染症指揮センターはすでに、「敦睦遠航訓練」に参加していた軍艦「磐石」を含む、合計3つの軍艦の乗組員744人全員の検体検査を行っている。現在、感染が確認された24人はすべて「磐石」の乗組員で、ほか2つの軍艦の乗組員から陽性反応が出ていない。
 中央感染症指揮センターは、これら744人と接触した可能性がある市民の携帯電話端末にショートメッセージを送り、自身の健康に留意すること、体調不良がある場合は専用ダイヤル「1922」に電話することなどを伝えている。このショートメッセージを受け取った市民は2,000~3,000人程度と見られる。
 なお、国防部(日本の防衛省に相当)の史順文報道官は18日、即日より国軍及び国防部のすべての人員に対し、マスクの終日着用を求めることを明らかにした。マスク着用のほか、手洗い、ソーシャルディスタンス(社会的距離)の維持、1日2回の検温なども引き続き求め、その徹底を図る。
 また、中央政府は18日より、国軍に対して1日18万9,000枚のマスクを支給することを決めた。これは、1人当たり1日1枚のマスクが支給されることを意味する。

*******AFP 2020年4月23日 13:18
台湾の軍艦で新型コロナ集団感染、対策に「重大な不備」と蔡総統が謝罪

台湾の蔡英文総統(2020年1月22日撮影)。(c)Sam Yeh / AFP
【4月23日 AFP】台湾の蔡英文(Tsai Ing-wen)総統は22日、パラオでの親善任務を終えて帰還した海軍艦内で新型コロナウイルスの集団感染が発覚したことを受けて、軍の新型ウイルス対策に「重大な不備」があったとして謝罪した。
 台湾の軍艦「磐石(Panshi)」がパラオ遠征から帰還した後、これまでに乗組員28人が新型コロナウイルス検査で陽性反応を示した。パラオは、台湾を「国」と承認し外交関係を結んでいる15か国の一つ。
 蔡氏はテレビ演説で、「私は統帥(最高司令官)なので、わが軍の業務は私の業務であり、責任だ」「この任務中、海軍の(新型ウイルスの)パンデミック(世界的な大流行)対策に重大な不備があり、国民は今や新型ウイルスに感染するリスクを負っている。謝罪したい」と述べた。
 台湾は、中国と地理的に近く経済的結びつきが深いにもかかわらず、新型コロナウイルスの感染者がわずか426人、死者が6人にとどまっており、その新型ウイルスへの速やかな対応は手本に挙げられてきた。
 さらに、マスクなどの保護具を欧州を含む海外に提供し、外交面で称賛を得てきた。
 しかし、磐石での集団感染によって、こうした台湾の素晴らしい業績に傷がつく恐れがある。
 台湾ではここ数日間、新型ウイルスのパンデミックにもかかわらず、海軍がなぜ任務を強行したのか、パラオ遠征中に一部の乗組員が発熱していた事実を当局が隠蔽(いんぺい)していたのかをめぐり、批判の声が高まっている。
 磐石は3月15日にパラオに到着。その3日後に出港した。
 4月9日に高雄(Kaohsiung)の港に帰還し、その6日後に乗組員の下船が許可された。
 先週末に最初の感染者が確認された。当局は、乗組員の立ち寄り先や接触した可能性のある人々の特定を急いでいる。(c)AFP
**********

■このような失態が生じたものの、台湾では4月27日は再び感染者ゼロを記録し、現在では落ち着きを取り戻しています。

**********毎日新聞2020年4月20日
「天才大臣」だけでない台湾の強さとは何か

総統選の投票日には早朝から投票所に有権者の行列ができた=台湾北部・新北市で2020年1月11日、福岡静哉撮影
 新型コロナウイルスへの対応を巡り、台湾の内閣が「専門家ぞろいだ」として日本でも注目が集まっている。台湾では、「鉄人大臣」の異名を取る陳時中・衛生福利部長(衛生相)や、IT担当で「天才」と称される唐鳳(オードリー・タン)政務委員らの活躍が目立つ。主に国会議員から閣僚を選ぶ日本で、パソコンをまともに使えないのにIT担当相に就任するなど専門性を度外視した人選が行われるのとは対照的だ。ただ、国会議員が閣僚になることを禁じる台湾の制度にもリスクはある。
 では何がポイントなのか。日常的な取材や政治学者の話を通じて私が感じた台湾の強さの源は、政治をチェックする有権者の力だ。
★台湾の制度は「お友達内閣」になる懸念も★

IT担当大臣の唐鳳(オードリー・タン)氏。マスク対策で日本でも一気に知名度があがった=台北市で2018年10月31日、福岡静哉撮影
 「台湾の執政制度が日本より良いとは必ずしも言えません。さまざまなリスクがあります」
 比較政治学が専門で台湾政治にも詳しい松本充豊・京都女子大教授はこう語る。執政制度とは、三権分立の民主主義社会の中で、行政のトップが立法機関や国民とどのような関係にあるかを定めた仕組みのことだ。主に三つのタイプがある。日本では国会議員から選ばれた首相が内閣を組織し、閣僚の過半数を国会議員から選ぶと憲法が定める。これを「議院内閣制」と言い、英国が典型例だ。二つ目は米国に代表される「大統領制」で、有権者の直接選挙で選ばれた大統領が国会議員以外から閣僚を任命する。三つ目は議院内閣制と大統領制の両方の要素を取り入れた「半大統領制」で、フランスが代表例だ。台湾も半大統領制に分類される。大統領に当たる総統が有権者の直接選挙で選ばれ、総統は首相に当たる行政院長を任命し、行政院長が組閣する。
 議院内閣制は、国会の多数派から首相が選出されるため、政治が安定しやすいとの指摘がある。だが内閣と国会の「なれ合い」が起きたり、閣僚が専門知識を持たなかったりといった弊害が生じることもある。一方、台湾やフランス、米国の憲法は「国会議員は閣僚になってはならない」と定める。行政と立法の独立を厳格にし、互いにチェックする機能が強い。
 だが半面、大統領と国会の多数派政党が異なる「ねじれ」による対立が起きやすい。知事や市町村長と議会が別々に選ばれる日本の地方自治体は大統領制に似ており、大阪府の横山ノック知事(当時)や長野県の田中康夫知事(同)は議会と激しく対立した。
 松本教授は「半大統領制や大統領制は民衆の直接選挙でリーダーを選べるが、ポピュリストがトップになる可能性もある。また、情実人事による『お友達内閣』が生まれる恐れも否定できない」と指摘する。総統や大統領が自身に示された民意を背に、取り巻きばかりを閣僚に選ぶことも可能な制度だからだ。松本教授は「ドイツは日本と同じ議院内閣制だが、メルケル首相のコロナ対策は評価されている。議院内閣制でも、政府内に専門家の組織を立ち上げ、素早いコロナ対策を取ることは可能だ。どの制度も一長一短があり、政治家がうまく運用できるかどうかが最も大切だ」と指摘する。
 コロナ対策本部のトップを務める陳時中氏は歯科医出身で感染症の専門家ではない。陳氏の下に結成された張上淳・元台湾大医学院長をリーダーとする専門家チームが、知見に基づいた迅速で的確な対応を支えている。日本の厚生労働省にも医師・歯科医師資格を持つ医系技官が約300人おり、こうした人材が活躍しやすい環境を作ることが先決だろう。

対策本部トップの陳時中氏(中央)は歯科医出身。記者会見には感染症対策の専門家も同席し、記者の質問に答えている=台北市で2020年2月28日、福岡静哉撮影
★発足当初は悪評だった蔡政権の内閣★
 蔡英文政権は2016年5月に発足した際、70%近い支持率があった。だが直後に急落した。最大の原因は「老藍男」と痛烈に批判された内閣の顔ぶれだ。「藍」は野党・国民党のイメージカラー「青」を指し「高齢、国民党系人脈、男性」という意味だ。国民党系の有識者らを登用しており、蔡氏としては野党に配慮したのかもしれない。経済学者出身の林全・行政院長を筆頭に専門家ぞろいだったが、清新さに欠いた。
 また当初は立法院(国会)との調整もうまくいかなかった。台湾では行政院長が立法院に法案を提出する。立法院は与党・民進党が過半数を占めているが、有権者の受けがよくない法案に対する与党議員の抵抗が頻繁に起きる。議員経験がない林院長は国会対策に不慣れだった。年金改革や労働法制改革などは世論の激しい反発を受け、国会審議は混乱した。台湾の世論は変化が激しい。蔡政権の支持率は20%を切り、民進党は18年11月の統一地方選で国民党に惨敗。蔡総統は民進党主席を引責辞任した。
 蔡総統は主席辞任時に「一番変わらなければならないのは私だ」と述べた。学者出身でパフォーマンスを好まない蔡氏は、失言を警戒し、記者会見ではプロンプター(原稿が表示される液晶画面)を見て読み上げるだけだった。だが主席辞任を機に、蔡総統は「変身」に努めるようになった。18年12月以降、プロンプター無しで記者の質問を受けるようになった。自分の言葉で語っているため、以前に比べて言葉や表情に迫力がある。その後もSNSなどを活用して積極的に情報発信するようになった。
 しかしこの時点で、20年1月の総統選で蔡氏が再選するとみる人は極めて少数派だった。ここで皮肉にも、中国の習近平指導部の強硬姿勢が蔡氏を「アシスト」した。習氏は19年1月の演説で「1国2制度」による台湾統一に強い意欲を示した。さらに同年6月には1国2制度下にある香港で大規模デモが起き、台湾人に「明日は我が身」と中国への強い警戒感を抱かせた。もともと中国に厳しい姿勢を取る民進党の背中に強い追い風が吹き、対中融和路線の国民党は逆風に見舞われた。蔡氏はこの勢いに乗って総統選に大勝した。

統一地方選での大敗後、記者対応に努力するようになった蔡英文総統。総統府の廊下で初めて記者団の取材に応じたが、表情は少しぎこちなかった=台北市の総統府で2018年12月6日、福岡静哉撮影
 台湾は中国に経済的に依存する構造から抜け出せていない。世論の対中姿勢は「強硬」と「融和」の間で揺れていることもあり、民進党と国民党は8年ごとに政権交代を繰り返してきた。コロナ問題は、ちょうど世論が最も「強硬」に傾いている時に起きたため、蔡政権は早期に中国人の入境禁止という厳格な措置を打ち出すことができた。「今がもし国民党政権だったら、中国に対し同様の厳しい対策を取れたかどうかは疑問だ」(台湾紙記者)と指摘する人は多い。
 また19年1月に就任した蘇貞昌行政院長が内政を下支えしたことで、蔡政権はスムーズに上昇気流に乗れた点も見逃せない。蘇氏は民進党の結党メンバーの一人で弁護士。国民党の独裁政権に抵抗して多くの民主活動家が逮捕された1979年の事件で弁護団に加わった。民主化運動を後押しした民進党の「レジェンド」の一人とも言える。蘇氏は立法委員、県長(県知事)、総統府秘書長(内閣官房長官に相当)、党秘書長(幹事長)、党主席を歴任した。松本教授は「台湾では立法委員の経験がある人物が行政院長になると長期内閣になる傾向がある。重鎮の蘇氏が行政院長になり、国会対策も安定した」と評価する。

蘇貞昌行政院長は民進党結党メンバーの一人だ=台北市の行政院で2019年1月15日、福岡静哉撮影
★民意を恐れる政権★
 18年までは悪循環で何をやっても裏目に出ていた蔡政権。しかし19年の習氏の演説がターニングポイントとなり、好循環期に入った。陳時中氏や唐鳳氏ら今になって高く評価されている閣僚は、政権初期から内閣の一員だった。かつて批判の対象だった内閣が、今では称賛されている。
 陳建仁副総統も当初はあまり目立つ存在ではなかった。しかし、陳氏は台湾大感染症研究所長も務めた台湾有数の防疫専門家。02~03年に大流行し台湾で37人が犠牲となった重症急性呼吸器症候群(SARS)問題では担当閣僚として現場を指揮した経験もあり、今回のコロナ対策で的確な助言をしている。

陳建仁副総統。感染症対策の専門家で、SARS問題では担当閣僚として現場を指揮した=台北市で2018年10月1日、福岡静哉撮影
 陳其邁・行政院副院長(副首相)は18年11月の高雄市長選に敗れた後の19年1月、副院長に就任した。当時は「選挙で負けた人がなぜ政府の要職に就くのか」と激しい批判を浴びた。陳氏も台湾大で公衆衛生学の修士号を取得した感染症対策の専門家で、今では政権の好感度を上げる存在に変わった。蔡政権が感染症の拡大を予想してこの2人を要職に就けたわけではなく「偶然の適材適所」と言える。台湾のコロナ対策の成功は、こうした一連の好循環の延長線上にある。
 では、こうした好循環の要素を抜きにした、台湾の強さはどこにあるのか。歯切れの良い政治分析で知られる台湾大の張佑宗教授に話を聞きに行った。
 張教授は私の疑問に対し、こう指摘した。「台湾民衆はいつも政権を厳しく監視しているが、日本ではこの監視の力が弱い。だから安倍晋三首相は思いのままの政治を進めてきた。台湾人は政治はどうあるべきかを熱く語る人が多いが、日本人は政治と自分たちの生活は関係ないと考えている人が多いと私には見える」

台湾と日本の政治の違いについて語る張佑宗・台湾大教授=台北市の台湾大で2020年4月13日、福岡静哉撮影
 私は張教授の指摘に膝を打った。台湾でタクシーに乗れば運転手が政治談議を始めることは日常茶飯事だ。日本に比べ「政治が自分の生活を左右する」ととらえている人が多いと感じる。蔡政権が大敗した18年の統一地方選で投票所の取材をした際は、多くの有権者が私にこう言った。「今の政権に失望したら、私たちの1票で新しい人に代えればいいだけだ」
 20年1月に総統選と同時にあった立法委員(国会議員)選で、比例得票率は民進党34.0%、国民党33.4%で接戦だった。国民党は一定の支持基盤を維持している。政権の側は「失敗すれば政権を失うかもしれない」と民衆の目を恐れるため、民衆の生活や思いに必死で寄り添おうとし、政策の改善に生かす。陳時中氏が毎日、専門家と共に欠かさず記者会見を開き、記者の質問が途切れるまで答え続けるのも、民意重視の表れだろう。
 台湾ではデモが日常的に起きる。民意は揺れ動きやすく、政治はしばしば混乱する。だが、こうした有権者の政治に対する熱い視線こそが、民主主義を前に進めるエネルギーだろう。SNSでは「日本にも、台湾のように優秀な専門家の大臣がほしい」という嘆きをよく目にする。しかし参考にすべき点はむしろ、政治を動かす民衆のチェック能力だと思う。
(福岡静哉・台北特派員)
**********

■他方、中共は今回の新型コロナ感染拡大の原因者であるにもかかわらず、世界の感染国に対して医療支援と称して再び勢力拡大の好機と捉えており、まさに放火魔と火事場泥棒の様を呈しています。

**********Reuter 2020年4月18日15:31
中国が「コロナ対策」積極輸出、新たな外交カードに
[シンガポール/ベオグラード13日ロイター] - セルビアの首都・ベオグラードの空港で今年3月、中国の医療専門家6人がレッドカーペットに降り立った。閣僚らとともに6人を迎えたブチッチ大統領は、握手の代わりに腕をぶつけ合う、新型コロナウイルスに配慮したあいさつを済ませると、セルビア国旗に続いて中国国旗にキスをした。
 中国は、欧州で最も親密なセルビアのほか、複数の友好国に対し、新型コロナとの闘い方を助言するための人員を派遣している。
 米国その他の国々から、感染拡大への初期対応に失敗したと批判を浴びている中国にとって、こうした支援は新型コロナとの闘いにおける世界的指導力をアピールする手段の1つだ。
 西側諸国はかねて、巨大経済圏構想「一帯一路」などを通じた中国の世界的影響力の拡大を警戒しており、中国側は善意の姿勢を示すことでそうした懸念を鎮めようと努めてきた。
 「中国が新型コロナを利用し、国益にかなうと見なす活動を押し進めるのは間違いない」と語るのは、カナダの元外交官でカナダ・アルバータ大学中国研究所のディレクター、ゴードン・ホールデン氏だ。
 「そうした活動には、自国の統治モデルを推すことも含まれる。今回の場合は、疫学的な方法論だ」と指摘する。
 中国外務省はコメント要請に回答していないが、同省報道官は9日の記者会見で、医療チーム派遣の目的は統治モデルの輸出ではなく、新型コロナ対策の経験を共有することだと述べた。
 中国はセルビアの他、カンボジア、イラン、イラク、ラオス、パキスタン、ベネズエラ、イタリアの各国に医療チームを派遣した。前週はフィリピンに医療チームが到着している。
 中国国際発展協力署によると、同国はこの他、米国など対立関係にある国を含めて約90カ国に物資の寄付や販売を行い、ノウハウを共有するため、諸外国や国際機関とのビデオ会議も数多く開いたとしている。
<中国の専門家を信頼>
 カンボジアに前月派遣された中国医療チームの一員によると、チームは受け入れ国で臨時病院の建設や、症状の軽い人々の隔離、公共の場に入る人々の検温を幅広く実施することなどを助言している。中国は湖北省武漢で、病床1000床の病院を8日間で建設した。
 中国の助言に従い、セルビアは軽症者の隔離を開始し、そうした患者を収容する病院の建設を軍の動員によって行っている。同国高官らによると、こうした措置で感染拡大のスピードを抑える効果が出ているという。
 大統領府に近い人物は「中国の医師らは、セルビアが中国をモデルにした措置を採用したことを歓迎してくれた。できる限り多くの感染者を把握して治療するというモデルだ」と述べた。
 東南アジア諸国の中で歴史的に中国政府寄りなカンボジアでは、中国チームの助言を受けて海外からの渡航者向けのビザ(査証)発給を大幅に削減。中国チームの一員によると、カンボジアはホテルや学校を改修して帰国者向けの隔離施設とする助言についても、実行に移すことを検討中だ。
<ありがとう、習兄弟>
 こうした医療支援にもかかわらず、中国は米国その他の国々から、感染拡大の初期に情報を出さず、リスクの大きさを否定したとして非難を浴びている。
 米ブルッキングス研究所のライアン・ハス氏は「中国の初動ミスがウイルスの世界的感染拡大につながったことを、多くの国々がすぐに忘れるとは思えない」と言う。
ただ、セルビアのような国々の反応は、今のところ好意的だ。
 中国チームはベオグラードで、1999年の米軍機による中国大使館誤爆で犠牲になった人々を弔う記念碑を訪れた。
 チームの到着後、ベオグラード中心部に掲げられたプラカードには習近平・中国国家主席の写真の横に、中国語とセルビア後で「ありがとう、習兄弟」と大書されている。

(Keith Zhai記者 Aleksandar Vasovic記者)

**********日経2020年4月24日
自滅した中国コロナ外交

 米ウィスコンシン州議会のロジャー・ロス上院議長のもとに、中国政府から一通の電子メールが届いた。中国の新型コロナウイルス感染拡大に対する取り組みを称賛する決議案を議会に提案してほしいという依頼だった。同議長は、これはいたずらに違いないと考えた。
 メールには、決議の文案まで添付されていた。その内容は、中国共産党がいかに素晴らしく対応したかといった論点や信じがたい主張が羅列されており、決議にかけるには怪しすぎる内容に満ちた提案だった。
 「外国の政府が州議会に接触してきて法案の可決を求めるなど聞いたこともない。そんなことはあり得ない」とロス議長は4月中旬、筆者に語った。そして、そのメールはシカゴの中国総領事から送られてきたことが判明した。「びっくりした。それで、こう返信してやった――親愛なる総領事殿、ふざけるな、と」
 中国政府は新型コロナ危機に乗じて国際的な立場を高めようとして、逆に手ひどいオウンゴールを喫するということが続いている。このエピソードもその一つと言わざるを得ない。

中国が世界に輸出した新型コロナの検査キットなどには欠陥品が多いとの批判が多い(スイス・ジュネーブに届いた医療用品)=AP
 中国南部の都市にはアフリカの人が多く居住するが、そのアフリカ系住民が感染デマなどにより嘆かわしい扱いを受けていること、中国が各国に送った医療用品や医療機器に欠陥が多いこと、中国政府高官が感染は米軍から始まったとする陰謀説を公に認めるなど、世界における中国の評判をコントロールしようとする中国共産党の取り組みは、大半が裏目に出ている。
 欧米諸国による新型コロナ感染拡大への初期対応が混乱したことから国際的統治に空白が生じ、そこを中国が埋める機会を与えてしまったとする見方もある。データに疑いは残るが、実際、新型コロナに関する中国の公式発表では、中国の死者数は5000人未満で、米国の約4万人(19日時点)、イタリアとスペインのそれぞれ約2万人(同)に比べ少ない。だが中国政府がこの状況を利用しようとしたことは結局、危機の収束後、中国が世界で孤立し、信頼を失う可能性を高めている。
 北京大学の著名な学者、王緝思氏は、新型コロナがもたらした様々な事態により米中関係は1970年代の国交正常化以降、最悪の水準に落ちたと指摘する。米中間の経済、技術面の分断は「もはや回復不能」なところまできていると指摘する。
 英国でも変化は急激だ。保守党の有力議員たちは、首相に中国に対しもっと強硬な姿勢を取るよう求めている。英メディアは中国への批判を強め、英情報機関も中国政府からの脅威に重点的に備えると明言した。
 欧州やオーストラリアは、株価の下落など経済が混乱する中で中国企業が欧州や豪の企業を安く買収するのを阻止すべく対応を急いでいる。日本政府は、日本企業がサプライチェーン(供給網)から中国を外すことを促すため、7日に決定した緊急経済対策に2400億円超の予算を盛り込んだ。

中国が医療チームを派遣したセルビアの首都ベオグラードには「ありがとう、習兄弟」と書かれた看板が立つ=ロイター。
 中国に対して幻滅しているのは米国やその同盟国だけではない。中国の唯一の同盟締結国である北朝鮮は、新型コロナ感染拡大の初期段階で、中国政府が人の国際的移動の禁止に反対していたにもかかわらず中国との国境を封鎖した最初の国となった。ロシアもすぐに続いた。イランの政府高官でさえ、中国が感染の広がりを隠していたと非難した。
 これらの中には明らかに不当な批判もある。トランプ米大統領をはじめとする欧米のポピュリスト(大衆迎合主義者)の政治家たちは、感染拡大への自らの対応の不手際から国民の目をそらすために中国政府を攻撃してきた。「ぞっとするような生鮮市場」の閉鎖を求める声には差別的な要素も感じられる。
 しかし、もし中国政府が早くから透明性を高め各国との協調路線にかじを切っていれば、もっと世界から共感を得られていたはずだ。ところが中国政府は逆に、政府による感染の隠蔽を批判した国民を逮捕し、新型ウイルスの感染が中国から始まったとする見方は違うのではないかという宣伝活動まで展開した。そして、感染封じ込めには自国の独裁体制の方が優れているとさえ主張している。
 中国政府が3月に国境を実質的に閉鎖し、査証の効力を停止したため、多くの多国籍企業は大打撃を受けている。米メディア企業の記者の多くを3月に国外退去させたことも中国政府に対する国際社会の態度を硬化させた。中国の主要国営メディア(編集注、新華通信が運営するサイト「新華網」)は、「米国を新型コロナウイルスの地獄に投げ込めるよう」、米国への医療用物資の供給を停止し、医療関係の輸出を差し止めればよい、と脅しさえした。
こうした中国の言動は、米国をはじめ世界各国の政府に中国を自国の供給網から外そうとする動きを加速する結果につながる。なぜ中国がこのような明らかな自滅的な行為に走るのかは、中国国内の政治状況を考えるとわかる。
 今回の危機は、2012年に習近平(シー・ジンピン)が中国共産党総書記の座に就いて権力を握って以来、最大の危機だ。中国共産党支配の正統性は、感染初期段階の過ちとその後の強権的な抑え込みにより傷ついた。習氏は、今後始まる経済的危機で国民の支持はさらに失われることに気づいている。08年の金融危機の際は、中国政府は社会不安を封じ込めるには最低でも年8%の成長率が必要だと認識していた。しかし、20年1~3月期の中国の国内総生産(GDP)は前年同期比で6.8%減少した。
 他国を敵に回すようなナショナリズムを大いに強化することは、たとえ中期的に中国の世界における評価を落とすことになっても、中国国民の気をそらすことにはつながる。だからこそ中国の外交官は、ウィスコンシン州議会のロス議長のような、これまで中立的な立場に立ち、貿易や外交の面で味方に付いてくれたかもしれない人物を敵に回しかねない行動に出たのだ。
 中国政府は、外国の議会でのこうした決議を国内での共産党支配を正当化する宣伝に利用する狙いだった。
 だがロス議長は今、正反対の決議案を準備している。中国国民を称賛する一方で、「中国共産党を丸裸にし、その残忍な姿と中国が新型コロナ感染を隠蔽したことで全世界に与えた損害とを世界に明らかにする」決議案だという。圧倒的多数の賛成で可決されることだろう。
(アジア・エディター ジャミル・アンデリーニ:Financial Time 4月20日付)
**********

■このようにしたたかな中国ですが、我が国もその攻勢と無縁ではありません。どうやらアベノマスクの一部も中国製だからです。

 466億円の血税を投入して調達されるというアベノマスクについては、なぜか製造元の公表を厚労省が渋ってきました。最近になって、ようやく金額が次第に明らかにされてきました。それによると、興和株式会社が約54.8億円、伊藤忠商事が約28.5億円、株式会社マツオカコーポレーション(広島県福山市)が約7.6億円とされ、これらの合計が約90.9億円となることから、466億円との差額が、日本郵便(JP)の郵送料かとみられていました。

 そして4月27日の報道で、残る1社が株式会社ユースビオ(福島市)であることが判明し、取材に対して同社樋山社長は350万枚を1枚当たり135円で受注したと述べています。これが本当であれば、約4.73億円となります。

 製造国についても、中国、ベトナム、ミャンマーが取りざたされており、ユースビオの社長は全部ベトナムから輸入したと語っています。マツオカコーポレーションはOEM主体のアパレルメーカーで中国、ベトナム、ミャンマーなどに工場を持っており、縫製技術を生かして今回のマスク製造を請け負ったものとみられます。興和も中国とミャンマーに工場を持っており、そこで製造したものとみられます。最後に、総合商社の伊藤忠ですが、親中企業として名高いだけに、中国製を取り扱っている可能性が高いとみられます。

 厚生労働省マスク班は調達情報の公開に消極的な理由を次のとおり説明しています。
〈マスク枚数を開示した場合、契約金額との関係で、マスクの単価を計算できることとなり、今後の布マスクの調達や企業活動への影響(他の取引先との関係)を及ぼすおそれがあるため、回答は差し控えさせていただきます。〉

 しかも、不良品がかなりの数量見つかったことから、返品が相次いでいると報道されています。無理もありません。衛生管理が杜撰な国で、しかも新型コロナ発祥の国で作られたマスクを口に当てることは、誰でも嫌だからです。

 この点、ベトナムは今のところ新型コロナによる死者ゼロで、しかも4月16日から23日まで感染者ゼロであり、23日時点の累計感染者数は268人です。さらに検査数は我が国の2倍であり、新型コロナの感染抑制に成功している国と言えます。また、ミャンマーも24日時点の感染者累計は146人で、死亡者数は5人となっていますが、実態はこれ以上多いと思われます。

 したがって、ベトナムやミャンマーからの調達はまだしも、中国からのアベノマスクの買い付けは国民感情的にも、衛生面からもやめてもらいたいと思います。また、製造国が明記されていないことから、原産国が特定できないため、アベノマスクが配達されてきたら、返品するのが良策だと思われます。ネット情報によれば、返品のやり方は次のとおりです。

<アベノマスクの返品方法>
「未開封で、朱字で『親展・転送』」と記載すれば無料で返品してもらえます。
 返品先:
 〒100-0014
 東京都千代田区永田町2-3-1
 総理官邸気付
 安倍晋三総理大臣 殿



【4月28日追記】

群馬県が発行した群馬県台湾総会からの医療用物資寄贈についての確認報告。

寄附受納書の送り状。

寄附受納書。

【5月1日追記】
 4月30日に群馬県がHPで当会からの寄贈物資について公表しましたので紹介します。
**********群馬県HP 2020年4月30日
https://www.pref.gunma.jp/houdou/co02_00002.html
【4月28日】群馬県台湾総会からの医療用防護服・ゴーグルの寄贈について(地域外交課)
 群馬県台湾総会(伊勢崎市ひろせ町)から、医療用防護服490着、医療用ゴーグル600個の寄贈の申し出をいただき、令和2年4月27日に台湾から到着しました。
 当該物資は、群馬県内で台湾との国際交流活動を行っている群馬県台湾総会が、県内でコロナウイルス対策に役立ててほしいと、友好関係にある「財団法人 台南市台日文化友好交流基金会」の協力により台湾メーカーから購入し、現地から発送されたものです。
 群馬県台湾総会からの寄贈に心から感謝を申し上げ、医療機関等への配布用物資として活用させていただきます。
寄贈者:群馬県台湾総会
寄贈品:医療用防護服490着、 医療用ゴーグル600個
目的:群馬県内の新型コロナウイルス感染症拡大防止に伴い、コロナウイルス対策を行う医療現場等において懸念される医療用物資不足に対応するため
[群馬県台湾総会概要]
<会長>頌彦真賢(うたさと・しんけん)
<所在地>伊勢崎市ひろせ町4084-6
<設立>1972年
<会員数>86名(令和2年4月現在)
<目的>
・台湾出身者の親睦交流及び情報交換
・日本と台湾との民間交流促進
・県内国際交流活動の協力、参加促進
<主な活動>
・台湾フェアin 群馬
・県内市町村の国際交流イベントへの出展
・日台学生交流の企画等
[寄贈物資]

医療用防護服

医療用ゴーグル
[このページについてのお問い合わせ]
知事戦略部地域外交課
〒371-8570 前橋市大手町1-1-1
電話 027-897-2982
FAX 027-223-4371
E-mail gaikouka@pref.gunma.lg.jp



【群馬県台湾総会理事】

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【行政の犯罪】藤岡市内の保安林を巡る公文書改ざんで告訴状紛失の責任をなすり合う警察と検察

2020-04-26 23:37:00 | 藤岡市内保安林を巡る行政犯罪
■言うまでもなく行政はコンプライアンス(法令順守)重視でなければなりません。ここ群馬県の場合、群馬県・県内市町村しかり、そして群馬県警・県内各警察署しかりです。ところが、そうした行政の根幹を揺るがす事態が、藤岡市内の山林で平成8年に勃発し、平成から令和になった今もなお解消されません。被害にあった藤岡市在住の当会会員は、この驚くべき行政悪を正すため7年余りにわたり苦しみながらも戦い抜いてきました。
 ところが裁判に訴えても、司法は行政側のインチキ書類を正当とみなし、住民がいくら正当性を主張しても意に介しようとしません。警察に告発しても、さっぱり動こうとしません。そのため、マスコミにも情報提供をして取材要請をしましたが、上毛新聞編集局も朝日新聞高崎支局長もまったく関心を示しません。被害を受けた当会会員は、最後の望みをかけて、7月27日に就任した山本一太新知事に対して、直訴し続けていますが、無しのツブテであることは、これまでにも報告した通りです。
 そのため、現在当会では会員を支援して告発状を作成し、最寄りの警察署に提出すべく準備中ですが、一抹の不安があります。それはこれまでにも当会会員が告訴状を警察に提出したことがありますが、その告訴状に添付していた証拠写真を警察が紛失したからです。しかも、警察は「検察に事件の資料として提出したが戻ってこないので手元に残っていない」という言い訳をしています。
 一体どうしたことでしょう。

治山(ちさん)ダムは、森林法(治山事業)に基づき設置されるダム様構造物のこと。過剰な土砂流出により荒廃した渓流、地すべりをはじめとした斜面崩壊箇所下流に設置される。治山ダムは森林法による保安林事業とも密接に関係する。


土砂災害の防止を目的にしている砂防ダムは国交省が所轄するが、森林機能向上をうたう治山ダムは林野庁が所管する。一般的には、砂防ダムは治山ダムよりも下流域に造られ、治山ダムよりも堤防が高く大型となる。

 なお、この藤岡市内の保安林を巡る行政の犯罪に関するこれまでの情報については、当会の次のブログ記事を参照ください。
○2016年5月13日:第2の大町事件?・・・林業行政を巡る森林組合・藤岡市・群馬県の杜撰なトライアングル
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1993.html
○2017年12月23日:林務行政に係る森林組合・藤岡市・群馬県の杜撰な関係を質すために活動中の藤岡の会員からの経過報告
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2515.html
○2019年4月10日:デタラメな群馬県の林業行政…2月8日の保安林現地視察でコンプライアンス平然無視の実態報告(1)
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2927.html
○2019年4月10日:デタラメな群馬県の林業行政…2月8日の保安林現地視察でコンプライアンス平然無視の実態報告(2)
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2928.html
○2019年6月23日:筆界未定地を保安林に仕立て砂防ダムを勝手に作った藤岡森林事務所長に被害者が10時間の直談判!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2966.html
〇2019年10月9日:【行政の犯罪】公文書改ざんを告発し続ける住民に対して耳を傾けるのか・・・沈黙を続ける山本一太新知事
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3046.html
○2019年10月21日:【行政の犯罪】公文書改ざんを告発し続ける住民に対し依然沈黙する一太知事に知ってほしい事実
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3060.html
○2020年4月23日:【行政の犯罪】住民からの公文書改ざん告発を一太知事に知らせず握り潰す秘書課と森林保全課
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3157.html

■警察とは、「国民の生命・身体・財産の保護、犯罪の捜査、被疑者の逮捕、公安の維持など、社会秩序を保つため、国家の統治権に基づいて国民に命令・強制する、行政上の作用。また、その仕事を担当する組織」のことです。

 このため、所有する森林を、行政により勝手に保安林にされたうえに、砂防ダムを造られ、森林組合に林道まで作られつくられたうえに、盗伐までされてしまった当会会員は、違法行為を働いた関係者を警察に告訴しました。

 しかし、告訴状は結局、受理されてもらえなかったうえに、告訴状と一緒に提出した証拠写真も警察から帰してもらおうとしましたが、警察が紛失したというのです。

 そのため、当会会員は警察に対して、早期に証拠写真を探し出して返してほしいと苦情を申し立てました。警察の対応は鈍く、思い余った挙句に、群馬県の警察の運営を管理する権限を有する公安委員会に直訴状を出しました。なぜなら、公安委員会は、警察の民主的運営と政治的中立性に鑑み、警察行政の大綱方針を定め、警察行政の運営がその大綱方針に則して行われるよう都道府県警察に対して事前事後の監督を行う組織だと信じたからでした。

 ところが、群馬県公安委員会からの返事は次のとおりでした。

*****県公安委からの返事*****ZIP ⇒ 20170614qnm.zip

                    群公委第676号
                    平成29年6月14日
清 水 剛 様
                 群馬県公安委員会

          苦情処理結果通知書

 あなたが当公安委員会宛てに申し出られました苦情について調査した結果を、次のとおり回答します。
             記
 あなたが行った告訴に対する藤岡警察署の一連の対応に不適切な点は認められませんでした。
 また、告訴状が差し替えられているとのご指摘につきましても、そのような事実は認められませんでした。
 なお、あなたが藤岡警察署に提出した写真につきましては、事件書類として検察庁に送付されているため、同署には残っていないことを確認しました。
**********

■この返事をもらった当会会員は、いちおう告訴状と証拠写真一式が検察にもわたっていたのか、と思いつつ、そのあと、前橋地検高崎支部にも事実関係を問い合わせたところ次の回答が戻ってきました。

****地検高崎支部からの返事*****ZIP ⇒ 20170713onx.zip

                     平成29年7月13日
 清 水   剛 殿

               前楢地方検察庁高崎支部検察官

   告訴状の閲覧と証拠品の返還請求について(回答)
 貴殿から送付された平成29年7月11日付け「告訴状の閲覧と証拠品の返還請求について」と題する書面について,下記のとおり回答します。
             記
 当該事件記録は,法令で定められた保存期間満了により既に廃棄済みであるため,告訴状の閲覧には応じることができません。
また,貴殿が藤岡警察署に提出したとする現場写真については,藤岡警察署から 証拠品として送致を受けておりませんので,返還には応じることができません。
**********

 これでは、どちらかがウソをついていることになってしまいます。

■当会会員は、まさか証拠物が警察や検察で紛失されることなど微塵も疑っていませんでしたから、証拠写真については複写もしていませんでした。そのため、なんども警察に返却を願い出ていたのですが、あろうことか、警察は「検察に送ったので手元にない」と言い、検察は「警察からそのようなものは送致されておらず、手元にない」と言うのです。

 告訴状と証拠写真はワンセットです。それを検察は「告訴状は当該事件記録と共に廃棄し、証拠写真は警察から受け取っていない」というのです。警察は警察で、自分のところの対応に問題はないと、元締めの公安委員会まで口を揃えて、責任を否定しています。

 こうした前例があるため、今回あらためて、新証拠を携えて警察に行政の犯罪について告発をするわけですが、おなじ行政で、群馬県から給与を得ている警察が果たして中立性を担保しながら対処してくれるのか、また、仮に送検された場合、検察が果たして、本刑事事件について、公益代表者として法の正当な適用を請求してくれるのか、きわめて大きな危惧を抱かざるを得ません。

■そもそも刑事訴訟法第239条には次のように書かれています。

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第二百三十九条 何人でも、犯罪があると思料するときは、告発をすることができる。
 ○2 官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない。

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 これは「国家公務員と地方公務員は、その職務中に犯罪と思われるものを発見した際(または犯罪行為が行われたのではないかと思った時)は、必ず捜査機関に告発しなければならない。」という意味のはずです。

 さらに解説書「安富潔『刑事訴訟法』(三省堂,2009年発行)76頁」によれば、
「告発義務については訓示規定とする説(青柳・上339頁)も見られ,同旨の下級審判例(略)もあるが,通説は義務規定と解し,その違反は国家公務員法82条1項2号,地方公務員法29条1項2号の懲戒事由にあたるとしている。
 もっとも,義務規定であると解しても,公務員の職務上相当と考えられる程度の裁量まで禁止するものではない。告発を行うことが,当該公務員の属する行政機関にとってその行政目的の達成に重大な支障を生じ,そのためにもたらされる不利益が,告発をしないで当該犯罪が訴追されないことによる不利益より大きいと認められるような場合には,行政機関の判断によって,告発しないこととしても,この規定には違反しないものと解される。
 公務員が告発義務を負うのは,職務を執行するに際し,その職務内容に関係のある犯罪を発見した場合に限られる。なお,公務員が職務上知り得た秘密に属する事項については,103条,144条との均衡上,告発の義務を負わないものと解される」
とされています。

 となれば、そもそも訴追の対象にならないと判断されるようなことについてはあえて告発しなくても役人の裁量の範囲で対応すればよいわけで、今回の事件の場合でも、「保安林の手続きに違法性が認められるので、本件は認められない。あらためて森林所有者からきちんと承諾をとって、違法性を完全に排除したうえで、やりなおしせよ」とすればよいわけです。

 ところが実態は真逆です。行政自ら森林組合や首長の利権のために率先して公文書偽造や公正証書原本不実記載など違法行為を犯し、住民が告発しても警察も検察も見て見ぬふりをするのです。これでは、行政の犯罪が減るどころか、裏でやりたい放題になるのも当然です。

■なかには告発しなければ、と思う役人もいるはずです。公益通報の制度もあるので、もっと内部告発があってもよさそうなものです。
※参考URL「公益通報者保護制度ウェブサイト」↓
http://www.caa.go.jp/seikatsu/koueki/gaiyo/jobun.html

 なぜなら、公益通報者保護法第7条では、公務員の任命権者等に対し、公益通報を理由とした免職その他不利益な取扱いがなされないよう公務員法制を適用しなければならない旨規定しているからです。

 公益通報者保護法上では,行政機関への通報を行おうとする場合は「通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしていると信ずるに足りる相当の理由があること」が保護される要件とされています。

 しかし、公務員の間ではこの制度をうっかり使うと、逆に組織の調和を乱した人物としてレッテルを貼られるため、殆どこの法律は機能していないのが実態です。

■そのため、どうしても行政内の犯罪を告発しようとすると、匿名で当会のような民間のオンブズマン組織に内部告発するしか、手段が見つからなくなるわけです。

 こうした行政組織内の犯罪の摘発に対する現行制度の実効性には甚だ疑問で、民間の任意団体であるオンブズマンとして告発しても、どの程度の成果が挙げられるのか、確証が持てないのも事実です。

 それでもなお「案ずるより産むが易し」の言葉を信じて、当会会員を支援してまいりたいと思います。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

コメント (2)
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